11年8月10日

早期健全化法に基づく引当等の基準の一部改正について

 

I .趣旨
 
 早期健全化法第3条第2項に基づく引当等の基準は、金融再生委員会が「金融機関等の有する債権の貸倒れ等の実態を踏まえて定める」こととされているが、今般、公認会計士協会の貸倒引当金等の監査に係る「実務指針」が改正されたことから、こうした実態を踏まえ、引当等の基準の一部を改正することとする。

 

II .内容
 
要管理債権や正常債権の引当(第2条関連
 
 要管理債権や正常債権の引当について、貸倒実績率に加え倒産確率を使用することが可能であること、平均残存期間に対応する今後の一定期間において見込まれる損失の額に基づくこと等を明確化する。

 

適用(改正案附則
 
 平成11年4月1日以後開始する事業年度から適用する。

 

問い合わせ先

金融再生委員会事務局 金融危機管理課

早川、西川


引当等の基準について

〔現行基準〕

公認会計士協会実務指針 引当等基準告示
○正常先債権・要注意先債権

 ・ 貸倒実績率に基づく引当    
 
 

○破綻懸念先債権

 ・ 担保非保全部分の必要額

○実質破綻先債権・破綻先債権

 ・ 担保非保全部分の全額

○正常債権、要管理債権

 ・ 要管理債権等とその他の債権に区分
  した上で、その区分毎に過去の貸倒実
  績率に基づき引当を行う。

○危険債権

 ・ 担保非保全部分の必要額

○破産更生債権

 ・ 担保非保全部分の全額

 

〔改正案〕

改正後の公認会計士協会実務指針 引当等基準告示(改正案)
○正常先債権・要注意先債権

 ・ 貸倒実績率又は倒産確率に基づき
  今後の一定期間に発生が見込まれる
  損失率を求め、将来見込み等必要な
  修正を行う
 
 
 
 

  (注)
  今後の一定期間とは平均残存期間。
  信用リスクの程度を勘案して期間を
  見込む方法も妥当
   ・正常先:1年間
   ・要管理先:3年間
   ・その他の要注意先:1年間

以下改正点なし

○破綻懸念先債権

 ・ 担保非保全部分の必要額

○実質破綻先債権・破綻先債権

 ・ 担保非保全部分の全額

○正常債権・要管理債権

 ・ 要管理債権等とその他の債権に区分
  した上で、その区分毎に過去の貸倒実
  績率又は倒産確率に基づき、平均残存
  期間に対応する今後の一定の期間にお
  いて発生が見込まれる損失率を求め、
  これに将来見込み等必要な修正を加え
  て算出した予想損失額について引当を
  行う。

 
  
 
 
 
 
 

以下改正点なし

○危険債権

 ・ 担保非保全部分の必要額

○破産更生債権

 ・ 担保非保全部分の全額




「早期健全化法に基づく引当等の基準の一部改正(案)」に対する
意見・情報とそれに対する金融再生委員会の考え方
 

<本資料について>

 平成11年6月29日から同年7月28日まで、金融再生委員会において、標記改正案について一般からの意見募集を行った結果、国民及び内外の事業者等から、2件の意見・情報が提出された。

 本資料は、これらの意見・情報について、金融再生委員会の考え方を示したものである。とりまとめの便宜上、提出された意見・情報は、適宜集約したものとしている。なお、本手続きと直接関係がないと考えられる意見・情報についてはとりまとめていない。

 

<提出された意見・情報とそれに対する金融再生委員会の考え方>

(意見1 )「…今後の一定の期間において発生が見込まれる損失のを求め、」とあるのを「…今後の一定の期間において発生が見込まれる損失を求め、」と直してはどうか。
 
(回 答 )公認会計士協会の実務指針等の表現を踏まえ、よりわかりやすい表現に修正した。
 
…今後の一定の期間において発生が見込まれる損失の額を求め、これに将来見込み等必要な修正を加えて引当てを行う。 …今後の一定の期間において見込まれる損失率を求め、これに将来見込み等必要な修正を加えて算定した予想損失額について引当を行う。

 

(意見2 )「ただし、今後の一定期間として、貸出金等の信用リスクの程度を勘案した期間を見込むことができる。」というただし書きを加えてはどうか。
 
(回 答 )本告示の第2条本文の規定は、「…次に掲げる基準その他の商法(明示32年法律大48号)及び一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従った方法」により引当等を行うこととしており、第1号から第3号までに掲げられている方法は例示である。御指摘の方法は、公認会計士協会の実務指針等においても明記されていることから、「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従った方法」に該当するものと考える。
 
(注 )公認会計士協会の実務指針等においても、御指摘の部分はただし書きとなっていることから、本告示において敢えて例示として掲げる必要はないと判断した。
 


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