1 |
.本最終契約書の基本的性格等
(1) |
預金保険機構(以下、「機構」という)、株式会社日本債券信用銀行(以下、「日債銀」という)並びにソフトバンク株式会社、オリックス株式会社、東京海上火災保険株式会社及び他の金融機関等(以下、ソフトバンク株式会社以下を「ソフトバンク・グループ」といい、他の金融機関等を除いた3社を「主要買主」という)は平成12年6月30
日、日債銀譲渡に係る最終契約書(株式売買契約書)を締結した。〔前文〕 |
(2) |
主要買主は、更に他の金融機関等を買主として加えることを検討しており、機構はこれを了承している。〔前文〕かかる他の金融機関等を新たに買主として本件取引に参加させるその取扱いについて規定した。〔第25条〕 |
(3) |
本最終契約書に基づき、ソフトバンク・グループは実行日(8月1日を予定)に日債銀の既存普通株式約25億株を機構から約10億円で買取り、新規普通株式約3億3,333万株の引受のための約1,000億円の払込みを行う(以下「クロージング」という)。〔第2条、第3条〕 |
(4) |
ソフトバンク・グループは、機構により金融再生法に基づく損失補填・金銭贈与が実行されていること、日債銀に重大な悪影響が生じていないこと、機構及び日債銀に本最終契約書上の義務及び表明について重大な悪影響を及ぼす違反がないこと等を前提にクロージング等の一連の取引を行う。〔第8条第1項〕 |
(5) |
機構は、ソフトバンク・グループに本最終契約書上の義務及び表明について重大な悪影響を及ぼす違反がないこと、ソフトバンク・グループの買収後の取締役の構成に係わる表明違反がないこと等を前提にクロージング等の一連の取引を行う。〔第8条第2項〕 |
(6) |
買主の構成が変化した場合や、売買代金の全額の支払が行われないなどの場合には、機構は本件契約の解約等を行う権利を有する。〔第8条第3項〕 |
(7) |
当事者全員が延長する旨同意した場合を除き、本最終契約書はクロージングが平成12年9月1日までに完了しない場合に終了する。但し、機構及び主要買主が書面により合意した場合には本最終契約書を解除することができる。上記(3)、(4)の前提条件が成就しないことでクロージングが行われない場合、全当事者は前提条件成就のために最大限努力する。〔第24条〕 |
|
2
|
.買収方式・買収金額等
(1) |
ソフトバンク・グループは既存日債銀普通株式約25億株を約10億円で機構より取得する。〔第2条〕
|
(2) |
既存日債銀優先株式のうち第4回優先株式約4,814万株について、優先配当額を年15円から年5円に引き下げ、それ以外の条件については現行の条件を実質的に維持したまま、実行日以降も機構が引き続き保有し、残りの約7,185万株及び第2回・3回優先株式の全株は無償消却する。〔第9条〕
(注) |
既存第4回優先株式は、廃止された金融安定化緊急措置法に基づき整理回収銀行(当時)が日債銀より引き受けたもので、購入価格は600億円。日債銀の特別公的管理開始に伴い対価0円で機構が取得。その現行条件は以下の通り。
・ |
優先配当額は年15円。 |
・ |
普通株式への転換権付きで、転換比率は優先株式1株につき普通株式5株。 |
・ |
強制転換は平成30年4月1日で、転換請求期間は平成10年10月1日より平成30年3月31日。 |
|
|
|
3
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.新規増資・自己資本比率
(1) |
ソフトバンク・グループは新生日債銀の新規発行普通株式約3億3,333万株を約1,000億円(1株当たり300円)で引き受ける。〔第3条〕 |
(2) |
新生日債銀は政府に対し、早期健全化法に基づき、健全な自己資本の状況にある旨の区分に該当する金融機関として(承認日現在で自己資本比率4%以上達成見込みであることが条件)、新生日債銀の新規発行無議決権優先無額面株式約8億6,666万株を約2,600億円(1株当たり300円)で引き受けるよう要請する。その他の主要条件は以下の通りである。〔第9条第2項、3項〕
・ |
平成17年9月1日以降から転換可能。 |
・ |
転換価格は平成17年から平成24年までの毎年9月1日に、1株当たり270円又は市場価格(上場前は1株当たりの純資産額)のいずれか低い方に調整。(但し、225円が下限) |
・ |
平成24年9月1日に強制転換 |
・ |
配当率は金融再生委員会が決定。 |
正式申請日より10営業日以内に、第9条第3項記載の条件とほぼ同一の条件による承認が金融再生委員会より得られない場合には、主要買主は本最終契約書を解除することが可能。〔第24条第4項〕
(注) |
2 (2)の既存優先株式と併せて、普通株式へ転換した後の機構の最大持ち分は33.0%。 |
|
(3) |
自己資本比率は13%程度(後述の保有株式含み益実現後ベース) |
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4
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.機構による損失補填等
(1) |
機構は、日債銀の単体ベースの貸借対照表の特別公的管理勘定に計上されている金額をもとに損失補填・金銭贈与等を行う。当該貸借対照表は平成13年3月期に適用される会計基準に基づき作成される。〔第4条第1項〕 |
(2) |
機構は、基準日(実行日の前日。7月31日を予定。)の予備的基準日貸借対照表に基づき、金融再生法第62条、第72条に基づく損失補填・金銭贈与の仮払いを実行日又はそれ以前に行い、実行日後に作成される確定基準日貸借対照表に基づき、最終的な金額を確定・精算する。〔第4条第1項〕 |
(3) |
日債銀は、基準日貸借対照表(以下の手続により確定したものを「確定基準日貸借対照表」という)を作成し、機構が依頼する会計事務所(「旧会計事務所」)の調査を受けた上で、機構の指示に基づいて修正の上、主要買主が依頼する会計事務所(「新会計事務所」)に提出する。新会計事務所は、貸出関連資産等の項目以外の項目についてコメントでき、機構は、旧会計事務所をして当該コメントの適否について新会計事務所と協議させることができる。協議が整わない場合は、機構と主要買主は第三の会計事務所に検討を依頼するものとする。機構と主要買主は第三の会計事務所の判断を尊重するが、紛争解決のために最終的に訴訟を提起することができる。〔第4条第4項ないし第10項〕 |
(4) |
機構による損失補填等に伴い日債銀に法人税等の納付義務が発生する場合には、これを加味した損失補填等が行われる。〔第4条第11項〕 |
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5
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.日債銀保有株式(政策保有株式)の取扱い(別紙参照)
(1) |
日債銀は、その保有する公開株式を下記(3)〜(5)に従って売却し、合計850億円の含み益を実現して新生日債銀の自己資本の増強に充当する。 |
(2) |
日債銀は、株式評価基準日(平成12年6月30日)現在の保有株式の銘柄名、数量、株式評価基準日簿価及び株式評価基準日時価の一覧表を機構及び主要買主に交付する。〔第10条第1項〕 |
(3) |
主要買主は、一覧表記載の公開株式の中から、日債銀の営業上必要な株式を指定し、また、含み益の合計が850億円となるような株式を選択する。〔第12条第1項〕 |
(4) |
日債銀の営業上必要と判断された公開株式については、850億円の含み益実現に係る株式は実行日において機構に売却し、850億円の含み益実現に係る株式以外の株式は基準日までに機構に売却する。〔第12条第2項〕 |
(5) |
日債銀の営業上必要でないと判断された公開株式については、850億円の含み益実現に係る株式は実行日から90日以内に、850億円の含み益実現に係る株式以外の株式は基準日までに、第三者又は機構(機構が売却先指定権を行使したとき)に売却する。
日債銀がこれらの売却を行うときには、機構は当該株式を市場価格で機構に売却するよう請求する権利を有する(売却先指定権)。但し、( i )株式売却価格が公正であり、且つ当該売却が株式市場を混乱させるものではないことが明らかであると認めた場合、又は( ii )
当該株式の発行会社が売却に同意している場合には、機構はかかる権利を行使しないものとする。〔第12条第3項〕 |
(6) |
一覧表記載の非公開株式については、基準日までに又は実行日後5年以内に、機構又は第三者に売却するよう努力し、売却されたときは市場価格又は公正価格と株式評価基準日簿価との差額の受け払いを行う。〔第13条第3項、4項〕 |
(7) |
一覧表記載の非公開株式のうち、実行日後5年以内に売却が可能にならなかったものは、平成17年8月1日時点における市場価格又は公正価格と株式評価基準日簿価との差額の受け払いを行う〔第13条第5項〕 |
(8) |
新生日債銀の営業上必要な株式は機構が購入し、これを日債銀信託に信託する。日債銀又は日債銀信託は当該株式に係る名目上の所有権及び実質的な議決権を有し、日債銀は実行日から5年間、第一優先購入権を有する。〔第14条第1項〕
新生日債銀は、実行日から5年間原則として随時、市場価格又は公正価格で当該株式を機構から買い戻すことができる。但し、機構は売戻しにより損失が発生する場合には売戻しを拒否することができる(信託期間が5年目に入って以降に拒否した場合には当該株式に係る信託期間は拒否時から1年後まで延長される。延長期間中に機構が売戻しを拒否した場合も同様。)〔第14条第2項ないし4項〕 |
(9) |
指定子会社株式、制約株又は破綻先株は日債銀が継続保有する。〔第11条〕 |
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6
|
.機構保有の新生日債銀株式の売却
(1) |
機構保有の新生日債銀株式について、機構が売却を希望する場合に、主要買主は当該株式を購入するか否かを決定する権利を有する。主要買主が購入しない場合は、機構は主要買主に対して申し込んだ株式の全部又は一部を、売却申込価格以上の価額で第三者に売却できるものとし、主要買主はこれに異議を唱えない。[第9条第5項]
|
(2) |
日債銀株式が公開され、機構保有の新生日債銀株式の時価総額が3,550億円を超えている場合には、主要買主は機構に対し、その保有する新生日債銀株式の一定の数量を公正な価格により主要買主に売却するか、又は市場において売却することを要請できるものとし、機構はこの要請を不合理に拒否しない。また、主要買主はその時点でかかる売却のために機構保有の優先株式を普通株式に転換することを要求することができる。[第9条第6項] |
(3) |
新生日債銀の定款に株式の譲渡制限が設けられた場合、機構が保有する日債銀株式の譲渡時には、主要買主は日債銀に取締役会での承認を行わせる。[第28条第2項] |
(注1 |
)新生日債銀の普通株式の価格が1株当たり295円になると、機構保有株式の普通株式換算ベースの時価総額は3,550億円に達する。 |
(注2 |
)新生日債銀の普通株式の価格が1株当たり354円となっている時に、その価格で2(2)の既存優先株式を普通株式に転換して全て売却した場合、この既存優先株式から得られる機構のキャピタルゲインの額は850億円となる。 |
|
7
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.貸出関連資産の継続保有等
(1) |
新生日債銀は、金融再生委員会の資産判定により「日債銀が引き続き保有することが適当」(以下、単に「適」と言う)とされた全ての貸出関連資産を引き続き保有する。〔第17条〕 |
(2) |
主要買主は、新生日債銀が引き続き保有する貸出関連資産に係る債務者との良好な関係を保つため、少なくとも実行日より3年目の応当日又は平成15年9月末のいずれか遅い方の日までは、新生日債銀に以下のような基本方針で融資の管理を行わせることを表明する。
すなわち、特段の事情のない限り、貸出関連資産について、( i )第三者への売却を行わず、( ii )急激な回収を行わず、かつ、( iii )借換え、季節資金等当該債務者の適切な資金需要に応ずることとする。〔第18条〕 |
(注1 |
)上記( ii )の「急激な回収を行わず」とは、契約上認められた債務者の期限の利益を守り、当該期限について債務者に不利な条件変更を行わないことをいう。 |
(注2 |
)上記(2)に関して、「特段の事情」のある場合とは、上記( i )については、債務者の保護の趣旨に反しない日債銀の資金調達を目的とするローン・パーティシペーションや貸付債権の証券化を行う場合、( ii )及び( iii )については、回収を行わない場合や借換え等に応ずる場合に新生日債銀に損害が発生することが合理的に予見できる場合をいう。 |
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8
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.当初引当金
金融検査マニュアルに則った自己査定要領及び日本公認会計士協会実務指針に定められた基準に従って、基準日において適切に計上されることとする。 |
9
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.貸出関連資産の瑕疵担保
(1) |
実行日において機構は新生日債銀に貸出関連資産を売却・譲渡したものとみなす。〔第20条第1項〕 |
(2) |
実行日から3年目の応当日又は平成15年9月末日のいずれか遅い方の日(以下「行使期間満了日」という)までに、当該資産に瑕疵があり、2割以上の減価が認められた時は、新生日債銀は当該資産の譲渡を解除する権利を有する。〔第20条第2項〕 |
(3) |
解除の場合、機構は当該資産の返還と引き換えに当該資産の当初価値(当初引当金控除後ベース。以下、同じ。)に相当する金額(それまでの間に返済額があれば、その額を控除した額)を新生日債銀に払い戻す。〔第21条第5項〕 |
(4) |
(2)の「2割以上の減価」とは、同一債務者に対する全貸出関連資産のその時点での現在価値(その時点での引当金控除後ベース。以下同じ。)の総額が、それら貸出関連資産の当初価値の総額に比し2割以上減額していることを言う。〔第20条第5項〕 |
(5) |
(2)の「瑕疵」とは、当該資産に関し金融再生委員会が「適」と判定した根拠について、日債銀買収時から行使期間満了日までに変更が生じたか、又は真実でなくなったことが判明したことを言い、変更又は真実でなくなったことが実行日後の専らソフトバンク・グループ又は新生日債銀の責めに帰すべき事由によって生じた場合は「瑕疵」に含まれない。〔第20条第3項〕 |
(6) |
金融再生委員会が「適」と判定した根拠が明示されていない場合(例えば正常先の債権は原則として「適」と判定されている)等において、当該債務者に一定の客観的な事実が発生した場合には、新生日債銀はそれを「瑕疵」と推定することができる。〔第20条第4項〕
(注) 例: |
正常先の債権について実行日から行使期間満了日までに元本又は利息の3ヶ月以上の延滞が発生している場合には、新生日債銀は「瑕疵」の存在を推定できる。 |
|
(7) |
債務者から債権放棄の要請があり、これを新生日債銀が受諾した場合は、新生日債銀は当該債務者に係る貸出関連資産の全てに関して、本解除権を放棄したものとみなす。〔第23条第3項〕 |
(8) |
解除権の対象となる貸出関連資産は各債務者ベースで1億円以上のものとし、実行日後に更新、借換又はロールオーバーされたもの等実質的に同一性のある貸出関連資産を含み、新規実行分を含まない。〔第19条第2項、第6項〕 |
(9) |
実行日から行使期間満了日までに、戦争、自然災害、経済大恐慌等の不可抗力が生じ、その結果として債務者の状況が悪化したときには、機構の支払義務は制限を受ける。その際、機構と新生日債銀は債務者の状況悪化がその不可抗力に起因するか否か等を含め公平な負担のあり方について誠実に協議する。〔第23条第5項〕 |
(10) |
解除権を行使する場合、新生日債銀は四半期毎に機構に通知する。機構に異議があり双方の協議が整わない場合、双方が合意する会計事務所が検討を行う。新生日債銀及び機構は当該検討結果を尊重するが、不服がある場合には裁判所に提訴することができる。〔第22条第2〜3項、第5項〕 |
(11) |
上記のほか、貸出関連資産の瑕疵担保に係る詳細としてコミットメントライン等による貸出が行われた場合の取扱い等を規定。〔第19条、第21条〕 |
|
10 |
.デリバティブのクレジット・リスクの軽減措置
機構は、基準日現在日債銀が保有するデリバティブについて、デリバティブの他方当事者の破産、支払債務不履行により実行日より5年間に35億円を超える損失が発生した場合には、その超価額を負担する。
|
11 |
.経営陣〔第16条〕
(1) |
本間忠世氏が代表取締役社長に就任する予定である。 |
(2) |
孫正義氏、宮内義彦氏および樋口公啓氏が取締役に就任する予定である。 |
|
12 |
.表明[第5条]/補償[第6条〕
(1) |
機構とソフトバンク・グループは互いに通常の企業買収契約に含まれる表明及び補償を行う。
(注) 例: |
機構は、日債銀について法律の遵守、許認可の取得、知的財産権の侵害の不存在、貸付取引の適法性・有効性、12年3月期の財務諸表の正確性・公正性、納税申告書の正確性等を表明。ソフトバンク・グループは権限、法律の遵守、本件取引に係る資金の十分性等を表明。 |
|
(2) |
機構による表明及び補償についての有効期間は、法人税等の表明違反については実行日を含む事業年度の納税申告書の提出期限から5年間、法人税等以外については実行日後3年間(当該3年の期間内にかかる損害発生の原因となる具体的事実について機構に対して通知することを要するが、損害額の裁判等による確定が3年間経過後であることを妨げない)とする。法人税等以外の表明違反に係る補償については、損害額の総額が30億円以下の場合は発生せず、総額が30億円を超えた後の1件7,000万円以上の表明違反について機構が補償する。法人税等の補償は課税後ベースで行われる。
指定子会社等に係る補償は、発生した損失額に実質持分比率を乗じた額を補償。 |
(3) |
ソフトバンク・グループによる表明及び補償についての有効期限は実行日から3年間(当該3年の期間内にかかる損害発生の原因となる具体的事実についてソフトバンク・グループに対して通知することを要するが、損害額の裁判等による確定が3年間経過後であることを妨げない)で、損害額の総額が30億円以下の場合は発生せず、総額が30億円を超えた後の1件7,000万円以上の表明違反についてソフトバンク・グループが補償する。 |
|
13 |
.実行日までの当事者の義務
機構及び日債銀は、今後実行日までの間の行為について通常の企業買収契約に含まれる義務を負う。[第7条〕
(注) 例: |
機構は日債銀に対して、健全な銀行の実務に従った事業を行わせ、不適資産の譲渡を除く重要な資産の処分(健全な銀行の実務に従ったものを除く)及び定款等の変更等及び表明が虚偽となるおそれのある行為を実行させない。
日債銀は株式の分割、新株の発行等の資本関連取引、健全な銀行の実務に反する債務負担、買収又は投資、重大な悪影響(210億円以上に相当する不利な変化が生じた場合等)を及ぼす恐れのある契約の締結等を行わない。日債銀は本株式売買契約書締結日から実行日までの間主要買主側が合理的に要求する日債銀の財務・営業等の情報について合理的なアクセスを確保する。 |
|
14 |
.幹事会社
ソフトバンク・グループは、本株式売買契約に基づく権利の行使及び義務の履行に関し、ソフトバンク株式会社を幹事会社とし、幹事会社はソフトバンク・グループのとりまとめを行うものとする。[第26条第1項] |
1 |
.本最終契約書の基本的性格等
(1) |
預金保険機構(以下、「機構」という)、株式会社日本債券信用銀行(以下、「日債銀」という)並びにソフトバンク株式会社、オリックス株式会社、東京海上火災保険株式会社及び他の金融機関等(以下、ソフトバンク株式会社以下を「ソフトバンク・グループ」といい、他の金融機関等を除いた3社を「主要買主」という)は平成12年6月30
日、日債銀譲渡に係る最終契約書(株式売買契約書)を締結。 |
(2) |
本最終契約書に基づき、ソフトバンク・グループは実行日(8月1日を予定)に日債銀の既存普通株式約25億株を機構から約10億円で買取り、新規普通株式約3億3,333万株の引受のための約1,000億円を払込み(以下「クロージング」という)。 |
(3) |
ソフトバンク・グループは、機構により金融再生法に基づく損失補填・金銭贈与が実行されていること、日債銀に重大な悪影響が生じていないこと、機構及び日債銀に本最終契約書上の義務及び表明について重大な悪影響を及ぼす違反がないこと等を前提に、機構は、ソフトバンク・グループに本最終契約書上の義務及び表明について重大な悪影響を及ぼす違反がないこと、ソフトバンク・グループの買収後の取締役の構成に係わる表明違反がないこと等を前提にクロージング等の一連の取引を行う。 |
(4) |
当事者全員が延長する旨同意した場合を除き、本最終契約書はクロージングが平成12年9月1日までに完了しない場合に終了。 |
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2
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.買収方式・買収金額等
(1) |
ソフトバンク・グループは既存日債銀普通株式約25億株を約10億円で機構より取得。 |
(2) |
既存日債銀優先株式のうち第4回優先株式約4,814万株について、優先配当額を年15円から年5円に引き下げ、それ以外の条件については現行の条件を実質的に維持したまま、実行日以降も機構が引き続き保有し、残りの約7,185万株及び第2回・3回優先株式の全株は無償消却。 |
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3
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.新規増資・自己資本比率
(1) |
ソフトバンク・グループは新生日債銀の新規発行普通株式約3億3,333万株を約1,000億円(1株当たり300円)で引き受け。 |
(2) |
新生日債銀は政府に対し、早期健全化法に基づき、健全な自己資本の状況にある旨の区分に該当する金融機関として(承認日現在で自己資本比率4%以上達成見込みであることが条件)、新規発行優先株式約8億6,666万株を約2,600億円(1株当たり300円)で引き受けるよう要請する。その他の主要条件は以下の通り。
(注) |
2.(2)の既存優先株式と併せて、普通株式へ転換した後の機構の最大持ち分は33.0%。 |
|
(3) |
自己資本比率は約13%程度(後述の保有株式含み益実現後ベース) |
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4
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.機構による損失補填等
(1) |
機構は、基準日(7月31日を予定)の予備的基準日貸借対照表に基づき、金融再生法第62条、第72条に基づく損失補填・金銭贈与の仮払いを実行日又はそれ以前に行い、実行日後作成される確定基準日貸借対照表に基づき、最終的な金額を確定・精算。 |
(2) |
基準日貸借対照表(以下の手続により確定したものが「確定基準日貸借対照表」)は、日債銀が作成し、機構が依頼する会計事務所の調査を受けた上で、主要買主が依頼する会計事務所に提出。貸出関連資産等の項目以外の項目について協議。協議が整わない場合は、機構と主要買主は第三の会計事務所に検討を依頼。紛争解決のために最終的に訴訟を提起可。 |
|
5 |
.日債銀保有株式(政策保有株式)の取扱い
(1) |
合計850億円の含み益を有する保有株式を実行日以後に売却して、含み益を実現し、新生日債銀の自己資本の増強に充当。 |
(2) |
日債銀の営業上必要な株式については、実行日前後に機構に売却。機構は当該株式を日債銀又は日債銀信託名義で日債銀信託に信託。日債銀は実行日から5年間第一優先購入権を有するとともに、原則として随時、機構から買い戻し可能。 |
(3) |
日債銀の営業上必要でない株式については、実行日の前後に、第三者又は機構(下記(4)の場合)に売却(下記(4)により機構が購入する場合には上記(2)の信託等の義務は負わない)。 |
(4) |
日債銀が当該株式を市場で売却するときには、機構は株式市場の状況等によっては自己に売却するよう請求する権利を有する(売却それ自体を否定しない)。 |
|
6
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.機構保有の新生日債銀株式の売却
(1) |
機構保有の新生日債銀株式については、機構が売却を希望する場合における主要買主の先買権を付与。 |
(2) |
日債銀株式が公開され、機構保有の新生日債銀株式の時価総額が3,550億円を超えている場合には、主要買主は機構に対し、機構が保有する新生日債銀株式を公正な価格により主要買主に売却するか、又は市場において売却することを要請することができる。 |
(3) |
機構は上記(2)の要請に対し不合理に拒否せず。 |
(4) |
新生日債銀の定款に株式の譲渡制限が設けられた場合、機構が保有する日債銀株式の譲渡時には、主要買主は日債銀に取締役会での承認を行わせる。 |
|
7
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.貸出関連資産の継続保有等
(1) |
金融再生委員会の資産判定で「適」とされた全ての貸出関連資産を引き続き保有。 |
(2) |
引き続き保有する貸出関連資産に係る債務者に対する適切な融資を、実行日より3年目の応当日又は平成15年9月末のいずれか遅い方の日まで継続。 |
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8
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.当初引当金
金融検査マニュアルに則った自己査定要領及び日本公認会計士協会実務指針に従った適切な引当金を計上。 |
9
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.貸出関連資産の瑕疵担保
(1) |
実行日において機構が新生日債銀に貸出関連資産を売却・譲渡したものとみなす。 |
(2) |
実行日から3年目の応当日又は平成15年9月末日のいずれか遅い方の日(以下「行使期間満了日」という)までに、当該資産に瑕疵があり、2割以上の減価があれば、新生日債銀は当該資産の譲渡を解除できる。 |
(3) |
解除の場合、機構は当該資産の返還と引き換えに当該資産の当初価値(当初引当金控除後ベース)に相当する金額(それまでに返済額があれば、その額を控除)を新生日債銀に払い戻し。 |
(4) |
「2割以上の減価」とは、同一債務者に対する全貸出関連資産のその時点での価値の総額(引当金控除後ベース)が、その当初価値(同)総額と比較して2割以上減額しているとの意義。 |
(5) |
「瑕疵」とは、当該貸出関連資産に関し金融再生委員会が「適」と判定した根拠について、実行日から行使期間満了日までに変更等が生じたとの意義。 |
(6) |
金融再生委員会が「適」と判定した根拠が示されていない場合(例:正常先の債権は原則として「適」)等において、当該債務者に一定の客観的な事実が発生した場合には、新生日債銀はそれを「瑕疵」と推定可能。 |
|
10
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.表明/補償、実行日までの当事者の義務
(1) |
機構とソフトバンク・グループは、互いに通常の企業買収契約に含まれる表明及び補償を行う。また、今後実行日までの間、機構は日債銀に健全な銀行の実務に従った事業を行わせ、日債銀は重大な悪影響(210億円以上に相当する不利な変化が生じたとき等)が及ぶような行為を行わない。 |
(2) |
機構による補償で、指定子会社等に係るものは、発生した損失額に実質持分比率を乗じた額を補償。 |
(3) |
補償の有効期間は、主な税務関係の表明違反は平成18年3月期まで(約5年間)、主な税務関係以外の表明違反及び偶発債務の補償は実行日から3年間。 |
(4) |
税務関係以外の表明違反に係る補償は、損害額の総額が30億円以下の場合は発生せず、総額が30億円を超えた後の1件7,000万円以上の表明違反について機構が補償。 |
|
11
|
.経営陣
本間忠世氏が代表取締役社長に就任予定。
孫正義氏、宮内義彦氏および樋口公啓氏が取締役に就任予定。
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12
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.幹事会社
ソフトバンク・グループは、本株式売買契約に基づく権利の行使及び義務の履行に関し、ソフトバンク株式会社を幹事会社とする。
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