平成12年10月6日

金融再生委員会委員長談話

----幸福銀行の営業譲渡契約の締結について----

  1.  幸福銀行の譲渡先の選定については、去る5月18日のアジア・リカバリー・ファンドとの間の営業譲渡に係る基本合意書締結後、幸福銀行の金融整理管財人と同ファンドとの間で営業譲渡契約の締結に向けて鋭意協議が進められ、この程当事者間で合意に達した。
  2.  その結果を踏まえ、本日、金融再生委員会は、幸福銀行と同ファンドが中心となって組成した日本インベストメント・パートナーズの下に設立された関西さわやか株式会社との間で営業譲渡契約を締結することを基本的に了承し、これを受けて、両当事者の間で営業譲渡契約が締結されたところである。
  3.  今後、関西さわやか株式会社は、銀行免許申請手続きを進め、金融 再生法及び預金保険法に基づく所要の手続き及び措置を経て、平成13年2月26日に新銀行(「関西さわやか銀行(仮称)」)として営業譲受けを行う予定とされている。
  4.  幸福銀行の譲渡について確たる見通しが立てられる状況に至ったことは、我が国金融システムの安定及びその再生に資するものと考えている。
  5.  当委員会としては、現在金融整理管財人の管理下にある他の金融機関についても極力早期の譲渡を実現するべく引き続き金融整理管財人を最大限支援・指導してまいる所存である。

幸k竝sの営業譲渡契約について

平成12年10月6日
幸k竝s金融整理管財人
.交渉の状況
 
 5月18日の基本合意書締結後、営業譲渡契約締結に向けて、預保を含む管財人、Asia Recovery Fund L.P.間で協議を重ねてきた。
 この結果、以下の内容で正式な譲渡契約を締結することについて当事者間で合意に達したもの。




.譲渡契約の概要
 
 

譲渡契約の内容

(1)契約の相手方 「関西さわやか株式会社」(Asia Recovery Fund L.P.が出資者の一人として設立した日本インベストメントパートナーズの100%子会社)
(2)営業譲渡日 平成13年2月26日(月)
(3)資本金 240億円
(4)承継店舗数 123店舗中81店舗(他3店外ATM)
(店舗を具体的に特定)
(5)再雇用する職員 約2,000人中1,027名以上(他パート等210名以上)
(6)売手・買手双方
 の保証表明
基本合意書締結以降に受皿先に提供した資料についての当方の表明保証及び受皿先の表明保証
(7)前提条件等 売手・買手双方の営業譲渡・譲受のための前提条件や営業譲渡までの義務を規定
(8)解除条項
.10月末までに限定
 事業運営等についての重大な変化
.営業譲渡日まで
 合意解除、重要な表明保証・約定違反(10月末以降は、新銀行の事業運営に重大な影響のある場合に限定)、不可抗力、投資家の意向表明書が10月末までに当方に交付されない場合、許認可関係等




.今後のスケジュール
10月6日  営業譲渡契約締結
〜来年2月  (営業譲渡に関する事務手続き等)
営業譲渡日の2ヶ月前迄  株主総会等における譲渡承認
来年2月26日(予定)  営業譲渡

平成12年10月6日

幸福銀行譲渡に係る最終契約書の概要

.基本的性格等

(1)

 経緯[前文]
 平成12年5月18日、株式会社幸福銀行(以下「乙」という)は、Asia Recovery Fund Limited Partnership(以下「ARF」という)と営業譲渡に関する基本合意書を締結し、平成12年10月6日、乙は、ARFが中心となって組成する「日本インベストメントパートナーズL.P.」の下に設立された銀行業を目的とする新法人「関西さわやか株式会社」(以下「甲」という)との間で、乙の営業を譲渡する旨の営業譲渡契約を締結した。

(2)

 新銀行[第2条]

(1)

 甲は、金融再生委員会に対し銀行業の免許を申請し、新銀行の資本金は、240億円以上とする。

(2)

 新銀行は、本件営業譲渡が、金融再生法に基づくものであることを理解し、同法の趣旨に則り、資産内容の健全化を図り、善意かつ健全な借手との取引を堅持し、金融仲介機能の維持に努め、中長期的に業務の運営を図るものとする。

(3)

 甲は乙に対し、平成12年10月31日までに、甲に対する投資家が署名した、甲への投資に関する意向表明書を交付する。

(3)

 営業譲渡の前提条件[第22条1項]

(1)

 甲は、乙が営業譲渡の準備行為を履行し遵守すること、営業譲渡を妨げる等の訴訟が生じていないこと、営業譲渡日前日までに預金保険機構より資金援助申請が承認されること、等を前提に営業を譲受ける。

(2)

 乙は、甲が営業譲渡の準備行為を履行し遵守すること、営業譲渡を妨げる等の訴訟が生じてないこと、独禁法による公正取引委員会への届出手続きが完了していること、等を前提に営業を譲渡する。

(4)

 乙は、本契約に定める他、瑕疵担保責任及び営業譲渡日以降判明する一切の損失補填責任を負わない。[第27条]

(5)

 営業譲渡契約の解除[第32条]

(1)

 甲の解除権

(a)

 営業譲渡準備行為開始日(銀行免許取得日又は10月末のいずれか早い日)前

(i)

 重要な表明、重要な約定についての乙の違反[1項3号(1)]

――

 乙の当事者能力、承継資産に関わる重要な表明保証違反または乙の重要な約定違反があり、受け皿から通知を受けた後30日間治癒されることがなかった場合

(ii)

 事業運営等についての重大な変化[1項2号]

――

 甲が、幸福銀行の事業運営等について重大な悪影響をもたらす変化又はそれをもたらすであろう事態が生じたと判断し、その根拠等を乙に疎明した場合

(b)

 営業譲渡準備行為開始日後
 重要な表明、重要な約定についての乙の違反(但し、新銀行の事業計画に重大な変更を要し、銀行免許の審査及び可否に影響を与える場合に限る)[1項3号(1)但書]

(2)

 乙の解除権

(a)

 重要な表明、重要な約定についての甲の違反[1項3号(1)]

(b)

 10月末までに投資家からの意向表明書の提出がなかった場合[1項3号(4)]

(3)

 双方の解除権

(a)

 合意解除[1項1号]

(b)

 新銀行の銀行免許が取得できない場合[1項3号(2)]

(c)

 営業譲渡の認可が受けられない場合[1項3号(3)]

(d)

 不可抗力の場合[1項4号]

(e)

 3月末までに営業譲渡が実行できない場合[3項、当然解除事由]




.承継資産、引受債務、従業員

(1)

 譲渡対象営業は、営業譲渡日午前0時現在の下記承継資産及び引受債務、並びにこれに付随する一切の権利義務とする。[第5条1項]

(1)

 承継する与信資産(613,155百万円(平成12年6月30日現在))及びその未収利息、与信以外の承継する資産、のれん。

(2)

 営業譲渡日時点における預金負債(858,812百万円(平成12年6月30日現在))、その他のすべての負債。

(3)

 付随業務その他。

(2)

 譲渡価格[第5条2項]

(1)

 承継する与信資産の譲渡価格は、516,205百万円(平成12年6月30日現在)

(2)

 動産、不動産、有価証券その他の資産の譲渡価格(賃借不動産に付帯する造作、敷金・保証金を除く)は、43,325百万円(平成12年6月30日現在)

(3)

 のれん代 100百万円

(3)

 従業員[第6条3項]
 新銀行は、乙の従業員の一部を、営業譲渡日をもって新たに雇用する。(正行員1,027名以上、嘱託・パート職員210名以上)

(4)

 承継与信資産に関する後発事象の調整[第7条]

(1)

 譲渡価格の調整は法的整理等の一定の場合に限定

(2)

 甲及び乙は、営業譲渡日を基準とした調整完了後は、一切の調整を行わない。




.表明と保証[第8条]
 
 甲と乙は互いに表明及び保証を行う。

(例)

 乙は、本営業譲渡に係る権限、法令の遵守、納税義務の履行、財務諸表の正確性、知的財産権の侵害の不存在、環境、保健及び安全に関する基準に違反がないこと、等を表明し保証。甲は、本営業譲渡に係る権限、法令等の違反がないこと、等を表明し保証する。




.営業譲渡日までの義務及び協力[第9条]
 
 甲及び乙は、契約条項を円滑に履行するため、協力して、営業譲渡の準備行為を行う。

(例)

 乙は、営業譲渡日までに、承継資産の財産の処分・改良に関する行為及び新銀行の業務に重大な悪影響を及ぼす行為を行なわず、営業譲渡を円滑に履行するため、承継資産に関する契約移行の準備手続を実施する。甲は、営業譲渡日までに、新銀行を運営するうえで必要な契約を締結し、資本金を240億円以上とする。

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(参考)営業譲渡契約書
(ファイル容量は310kbあります。)


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