第7回金融専門人材に関する研究会議事要旨

1. 日時:

平成20年11月12日(水)15時30分~17時30分

2. 場所:

中央合同庁舎7号館9階 共用会議室3

3. 議題:

  • 資格試験のあり方について

  • 自由討議

  • 事務連絡

4. 議事内容:

  • 資料に沿って、事務局より説明。

  • 会議における主な発言は次のとおり。

【金融専門人材のイメージ】

  • 金融に携わる者として必要な知識面での土台を築き、その上で同時に世界の最先端の人たちと渡りあえる人材を養成しようという、という二つの目的。

  • 法を作る側と法の下に活動する側との間での知識のギャップ、および日本と海外との間の国際的な知識のギャップを埋める必要があるのではないか。

  • 議論の目的はマネジメント層の底上げ。過度に恐れず、自信を持って勉強してもらうことが重要。

  • 会社のマネジメントを左右するような問題に対して、上場会社の中に、なかなか自分達の言葉で話せない人がいるというのが現状。

  • 専門家としてのコンプラインアンスの人間を育成する国家資格は必要。

  • 上司がポートフォリオ理論を必ずしも理解していなければ、説明に失敗したり、ごまかそうとしたりする。こうした状況を防ぐ意味でも実際に資格を持っていてほしい人は管理職以上。

  • 分野を越えた共通言語を身につけトータルで目配せできる人材を育成、という目的からすると、金融機関においては経営者や取締役・役員レベルであり、一般事業会社であればCFOレベルに持っておいて欲しい。

  • IPOをする時点において企業・団体は、経理部門や法務部門が非常に未熟な段階であり、幅広い知識を持つ人材に意義。一方で、すでに各部門の人員が充実している大企業においてこうした人材が有用か疑問。

  • 金融機関においても、地方だからとか、国内でしか営業していないからとか、そういった垣根が低くなってきており、リスクやファイナンスに対する認識の重要性が高まっている。

  • 実務経験をもった中堅の世代をターゲットにすると同時に、若い人たちの金融に対する興味を引き出す試験にすべき。

  • 金融機関における組織運営の観点では、広く浅い知識よりも、各々の分野にプロとして精通した人間を置きたい。加えて、人間性やコミュニケーション能力も重要であり、試験に合格するだけではお客様の期待に応えられない。

  • 証券外務員試験のように、独学で大学院に行かなくても、自分で教科書を見ながら一生懸命勉強すればそれなりの合格ができる、というレベルがよい。

  • 基本的なレベルを問うことが重要。それぞれの分野の基礎的な事項をある程度理解できていないと、専門家集団を統率できず、能力が発揮できない。

  • 国際的なレベルでみて金融に携わる者が当たり前のように実務をやっていたら受かるというレベルの試験とするべきで、負担になるような大変なレベルの試験とする必要はない。

  • オーソリティーがきちんとある資格というのが、金融士のイメージ。ある程度難易度の高いものにしたい。

  • 事務局案は範囲が少し広がりすぎており、必要な人材のイメージが金融機関対象か企業対象か、判然としない。

  • 金融士のような全般的なレベルアップという試験を強制することは、結局どの分野を強化したいのか判然とせず、効果に疑問。

  • 点数さえ取っていればテストさえ受かっていればそれで優秀である、というのは違うのではないか。様々な知識が身に付いていることは本質的には重要ではない。

  • まずターゲットを決めた上であれば、例えば専門的な部分を設ける場合も短答式の部分は全科目必須にする、など設計の仕方が具体的に決まってくる。

【資格試験のあり方】

  • (金融法務・財務会計・ファイナンスの)3科目について基礎を通った人は、一つの金融士補というか、一つのゼネラリストとして金融の世界で生きていく人ではないか。

  • 基礎的な第一段階を受験した上で、金融工学やコンプライアンスなどの個別専門分野において高度な内容を問うという意味で、二段階の試験制度は考えられるのではないか。

  • それぞれの科目で面接まで通った人は、プロ又はプロの候補として金融士(金融法務)や金融士(財務会計)など分野毎に金融士を括弧付で名乗る形でよいのではないか。

  • 網羅的に知識を問う試験制度ではなく、専門分野ごとに分解すれば、法務部門や財務部門に携わる者が自らの専門性をチェックする手段として活用したり、若い人が自己啓発に活用したりすることもありうるのではないか。

【公的関与】

  • 外部にディスクローズする資料で、例えば部長以上若しくは役員以上で、この金融士の資格を持っている人数を開示するようなことが最低限の程度として必要ではないか。

  • 我が国IPO市場の改善のためにも、少なくともファイナンスだけでも、資格試験の一つとして今後上場する会社社長もしくは取締役以上の人は理解しなくてはいけない、としてはどうか。

  • そもそも、金融機関の従業員は必要な知識の取得・深化へ自発的に挑戦しており、それぞれ能力を高めて仕事に活かしている。金融機関が従業員に受験を強制したり、その結果を開示したりすることに何の意味があるのか。

  • 金融士を取った人材の働きぶりや実績を示すことで、目指そうという気持ちを起こさせることが大切。金融士の人数を公表することがインセンティブにはつながらないのではないか。

  • 何かを条件にしなければ、経営者になれないというのには強い違和感。

【試験内容・科目】

  • 3分野について内容が盛り沢山なものについて、国家試験でもなければ強制や半強制的な性格でもない、ということであれば、実際に勉強するか疑問。

  • 基本が揺らいでいるように感じるので、テクニカルなことだけ学ぶのではなく経済学などきちんとした学識を問う科目を入れるべき。

  • マーケットメカニズムを学ぶ科目を追加すべき。

  • 集合債権譲渡担保の例が頻繁に出ており、担保法を加えた方がよいのではないか。逆に、不法行為はそれほど要らないのではないか。

  • コンプラインスについて、いかなる法分野との関連で重要な意味を持つのか、ということを具体化すべきではないか。

  • 証券アナリストにある職業行為基準のような内容を設ける必要があるのかもしれない。

  • 金融税制の基本的知識を求める科目があってもよいのではないか。

  • 国際金融・為替に関する内容や、イギリス・ニューヨーク・シンガポールといった海外のマーケットに関する知識があってもよい。

  • 自己資本比率規制について、財務会計か金融法務かわからないが、必要。

  • 「リスクとは何なのか」ということに対する知識を増やさないといけない。そして知識を増やすのは、試験などのプレッシャーがなければ、結局みんな勉強しないのでは。

  • 複雑な金融商品の仕組みを知る以前に、ファイナンスで問われている基本的な知識若しくは概念を理解していないと、そういう疑問に気づかない可能性があるのではないか。

  • リスク管理は基礎的な部分もあるので重要。

  • 証券アナリスト試験におけるポートフォリオ理論は詳細であり、金融士においてはウエイトをある程度減らしてもよい。

【その他】

  • 今の日本の現状を前提に考えてはいけない。これからの若い人が自分の年代になった時に日本の金融機関のレベルがどうなっているのかと考えて、まとめていった方がよいのではないか。

(以 上)

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