ディスカッションペーパー

18年度ディスカッションペーパー

2006年10月20日(※12月22日にPDFを更新いたしました。)

  • "Concept of Competitiveness in the Financial Sector"
    吉野 直行   金融研究研修センター長
    横井 眞美子   金融研究研修センター研究官

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2006年9月19日

  • 研究会報告書「ディスクロージャーと税制等の将来像について(展望と課題)」

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2006年9月6日

  • 消費からみた金利期間構造及び代表的家計についての一考察
    白須 洋子   金融研究研修センター研究官

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2006年4月18日

  • 金融取引の守秘義務についての比較法的考察
    -欧米の個人金融取引における守秘義務についての法制度を中心に-
    井部 千夫美   中央大学大学院法学研究科
    国際企業関係法専攻博士後期課程
    杉浦 宣彦   上智大学非常勤講師、中央大学兼任講師
    (元金融研究研修センター研究官)

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  • 預金取引の電子化と法的問題の変容
    -預金過誤払いをめぐる論点の過去・現在・そして未来-
    杉浦 宣彦   上智大学非常勤講師、中央大学兼任講師
    (元金融研究研修センター研究官)

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ディスカッションペーパー要旨

The Concept of Competitiveness : Focusing on the Financial Sector

競争力は多用されながらもその真に意味することが広範囲であり明確でない言葉である。競争力を金融業に適用する場合それは量的そして質的な意味合いを歴史的な背景により持っている。金融機関はその競争力を向上させることが至上課題として考えている場合が多く、またそれを考慮せずして国際的に躍進をすることは考え難い。競争力とは何であるか、またそれをつけることが何であるかを考察する必要性がある。このペーパーでは金融機関の競争力とはなんであるかについて特定分野について検討する。この中で金融機関が競争力を促進するために中小企業金融といったこれまでリスクまたコスト的な配慮により銀行等が融資してこなかった部門への進出も考える必要がある。このためには金融機関がより機動的に他分野で取得した商品開発技術を駆使し、リスク配分を見直さなければならない。また金融監督が競争力にどのように影響を及ぼすかも合わせて考察する。


消費からみた金利期間構造及び代表的家計についての一考察

本稿は、日本の代表的家計の効用関数及びリスク回避度を実証的に計測・推計し、投資商品に対する家計の需要を分析した。1980年代~1990年代に関するデータを用い、金融マクロ経済学の研究成果に基づき、金利スワップを対象とした金利期間構造及び家計の消費から、代表的家計の効用関数及びリスク回避度を実証的に分析した。ここでは、消費に基づいた資産評価モデル(Consumption based Capital Asset Pricing Model: C-CAPM)を用いた。 代表的家計の効用関数について、先行研究の多くが扱っているような相対的リスク回避度一定型の関数ではなく、本稿では、相対的リスク回避度逓減型関数形(定数項と指数関数の線形結合の形)を想定して分析した。その結果、近年の日本の消費及びスワップ金利データにおいて、効用関数形については、相対的リスク回避度逓減型関数形の方が相対的リスク回避度一定型の関数形よりも、評価できる可能性があることがわかった。また、この相対的リスク回避度逓減型関数形を仮定した場合、期間によって代表的家計のリスク回避度が異なり、短期ではリスク回避度が高いが、中期では低下していることがわかった。日本の家計の将来消費行動(=貯蓄行動)について、中期投資に対しては、比較的リスクの高い、投資信託等の投資商品に対して需要があるものと思われる。


金融取引の守秘義務についての比較法的考察
-欧米の個人金融取引における守秘義務についての法制度を中心に-

金融機関の守秘義務とは、顧客との取引過程で取得した顧客に関する情報をみだりに第三者に開示しないという義務であり、法定化されていたものではなかったが、これまで各取引契約からその付随的・補充的義務として当然に負っている義務とされてきた。しかし、個人情報保護法制定時には、個人情報保護法制にかかわる海外の立法例等の研究等が多く行われたのに対して、顧客情報保護のもう1つの柱である金融機関の守秘義務に関しては、個人情報保護法の領域と重複する部分があったにも係らず、比較法的な要素も含んだ研究はほとんど行われてこなかった。

本稿は、過去2年半にわたり調査した、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカなどの諸外国における金融機関の守秘義務が制度的にどのような形になっているのか、各国の制度比較を行いつつ、その調査結果の内容を紹介する。特に、その中において、各国の守秘義務をめぐる制度がその歴史的経緯を受けて、同じ守秘義務といっても保護の仕方や保護の対象・規制対象になるもの、さらには、個人情報保護法制との関係といった部分で各国間に様々な違いと共通点等があることを指摘している。そのうえで、本稿を通じて、わが国においても個人情報保護のあり方について再び見直しの動きが見られる中で、改めて各金融機関や利用者にとって大きな課題となっている、金融機関における顧客情報の保護の今後の方向を検討していく上での1つの材料を提供することを目的とする。


預金取引の電子化と法的問題の変容
-預金過誤払いをめぐる論点の過去・現在・そして未来-

昨年来、ピッキング等による預金通帳の盗難、偽造キャッシュカードの作成・使用、また、ATMへの隠しカメラによる暗証番号等の盗撮、インターネットバンク・サービスへのスパイウエア攻撃など、不正な預金引出しを狙った事件が多発してきている。この問題については、平成17年2月、金融庁においても、偽造キャッシュカード被害に関する実態調査の公表ならびにそれに基づく金融機関への対応要請とともに、法律やシステムの専門家からなる「偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ」が開催され、その最終報告案が6月24日に発表された。また、昨年には、自民党・公明党から出された『偽造・盗難カード預貯金者保護法案』(以降、「預金者保護法」とする。)(2006年2月施行予定)が成立し、2月10日に施行されたところである。

ただ、この偽造キャッシュカード問題を含む、預金過誤払いをめぐる問題は、相当以前から多くの判例が存在し、現在も継続的に見られる古くて新しい問題であり、裁判例を追っていくと、預金引出しの方法やルールが変化していく(登録印鑑を引出依頼書に押し、金額を記入して銀行窓口に持っていく方法からキャッシュカードを用いてATMを利用して預金を引き出す方法へと変化した)ことで、その犯罪の中身も変化し、最近の事例では、スパイウエアなどを利用して、銀行が提供しているインターネット・バンキング・サービスに不正にアクセスし、預金者の個人の情報を盗取した上で、口座から不正に預金を引き出すような、すべての過程が電子的な方法で終わるものも出てきている。

本稿では、このいわゆる「過誤払い」のケースを材料にしながら、以上のような預金取引の電子化の進行により事例や判例の内容がどのように変化し、また何を基準にその変化が発生したのか、また、これらの判断を支えてきた法理論や、今回の偽造・盗難カード事件を通じて見えてきた課題等も織り交ぜながら分析を行い、そこから見えてくる傾向を指摘し、インターネット等を通じてさらに電子化が進んでいく今後の取引形態のなかで、あらためて、預金者保護法が施行された今後においてさらに検討・留意すべき課題を提示することを目的とする。

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