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3 日本銀行と金融政策

(1)金融政策とは

 経済の世界では、物が売れない、失業者が増加するなど不況に陥り、デフレーション(持続的な物価下落)が起こることもあれば、景気が過熱してインフレーション(持続的な物価上昇)が激しくなることも起こります。どちらも好ましい状態ではありません。そこで日本銀行は不況やデフレの時には金融を緩和して経済活動が活発になるよう努めたり、インフレの時には金融を引締めて経済活動を落ち着かせようとします。これが金融政策です。


イヌ

 金融政策とは、日本銀行が公開市場操作公定歩合操作預金準備率操作を政策手段として使い、金利やマネーサプライを適正な水準にコントロールして、物価を安定させ、それによって人々の生活や経済の健全な発展を実現しようとする中央銀行の政策のことです。


 それでは、金融政策とはどのようなものなのでしょうか。現在は公開市場操作が金融政策において重要な役割を担っています。そこで、これについて説明していきましょう。


(2)公開市場操作

 公開市場操作とは日銀と市中銀行との間で国債や手形などの有価証券の売買を行うことで金融市場に出回るお金の量を調整するものです。

 不況の時、日銀は公開市場操作を通じて短期の市場金利を低下させようとします。例えば、日銀は銀行が持つ国債や手形を買います(これを買いオペレーションと呼びます)。日銀は国債などの購入額分の資金をそれぞれの銀行が日銀に設けている当座預金の口座に振り込みます。これにより銀行の日銀当座預金残高が増えます。銀行は資金に余裕が出てきます。このため、コール市場で資金の調達に励む必要が少なくなります。コール市場では資金の供給に比べて需要が少なくなり、無担保コール翌日物金利は下がります。この金利は銀行にとって調達金利に相当します。これが下がれば、貸出金利のような運用金利も引き下げることができます。何故でしょうか。


カレーライスの価格イラスト
(注)原材料費が30円下がったため、カレーライスの価格を30円下げてもいままでと同じ利益(200円)を確保することができます。

 例えば、ある店は原材料費150円で一皿350円のカレーライスを提供しています。ところが、この店は原材料の仕入先を変えたため、一皿分のカレーライスの原材料費を120円に引き下げることができました。すると320円で売っても以前と同じ200円の利益を得ることができます。

 ここで、原材料費を調達金利、一皿のカレーライスの価格を運用金利に当たると考えてみましょう。原材料費が150円から120円に下がれば、カレーライスの価格を350円から320円に下げることができたように、調達金利が下がれば運用金利を下げても以前と同じ利ざや(もうけ)を得ることは可能なのです。貸出金利は下がります。

 貸出金利の下落は機械を新しくしようと考えている企業経営者にとってうれしい知らせです。より低い金利負担で銀行から資金を借りることができるからです。こうして貸出金利の低下は、銀行借り入れの増加により工場の新設や機械の購入(設備投資)を促進させるのです。これにより日本経済は活性化します。

 反対に、景気が過熱してインフレが生じている時は、日銀は公開市場操作を通じて短期の市場金利を上昇させようとします。例えば、日銀は手持ちの国債や手形を銀行に売ります(これを売りオペレーションといいます)。これは銀行が持っている資金が日銀に吸い上げられていくことを意味しますので、銀行の日銀当座預金残高は減少します。銀行は資金の余裕を失います。そこでコール市場で資金の調達に向かうでしょう。 コール市場では資金の供給に比べて需要が高まり、無担保コール翌日物金利は上昇します。これは銀行の調達金利の上昇を意味しますから貸出金利を引き上げざるを得なくなります。これにより、民間企業の工場建設や機械の購入は抑制されます。こうして過熱気味の景気は鎮静化し、インフレは収まるのです。

Point!
入門編 123

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