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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年12月18日(火)12時08分~12時23分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日は閣議のほか、最初は中央防災会議、それからその次に行政改革推進本部の会議がありまして、会見も順送りになったわけでございます。中央防災会議、行政改革推進本部の会合については、また別途詳しい会見があろうかと思いますので、通常通り閣議だけのご報告にさせていただきます。

閣議ですけれども、総合規制改革会議、宮内委員会からの答申があったという報告がありました。それから、平成14年度税制改正の答申があったという報告がありました。それから消防白書が発行されるということ。それから緊急対応プログラムですが、これは経済対策閣僚会議で既に決定をして、二次補正の骨格になっているものですが、改めて報告がありました。東チモールの復興に対する緊急援助の報告がありました。

それから閣僚懇に移りまして、閣僚の株取引については自粛を継続するということの発言が官房長官からありました。経済財政諮問会議のあり方について、2、3の閣僚から発言がありましたが、私は特段発言をしておりません。

それからセーフガードについて、今度は中国側から交渉者が来て、最終の交渉が行われると。21日が期限なので関係閣僚会議みたいなものが随時必要になるのではないかというような話がありました。

それから、特殊法人改革、医療改革について、各閣僚の協力の下でこれを進めて来たのだけれども、円満決着を見たということで、これは総理の発言ですけれども、協力を多とするということと同時に、改革はこれからさらに本番を迎えるということで、閣僚の努力、協力についての督励がありました。以上です。

【質疑応答】

問)

閣僚の株取引自粛ですけれども、この決定について大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。

答)

そうですね、その時にも確認的に自粛すべきものと、別にやって差し支えないものとの区分けについて、改めて良く見てくださいという話がありまして、良い方にはETFなんかも入っているということでございますので、その範囲でやって行くのが無用な誤解を生まないことで良いと。ただし、株取引が即、悪であるというような印象があるとすれば、それはしっかりと解消しなければいけないというふうに思っております。

問)

自民党の野中元幹事長が、日曜日に今週のことを指して、「金融で大きな事が起きなければ良いが」と、「危機対応が出来ていないのではないか」という発言をされ、また昨日はエンロンに絡むMMFの元本割れの問題が、今後三洋証券のコールのデフォルトに匹敵するような、何か金融の混乱の端緒になるのではないかという趣旨の発言をされていると報道されていますけれども、大臣はこうした発言についてどう思われますか。

答)

まあ詳しいことはテキストも別に見ているわけではないのでコメントできないのですけれども、いろいろと野中先生が金融のことを心配してくださって、我々にいろいろと督励をしてくれるというのは、それはそれで有り難いことだというように思っております。

私共も危機対応等については、日本銀行等と良く連携して万全を期しているつもりであるし、またそういうご発言、ご心配をいただくということであれば、さらに一層気を引き締めてこれに対処して行くということに努めて行きたいと、このように考えています。

問)

その危機対応に関連してですけれども、大臣の発言を週2回聞いている者にとっては、日々の変化は小さいかもしれませんけれども、夏ごろから最近の発言を比べてみると、ちょっと変わって来ているのではないかと思います。例えば、9月頃の講演では危機対応勘定に対する言及の仕方というのは、「いつでも15兆円の資金を投入できることになっている」という事実の指摘に止まっていたのが、最近では「危機になれば入れるのが当たり前である」と。昨日は森長官の会見がありましたけれども、「躊躇せずに入れる」と、そういう発言に変わって来ているように思います。

これは軌道修正と言えるのかどうかと、あるいは軌道修正という受け止めがあることについて大臣ご自身はどう思われるのか、その2点についてお願いします。

答)

そういうことでは必ずしもないわけです。

我々は基本的に、何回も皆さんにも言うし、また国会でも言うし、さらに講演等でも言っているように、「日本の金融機関の健全性ということについては問題がありません」ということを我々の認識としてはっきり申しているわけですね。ただ、現実問題として、株価があのように、銀行株が低落をしているということについて、それはいろんな原因があるんでしょうけれども、そういう中に、もし仮にそうした、何と言うか、自己資本不足に陥るのではないかというような思惑でもって売っている、あるいは下げているというようなことがあれば、そんなことを漫然と見ているということは有り得ないのですよと、要するにもっと冷静に事を見てくださいと。「こういうシステムがあるよ」と言っても、その場合には良いし、「我々は果断に必要な時にはやるんですよ」ということを言う事によって、もっと投資家の皆さんにしっかり事態と仕組みを見てくださいという気持ちを伝えたいと、そういうことがそういう表現になっているに尽きるということですね。

問)

次の質問も同じ様な答えになるのかもしれませんけれども、先日の大臣の講演でフーバー大統領の例を挙げて、歴史家の評価に耐える政策を進める決意を示されたと思うのですけれども、今後、世界大恐慌に匹敵するような危機というのが日本に関して想定されるのかどうかと、あるいはフーバーからニューディールのような、もの凄い政策のパラダイムの転換というのも有り得るというふうに考えているのでしょうか。

答)

それは念頭にありません。そうではなくて、要するに危機を見損なって本当の危機に突っ込んで行ってしまうというような、言ってみれば「後世の笑い者になるようなことはしませんよ」という私の決意を述べたに尽きるということですね。そういう危機があるとか、あの危機に匹敵するような事態が近い将来想定されるので、その節目は見逃さないぞと、そういうことではなくて、一般に危機と言われる、我々は例えば「危機対応をしなければならないようなきっかけを見損なうようなことはしないつもりですよ」と、そういうことを述べたと。

やや大仰だったかもしれないのですけれども、ちょっと締め括りの言葉として、この前も同じ様な言葉を使ったことがあるものですから、非公開のセミナーでしたけれども、それを繰り返したに尽きます。

問)

危機対応の枠組みというのは、現行の法制度でしっかりしているということでよろしいわけですよね。

答)

そうですね。

問)

特殊法人改革で、政府系金融機関の問題が昨日、取り敢えずの決着をみたということなんですが、その統合を含めて問題を来年以降改めて協議するということですが、政府系金融機関に関しては民業圧迫との指摘もある中で、今回の決着とか、先送りのことに関してどのようなご見解をお持ちでしょうか。

答)

確かに私自身も、それが何と言うか、中途半端だったので、さらなる改革というものに、それが俎上に乗っているのだというふうには思いますけれども、例えば日本政策投資銀行なんかも融資ということについては、一般的な融資というのはゼロなんですね。全部政策があって、それで融資枠というのが対応しているということで、本当に政策と融資とが抜き差しならない関係で、実は対応したものが全ての融資の背景にあるわけなんです。ですから、政策があるということなんです。

ただし、その結果が良いのかというと、ややマンネリ化している政策というのも確かにあって、それがために、どんどん積み上がって行ってしまうということで、その規模が非常に大きくなる、あるいは政策的な緊要性というものについては、かなり薄らいだものも残っていて、そういうものに融資するということは正に民への圧迫になってしまうという、結果においてですが、そういうような事態がないかと言えば私はあるので、かなり揺さぶって見る必要があるというふうには思います。

ただ、その政策がゼロになるか、政策のツールとして金融を使うということがゼロになるかというと、これはなかなか私は、にわかにはそうは行かないと思います。だから、別の方式をとること、皆さんご承知の通り政策というのは規制をやるか税制をやるか金融をやるか、差別化をしない限り政策にはならないわけですね。そういうツールがあって、金融も重要な手段とされて来たわけだけれども、それをああいう機関を作って資金のところまでそういうふうにやって行くという体制が良いのかどうか、あるいは補助金にしてしまって直接当該の政策対象者にやるのが良いのか、あるいは利子補給というような格好で金融機関を通じてやるのが良いか、この辺りのことはいずれにせよ議論されるべきだと思うのです。

ただ、政策遂行の手段として金融という手段は必要ないというふうに言い切れるかということについては、私はなかなかそうは言い切れないのではないかと、こういうように思っております。だから、その辺のことを踏まえて、きちっとした議論をして行くことが必要だろうと、こういうように思っているということです。

(以上)

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