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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年2月8日(金)9時26分~9時48分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日の閣議ですが、NHKの予算・決算、それから地方財政計画、それから通信傍受法の平成13年の実施状況の国会報告、それからトルコの地震の緊急援助、それから塩川財務大臣の出張不在中の臨時代理は私。これだけが閣議です。

それから閣僚懇に行きまして、塩川大臣が財政演説でもあらかじめ話しておられた予算執行の評価を実施するということでございました。以上です。

【質疑応答】

問)

週末にG7が開かれるのですけれども、恐らく日本経済の動向ですとか、不良債権処理の問題ですとかが話し合われると思うのですが、欧米の財政金融当局に大臣としてのメッセージですとか、あるいは何か塩川大臣に託されたこととかがありましたら教えていただきたいと思います。

答)

そうですね、塩川大臣とは日頃からかなり密接にいろいろ連絡し合ったりしています。最近もちょっと話の機会がありましたので、金融庁の見方・考え方といったものについても十分お話をいたしておりますので、もしそういう話が出ればのことですけれども、話してくださるというふうに思っています。

問)

そのG7もありますし、その次の週はブッシュ大統領の訪日もあるのですけれども、何かこの機会に金融庁として新しいメッセージを、特に不良債権処理問題について発せられるお考えはあるのでしょうか。

答)

そうですね、不良債権処理はとにかくいろいろ、特にマーケットとの間で、見方の相違というか、元々そこには片方はリアルタイムでの仕事というか、それがまあ金融庁の仕事です。それに対して、株価というのは、株価にしても何にしてもそうですけれども、将来の一つの見込みというか、そういうようなものですから、これはある意味で対応もしなければならないけれども、ある意味で本質的な違いもあるわけですね。

まあそういうことなので、皆さんもそうなのですが、本質的にそういうものだということを前提にして、いろいろ報道したり評価をしていただくとありがたいなあと思います。得てして、それが金融庁のリアルタイムの評価自体が変なものだとかというようなことにならないということが大事なのですね。だから我々としては、そういう検査結果とかいうようなものに基づいて、やるべきことをきちっとやるということで行くということが大事だと。それは必ず評価されるだろうというふうに思っていますので、そう次から次と新しい策が・・・相当施策をしていますからね。マーケットの声を聞くべきは聞くという体制でやりますから、それで実績を積み上げていくということで、正面からそういう姿勢を打ち出していきたいということで、格別何かまたやるということではないのですね、打ち出すということではないです。

問)

内閣府とか経済財政諮問会議の方でデフレ対策の議論もされるようなのですけれども、このデフレと不良債権処理の関係について改めてご認識をお聞きしたいのと、それから今、政府が何か新しいデフレ対策としてやるべきことというのはどういったことが考えられるというふうに大臣はお考えでしょうか。

答)

まあ、デフレは金融には厳しい環境ですね、これは言うまでもないことですけれども。ただ、不良債権の新規発生の部分について、段々そういうデフレ経済の影響というもののウェイトが増してきているのではないかという感覚は持っていますけれども、それはそれで所掌しているところが頑張ってくれるという前提で、我々は自分達の守備範囲というか、所掌の範囲でしっかりと成すべきことを成すということが大事だというふうに思っております。

まあ、デフレをどうするかということについては、これはやはりマクロの政策、それからマクロの金融政策というか、そういうものの主たるテーマだろうというふうに思います。その適切な対応を期待しているということですね。

問)

昨日、金融危機対応について小泉総理が国会の答弁の中で、日銀の役割についても指摘されたのですけれども、金融危機が起きた時の、例えば特融と公的資金注入の性格付けとか、その辺りについて大臣はどういうふうに整理されているのでしょうか。

答)

これは何と言うか、まあ金融の秩序の維持というのは、やはりとりあえずはまず中央銀行の本当の任務だというように思っています。加えて、預金保険法でも102条に、ああいう危機対応というか、そういうことが規定されているということだと思いますね。だからそこの所の分担というか、よく連携し合うというか、そういうことが金融不安などをいたずらに惹起しない一番の大事なポイントだというように思っています。

問)

先程の絡みなんですけれども、このところのトリプル安ですね、これについて大臣がどういうふうに日本経済の評価を含めて、どう受け止めていらっしゃるのかということと、日本の金融機関に与える影響について、このトリプル安という観点から、どうご覧になっているのかお聞かせください。

答)

まあ、あとの二者というか、要するに為替と債券については、国債を含めてですけれども、それはやはり、これはまさに市場リスクの問題です。これはきちっと対応しているというふうに、私などは考えております。

株価については、何か2月というのは売り月みたいな、銀行側から言って、あるいは他の企業もそうなのかどうか分からないのですけれども、少なくとも銀行については売り月みたいなのが従来のパターンみたいなのですね。そういうことが、それがしかも今度は持ち合い解消ということが、多分、決算を睨んだ行動だと思うのだけれども、そういう一般的な傾向にプラスして、持ち合い解消みたいなものが加わるものだから、これは、数字で掴んでいるわけではないのだけれども、やはりちょっと影響して、それからそれで全部売り切れるわけでは当然ないですから、自分自身がマイナスの影響を受けてしまうというようなメカニズムというか、そういうものが働いているのではなかろうかと、そんなふうにちょっと見ているのですけれどもね。

まあ、そうだとすると、今日のどこかの新聞に書いてありましたけれども、まさに取得機構はそのために作ったものですから、これは2月がそういう月であるということになると、そこで空振りで全然機能しませんでしたというのは、やはりちょっと通らないのではないかなと思っているのですね。立ち上げにいろんな問題がないわけではないでしょうけれども、せっかく国会の皆さんにご理解いただいて作ったものですから、そういうことに間に合うということが非常に大事だというように思っています。

まあ、ちょっといろんな事務的なことに時間がかかるかもしれないけれども、どんどん進めてもらって、出来るだけ早い時期に動き出すという体制を作ってもらいたいと、これは強く要望して行きたいと思います。

問)

今の件なのですけれども、先程持ち合いの解消のためにまさに作ったものだということだったのですけれども、一部の銀行の中には消極的な意見もあるのですけれども、大臣としては当面、3月末までにどのくらいの規模を買い上げるべきだとか、そういった規模的なもので、もしお考えがあれば、想定されているものがあればお願いします。

答)

いや、それは別に腹づもりもありませんよ。

ただ、去年の数字の2月ですか、一番直近の2月にどのくらい行ったのかというと、5千億円くらいではなかったでしょうか。つまり、やはり2月は非常に膨らんでいるのね。いろいろな話を聞くと、3月の決算に向けての話といっても、それは3月の半ば前には終わるというのですね。だから3月にスタートしたのでは、半分しか期間的に言っても機能しないということですね。

問)

出来るだけ早くというのは、例えば今の話でも今月中であると。

答)

今月は当たり前のことです。

問)

例えば来週早々かなんかですか。

答)

そうは思っているのだけれども、なかなか・・・いろいろ事務的にあるとか何とかと言っているのだけれども、私の希望としてはそのくらいにやらないと何をやっているんだということになるよということです。

問)

火曜日の会見で少しお話なさいましたBIS規制の関連はクリアーになったのでしょうか。

答)

失礼しました。これはやはりそうですね、どこかに書いてあったのですけれども、相当私も議論してみたのですけれども、やはりBIS規制、それからいろいろな前例、こういうようなものを、担当の企画官が何と言っても、もうマクドノー議長が羅針盤にしているような人がいるものですから、担当の企画官の眼鏡越しの目付きで見られたら終わりですね、これは。まあそれは冗談ですよ。冗談ですが、やはり彼の説明はきちっとしていますから、やはりこれは・・・。元々8%を受け入れたのもそういう了解の下というような色彩もあったと、こういうことで、銀行側が別にこれを問題にしているわけではないということです。

問)

内閣府の方が、またデフレ対策を打ち出すということを言っているようなのですけれども、その中で公的資金を投入する際の基準案があるみたいなことを言っているようなのですけれども、どうお考えですか。

答)

まあ、いろいろ知恵のある人たちが考えてくれるということを、別に私は否定しようとは思っていません。それは昔から言うように、どういう意見に対しても、あるいはどういう見方に対しても気持ちとしてはオープンでして、それこそ総理が言うところの各議員の各省への意見みたいなもので、いくら言ってもらっても良いのですよね。ただ、責任ある当局というのは我々なので、我々が考えて決めさせてもらうと、こういうことですね。

問)

漠然とした質問なのですけれども、世の中的には3月危機というのが起こるのか、起こるかもしれない、起こるのかどうかというような不安を持っているようですが、大臣はこの3月危機についてはどういうふうにお考えでしょうか。

答)

まあ一つは、ややジョーク的に聞こえることをあえて言うと、いつも危機と言っているんだよね。9月危機、その前の3月危機、9月危機、というようなことで、やはりそういう人はいるのですよね。特にまあ、皆さんではないですけれども、雑誌ジャーナリズムなんていうのは、ずっとこの頃の表紙が私の若い頃に比べると、何か駅売りで目立っているような夕刊紙みたいになって来ているような感じもします。

もう一つは、冷静に我々は、正直言って緊張して見ています。ただ、だらだらと3月危機が起こるということはないようです。だから全般的によく言われるのは、不良債権の処理がどうのこうのということで、それが重荷になって銀行が潰れると、そういう言い方としたら、そんなものはあり得ないですね。それはもう不良債権の処理というのはきちっとやっているし、それに対して「不良債権の処理が足りないではないか」みたいな人は、先程言ったように、将来見込みみたいなものを、今の株価みたいなものですね、そういうようなものを前提にした、違う立場から言っているのですね。ですからいくら言ってもそれはしょうがないことで、「では基準を変えるのですか」とか、あるいは「基準の適用のどこを改めるべきだとあなたは言っていますか」というと、そういうことではないよという話なんですね、それは。もう見方の違いというか、そういうことにしか過ぎないものだから、まあいくら言ってみても、これは。だから日本経済が上向きになるということがない限り、ちょっとこの話というのは終息しないようにも思うし、だから、そういう我々のリアルタイムに見ているということからは、そういうものは出てこないというのが我々の立場なのですが、しかしそれにも関わらず我々は、金融というのは生き物ですから、常に緊張して見ていますと、こういうことですね。

(以上)

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