柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年2月19日(火)9時42分~10時04分)

【閣議案件等】

きょうは閣議、閣僚懇共に格別閣僚からの発言はありませんでした。

【質疑応答】

問)

日米首脳会談が終わりまして、不良債権処理に対する期待というようなお話も当然あったと思いますが、こういった話を受けて、デフレ対策の一環として、金融庁としてまた改めて踏み込んで検討されることになるかどうか、現在のお立場、お考えについてお願いします。

答)

これは先般、正式にデフレ対策というものの指示を受けて、役所の方策を決めたり、あるいは取りまとめたりすることはまだしていないわけですけれども、ちょっと検討状況みたいなものを総理に報告した際に、総理からもそのお考えを示していただいたということです。私共としてはそこに書かれたことが新しいと言えるかどうか、とにかく特別検査の結果を何らかの形で公表するということで、特別検査をやった甲斐があったではないかと、あるのか分からないわけですけれども、まだね。

しかし、いずれにしても検査局と外部監査人と、当該の各行が真剣に検討した結果が満たされるということですから、それを示すということが検査の信頼性を増すと言うか、検査を踏まえた自己査定、自己査定を踏まえた決算の信頼性が増すと、こういうことになって行けばいいのではないかと、私としては考えていまして、それが敢えて言うと新しい要素かなと思っております。

問)

特別検査の結果の公表ということで、今現在のイメージとして、こういう形でというようなものが、もしお有りでしたら教えて頂きたいのですが。

答)

いや、まだそれは何もないというのも無責任というか、ちょっと語弊があるかもしれませんが、それぞれが考えてくれている状況で、まだその擦り合わせをしていない段階です。

問)

ちょっと話は変わりますが、日米財界人会合などではダイエーの例などをとりまして、日本の構造改革の歩みは遅いのではないかというような指摘も出ておりますが、こういった外部の声についてはどのようにお感じでしょうか。

答)

まあ、いつでもオープンに外部の人達の声も聞いて、行政を運営して行こうということが基本でして、まあ、とるとらない、あるいは最終の決定というのは我々が責任を持っているわけで、その責任の下において決めさせてもらうということに尽きますね。

ただ、外部の人の声というのには常にオープンでありたいと、こういうように思っています。

問)

その歩みが遅いという部分についてはいかがでしょうか。

答)

「歩みが遅い」という言葉は、何か昔の童謡をちょっと思い出したのですけれども。そうですね、あれはチャプター11の適用ではなかったかな、Kマートのケースでは。

それぞれの国に法制、あるいは法制と並ぶいろいろな手法というか、私的な整理もあるので、それをどう使って行くかということを、あまりいろいろ截然と分けなくても良いのではないかと、私はそう思いますね。また、それはよく、おそらく実情を分かっていらっしゃらないのではないかと、そんな感じもしますね。もちろんチャプター11に相当するのが民事再生法だとかということはあり得るわけですけれども、ではギトリンさんのやっているようなガイドラインの方式はどうか、それからその精神を受けた私的整理はどうかというと、この辺はもう何と言うか、それぞれどういうふうな時にどういうふうに使って行くかというのは、その経営判断ということがあるのではないかと思いますね。結果としてどうかということで考えていけばよいと思います。いずれにしても、チャプター11だって企業再生だというふうに私は理解しております。

そこはあまりどのようなことがいいというような声には耳を傾けるつもりですが、つもりと言うか、そういう姿勢で常にいると、こういうことです。

問)

RCCの簿価買い取りという議論が山崎幹事長から出ていたようですが、この辺りについて、大臣はいかがでしょうか。

答)

簿価と言っても、どういうものか、そのバラエティがあるのですね、簿価という場合にね。おそらくあれは担保の部分は込みで移動する、譲渡すると思うんですよね。それで、引当の部分はどうするんだと言えば、それはこの日本のようにネットアウト主義ではない、グロス主義の場合には、今の簿価はそういうものを引いていないわけですから、多分引くのだろうと思うんですよね、簿価と言っても。簿価と言ってもバラエティがあるんですけどね、基本的には私は皆さん、どうお考えかよく分からないんだけれども、ぎりぎり考えれば恐らく、ゴーイング・コンサーンかどうかということだろうと思うんですね。まあ清算価値と言うか、流通価値と言うか、今の市場価格というのは恐らく清算価値的に考えているんでしょうね。その先は恐らくサービサーに行って回収というところが基本の価値の評価の基準になっているんでしょうからね。清算価値と言っていいんだろうと思うんだけれどもね。

どれだけ違いがあるんだという話もあり得るのかもしれないけれども、やはり、まあ簿価ということになると、いろいろちょっと分からないところがあるんですよね。引当のデューディリを誰がやるんだというような話もあるでしょう。だからちょっとよく分からないんですよね。

問)

議論の価値はあるのでしょうか。

答)

議論の価値ですか。いや、いたずらに議論を紛糾させるだけではないかという感じがするんですよ、私はね。基本の所は恐らく清算価値か、ゴーイング・コンサーンだろうというふうに思うんですけどね。まあ、よく分からないですね、簿価と言われてしまうと。中身でバラエティがあり過ぎるのではないか。

問)

山崎幹事長の御指摘の中にも、いわゆるその時の買取価格は時価に引き上げたけれども、なかなか買取がRCCによって進んでいないではないかというご不満もあると思うんですけれども、その辺についてはどのようにお考えですか。

答)

いや、それは割とそうではないのではないでしょうか。

確かに入札に参加しているのですけれども、まだちょっと落とすところまでは行っていないということがあるみたいですね、これは正式な情報ではなくて、側聞するところによるということですけれども。相対の方は、かなり引き合いがあるということですから、これから成果が大いに上がってくるのではないかと期待しています。だからその現状の中で今、評価するのはちょっと早いのではないかという感じ、恐らく、RCCに聞いてもそう言うのではないでしょうか。そう右から左へですね、殺到するというところまではなかなか行かない。まあ、それが遅いんだと言われてしまうと何とも二の句も継げないのだけれども、やはりいろんな新しい制度といった場合には、それなりの準備がしてあってもすぐおいそれとは行かないところは認めてやらなければいけないのではないか。もうちょっと時間がかかりますね。現実にも引き合いはかなり出ているということなので、まあ評価はちょっとまだ早いのではないかと思います。しかし、督励はしていかなければいけないと思います。

問)

昨日の今日なので、日米首脳会談の大臣の御感想と、これからどうするというのを改めてお伺いしたいのですけれども。

答)

首脳会談そのものに入っていたわけではありませんから、報道等で知るわけですけれども、今日の閣議もまだ大統領がいらっしゃるものだから報告はなかったですね。ただまあ、報道等からすれば、やはり総理があれだけ言われたわけだから、言われたことが実現するように、責任を持って、責任を感じながらやらなくてはいけないと、このように思っています。

問)

不良債権処理を巡る方針について、閣内で若干、閣僚間に温度差が見られるのではないかという指摘があるのですけれども、それについて大臣は国会にいらっしゃって、他の閣僚の答弁等を聞かれていてどのようにお感じになられていますか。それにも関連すると思うのですけれども、先週の日曜日の夜に関係の閣僚が集まっていろいろと調整されたのではないかという報道もあったのですが、そこについて可能な範囲でご説明願えますでしょうか。

答)

それは私は常にオープンですから、閣僚の方が各々のいろんな思いを、あるいは立場で、思いを込め、また立場に立って発言されるということについては、常に耳を傾けているということですよ。

ただ責任を持っているのは私ですから、そういう声もいろいろ聞きながら、私が決定をしなければいけないと、こういうことをいつも心掛けているわけです。

問)

先程、デフレ対策に関しての総理からの指示について、検討状況を総理にご報告なさったということなのですけれども、金融庁の検討状況というのは総理の指示以外にどのようなものがあるのでしょうか。

答)

まあ、いつも言っていることですが、今も申し上げたことですけれども、例えばRCCではこういう状況であるとか、特別検査についても相当激しい議論があるというのが実情なので、それがどういうふうに収まってくるかということが、ちょっと予断を許せませんというようなこととか、そういった中間報告的なことを申し上げているということです。それに対して総理より御指示があったということです。

問)

マクロヘッジについて伺いたいのですけれど、デリバティブの会計基準についてその実施が2回目の延期をしたことについてどう思われますか。

答)

とりあえず任せているんだよね。そういうふうにいろいろ一遍に言われても困るから、私は。

問)

ですけれども、これは一つの会計の改革だと思うのですが、1回延期されたものが、また1年延期されたということについてはどうでしょうか。

答)

できる限り…私も詳しく、今すぐにわかに確固としたお答えをするだけの準備をしていませんけれども、それなりの理由があってそういう態度をとっているというふうに私は理解していまして、そう今、日本人がやっていることがでたらめだけれどもまあちょっとどうしようもないので待ってくれというようなものではないというふうに理解していますよ。

問)

かなり利食いが出ているみたいですけれども。

答)

そうですか。ちょっとその辺りはお答えする準備をしていません。

問)

先週の諮問会議で、株式取得機構について上期に最大4兆円ぐらいの買取りを考えたいというお話が竹中大臣の会見でありましたけれども、金融界の反応を洩れ伝え聞く限りでは、「そんなに行くのかな」という感じで、活発に利用したいという声があまり聞こえてこないのですけれども、その辺うまくいくのでしょうか。

答)

まあ、そういう願望、期待を仰られたというのは、気持ちは理解できますが、当初考えていたことでありまして、できるだけ積極的に活用するようにというのも総理の指示ですね。確か今日、金融業界との連絡会があるので、長官からもその旨、伝えることになっています。

問)

使ってもらうためのインセンティブになるような検討というのはあり得るのでしょうか。

答)

当面、思いつかないですね。

問)

期末の株価が8,000円、9,000円になっても、大手行については自己資本が10%を割ることはないというお考えだと思うのですけれども、全国の地方銀行について、第二地銀も含めては、今どういうふうなお考えでいらっしゃるのでしょうか。例えば、信金あたりでもアルゼンチン国債を持っていたようなところが破綻してしまうというようなこともありました。まあ確かに金融機関の数も多いので大手行のように詳しくは把握されていないのかもしれませんけれども、その辺についてのお考えをお聞かせください。

答)

基本的に株をたくさん持っているという関係ではないですね、持ち合いをしているというようなことではないわけですから。ただ、今言ったように運用のための債券、まあ預貸率はそう高くないから運用をできるだけ効率よくやりたいというところから、ちょっと手がけた債券が非常に大きく劣化したというようなことがあるわけですけれども、その他は若干、自分の親密先の銀行株を持っているケースがあるんですね。

大手の銀行株が下落するというのは、大手の銀行そのものの財務状況、もちろん経営には影響しますね、これはあんまり景気のいいことではありませんし。しかし、財務状況にはさほどの影響はないわけですけれども、そういう格好で親密先の地銀とか第二地銀に影響するというか、そういうことはあるかなあと思っていますけれどね。

問)

大手行と同じように、期末に株価の影響で、自己資本比率で4%を割るようなところはまずないということでしょうか。

答)

それはないと思っていますよ。

問)

特別検査の厳格化という総理の指示ですが、大分、大手行の自己査定も大体目処がそろそろついてきたかと思うのですけれども、特別検査を厳格化した結果、大手行の自己資本比率が8%を下回るような状況はないというお考えですか。

答)

分かりませんね。さっき言ったように今は、予断は持っていないと。それがそろそろまとまると記者の方は仰るが、他の部分ではそうかもしれないけれども、特別検査の部分については最後の最後まで議論が行われていくケースが相当あるのではないかという感じで、今、検査局長に言っても口をつぐんで見通しなんか絶対喋りませんよね。

(以上)

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