柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年4月26日(金) 8時54分~9時10分)

【閣議案件等】

閣議ですけれども、案件が非常に多ございまして、特に関係するところだけちょっとだけ言いますと、最初に特別の法律によって設立された民間公益法人の統一的な指導監督基準というものが決まりましたということで、金融庁の関係でざっと見たら、公認会計士協会というものが当たっていましたので、指導監督基準を適用して行きたいということですね。

それから今日は中小企業白書が発表されておりまして、何か金融の問題も当然中小企業金融というので分析されているという話でした。

それから完全失業率は0.1%改善しました。有効求人倍率は0.01ポイント上昇しましたということで、まあこの厳しい状況は続いているのだけれども、むしろ上向きのことが報告はされています。

それから、来週の閣議はなくて、5月7日に新官邸での閣議になりますということでございます。

なお、私は2日から7日の朝まで香港とシンガポールの証券市場を中心として視察をし、それから関係の要人とも会談をしたいと思って出張をいたします。期間中は村井国家公安委員長が臨時代理に指定されました。

なお総理からは、「今後とも重要法案山積の折でもあるので、最後までがんばろう」と、こういうことでございました。以上です。

【質疑応答】

問)

「みずほ」のシステムトラブル関連なのですが、25日の決済集中日を乗り越えたということなんですけれども、30日の大きな山場もあるのですが、金融庁として大体この程度で安全宣言みたいなものは出せるのではないかというお考えはございますでしょうか。

答)

いや、それはまあそういうことは申し上げるつもりはありません。まあ一応の目処が立ちつつあるという認識は持っていますけれども、システムのトラブルというのは、もうちょっと時間をかけて安定を確認しないといけないのではないかと私自身思っていまして、まだそういう段階ではないと、こういうふうに思っています。まあ皆さんに迷惑をかけることのないように間断なく最大の注意を払っていってもらいたいということを考えています。

問)

金融庁の検査官制度が注目される中で、特別検査の発表もあり、やや金融庁の検査制度についての信頼が回復してきたかなとの認識もあるのですが、そんな中、近畿財務局の検査官が逮捕されるという事態が起きましたけれども、大臣としてのご認識とか再発防止に向けたお考えみたいなものをお聞かせ願いますか。

答)

まあ極めて遺憾なことだというように思っています。今日、検査局で財務局の検査監理官に集まってもらって会議をして、今回の事案の発生に伴って、更に綱紀の粛正という意味での趣旨の徹底を図るということをまず第一歩としています。

再発防止のために何をどうしたらよいかということは、この監理官会議などでもいろいろご意見が頂けるのではないかと思いますので、そういうものを踏まえて更に検討すべき課題だと、こういうふうに思っています。

問)

日動火災海上保険が虚偽の認可申請をしたという事案がありまして、昨日、行政処分を行ったのですが、行政の手続きを欺くといった事案なのですけれども、この点についての大臣のご認識をお願いします。

答)

これは二つあったのですね。一つは認可の条件を逸脱した運用ということがあったということと、もう一つは今も話にあったような認可商品の改定をするにあたって、現行商品の申請というものを偽ったということがあったわけですけれども、有ってはならない事ということでございまして、これについては厳正に処分をして、そういうことが二度と起こらないように戒めたということであります。

問)

郵政公社の関係なのですが・・・。

答)

先程(説明を)除きましたが、郵政公社法案の提出を決定させていただきました。

問)

その関係で、与党の事前審査を事実上省いたような形になったのですが、それに関しての大臣のお考えと、それに関連して、小泉総理が「自民党が小泉を潰すか、小泉が自民党を潰すか」というような発言をされているのですけれども、ちょっと政治的ですけれども、その辺りをどう思うのかという点についてお願いします。

答)

そうですね、私はこれは根本論があって、昔にこういったことについて予算委員会だったか財政金融委員会だったかちょっと明確でないのですけれども、尋ねられたことがあるのですね。つまり議院内閣制の運用はいかにあるべきかということなんですね。私は少し独特かもしれませんが、予てこの問題は考えてきたことがありまして、まあ何と言うか、私は与党サイドが持つ権限というか、そういうものというのは、やはり人的なコントロールの権限だろうと思うのですね。だから、私はやはり行政の責任ということを考えた時には、議会に対して責任を持つ内閣がやはり主導権を持つべきだというふうに思っていまして、例えばある分野などは与党の方で全部決めてしまって、担当の大臣はほとんど何もその事について関与しないと。そのくせ議会の中では「この法律の改正はどうなんだ」というようなことを聞かれますと、「これは党の方でお決めになったことではないですか」と、そういう答弁をせざるを得ないと、誠におかしいというように私は思っているわけですね。

それではどうしたら与党と政府の一体性というものが確保出来るかというと、もし党としてそういう非常に気に入らない、根本のところで気に入らないような事を決める自分達の代表が内閣を組織しているというのであれば、それをむしろ何と言うか、人を替えると、そういう気に入らないことをやる人を「気に入らん」と言って替えるという道があるわけですね。私はむしろ内閣と与党の一体性というのは、そういう仕掛けで出来ているというのが憲法の精神だろうと。ここは地方自治法なんかが採っている大統領制と非常に違うところなんですね。政策事項的なコントロールを前提にしたいろんなシステムというのはないのですね。住民監査請求とかそういうのはない。それはもうちょっと日本の議院内閣制の運用というのが大統領制と混同して動いて来た、アメリカの議会を習おうというようなものがあるのだけれども、根本的に違うのですね。これは個人的な意見ですから、党内でどれだけ支持者があるかは知りません。しかし、私は昔、ハロルド・ラスキの本にあることで、これは有名な本なのですが「議会・内閣・公務員制」という本ですね。そういう本で私は議院内閣制についていろいろ考えたことがあるものですから、そういう考え方を持っているわけです。

問)

小泉政権の発足から1年ということなんですけれども、まず1点目が小泉政権全体のこの1年、まあいろいろありましたけれどもその評価について。それからその中の金融行政を実行された閣僚として自己評価をお願いします。

答)

私共の金融行政は元々構造改革路線を歩んでいました。従って、小渕内閣、森内閣、小泉内閣ということで、その中で私はそれぞれでこの仕事に勤めたわけですが、私共としては一貫したものをずっと追求して来たということですね。正に済々として進めて来たということであります。ただ、以前にも話したことがあるのだけれども、小渕、森内閣の場合より、内閣の首班そのものがもの凄い構造改革派なものだから、今までは内閣の中で構造改革というのは一人で頑張って行かなくてはいけなかったのが、総理にむしろくっ付いて行くと言うか、私の立場から言えば逆に背中を押されるような、そういう関係になったというところがむしろ違いと言うか、そういうことで、私としてはもう本当に有り難いことに、一貫して構造改革的なラインでの金融行政を展開して来たと、こういうことなんです。

その成果は、これはもう私は予て言うように、いろいろ当面、仰っていただいて少しも構わない、その中で私は耳を傾ける気持ちはありますが、基本的には私は歴史的に評価を頂きたいということを予て申し上げて来たところです。私が自分の尺度にしているのは歴史がどう判断するかということで、そういうことを一つの自分の仕事の尺度にして考えています。

問)

そうすると、小渕政権、森政権に比べるとやり易かったということですか。

答)

そういうことです。

問)

小泉内閣全体の1年の評価の方はいかがでしょうか。

答)

小泉内閣全体の1年の評価は、とにかく唸りをたてて驀進して来たという感じだろうと思うのですね。そういうことだろうと思います。まあその中で私はちょっと個人的にも、これはいろいろなところで発言しているのですけれども、やはりその構造改革というのは一つ一つ力強くやって来ているわけですが、それが最終的にどういうところに実を結んでいくのかということについて、やはり国民に対してもうちょっと説明が必要かなと、こういうふうに思っています。

問)

官邸が一応今日で閣議は最後だと思うのですが、その感想についてお願いします。

答)

今日、現官邸の最後の日だったようで、我々いろいろと感慨もあったのですが、使い勝手などについていろいろ言う声もあったことは、私は秘書官もやっていますので、あの官邸というのは役人の時代から知っているのですけれども、やはり重厚さとか、あるいは歴史の積み重ねが醸し出すある種の雰囲気というのはとても良かったと思うので、そういう意味では総合的に良い総理官邸だったと、ちょっと何と言うか去るのが惜しいという感じが正直言っていたします。

ただ、新しい官邸に行ったら、また新しい気持ちで更に内閣が目指すところ、つまり構造改革をやって、日本の経済の体質を強めると、また再び世界の経済大国として注目されるような国になっていかなくてはいけない、そのための仕事を頑張ってやって行こうと、こういう気持ちです。

(以上)

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