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柳澤金融担当大臣記者会見の概要

(「証券市場の改革促進プログラム」について)

(平成14年8月6日(火)15時31分~15時48分)

【冒頭大臣より】

お手元にも配布されているかと思いますけれども、「証券市場の改革促進プログラム」というものが取りまとめられましたので、これを発表いたしたいということで、急遽皆さんにお集まりをいただきました。

昨年の8月に証券市場の構造改革プログラムというものを発表いたしましたが、その後も私共は証券市場の構造改革は大事だというふうに重視しておりまして、いろいろ幅広く意見を聞いたりして準備をしておりましたけれども、今回、その結果が取りまとめられましたので、本日、言わば証券市場の構造改革第2弾ということで、この改革促進プログラムを発表させていただくと、こういうことでございます。

今回の第2弾が第1弾とどういう関係にあるか、あるいはどこが違うかということですけれども、今回は言うまでもないことですが、先般「将来ビジョン」というものを、私的な機関として設けました懇話会から発表させていただきましたので、それが基本の考え方になっているということが一つあると思います。

それから第2番目は、前回のものはどちらかと言えば市場関係者というか、市場の内部の関係者の方々の意見を踏まえ、かつ、緊急性があるということもありまして、制度改正を行うとしても政省令の改正で間に合うようなものという、言わば制約の下で取りまとめたわけでございますけれども、今回の第2弾は、先程申したように非常に幅広い、広範な人々、つまり、必ずしも従来我々と接触している市場関係者と言われるような人々に止まらないで、もっと外側にいる人達、特に私共が将来、市場に参加して来て欲しいというふうに期待する人々、こういうような方々の意見も聞き、かつ、先程言ったように、今度はより本腰を入れて取り組むというつもりですので、法律改正に渡るようなことについても、これを取り上げて検討の対象にするということで今回の項目が作られたと、こういうことでございます。

もう一つ、「将来ビジョン」が下敷きになっているということで申しますと、先般、蝋山座長が皆さんに仰った事の中でこういう件があったと思うのです。「従来は、言わば施策というか制度の改正というようなことで、制度をどういうふうに改善すればこうなるというようなことだったのだけれども、むしろ、市場仲介者の意識であるとか、行動であるとかというようなところまで踏み込んだ記述を今度の将来ビジョンはやっている」というところがあったのですが、それをどういうふうに具体化して行くかということは非常に難しいところなのですけれども、要するに市場仲介者、これは証券会社もそうだし、それから投資信託もそうなのですが、そういう人達が本当に顧客のために忠実義務を十分果たしているかというような事についても、私共は今回何とかそこに検討の手を入れて、何とか具体的な措置にまで結び付けて、本当にお客さんが「この人々は私のために最善を尽くしてくれている」という信頼が更に向上するというような事のために、何らかの検証の措置が加えられないか。このようなことについても、今回は概要の中にもありますように、そういうところが何箇所も出て来ているというのは、そういうことを意味しているということで、ご理解を賜りたいと思います。

柱は3つということでございまして、一つは投資し易いということです。投資し易い、近付き易い。今までは近付いた事がない、あるいは1回近付いたけれども、その後は離れているというような人達も近付いていただけると、こういうような市場を整備したいということが第一の柱です。

第二の柱は、安心して投資が出来るということでございまして、主として公正性、透明性といったようなことについて取りまとめをしております。

最後のところは、これはまあボーダーレスの中で、市場間競争も行われているということもありまして、効率的で、従って他の市場と競争しても負けない、そういう市場を構築したいというようなことでございます。このように親しみ易いというか近付き易いというか、要するに「投資し易い」。それから「安心だ」と。それから「競争力を持っている」ということで取りまとめております。

具体的な中身につきましては、後で事務方より説明いたしますが、私としてはどういう事を大事に思っているかと言うと、やはり証券会社にあっては販売代理店を導入したいということでございます。後からお話があるかと思うのですが、税理士さんであるとか、あるいはファイナンシャルプランナーというようなことを考えておるわけですが、それと同時に銀行も取次ぎ、あるいは共同店舗を構えるというようなことで、一つ投資家との窓口として機能させたいというようなことが大事かなと、こう思っています。

第二番目の「安心だ」ということについては、これはアメリカの不正会計事件を踏まえて、アメリカは一つの結論を既に出して法律も作ったわけですが、具体的にどういうふうにされるかということについて、いろいろとまだ論議の分野も残っているようだし、そういうことを見ながら我々も監査法人に対する監督というものを強化したいというようなことを考えております。それから概要のマル3の最初のところには信用取引について価格ルールを導入するということも書いてございます。

それから「三番目の効率的で競争力のある市場の構築」というところでは、海外取引所の端末を設置してもらいたいというような要望も来ておりますので、そういったものに関する規定をどうやって整備するかというようなことで、そういった関係も整備をしたいというように考えておりますし、上場廃止基準を厳格化するというようなことも、私募債の適格機関投資家の範囲をもうちょっと緩めて拡大させたいというようなことも考えているということでございますが、詳細の項目についてはまた事務方から聞いていただきたいということでございます。私からは以上です。

【質疑応答】

問)

今回の促進プログラムですが、短期的な株価対策ではないということは理解しているのですが・・・。

答)

こういう市場の状況の時点で発表するということは考えてなかったのですね、正直言って。我々は8月というのは、要すれば概算要求の締切り期間ということで、この中にも、まあ後でお話しますが、税制改正や何かで、当然それぞれの政策官庁として、自分達の次なる年度に向けての政策を取りまとめなくてはいけない時期なのですね。市場との関係では何の作意もないわけです。これは去年も8月だったし、今年も8月だということで、また8月というのは9月とか3月とは何の関係もない時期ですから、そこは全然腹は痛くないということでございますので、これはもう探らないでいただきたいということでございます。

問)

そうは言っても今日は株価がやはり下がってしまっていまして、中長期的に見た場合に、今回のプログラムで証券に投資する方々の層を増やすということと、あとは公正で透明なマーケットを作るということなのですが、これは正直短期的に見て、ある程度成果を上げ始めるのはどれくらいからと見ておられますか。

答)

これは先程言ったように、法律改正をしなくてはならないものについては、通常国会ものだというふうに我々は考えております。それは先程言ったように、8月というのは来年度の施策をまとめて、必要とあらば発表するというタイミングでありまして、そういうことからもご理解をいただけるかと思うのです。

しかし、それ以外の、法律改正を要しなくてもやれる物というのは、私としては整合性が取れる限り前倒しをしてどんどん実行して行ったら良いというふうに思っていまして、期待としては中長期はもとより、短期的にも効果が上がる物だったら効果を上げて欲しいと、こういうように思っていることは、これはもう間違いがございません。

問)

信用取引の価格規制なのですけれども、市場に規制を加えると、一定期間株価を支える効果があるにしても、やがて取引量が自体が細って行くということで、市場の本当の活性化には繋がらないという見方がありますが、それについてはいかがでしょうか。

答)

これは、我々はこうした証券市場が最も活発なアメリカをスタンダードとして念頭に置いております。ですから、アメリカの規制というものを些かでも上回るようなことはしたくないというのが私の気持ちです、少なくとも。

今度の規制というのも、アメリカには信用取引というものはないわけですが、要するに空売りという、借株を売るということですね、それをアメリカ並にちゃんと均衡を取った形のものにしたということだけで、市場の厚みというか深みというものは、もうありとあらゆる、売りにしろ買いにしろですね、出来るだけ自由が良いということでございます。そういう前提で必要な規制をしておくということでして、これは決して我が国だけが市場を狭めることも物ともしないで何か短期的な利害に捕われているということは全くありません。

問)

今日の株式市場がかなり下がっているのですが、感想を一言お願いしたいのですが。

答)

私は株価はいろんな要因で下がったり上がったりし得るわけですが、この要因について云々するということは一切しないということを基本に置いています。しかし強いて「感想は」と言われれば良いことではないと。これはアメリカの機関投資家なんていうのは一つのルールでやっているようなので、向こうが下がってしまうとこちらも下がってしまうというか売りに出ると、向こうも売るとこちらも売るというような、そういう一つのルールでやっているということがあるものですから、ちょっと困るのですけれども、日本の指標は決して悪い指標ばかりではない。むしろ良い指標が出ているわけですからね。良くその辺を見て投資行動をとっていただきたいと思います。

(以上)


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