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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年9月3日(火)10時19分~10時35分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですけれども、福田臨時代理の下で行われました。閣僚発言ですが、市町村合併支援プランというものが改定になりまして、更に拡充されたということでございます。本年度が正念場ということで、こうした措置を行ったし、また関係閣僚もいろんな面で合併の促進に協力をいたしてもらいたいということでした。

次に9月1日の平成14年度総合防災訓練についての評価及び感謝の言葉がございました。

森山法務大臣、竹中経済財政政策担当大臣が外国出張されますので、森山法務大臣の臨時代理に扇国土交通大臣、竹中経済財政政策担当大臣の事務代理に私がそれぞれ指名されました。以上です。

【質疑応答】

問)

昨日、金融審議会のプロジェクト・チームの方で、決済システムの安定化を巡る施策の報告書というものを取りまとめましたが、今後の議論の中で、「金利ゼロで、決済に使って、要求払い」という新しい預金を全部の金融機関が導入するかということが一つの焦点になるかと思うのですが、報告書では「導入を強く期待する」という表現に止めて、まあ義務化しないと受け取れるということなのですが、この辺りについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

これは義務化しないということに取りまとめられたということです。これは決済性預金なり決済なりを銀行業務の中でどう位置付けていくかというのは、それぞれの経営判断ということもあるので、保護がなくても自分達はやって行くビジネスモデルを作るんだというようなところも当然予想されるので、そういうようなところにまで義務化をするというのは、やはり自由企業体制と言うか経営判断を尊重すると言うか、そういうプリンシプルから言って、そこまでは行くべきではないだろうということのようです。

さはさりながら、決済性預金についてこれまでの延長というようなことでやって行くということも当然たくさんの例では考えられるわけですから、そういうところについてはちゃんとそうした体制を取ってくれるように期待するということで、それ自体はバランスが採れている取りまとめになったと思っております。では現実はどうかということですが、これはまあ「我々として期待する」と、こういうことになるわけですが、その期待に応えてくれるだろうというふうに思っています。

問)

決済システムの保護という観点から言うと、ある金融機関は導入して、ある金融機関は導入していないということになると、要するに安全網としてうまく機能するのかという疑問も・・・。

答)

そこのところは今も言ったように、導入しないというところは、然るべくまた別の行き方で決済というものが円滑に行くということが「こういうやり方で確保されていますよ」というところになると、あの報告書ではそういうふうに考えられているわけです。

今のご質問はどういう意味かちょっと図りかねるところもありますが、健全性の問題とこの問題を絡めて論議をするということにはなっていない上で、あのような取りまとめが行われているということだと理解をお願いしたいと思います。

問)

例えば行政指導とか、現実問題として事実上全ての金融機関に導入してもらうというような理解では間違いだということですか。

答)

まあそれぞれ行き方があるのだろうと思うのですね。行き方があるのだろうと思うので、そんなにことごとく皆というところまで行くかどうか、それはそれぞれの経営戦略の問題もありますから予断を持っていませんけれども、基本的には保護の仕組みというものを活用してくれるだろうと期待しています。

問)

株価の問題なのですけれども、今日の寄付きで日経平均で9,400円台ということで、バブル後の最安値を更新したのですけれども、時価会計を導入されて、銀行の決算にも株価の影響が非常に大きいということになっていますけれども、この辺りはどのように認識されていらっしゃいますか。

答)

これは予て言うように、時価会計の下では非常に厳しい事になりますので、決して良い事ではないし、積極的に評価をするというような事ではないわけです。ですから、経済のファンダメンタルズは良いという事だし、それから私もいろいろな人から実感を聞いておりますけれども、確かに「地方経済なんかもかなり活発になっていますよ」というような事も聞いていますから、投資家の皆さんには是非そういうようなところに着目して、やはりあまり弱気にならないでしっかり冷静に日本経済を見て、然るべき投資をお願いしたいというように期待したいと思います。

問)

決済性預金の話なのですけれども、来年春のペイオフ全面解禁は予定通り行うと以前から仰っていて、来年の春以降もいくつか全額保護の対象になる預金は出て来るというのは、ちょっと整合性が取れないような気がするのですけれども、その辺はどうご説明されるのでしょうか。

答)

ペイオフというのは普通の状態という事なのですね。普通の状態なのですけれども、日本の経済システムが置かれている現実を前提にすれば、これは我々が進めている構造改革に効果を上げる政策的な側面という事も、これは予てからずっと言って来た事で皆さんもご理解いただけるかと思います。そういう事を緩める気はありませんよということなのです。そういう構造改革の一環としてのペイオフというのは、これはそうした事で実施に移すということでございます。もう一つしかし、予てから預金保険とは何か、保険で保護すべき預金とは何かという論議の中で、決済システムという金融が持っている二つの柱の内の一つと言っていいと思うのですが、そういうものが混乱するということは避けなければならないと、こういう観点を今回改めてもう一回見つめ直して、これを取り入れて行こうという事になったというように考えていただきたいと思います。

問)

今回のペイオフ見直しについて、いわゆるペイオフ全面解禁によって競争を促して、金融機関の経営努力を促すという本来の趣旨が崩れるのではないかという意見が一部には出ているのですけれども、これについてはどう思われますか。

答)

それはないのではないでしょうか。もしそうだとしたら批判がないはずですけれども、やはり「今まで通りにしてもらいたい」というような意見が、皆さんの報道によると非常に大きい。特にこの近所にあるということですからね。それが何よりの証拠だと思うのですね。つまり構造改革政策がこれで手が緩められることはないと。「それはちょっと困る」というか、「もうちょっと延期してくれ」という議論が出ているということは、やはり今まで通りのことが行われるのではないということです。それは我々もそう思っているということであります。ですからそこは今まで通りではないということは、やはり感じていらっしゃる方々もいるし、我々もそう思っていると、こういうことです。

問)

与党の間では、決済性預金の保護ということが非常に分かりづらいという先生もいらっしゃいまして、そういう方々についてどのようなご説明を今後されて行きたいというお考えなのでしょうか。

答)

これは何と言いますか、予て問題になってきた箇所なのですね。政治家の先生方というのは、結論だけで判断されるということは、これはある意味で非難されるべきことでもないのですが、そういうことだったので気が付かれなかったというか、「要するにどうなるんだい」ということで、事務方も「こういう議論がありました」と言うと「そんなこと聞いてない。結論はどうなんだ」と、こうなりますからね、結論の所だけ言うことが多いので、ちょっとそういう意味で、理解が現在段階まだなかなか十分とは行かないのかもしれませんけれども。それは我々としては、ずっとして来た話が、今回流動性預金もペイオフするということの中でどう位置付けられるかということについて結論を出したと、こういうことなんだということを、これはやはりきちっと説明して行かなければいけないと思います。これまでの議論のエッセンスでも資料にして示して、「そういうことだったのかと」理解していただく、そういうことでないと困りますね。

問)

平成11年の頃から議論は出ていまして、金融審議会の報告書を見ても、大体今議論されているようなことは議論されていて、課題としては認識されていたということだと思うのですけれども、3年経って同じ議論が出てきて、まあ結論を得た訳ですけれども、その間はどうだったのでしょう、宿題をさぼっていたということになるのでしょうか。

答)

そんなことはないですよ。その他の部分も全部保護していましたから、そこが際立って意識されるということがなかったというだけでありまして、今回はそこのところを全部やるということになると、決済性の所はどうするのだという議論になりまして、そこは必ず問題になるべき所だったということです。

問)

もう少し早くから、例えば定期性預金の全額保護が無くなる辺りの時点から議論を始めるということは出来なかったのでしょうか。と言うのはシステム対応するにしても期限が決まっていますので、非常に金融機関としても対応が難しくなると思うのですけれども、その辺りはどうなのでしょうか。

答)

定期性預金の時は定期性預金で、みんなその対応で「どうするか」という話ですしね、それはやはり世の中の関心というか、今度流動性預金をやるので初めて、「そこの所はどうするのだ」ということがあったという、そういう流れというのは他の問題でもいろいろあると思いますね。

問)

経済財政諮問会議の方で、改めてペイオフ問題について金融庁にお伺いするというか、そういったニュアンスで学識経験者の方のペーパーがまとめられているみたいなのですが、そこは9月中ですとか、そういった機会は想定されておられるのでしょうか。

答)

想定はしておりませんけれどもね。別段まだそういう話は聞いておりませんので。

(以上)

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