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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年10月1日(火)10時19分~10時34分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議がございましたが、大変短い閣議で、私の方から特にご報告することはございません。

以上です。

2.質疑応答

問)

金融庁の幹事社を務めているNHKの岸と申します。よろしくお願いいたします。

まず、代表質問ということで1点目なんですけれども、今日は日銀の短観が発表されたんですけれども、依然として改善のペースがちょっとにぶっているということで、景気の下げ止まりというのが確認されていると思うんですけれども、まずこの結果についてはどういうふうに認識されているんでしょうか。

答)

短観については、まだ詳細に見ておりませんので、概要しか把握しておりませんけれども、今下げ止まりと仰ったんでしょうか。改善はしているんだけれども、改善幅が前回のプラス20ポイントぐらいからプラス4ポイントぐらいだったでしょうか。大変小幅になったということ。その意味では、基本的には景気が厳しい中にあって、持ち直しの兆しが見えるけれども、様々な厳しい要因も出てきているというのが現状であろうというふうに思います。

恐らく、そのほかにその要因を探すとすれば、設備投資についても、今回はその修正幅が大変今回小さくなっているということとか、あと企業の資金繰り等々の状況に関しても、足元は若干のプラスであるけれども、先行きに対して少し不安が見られている、そういうところだと思います。

基本的な経済に対する認識は、月例経済報告で行った通りであって、持ち直しの動きがある中で環境が厳しさを増していると、正にそういう状況が短観にも表れているのかなというふうに思っています。

問)

昨日、ニューヨーク市場が株価を下げ、また東京市場の方も下げているのですけれども、この株価の状況についてはどういうふうに見ていらっしゃいますか。

答)

基本的に、非常に世界的な資産市場調整の中にあって、株価が依然として極めて不安定な状況の中にあるというふうに思っています。その要因は、これは前回も別の場で申し上げたかもしれませんけれども、やはり将来のリスクというよりは、不確実性の問題だと。リスクであるならば、これは分散でありますから、リスクを減らすためのコントロールの必要もあるんだけれども、不確実性が高いと、つまり何が起こるかわからないということで、市場が立ち止まってしまう。その立ち止まる中でどうしても薄商いになりがちで、その中で株価が非常に弱含んでいるというのが現状であろうかなと思います。

そういった状況が、日々いろいろな要因で繰り返されているわけですので、ここは非常に短期的な日々の要因には一喜一憂しない。同時に、全体として非常に弱い基調にあるということに対しては、その不確実性を少しでも除去していくという努力が各国に求められていると思います。不確実性の最大の要因は、依然として私はアメリカにあると思いますが、日本としては、この金融の問題について、総理の指示に従って、いかなる政策対応すべきかということを早急に取りまとめたいと思います。

問)

不良債権処理なんですが、相当に政治的リーダーシップが必要だと思うんですけれども、民間大臣として、非常に政治力が必要になってくると思うんですが、この政治的リーダーシップをどういうふうにやっていこうというお考えですか。

あと、これは総理にしかないと思うんですけれども、総理にしても非常にハイリスク・ハイリターンな賭けになると思うんですが、その辺の認識はどのようにされていますか。

答)

もとより、構造改革そのものがハイリスク・ハイリターンだと思います。何もしないでリスクをとらないという政治もあり得るわけですけれども、総理はもとからリスクがあっても、やるべきことをしっかりとやって、その先にまさにハイリターンといいますか、高い経済発展を回復しようということだったんだと思うんですね。金融の問題というのは、その象徴であるというふうに思います。

政治力云々については、これは新たに任命されるであろう副大臣の力も借りてしっかりとやりたいと思いますし、まず何よりも、この問題に正面から総理が取り組まれる決意を示しておられるというのが、何といっても、最大の政治的な力であるというふうに思います。

一方で、やはりきちっとしたオープンな政策論議をして、それの道筋を明示していくということが、政治的環境を変えていく大変重要な問題だと私は思っていますので、まず当面はそのことに全力を注ぎたいと思います。

具体的には、急いで総理の要請に応えるために、方策を取りまとめるための特別なプロジェクト・チームを発足させたいと思っています。これは金融庁の長官、金融庁の局長クラスの方にもちろん参加をしてもらって、一方で人数はまだ確定していませんけれども、4、5名の民間の有識者、まさに社会の英知を結集するという形でプロジェクト・チームをつくって、その中で昨日も申し上げましたように、決してつまみ食い的ではない、原則論を踏まえた包括的なシナリオを示したい。経済財政諮問会議で緊急対応戦略を取りまとめる10月中に間に合うようにしたいと。かつ、できれば2週間ぐらいで中間的な報告もできるような形で、できるだけ時間を大切にして、スピードを大切にして、かつ民間の英知も取り入れる形で政策を明示できるような体制をつくりたいというふうに思っています。

問)

このプロジェクト・チームはいつごろ発足させるお考えですか。週内ですか。

答)

できれば週内に発足させたいと思います。

問)

名前は。

答)

いい名前があったら教えてください。

問)

もう人選は着手しているんですか。

答)

これから長官ともご相談をしますけれども、今申し上げたようなイメージでつくるのがよいのではないかと私自身は考えております。

問)

2004年度に不良債権問題を正常化するということですけれども、正常化の姿というのは、大臣はどのようにイメージされていますか。

答)

それも、その特別プロジェクト・チームで話し合う一つの重要なテーマになるというふうに思うんですけれども、これまで金融庁が主張してこられた不良債権比率とか、そういった幾つかの指標で、非常に特別な状況ではなくするというのが考えられる一つの姿であろうかというふうに思います。

問)

ROEとかROAとか、銀行に数値目標を課すべきだという持論をお持ちでしたけれども、それについては、今現在どのように考えていらっしゃいますか。

答)

昨日も申し上げたように、その3つの原則の中の1つに、銀行のガバナンスを発揮させるといいますか、発揮してもらうというものがあります。その内の1つの方策として、今ご指摘のような方策も考えられるのではないだろうかという一つの例示として、経済財政諮問会議で議論されたことがあります。包括的にというのは、そういうことも含めてですね。しかし、銀行のガバナンスを発揮していただくに当たって、本当にそれが一番いいかどうかということは、これはもう虚心坦懐に、私なりの意見はもちろんいろいろ言いたいと思いますけれども、有識者の意見ないしは金融庁の皆さんの意見も聞いて、ベストの方法を考えたいと思います。

問)

有識者というのは、これは学者の方とか、そういうイメージなんでしょうか。

答)

これも学者とはなんぞやと、大学の人間をもって学者というのかということにもなりますで、まさに深い経験と見識を持った方ということですね。

問)

このプロジェクト・チームは、規模的には何人ぐらいですか。

答)

これは、まだちょっと皆さんと話し合いたいと思いますけれども、私のイメージでは、金融庁長官と局長クラス、それと同数ぐらいの民間の有識者と。機動性の高いものにしたいと思います。

問)

昨日、中間ビジョンが答申されたんですが、これについてのお考えと、将来的な指針を示しているわけですけれども、何か変更とか、ご自身のお考えがあるのでしょうね。

答)

基本的には、そのビジョンは非常に中長期的な問題を中心にして幅広く、かつ銀行の問題に偏ることなく、非常に広範囲にバランスよく議論をしてくださっていると思っています。分厚いものなので、まだ全部は読んでおりませんけれども、貝塚先生、蝋山先生のお話を伺いながら、非常にその意味ではまとまりよく報告をしてくださったというふうに思っています。

問)

プロジェクト・チームのイメージなんですが、当面の改革をまとめるためのものなのか、今後、大臣の知恵袋というかサポートとして、かなり長い期間設置して、そこを中心に議論していくというイメージなのか、どちらなんでしょうか。

答)

当面は、今の与えられたまさに喫緊の課題がありますので、それに集中したいと思います。

問)

プロジェクト・チームに入るのは、金融庁の側の方だけで、内閣府の方は入られないのですか。

答)

ここはやはり当局としてしっかりと議論をするというのが先だと思います。いわゆる四位一体の改革、全体の議論の時には、これは経済財政諮問会議等々、内閣府、内閣官房の場で議論しなきゃいけないんですけれども、やはりこれは当局のある問題ですから、当局としてまずどのようにするのかということをしっかりと議論するのが先だと思います。

問)

PTのトップは大臣ということでよろしいですか。

答)

そのつもりです。

問)

そうすると、金融審から伸びてくるプロジェクト・チームじゃなくて、大臣の下にできるプロジェクトチームと考えればよろしいんですよね。

答)

具体的な組織の形態そのものは、幾つか詰めなきゃいけないところがあると思いますが、総理から直接言われている、早急に対応策を取りまとめるようにというふうな問題に対処するためのものでありますので、私の責任において、このチームをつくって運営したいと思います。

問)

その中の議論になると思うんですが、大臣は厳格な資産査定と言っていますが、これは新たな検査をやり直さないとわからないと思うんですけれども、今の段階で新たな検査をやるというふうに決めているのでしょうか。

答)

これも昨日申し上げたんですけれども、私は検査そのものは、私は厳格になされているというふうな実感を持っておりまして、これもしかし数字をいろいろ見せていただいて、しっかりと判断をしたいと思います。

問)

いつ頃までに判断するお考えですか。

答)

これは、いずれにしても、全体の姿を基本的な正に戦略を1カ月ぐらいにはまとめなければいけないわけですから、もう早急に今の時点でできるベストな判断をしたいと思います。

問)

その戦略なんですけれども、かなりドラスティックなものになるということも考えられるとは思うんですけれども、今まで総理は、青木建設が潰れた時は「構造改革が進んでいる」というふうに言われ、ダイエーを救ったときは、これは「無用な混乱を避けられてよかった」と言われました。そこで市場なども明確にソフトランディング路線というものを選んでいるというふうに見たわけなんですけれども、今度示される方策によっては、それは大きく転換する。市場とか金融機関とか、特に雇用問題ですね。ここでも失業率というのが一時的に急上昇するということも考えられると思うんですけれども。その辺の総理の覚悟というのは、竹中大臣からご覧になってあるのかどうなのか。政策を転換して、一時的な痛みというのは非常に高まる。あるのかどうなのか、そこをちょっと。

答)

総理は、総裁選の段階から、たとえマイナス成長になっても構造改革をやるんだと、痛みを覚悟してやるのだなと。痛みという言葉は総理自身が使われた言葉でありますから、当初からそのような構造改革に望む強い姿勢を持っておられるというふうに思います。

ソフトランディング・ハードランディングというのは、これは多分にキャッチフレーズ的であって、要はその産業再生のための産業調整をどのように行っているかという、やはり実態論であるわけですね。その会社の内容、資産の内容をどのくらいきっちりと把握するかという問題なんだと思うんですね。

だから、そこはキャッチフレーズ的に、いわゆるラベリングで政策転換するか、しないかということではなくて、きっちりと実態に合わせたベストな判断をするということに、政策の側からは尽きるのだと思います。

(以上)

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