竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年10月16日(水)9時52分~10時07分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議がございました。今日の閣議では、総理の所信表明についての検討を行いましたけれども、特に私の方から、これも含めてですけれども、皆様に閣議に関してはご報告することはありません。

どうぞ、以上です。

2.質疑応答

問)

先週末なんですけれども、アメリカのハバード大統領経済諮問委員会委員長は、竹中大臣の方針を支持すると記者会見で表明なさっているんですけれども、これに関連してアメリカ側とどういう連絡があったのか、なかったのか、その辺りのことをまずお聞かせください。

答)

これに関連しては特にございません。ハバード委員長の方から大変力強いメッセージを送っていただきましたので、これを受けてこちらの方としてはしっかりと対応させていただくというようなレターをこれからお出しするところなんですけれども、それ以上のやりとりというのは特にしておりません。

ハバード委員長とは、経済情勢の意見交換ということで、比較的緊密にいろいろ電話連絡等をしております。内閣改造の後、すぐハバード委員長から連絡がありまして、「おめでとう。大変だけれどもしっかりやってくれ」というようなことを言っていただきました。それと、ベーカー大使が一度こちらの方にご訪問くださって、我々としてはこういう方針でしっかりやっていきたいというような現状のご報告等々をいたしました。

アメリカの方で、あの時点でああいうふうにいろいろ記者会見等をされたのは、本当に日本のこの不良債権の問題というのが、日本のみならずやはり世界の経済にとって、いや、世界の経済のみならず安全保障の問題にとっても非常に重要な問題であるという認識を意味していると思います。改めて、極めて大きな責任を我々は負っているというふうに感じた次第であります。

問)

それと日銀が不良債権問題に対する基本的な考え方を示していまして、その中で査定の厳格化ですとか、あとは公的資金の投入についても排除しないような記述をそこでしているんですけれども、この提言についてはこれからどういうふうにしていくんですか。

答)

就任以来申し上げていますように、資産査定は厳格かと、自己資本は十分かと、銀行のガバナンスは十分に発揮されているかと、そういう3点から今、プロジェクトチームでいろいろ議論しているわけです。日本銀行の基本方針もそういった点それぞれについて議論を掘り下げているというふうに思っています。当然、この日本銀行の基本的な考え方の方向としては違っていないと思いますので、PTでのいろいろな議論の中で、PTのメンバーの皆さんの中にもインプットされていると思いますし、それなりに参考にさせていただきたいというふうに思っています。

問)

それと昨夜、麻生政調会長、相沢デフレ対策委員長と長時間お話になっていたようなんですけれども、できる限りどんな内容だったかお聞かせいただけないでしょうか。

答)

麻生政調会長の楽しい話を幾つか聞かせていただいたと、それで時間が少し長くなったというのもございますけれども、基本的にはプロジェクトチームで金融のことをしっかりと今我々としては議論をしていますということと、それに関連して、これは金融の問題だけではなくて、まさに四位一体の改革をより早く、より大きく、より分かり易くということで、総合的にやっていかなければいけない、そういう問題意識を持っていると。ついては、それぞれの分野で党の方でも議論を深められていると思うので、是非いろいろ意見交換を引き続きさせていただきたい、基本的にはそういうことでいろいろとお話をさせていただきました。

問)

明日の諮問会議で緊急対応戦略について、当初は中間取りまとめというような話があったと思うんですけれども、明日は骨格なのか概要なのか、どの程度までのものを示すというお考えでしょうか。

答)

明日のぎりぎりまでいろいろと議論をしたいと思います。今、各省で正に総合的にいろいろやるということで、どういうことが可能かということをいろいろ議論をしてもらっています。その議論を踏まえて更に強化していくと。それで、月末に向けていろいろ議論を発展させていかなければいけないという段階だと思っています。

明日の諮問会議では、どういう議論がなされているのかということと、今後更にどの部分を増強しなければいけないかと、そういった議論を忌憚なく議員にしていただきたいというふうに思っています。

問)

昨日のPTで、今週中、または来週にRCCの社長からヒアリングを行いたいということが決まったと思うんですけれども、特にどのようなことについてお話を聞くのかと、それから今後PTでヒアリングを行うと考えているところがもしあれば教えていただきたいんですが。

答)

各委員の方がそれぞれの問題意識に基づいていろいろな議論をされると思いますので、私一人でこういう議論になるということはちょっとよく申し上げられないのでありますけれども、基本的にはオフバランス化のためにRCCを活用しなければいけないというのは、これは多くの方々が指摘している。そういうメカニズムを強化するためには一体何が必要なんだろうかというようなこと、更にはRCCの中にも企業再生の機能がありますけれども、重要なのは企業再生の問題だと思うんですね。その企業再生に当たって、RCCがどのような機能を果たせるのかと、どういうことを強化するのかと、そういうことがやはり1つの大きなテーマになるのかなと思っております。

それとヒアリングですけれども、結局昨日も銀行の方々と議論をした上で、やはり改めてRCCのヒアリングをしたいということになりましたので、今後またRCC等々の議論をさせていただいて、必要があれば柔軟に考えていきたいと思っています。

問)

今のところは予定されているところは……。

答)

今のところといいますか、今日の時点では特にそれ以降ヒアリングするということは決めておりません。

問)

不良債権処理の考え方について中間発表するというのが明日でないとすれば、大体来週のいつぐらいを目途にされるのでしょうか。

答)

前回の記者会見の時にこの週の終わりか来週の前半ぐらいというふうに言っていますので、出来ればその範囲で出来るように努力をしたいと思います。

問)

今週中もあり得るということですか。

答)

現実にはあと1回しかPTを開けませんし、ヒアリングをすることになると思いますので、今申し上げたような範囲でちょっと考えてみたいと思っているところです。

問)

企業再生の問題なんですが、経済産業省の審議官クラスとの話は大臣として聞いておられますか。具体的にどの程度まで進んでいるか。第1回はやったというふうに聞いておりますけれども。

答)

その審議官クラスの議論の内容そのものは、実はまだ詳細に報告を受けておりません。ただ、申し上げてますのは、これは平沼大臣と私と話し合って、ここはぜひ経済産業省と金融庁が従来以上にやはり連携を強くすることが必要だと。平沼大臣と私の強い意思を受けて審議官クラスでの詰めをやってもらっていますので、ここはぜひともいい成果を出してもらいたいというふうに思っています。

問)

ハバード委員長に送る書簡はどのような内容になるのでしょうか。

答)

基本的には「力強いメッセージをいただいた」と。「私達の責任の重さを改めて実感して、しっかりとやりたい」と、そういう短いレターをお送りしようかなというふうに思っています。

問)

先程、日本の不良債権問題が安全保障上も重大な問題であるというふうに仰ったと思うんですけれども、もうちょっとかみ砕いて、どういう意味なのか、教えていただけますか。

答)

これはアメリカでいえば、例えばですけれども、経済関係の省庁のみならず国務省も以前から日本の不良債権問題の早期解決、それによる日本経済の安定的な発展がこの地域の安全保障に対して、非常に大きな意味合いを持っているというようなお考えを示しておられると思います。結局、安全保障と経済の安定的な発展というのは、やはりコインの両面みたいなものですから、その意味で経済と安全保障というのはやはり密接に関係していると、そういうふうな認識で申し上げました。

問)

日本経団連の奥田会長が、公的資金について積極的な発言をされているんですが、産業界からのこういう声に対してはどういうふうにお感じかお願いいたします。

答)

産業界からの1つの声、特に奥田会長、財界総理のお立場としての発言ですから、しっかりと参考にさせていただきたいと思います。

あくまでも、今プロジェクトチームでそのルールでありますとか、そういうことを議論していますので、その中で粛々と議論を進めていきたいと思います。

問)

全国銀行協会会長、寺西さんとは具体的に他にどのようにお話があったんでしょうか。

答)

プロジェクトチームでの議論の内容はちょっと、約束としてまとまった段階でということなんでありますけれども、基本的に銀行がこの問題に対してどのような取り組みを今までしてきたか、今しているかというようなお話を伺いました。

問)

それに対してどのような回答が出たんでしょうか。

答)

基本的には幾つかについて質問があり、それとプロジェクトチームのメンバーの方々の観点から若干の議論のやりとりがありました。

問)

PTの議論が、当初2週間ほどで中間報告ということだったと思うんですけれども、段々と遅れてきていることに関して、そのRCCの議論とか伺っているところもあるんですけれども、大臣としてどうして遅れてきたのか、もう一度ご説明いただけますでしょうか。

答)

2週間ぐらいということになると、正確にいうと今週の末ということでちょうど2週間なんですけれども、来週の初めも2週間ぐらいの間の中には十分入っているのではないかというふうに思います。

問)

日銀の案も一応それなりに参考にするということなんですが、大臣ご自身としては、中に書かれている資産査定の方法、割引現在価値の採用とか、あるいは何らかの数値目標を、一部で報道されていましたけれども、銀行の収益に関する数値目標とかありましたけれども、何らかのそういう数値目標を設定されるというお考えなんでしょうか。

答)

これは議論の中身の話でありますので、ちょっと今の段階では申し上げることは差し控えたいと思います。ただ、申し上げたように、資産査定を厳格化する必要があるのではないか、自己資本は十分か、それとガバナンスは十分か、そういった観点からは、その問題意識、方向性は共有しているというふうに思いますので、これは決して日銀だけということではありません。様々な専門家が議論をしておられることは全て参考にさせていただきたいと思います。

問)

RCCのことなんですが、RCCの中にある再生機能というのは現時点ではまだ不十分だという認識を持っておられるのか、その点についてはいかがでしょうか。

答)

資産査定の問題等々含めて、全ての問題についてこれを良くする方策を考えなければいけないというふうに思います。その意味では、全ての問題をRCCだけではなくて再生機能全体をどのように高めるかというようなことは、当然重要なテーマになると思います。

問)

と仰いますと、RCCだけに止まらず、もっと別の観点から再生の機能を高めるような措置が必要になるかもしれないということを含めてということでしょうか。

答)

もちろん再生の機能を一番担っているのが銀行だと思うんですね。だから、銀行がしっかりと再生の機能を担うというのは、これはやはり基本なのではないでしょうか。それに加えて、今RCCがそれなりの役割を果たそうとしているわけですけれども、そもそも再生のためには一体何が必要なのかというようなことを今全体で議論しているところです。

(以上)

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