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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年11月15日(金) 8時57分~9時12分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議がございました。閣議に関して、私の方から特にご報告することはございません。閣僚懇でも特段の話はございませんでした。

私の方から一つ、「金融再生プログラム」の状況について3点報告しておきたいと思います。

先般ご報告したように、去る12日には、日本公認会計士協会に対して、この「再生プログラム」への対応を要請、お願いしたところでありますけれども、この公認会計士協会の検討と並行しまして、検査・監督当局の立場から必要な調整を行いますために、「公認会計士協会との連絡協議会(ワーキングチーム)」を設置するということにいたしました。詳細については、後ほど事務方を通じてご説明をさせていただきたいと思います。

第2としまして、中小企業の実態を反映した検査を確保するため、「検査マニュアル別冊・中小企業融資編」の趣旨・内容を借り手企業に対しても十分周知徹底しますように、今日、全国の財務局長等にあてて指示通達を発出することとしております。

第3点としまして、更に一昨日、預金保険機構の松田理事長、RCCの鬼追社長にお会いしまして、「金融再生プログラム」への積極的な対応をお願いをしております。

今後とも「金融再生プログラム」の速やかな実施に向けて、やれることから順次やっていきたいというふうに思っております。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

まず、今日の諮問会議なんですけれども、テーマと補正予算の規模、減税の規模とか課題を抱える中で、どういった位置付けになるのか、教えてください。

答)

今日の諮問会議のテーマは3つ程あったと思いますけれども、1つは税制の話ですね。税制調査会、財政制度等審議会等の報告をいただいて、これから予算編成に向けての議論を深めていきたいというのが第1点であります。

第2点は、地球環境に配慮したエネルギー政策ということで、8月の大臣イニシアティブ、集中審議の時に、エネルギー関連の会計について、その仕組を環境にも配慮したものに変えていくという方針が平沼大臣から提示されましたけれども、それをどのように実現していくのか。その中で、15年度予算でいわゆる芽を出すということが出来るかどうか、そういったことについて議論をしていくのが第2のテーマであります。

第3のテーマが、マクロ経済情勢全般について意見を交換したいと思います。来年度の税制や予算編成、今年度の補正に向けて、更には税収不足等々が見られる中で、そういった問題を含めてどのように対応していったら良いのかという、今回はその基礎的な部分に当たるマクロ経済の情勢の分析について、これは民間議員から問題の提起がなされて議論をすることになっております。

諮問会議のテーマとしてはその3つです。

問)

昨日、日本経団連の奥田会長が、4つのメガバンクのうち2つが弱いとか、そういった発言が一因となって株価が大分急落して、銀行株もかなり下げているんですけれども、こうした発言とこの銀行株の下落などについて、大臣はどう思われますか。

答)

昨日、たまたま諮問会議の打ち合わせ等々で奥田会長にもお目にかかりましたけれども、報道によると日本経団連は14日、その質問の報道に対して、「そのような発言は一切ないとタイムズ紙に抗議して訂正を申し入れている」という旨のコメントを発表しているというふうに承知をしています。こうした各種の風評などによって株価が大きく変動するということは、大変好ましくないというふうに考えます。

いずれにしましても、株式市場の状況については、これは我々としては引き続き十分な関心を持って注視をしていきたいと思います。

なお、主要行をはじめ各銀行は不良債権問題の解決に向け、これは全力を挙げて取り組む必要がある状況というふうに承知はしていますが、現時点で各銀行の健全性に問題が生じているというふうには考えておりません。市場の動向に関しては注視をしていきたいと思います。

問)

今日の一部報道で、不良債権処理の終結が大手行は2004年度ですが、中小金融機関は1年遅らせるというような報道がありましたが、この事実関係について教えてください。

答)

少なくとも、中小金融機関についてそういうことを検討しているという事実はございません。これは何回も申し上げておりますように、リレーションシップ・バンキングにつきましては、年度末に向けて、その根本的なあり方をこれから議論していこうというところでありますので、そのようなことを検討しているという事実はないというふうにお聞きしています。

問)

補正予算なんですが、昨日も財務大臣の発言もあったんですけれども、今回は税収不足もあり、補正予算を組むという方向になったようなんですけれども、現時点で方向性を大臣としてはどういうふうにご認識なさっているんですか。

答)

財務大臣からどのようなご発言があったかということは、直接はお伺いしておりませんが、昨日、総理、官房長官、財務大臣と私とで経済問題、経済の情勢等々についていろいろ意見交換をさせていただきました。その中では、税収不足が今後どうなっていくだろうかということ、それと先に10月30日にまとめました例の「総合対応策」をどのように実現していくだろうかというようなこと、全般的な話合いをしたわけで、様々な可能性を視野に入れて引き続き検討していくということ、それが昨日の時点での話合いの状況です。これは幅広くいろいろなご意見を聞きながら、引き続き検討していかなければいけないと思っています。

問)

大臣としては、従来から補正予算を組むということについて、従来型の公共事業は追加しないという方針だったと思うんですけれども、この点については今も変わりないということでよろしいんでしょうか。

答)

基本的には、そういう需要追加だけを目的として、しかも景気のチューニングをするというような形での財政運営は必要がないというふうに思っております。重要な点は、経済は生き物で刻々と変わっています。アメリカの経済を中心に世界経済が不確実性を増していると。国内では不良債権処理を加速するという新しい状況が出てきた。そういう問題を受けて、かつ「総合対応策」を実現していかないといけないので、それをどのような形でなしていくかということですから、改革をいかに加速し実現していくかという観点から、必要な対応策が検討されるべきだと思います。

問)

銀行の健全性について、先ほど大臣は「問題が生じているとは承知していない」とお話されていましたが、一方で「金融再生プログラム」で査定や自己資本について様々な問題提起がなされていまして、その問題がないという面と、「再生プログラム」で再生しようとしているところ、これはどう整理されるんですか。

答)

これはもう何度も申し上げていると思いますけれども、解決を要する問題というのはあります。だからこそ、先程も申し上げましたように、各銀行はその不良債権問題の解決に向けて全力を挙げて取り組む必要がある状況であるというふうに思っているわけです。

しかし、だからといって、現時点で各行の健全性に深刻な問題が生じていると、そういうふうには考えておりません。今の銀行が着々と進めているような、いわゆる不良債権問題の解決に向けた改革をしっかりとやっていってもらいたいし、そういうことができる状況にあるというふうに思っています。

問)

健全性というのは、端的には自己資本比率のことを指しているんですか。

答)

それだけではありませんけれども、もちろん流動性の問題とか、様々ありますけれども、そういう基本的な問題ということです。

問)

冒頭の3点なんですけれども、RCC等への要望は具体的にどんなことなんですか。

答)

「再生プログラム」の中でRCCという言葉を拾っていただきますと、確か4点あったと思います、ちょっと今日は手元に資料を持ってこなかったんですが。RCCに対しては、その資産の売却等に努めて、その資産の市場を整備するような観点からも努力をして欲しいとか、再生機能を一層強化するような努力をしてもらいたいとか、そういった点が中心でありますけれども、「再生プログラム」に書いている我々が主張している点を松田理事長、鬼追社長にお願いしたということです。企業再生ファンド等と企業再生の仕組を強化していってくださいということです。

問)

松田さん、鬼追さんに、もう既にそれは要請されたということですか。

答)

その通りです。

問)

昨日ですか。

答)

一昨日です。

問)

「金融再生プログラム」が公表された後も、株価はずっと不安定な状態なんですけれども、これについては恐らく「再生プログラム」が正しく理解されていないとか、あるいはその効果を疑問視する見方が強いのかなと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

答)

相場の動きを解釈するのはなかなか難しいと思います。以前もお話したことがあるかもしれませんが、こうした問題を解決した一つの優等生のようによく議論されるスウェーデンの場合でも、今にして思えば非常にいい政策だったと思われるようなしっかりとした対応策をとった後も、株価は1年ぐらい下がり続けていますね。しかし、その後1年たってから、急激に今度はものすごい速度で上がり出している。相場は、マーケットというのは非常に多様な思惑で動いているものだと思いますから、非常に短期間の動きでそれが政策の反映、経済実態の反映というふうに必ずしも直線的に結び付けるべきではないと思います。「再生プログラム」は大変しっかりしたものだと思っておりますし、その真意というのは理解されつつあると思っておりますので、そういうものが市場に次第々々にあらわれてくるということを期待しております。

問)

金融庁から、9兆幾らという銀行が払った税金の繰り延べが要望として出たということですけれども、経済財政政策担当大臣のお立場でどんなふうにお考えになるか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

答)

これは金融庁として、要するに繰延税金資産に関連する減税の要望ということだと思いますけれども、前もお話しましたけれども、この繰延税金資産の問題というのは、日本の税のシステムと、それと会計基準の話とBISの監督基準の話が密接に絡み合って、非常に複雑に絡み合って、過去の経緯も含めて絡み合っていますので、これは金融庁としては一つの整合的な考え方として、過去の税金についてきちっとした対応をする必要があるのではないかということの問題提起をしたわけです。

これを経済財政政策担当大臣としてどう受けるかというご質問かと思いますが、これは金融庁のこの問題に対する一つの要望として出しているものでありますので、これはこれで金融庁としての立場、財務当局は財務当局で、それをまた別の観点から判断をしていくわけでありますが、この多様な議論の中で政策のあり方というのは決まっていけばよいと思います。

問)

必ずしもそれが実現しなくても良いということですか。

答)

金融担当大臣としては実現していただきたいという立場でもちろん出しているわけです。

問)

銀行に払い戻してもらうのがベストのソリューションであるということですか。

答)

一つの重要なソリューションであるというふうに思っているわけです。

(以上)

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