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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年11月22日(金) 9時18分~9時27分 於)院内)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。

今日の閣議で、総理から、補正予算の編成に向けての指示がございました。私に対しては、それのもとになる経済プログラム、「改革加速プログラム」について、私の方に取りまとめをするようにというご指示がありました。

それを受けまして、私の方からは、次のように申し上げました。

「ただいま、内閣総理大臣からご指示のありました「改革加速プログラム」につきましては、経済財政諮問会議でのご意見も伺いながら、早急に取りまとめることを目指してまいります。その際には、各省庁と積極的にご相談しながら進めてまいりたいと考えておりますので、閣僚各位におかれましてはご理解、ご協力を賜りたく、よろしくお願いいたします。」と申し上げました。

閣僚懇では、経済産業大臣の方から、中小企業のセーフティーネットに関しては特に充実させたいので、引き続き様々な角度から検討したいというお話がありました。

閣議に関連しましては、私の方からは以上でございます。

金融面で、例の「金融再生プログラム」について順次実施しておりますので、直近の状況だけ簡単にご報告しますと、中小企業貸出に対する十分な配慮を行うための「中小企業の再生をサポートする仕組み」の整備に関しまして、RCCの信託機能等を活用した具体的な仕組みを提供することといたしました。これについては、事務方を通じてまたご説明させていただきます。なお、RCCにおいて検討を進めている企業再生機能の強化及び企業再生ファンド等との連携強化について、今日午後に、RCCから公表されるというふうに聞いております。

また、貸出債権取引市場の創設については、この債権市場の整備に向けた新たな体制として、調査会社の活用も視野に入れつつ検討していくことを全銀協に要請するとともに、あわせて預金保険機構、RCC、政府系金融機関に対して検討への参加を要請することとしております。

いずれにしても、そういうことを踏まえて「再生プログラム」の速やかな実施に努めていきたいと思います。あと1週間ぐらいで工程表も公表できるように、今、作業を詰めているところであります。

私の方からは、以上です。

2.質疑応答

問)

その「改革加速プログラム」は、いつ頃を目処に。早急にとありますが、具体的に教えてください。

答)

ちょっとこれは、具体的にどのぐらい時間がかかるかあれなんですけれども、来週の中頃にも、財務省に対してはいろいろな要求が提出されていくと思います。それと歩調を合わせて、補正予算の編成に合わせて進めていくことになると思いますけれども、めどとしては、12月の中頃、ひょっとしたらそれを過ぎるかもしれませんけれども、中頃かなというふうに思っております。

問)

今回、補正の規模、内容とも、力不足ではないかという指摘もあるんですけれども、大臣はどのようにお考えですか。

答)

3兆円だったら5兆円必要だと言うし、5兆円をやるといったら、多分7兆円必要と言うというのがこれまでの通常のパターンであったというふうに思いますが、大変重要な点は、我々は政策の根幹を変えないでやっているということなんですね。その政策の根幹を変えないということは、2つの意味でぜひご理解をいただきたいのですが、1つは、2010年代初頭にプライマリーバランスを回復させる、つまりマクロ経済と財政を両立させるということです。それは変えないということです。

それともう一つ、これは「改革と展望」に示された路線を変えないという意味なんですが、同じく「改革と展望」に示されていますけれども、当面2年ぐらいは低成長に甘んじると。集中調整期間で、非常な低成長は甘受しなければいけないというふうに考えているわけです。

そういう中で、今回は、アメリカを中心とする世界経済の不確実性と不良債権処理の加速に伴う不確実性に対処するために、必要なセーフティーネット等々の補正予算を行っているわけですから、もし政策転換したのであれば、これはもうとにかく需要を拡大して3%成長にしよう、そういう観点であれは、それは量が少ないという批判は当たりますが、そういうご批判が一方であるということは、逆に言えば政策転換していないからだということでもあろうかと思っております。

問)

最近の株価下落について、昨日速水総裁が「かつてない株価下落が起きている」というふうに仰っていて、危機感をにじませたのですけれども、政府の景気・税制等に問題がないということと、ちょっと認識に開きがあるような気がするんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

答)

速水総裁の記者会見そのものをお伺いしたわけではありませんけれども、基本的な認識は一致していると考えております。つまり、銀行部門には解決を要する問題があると。だからこそ、不良債権の処理を加速するためのその包括的なプログラムを我々は考えなければいけないというふうに思っているわけですね。

しかし、かといって現状で、例えばどこかで非常に流動性の問題が生じているとか、預金の流出とか、そういったパニックのような状況が生じているわけではないと。そういう意味では、多分認識は一致しているのだと思います。

いずれにしても、ストップ安の後にストップ高が来て、非常に相場が乱高下している。私は、「金融再生プログラム」を着実に実施していくことによって、日本の銀行部門は着実に強くなっていくというふうに思っておりますし、そういう点が市場で速やかに評価されていくことを期待しております。そのための努力を金融庁もしたいと思いますし、各銀行もそういった努力を一層していただきたいというふうに思っております。

問)

プライマリーバランスを2010年代初頭に実現するためのぎりぎり精いっぱいのラインが、国債の35兆円という数字と考えてよろしいのでしょうか。

答)

そこは、すごくそういう厳密に逆算して議論できるという性格のものではありません。しかし、やはり2010年代初頭にプライマリーバランスを回復させるためには、今の時点でどこまでも赤字を拡大してよいというものでは、これは決してないわけでありますので、非常に厳しい中でのぎりぎりの選択をしているというふうに思っています。

問)

この5兆円の追加発行をするという根拠が、いまいちよく分からないのですけれども、これはどういうふうにして決まったのですか。

答)

これは、基本的にはマクロ経済のバランスの問題と、それと当面必要とされるセーフティーネット等々の金額、そのマクロのバランスとミクロの必要性というものの双方から、その適切なポイント、均衡点みたいなものを見い出している。

マクロの議論に関しては、これは経済財政諮問会議の前々回の会議で民間議員から出されている、来年度、不確実性があることに加えて国民の負担が高まると。それを、今回の補正予算、それとこれはまだ今後詳細が検討されることになりますけれども、来年度先行減税で適切にマクロ運営をしていこうということでありますから、そういう中で今回の規模についても議論されてきたというふうに認識しています。

問)

民間議員の5兆円規模の対応というのは、あと先行減税が2兆円確保されれば達成されるという考えでよろしいのでしょうか。

答)

民間議員が言っている5兆円というのは、民間の需要も含めて5兆円だったか6兆円だったか、そのぐらいの需要が創設されるようにというふうに言いますから、今仰ったような意味での単純な算数ではないというふうに思いますが、基本的にはやはり適切な相応の規模の先行減税をこれとあわせて実施していくことによって、必要なマクロ経済運営を行っていく、これは大変重要なことであると思っています。

問)

貸出債権取引市場のために、調査会社への依頼というのがありましたが。

答)

これは、これから要請する話でありますので、今日11時から監督局長が要請することになっておりますので、その後、詳細な説明の機会はあると思います。

(以上)

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