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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成14年12月3日(火) 8時53分~9時06分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。私の方から、特に閣議に関してご報告申し上げることはございません。

1点、ちょっと前回申し上げたかどうか、今、補正予算の編成の作業をやっております。私の方は、その政策部分に当たる「改革加速プログラム」の取りまとめを担当しておりますけれども、これに関します経済対策閣僚会議でありますが、今のところ、12月12日に開催できるように調整を進めているということをご報告申し上げたいと思います。

私の方からは以上であります。

2.質疑応答

問)

内閣府がもう来年度の政府経済見通しの作業に着手していますけれども、来年度にかけての大臣の景気認識を教えてください。

答)

この間の「予算編成の基本方針」のところで、原案から来年度をどう見るかということは、少し私なりの考えを含めて述べさせていただいたつもりでありますけれども、実物経済そのものは、基本的なシナリオというのは、自律的な回復に向けての動きというのを期待しております。現状、少なくとも4-6月期、7-9月期に関してはそんなに実態は悪くないということは、数字の上で見る限りは少なくとも悪い数字は出ていないということを何度か申し上げました。ただ、不確実要因が非常に大きくて、下方リスクが幾つか急速に高まっているという点は事実であり、これはしっかりと注目しなければいけないと思っております。

そういった点も含めて、その基本シナリオそのものは自律的な回復を期待はしておりますけれども、そのペースは極めて緩やかなものにならざるを得ないのではないだろうかと。引き続き、そのリスク要因に対してしっかりと対応していかなければいけない、そのような認識を持っています。

問)

生命保険会社に関することなんですが、最近、保護機構への追加拠出とか破綻前の予定利率引き下げとか、いろいろな報道が相次いでいますけれども、大臣の生保へのセーフティーネットについての考え方を述べていただきたいと思います。

答)

生保の問題に関しては、今非常に幅広く勉強しているということを何度か申し上げましたけれども、この生保のセーフティーネットというのは、今、特例措置として5,600億円の支出を超える場合には、政府の支出が4,000億円認められるということになっていたと思います。その期限が切れるわけでありますから、まさにこの問題に関してどのように対応するかということを幅広く検討をしているという段階であります。

したがって、現時点で別に何がどうこう決まっているとか、方向を出しているわけではございません。引き続き、現状を見ながらしっかりと勉強をしなきゃいけないと思っております。

問)

5日に政策金融に関する基本方針が出ると思うんですが、大臣の政策金融に対する考え方を改めて教えてください。

答)

基本方針といいますか、案を示して議論をしたいと思っております。それが5日になるか、来週になるか、最終的な判断はこれからいたしますけれども、基本的な考え方というのは、やはり中長期的には、民にできることは民にという原則をやはり貫かねばいけないと思います。この10月ですか、の段階で一応中間的な報告を出しております。その中で公共性基準というのと、あと金融リスクの基準というのと、この2つの基準を満たすもののみに政策金融は特化すべきであるという一つの明確な理念を示しておりますけれども、その理念を実現することを視野に入れなければいけないと思います。

ただし、現状、民間金融機関が、民間の金融システムが幾つかの解決すべき問題を抱えているという状況にあって、現実問題として、政策金融機関が当面果たさなきゃいけない役割というのは極めて大きいというのは、これはみんなが意見が一致しているのだと思います。その意味で重要なポイントは、この改革を多段階で進めるということであろうかと思います。この政策金融機関の改革を多段階で進めるというようなことを内容とした一つの案を示せればというふうに思っております。

問)

道路公団の問題がかなりもめていて、総理も今調整を任せている状態で、国民からすると、内閣の方向性がちょっと分からなくなっているんですけれども、こうした状況についてどのようにご覧になっていますか。

答)

実は、担当が違いますし、詳細もたまたま閣議のあれでは石原大臣がお隣なものですから、少しお話を伺っている程度で、現場の感覚、臨場感というのは余り存じ上げているわけではないんですけれども、これは大きなものをまとめる前の一つの通過すべき一つのトンネルのようなものなんだと思っております。私は関係者の努力によって、まとめの方向にいくというふうに期待をしています。

問)

かつて大臣もいろいろな経験されたと思うんですけれども、今、石原大臣がそのような立場でサンドバック状態になっていると思うんですが、何かアドバイスとかありますか。

答)

サンドバックとして重要なのはじっと耐えることであるというふうに思っております。石原大臣も大変難しい仕事をずっとやってきておられます。その意味では、これは石原大臣の場合は、あの会議に関しては実はメンバーではなくて、確かオブザーバーですよね。そういう位置付けですから、大変難しいと思います。私は繰り返し申し上げますけれども、これは当事者が7人の侍かどうか、私はよく存じませんが、7人いらっしゃるわけですから、その方々がやはり総理の意を受けて国家的なものに挑戦しているわけでありますから、私はそこは最後はまとまるというふうに期待しています。

問)

金融再生の「作業工程表」についてなんですけれども、この中で繰延税金資産のところなんですけれども、ここだけ期限が切られていないんですよね。ほかの新しい公的資金の制度とか、同じく金融審議会で議論するんですけれども、これはちゃんと半年という期限が切られている。なぜここだけ、繰延税金資産については切られていないか。

それから、ある程度大臣のご感触として、この位までに目処を出して欲しいというのがあるのか。その辺を教えていただけますか。

答)

これはもうご指摘の通り、繰延税金資産については、我々もいろいろ考えた末、いつまでに結論を出すというその期限を切っておりません。その理由は、この問題を議論する場合の不確定要素というのが非常にたくさんあるということ、その1点に尽きます。何度も言っていますけれども、これは一つは税の仕組みの問題があると。その税の仕組みに関しては、我々は要望を出しているわけですけれども、その税の仕組みが今後どうなっていくかというのが一つの課題である。

もう一つは、企業会計原則に関連する監査法人がどのように対応されるかということですけれども、これについても厳正な適用を要望するとともに、この繰延税金資産に関する検査を行うということも計画しているわけですね。その制度がどのようにワークしていくかということも見定めなければいけないというふうに思っています。

それと、現実問題として、銀行の自己資本が収益力のアップを反映してどのように変化していくかということも見定めたいと。そうした中で、期限を切るのが大変難しい状況であるというふうに思っております。

ただ、私としては、のんべんだらりと議論をするということでは必ずしもないと思っておりますので、やはり普通、半年ぐらい議論したところでは経過報告のようなものは当然にしていただきたい、今何が問題になっているか、ここまでは合意できた、ここは合意できていない、そういうことはやはりきちっと出していただきながら、しっかりと議論をしてもらいたいというふうに思っています。

問)

それは、例えば税の対応がされない場合は、規制は導入しないということですか。

答)

いや、そういうことでは全くありません。

問)

それはリンクしていないんですか。

答)

これは全くリンクしていません。これはそれぞれ考えるべき要因がインディペンデントにたくさんあるということを申し上げているわけで、もちろんたまたま何か税の要因が大きく動くことがあれば、それはその解決策、ソリューションに非常に大きな影響を与えるということは間違いありません。

しかし、我々は基本的には、金融監督の立場でどうしていくかと。他の条件が変わらないのであるならば、変わらないなりにどういう監督行政をしていくのがよいかということを、これは決めていく責任があるわけですから、そこで他の大きな要因に十分配慮しながら、また働きかけながら、しかし金融当局としてはしっかりと物事を考えていきたいと思います。

問)

「作業工程表」の件で、少し古い話になっちゃうかも分かりませんが、最終的な文案で、大臣の方で特に意識して追加された項目といいますか、例えば整理されて上の方に持ってきたとか、そういう印象を持ってきているような項目というのは何かございますでしょうか。余り触っておられないですか。

答)

「作業工程表」は、その過程で何度も何度も事務方の方とやり取りして、議論をしていきましたので、その過程でいろいろ本当に活発な議論はいたしました。ちょっと今急に言われて、ここをこう変えろとか、この項目を前に持ってこいとか、ちょっとそういうのはなかったのかなというふうに思います。

ただ、私の方から特にお願いしたのは、工程表というのは、私はよく申し上げるんですけれども、去年の例の構造改革の工程表もそうですけれども、いわばレシピなんですよね。レシピというのは、霞ヶ関の専門家、銀行業界の専門家にこうして欲しいということを非常に細かくきちっと書いていくもので、それそのものは非常に事務的な、ちょっとオーバーに言えば電話帳みたいなものになりかねないものだと思うんですね。

ところが、国民の皆さんが見たいのは、国民の皆さんがレストランに行っても、レシピを見たいわけじゃなくて、メニューを見たいわけですね。だから、そこをやはりメニューのように書き換えなきゃいけないんだと思います。その意味では、この一覧表みたいなものは、これでもまだ見にくいということかもしれませんが、そういうふうに見易いようにしましょうと、そういうことはかなり皆さんに申し上げて努力をしていただきました。

問)

一部報道で、大臣が日銀総裁になるというお話が出ていますが、どうですか。

答)

一部報道と言ったって、皆さんの誰かが言っているだけで。とにかく、今の仕事をぜひ頑張って全うしたいというふうに思っています。

(以上)

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