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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見録

(平成15年1月21日(火)10時37分~10時53分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。閣議につきまして、私が関連する特段の案件はございません。閣僚懇におきましても、特に今日はご発言はございませんでした。大変短い閣議で終了しております。

閣議の後、構造改革特別区域推進本部が開かれました。これは例の特区法が出来てから最初の第1回の推進本部ということになります。今日は例の第2次提案を締め切りましたので、その状況と特区の基本方針が決定されました。基本方針を決定したということと、第2次の提案についての報告があったということでございます。推進本部の本部長は総理でありますけれども、私自身も副本部長でありますので、この特区が極めて重要であるといったようなこと。第2次提案についても、第1次提案では認められなかったものも含めて、この第2次提案で実現するためには一体どうしたら良いのかという方向で検討していただきたいという発言を申し上げました。

総理からも、この特区の重要性、極めて重要であるということと、それと基本方針、法律等々で決められた以外の付加的な条件、行政指導等々で各省庁がそういったことに介入することがないようにという強いお話がありました。また、今後の課題として、実現するためにはどうしたら良いかという観点から、各大臣が積極的に役所を指導するようにというお話がございました。

第2次提案については、件数も600件を上回ると、大変多かったということ。それと、とりわけ第1次提案では余り数が多くなかった民間、地方公共団体ではなくて、民間企業等々からの提案が非常に増えたということが大きな特徴であったと思っておりますので、この芽をぜひ生かしていきたいというふうに私自身も思っております。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

まず、生保の予定利率の引き下げについてなんですけれども、金融庁の方では、通常国会への法案の提出をしたいとの意向のようですけれども、現段階での方向性と、あと生保の現状に対するご認識を改めてお聞かせください。

答)

まず、一部予定利率どうこうで、金融庁が何かを決定したかのような報道がなされておりますが、そういう事実はありません。生保につきましては、現状を受けとめながら、我々としては、今幅広く勉強をしているところであるというところであります。

生保の現状をどのように認識するかということでありますけれども、逆ざや問題というのが厳然と存在しているということは十分に認識をしています。そういった点を踏まえて、今後どのような枠組みを作っていくべきかということを、正に幅広く検討しているところであります。

問)

次に、みずほが1兆円規模の増資を予定しているようですけれども、不良債権処理に伴って、各行で増資の動きが相次ぎそうなんですけれども、このような動きについてどのような見方をされていますでしょうか。

答)

まず、みずほの件につきましては、みずほ自身もまだ特に発表はしていないというふうに認識をしていますので、私の方から特にコメントする立場にはないと思っております。

一般論として、増資等々、自己資本充実に向けた様々な動きが出て来ているということは、「金融再生プログラム」が少しずついろいろな形でインパクトを持ちつつあるという点で、評価できる点があると思います。

ただし、同時に、以前から申し上げておりますように、銀行部門でとられている様々な措置がstrategicか、soundか、更にはsincereかと、そういった点からしっかりと見ていきたいと思っております。何よりも、そうした様々な措置によって結果を出していただきたいというふうに思っています。

問)

最近の円高傾向について、景気への影響など、どのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。

答)

為替レートそのものについては、特に水準等々についてコメントする立場にはありませんが、お尋ねの件は、実態経済に対するインパクト如何ということでありますから、それに関して言うならば、為替レートが実物経済にもたらす影響というのは、少なくとも、短くても半年先以上、場合によっては1年先以上ということでありますので、日々の動き、特に短期的な日々の動きに一喜一憂するといいますか、それが経済に即影響を与えるというような見方はとるべきではないと思います。

いずれにしても、これは市場の動向をしっかりと見ていきたいと思います。

問)

「中期展望」のことなんですけれども、その中で最初に出た案では、12月13日の案に比べて、インフレに対する表現がちょっと弱まっている感じなんですけれども、これが第1点。

もう1点は、集中調整期間が1年間延期されて、2004年度まで延期されたんですけれども、そうなると、デフレの克服は2005年度中という感じなんですか。出された資料を見ると、物価上昇率がプラスになるのは2005年度なんですけれども。これは大臣はどう見ていますか。

答)

まず、デフレ問題に対する表現が弱まっているのではないかというご指摘ですが、私の認識ではむしろ逆ではないかと思っております。政府、日銀一体となった取り組み、金融政策の重要性等々、むしろ様々な方のご意見を伺って、かなり表現といいますか、しっかりと書いたつもりでおりますので、第1の点については、私自身は今申し上げたような認識を持っています。

デフレの克服期限の問題、集中調整期間の問題、様々に目標年次が1年程度ずれているというのは、それはもう試算で示した通りでございます。我々の認識としては、実物経済、実質成長率、失業率、そういった実物的な数値そのものは、むしろ我々が去年想定したものよりも少し今は高くなっているということで、実物経済は、ほぼ我々が考えていた通り、いや、むしろそれより少し良い形で推移していると思っています。

しかしながら、マネタリーな側面、具体的にはこれが物価に象徴的に表れますが、それが予想以上に深刻である。これは日本国内のみならず、世界的にそのような状況になっているというふうに認識しておりますが、予想以上の深刻なこのマネタリーな側面に対して、従来以上に政策を強化しなければいけないというふうに考えているわけです。つまり、去年想定したことよりもたくさんのことを今の時点ではやらなければいけないと思っている。たくさんのことをやるために、当然のことながら、1年多くの期間を要するということになる。私達が申し上げている政策の強化、政策の加速というのはそういう意味であるというふうに認識をしております。

物価上昇率がプラスに転じるというのは、正にもうその通り試算で示している通り、去年の時よりも1年ずれておりますけれども、それはむしろマネタリーな側面で、我々が掲げる政策の達成目標値を高くしている。具体的には、これは2004年度で不良債権問題を終結させると。去年にはなかったより強い目標を掲げているという点に集約されているというふうに思っております。

問)

そうなると、その試算から見ると、2005年度0.2%プラスになるんですけれども、大臣はやはりそう考えていますか。

答)

基本的には、現時点で利用可能なデータ、我々が準備している政策から見て、そのようなシナリオが想定されるということです。

しかし、何度も申し上げていますけれども、経済は特にグローバルな要因で非常に敏感に動きます。だからこそ、このシナリオというのは1回作るだけではなくて、毎年毎年ローリングしていくんだと。来年の今ごろも、次の新しいそのローリングの数字を当然出すことになりますけれども、これはその時々で世界の経済、予想できないようなことが多々起こってまいりますから、それを適切に反映していくことがむしろ大変重要なことであるというふうに思います。

問)

大手銀行の増資の動きに関して、大臣はよく結果を見ると仰っているんですけれども、結果というのはどういうイメージで、どういう結果なら評価なさるんでしょうか。もう少し分かり易くお願いします。

答)

まず、いろいろな計画が個別に報じられておりますけれども、具体的に、例えば合併等々の認可のようなものにつきましては、その時点で我々としては申し出に応じて、適切に判断していくことに、当然のことながらなります。まず最初の時点では、様々なそういった計画というのが、先程から申し上げているように、strategicか、soundか、sincereかと。その入り口の部分で、やはりそういう点はしっかりと見なければいけないと思っております。

もう一つ、「その上で結果を」と申し上げているのは、これは正に2004年度で不良債権問題が個々の銀行についても解決している、それが正に結果であるというふうに思います。そのためには資産査定、自己資本の充実、ガバナンスの強化、そういった観点で正に結果を出していただきたいというふうに思っているわけです。

問)

先週、金融審のワーキンググループが2つ立ち上がって、具体的な検討を始めたんですが、残る自己資本比率、とりわけ繰延税金資産の問題に関してのワーキンググループがまだ立ち上がっていませんが、これはいつ頃立ち上がって検討を開始するのか。そして、その結論はいつ頃出すべきだとお考えですか。

答)

いつかは、もう日にちはセットされつつあると思いますが、もう間もなくそれは立ち上がるというふうに思います。これはいつまでかというのは、「金融再生プログラム」の中でも期限は明示をしておりません。ずっと前に一度申し上げたことがありますけれども、その経過報告のようなものは少し時間を置いてやっていただきたいと思いますが、問題の本質から考えて、これはもう何度も申し上げておりますが、税制、会計制度、監督の基準、非常にその中間点にある難しい問題ですから、逆に期限を切ることなく、徹底的に議論をして欲しいというふうに思っています。

問)

当面は、現行の制度で厳密にやってもらいたいということなんだと思うんですけれども、銀行の自己資本のうち、繰延税金資産はおよそ4割を占めると言われているんですけれども、現行のルールを厳密にやることよって、どのくらい改善されるんでしょうか。

答)

まず、4割に達しているかどうかというのは、ちょっと私は定かではありません。それによって、どういう結果になるか。これは正しく、その資産性を認定する立場にある監査法人等々の判断の問題でありますから、それについて、何か仮定を置いて私の方から申し上げることは出来ないというふうに思っております。

しかし、こうした問題も含めて、しっかりと経営をしていただく。これがコーポレート・ガバナンスにも反映していくわけでありますから、正に3つの目標トータルで銀行の経営をより強いものに、日本の経済を支える金融部門、金融システムになっていって欲しいというふうに思います。

問)

生保の予定利率の問題で、昨日、大臣は官邸の方にもいらっしゃって、予定利率の問題を説明なさっていると思うんですけれども、これはどんなことをご説明なさったのか。それから、総理と官房長官から何かご意見というのがありましたでしょうか。

答)

まず、昨日官邸に参りまして、官房長官、総理に対しまして、最近の金融情勢全般についてのご説明をしておりますが、予定利率の問題について、金融庁でどうこう考えていると、そういうような説明はしておりません。あくまでも、「金融再生プログラム」の進捗状況がどうなっているのかと。先般の決算、それと今後の決算の予想がどのようになっているのか。そういった金融情勢全般についてのご進講を申し上げたというのが、昨日の目的です。

問)

生保の問題もその中に含まれているわけですか。

答)

生保の逆ざやの問題でありますとか、生保のソルベンシー・マージン比率の問題でありますとか、全般的な状況についてご説明をしました。

問)

金融特区の問題なんですけれども、沖縄の名護市が第2次提案で、キャプティブ保険と、それからパスダックの構想を再提案しています。これは、今現状ではまだ魅力が乏しいという思いから出ているようなんですけれども、金融特区の現状と、そうした提案についてどのように受け止められますか。

答)

600件提案あったうちの1つで、申しわけありませんが、個々の提案の中身について、まだ私自身は承知しておりません。

ただ、一般論で言いますと、まず特区という観点から言いますと、できるだけその地元ないしは提案者の意向を生かすような形で検討するというのが、基本的な姿勢であろうかというふうに思っております。同時に、金融という観点からも、これは正に大変金融の活性化というのは期待されているわけですから、まずしっかりと事務的な幾つかのクリアすべき問題を検討させていただいた上で、しっかりと判断をしていきたいと思います。

(以上)

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