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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見の概要

(平成15年1月22日(水) 21時12分~21時30分)

【大臣より発言】

それでは今、金融問題タスクフォースの初回の会合を終えましたので、概要をご説明させていただきます。

6名の委員にお集まりをいただきまして、まず金融問題タスクフォースの位置付けについての確認でありますとか、手続き的な話を申し上げました後で、今日は初回でありますので、金融再生プログラムの中身を改めて確認をさせていただいて、金融問題タスクフォースに幅広くご検討をいただきたいというような話を申し上げました。

言うまでもありませんけれども、このタスクフォースは平成16年度までに不良債権問題を終結させるという目標の達成に向け、その状況をモニタリングする、結果を出すために幅広くアドバイスをしていただくというのが第一の目的であります。第二の目的は、万が一にも特別支援金融機関が出来た場合には、その経営に関して適切なアドバイスをいただく。

いずれにしても、私の方からも申し上げたのですけれども、私及び金融庁長官、金融庁に対する知的なインプットをお願いしたいと。それを行政の中で我々なりに消化して反映するようにしたいというようなことを申し上げました。

それともう一つ、最近の決算の状況について事務的にご説明をしました。銀行が今、どういう状況になっているかということについても説明をさせていただきました。

委員の方々は最近の銀行の様々な動きについて、銀行が非常に早い速度で動き始めたということについて、それを評価するというご発言が出ました。それと同時に、しかし、なかなか分かり難い側面もあって、それぞれについては、しっかりと見て行く必要があるのではないかというご指摘がまた同時にありました。

私の方からは最後に、当面、平成15年3月期の決算に向けて業界の様々な動きを、今後どのように評価していったら良いか、見ていったら良いかというような点。それと、金融機関経営のガバナンスの強化に対する問題をどのように考えていったら良いかといったような点。更には、例の工程表に基づいて、少しずつ処理していかなくてはいけない案件がありますので、そうした点を踏まえて、総合的に最初の2~3回は少し集中してインテンシブに議論を進めて行く必要があるのではないかという締め括りをさせていただきました。インテンシブと言っても今日、明日とか、そういうことではありませんけれども、可能な範囲で時間調整をしまして、最初は問題意識を共有するという意味で、次は10日後になるか2週間後になるか分かりませんけれども、そのぐらいの頻度で少し当面の運営をして行きたいというふうに思っております。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

タスクフォースの今後の活動、運営についてなのですけれども、今お話された、今後ある程度、決算の策定に向け、まず何を目処に活動していくのかと。取り敢えずはその第一のモニタリングの方に重点が置かれると思うのですが、例えば現在、各行が経営改革を打ち出して来ていますが、それに対して内容を吟味し、場合によっては注文を付けていくということがあり得るのか。大臣が年頭の会見で仰った「3つのS」というのもありますが、これとの関係も含めてお話いただけますでしょうか。

答)

繰り返しになりますけれども、このタスクフォースは行政を行う場所ではありません。いろんな動きについてきちっと「3つのS」の観点から評価をして、必要な場合は行動を取るというのは、これは行政当局である我々の仕事です。それなりに我々の仕事が円滑に、しかも有効に作用するように、それについては結果がうまく出せるようにアドバイスをいただくと、そういうことは当然に必要なことだと思っております。

問)

そもそものタスクフォース立ち上げの問題意識ですけれども、従来の監督行政がある中で、大臣としてどういった点を強化して行こうとお考えになられているのかお聞かせいただけますでしょうか。

答)

今の金融行政というのは、技術的な意味でも情報の意味でも非常に高度なものが求められているというふうに思います。しかも、市場の見方が非常に多様であるということだと思います。高度で多様なそういった情報があって初めて実効のある金融行政が出来ると思います。そうした意味で、今日も申し上げたのですが、知的なインプットをして欲しいんだということ、それがタスクフォースの目的であるということに尽きます。繰り返しになりますが、ここで何かを決めるという性格のものでは全くありません。我々が当局として必要な行動が取れるように、高度でかつ多様な情報をインプットしていただきたいとおもっております。

問)

位置付けの確認なのですが、大臣の私的懇談会といったような性格だというふうに理解してよろしいのでしょうか。また、当面の活動の中で、知的なインプットということですけれども、何か中で作業といいますか、アウトプット、報告書のようなものを出されるお考えはありますでしょうか。

答)

基本的に報告書を出す性格のものではありません。このタスクフォースは金融庁顧問による金融庁の中のアドバイスをしていただく会議であるというふうにお考えください。

問)

金融審議会の中に設けられている各種作業部会が順次立ち上がっていますけれども、こちらとの有機的な連携とか作業の進め方についてなどの議論はあったのでしょうか。

答)

基本的に金融審の方は、これは審議会のワーキンググループでありますから、それぞれ報告書をまとめて、答申をしていただく一つの仕組みであります。今日のタスクフォースはそういうフォーマルなものではなくて、金融庁の顧問が知的なインプットを我々にしてくれる場ということになります。従って、その連携というのは性格上必要があるとは思いませんけれども、当然のことながら金融システム強化に向けて、同じ問題意識を持ってやって行くわけですから、これは必要に応じて必要なテーマについて自由に議論をして行くということになると思います。

問)

確認ですけれども、次回はまだ未定ですよね。

答)

次回は未定です。

問)

権限についてなのですが、顧問ということですけれども、例えば金融庁の内部資料などでですね、彼らが見られる範囲のものというのは全てなのですか、部分的なものなのか。もう一つは今回の議論、PTの時も言いましたが、議論の内容について議事録に残して公開されるお考えはあるのか。

答)

これは顧問ですので、当然のことながら守秘義務を負っております。知的なインプットをしていただくということが必要な範囲において、いろんな資料も見ていただいて、いろんなアドバイスをいただくということは当然あり得ることだというふうに思います。

繰り返しになりますけれども、タスクフォースは金融庁顧問による金融庁内の会議、会議ですので知的にインプットしてくれることが目的でありますので、議事録の作成等々は考えておりません。

問)

見られる範囲というのはあるのですか。彼らが希望すれば全ての金融庁の資料が見られるわけですか。

答)

これは我々がどういう問題についてアドバイスを求めるのかということですね。そのアドバイスをしていただくに当たって必要だと判断される場合はそういうものも見ていただくということです。範囲が前もってアプリオリにここからここまでというふうに決まるという性格のものではないと思います。

問)

タスクフォースは具体的に何をやるかということですけれども、例えば三原則の資産査定ですとか、自己資本とか、ガバナンスがちゃんとしているかどうかという、各大手行がその三原則をちゃんとやっているかということを具体的にチェックしたりするのでしょうか。

答)

先程の答えと同じになってしまいますけれども、基本的には我々が、行政当局は我々なわけです。我々が金融再生プログラムに基づいて必要な結果を出していくということが問われているわけです。それに必要な高度で多様な情報をいろいろインップットしてくれるというのが彼らの役割ですから、彼らが何をチェックするとか、三原則をチェックするとか、そういう性格のものではありません。今日、いろいろお話を伺って、私としては当面ガバナンスを強化するにはどのように、今我々もいろんな事を考えておりますけれども、そういったことについていろいろアドバイスをしていただいて、結果的に不良債権問題が終結に向かうような手助けをして欲しいと思いますし、これは我々からそれをお願いする場合もありますし、彼らから逆に金融再生プログラムのここが進んでいないのではないだろうか、というようなご指摘ももしあれば、これは自由にいただきたいと、それがモニタリングの意味だと思っています。

問)

今日、金融庁の幹部の方が出席なさっていましたが、これからも出席なさるのですか。

答)

基本的には、今日は長官も勿論出席しておられますし、副大臣、長官、監督局長は当然毎回出席していただくことになるとは思います。監督局長は今日はちょっと体調を崩してお休みでありましたが、ずっとこれは当然出ていただいて私たちと一緒にインプットしてもらいたいと思います。

問)

民間側の人を呼ぶということは考えられないですか。

答)

そこは柔軟にちょっと一緒にこういう人の話を伺いながら知的な議論をしたいというような場合がもしあれば、それは呼ばないという理由は特にないと思います。積極的にこういう人を呼んでヒアリングをしようという計画があるわけではありません。

問)

それぞれの計画をしっかりと見ていく必要があるという話なのですが、先程の話の続きで、ガバナンスの面で疑わしい点があるというようなコメントが皆さんからあったのですか。今出ている銀行の経営改革についてですね。

答)

今日は別にそういったことの情報を我々がお示ししたわけではありませんし、いろんな動きが出ていると、そのいろんな動きについて、これは皆さんがお書きになっている新聞を読んでのことだと思いますが、それについてそれぞれいろんな印象と言いますか感想のようなものをお話するということはありました。

問)

その中で先程「評価」という言葉があったのですが、具体的にどういう点を評価されていたかというのは、お話できる範囲で結構なのですが何かありますか。

答)

今まで想像も出来なかったような非常に早い動き、想像を余りしていなかったような様々な動きが出て来ましたねと、そういう点は銀行が正に一生懸命自らの強化を図る行動をとっていると、そういう感想というか見方はあったと思います。

問)

例えば、外資と提携というか、資本調達をしているわけですけれども、外資との関係というのはどうでしょうか。

答)

そのことに関して、外資とか特にどうこうということでのお話は今日はなかったと思います。

問)

PTのメンバーに加えて新たに3人加わったわけですが今回、川本さん、久保利さん、野村さんをどうしてそれぞれ選ばれたのかお聞かせいただけますか。

答)

基本的には幅広くですね、これは所謂再生プランを作る段階ではなくて、その出来た再生プランをいかに実行に移して、行政上での成果を出していくかということが今問われている点なわけです。したがって、法律の専門家、金融実務の専門家、様々な幅広い分野の人が必要であったということです。ですから公認会計士、弁護士、学者、産業界関係者、金融実務家、そういうカテゴリーから日本を代表する方に集まっていただいていると認識しております。

問)

開催のペースは、どんな感じでイメージなさっているのですか。

答)

基本的には、ケース・バイ・ケース、必要に応じてということになると思います。PTの場合は、とにかく1ヶ月でまとまったものを作らなければいけなかったものですから、相当の頻度でやりましたけれども、タスクフォースはそのような性格のものではないというふうに思います。私はなんとなく月に1度とか、そのような程度なのかなと漠然と思っておりましたが、今申し上げましたように最初は少なくとも問題意識を共有するためにももう少しやらなければいけないのかなという印象を持っております。ただ、これはメンバーの方々ともご相談をしなければいけないことでありますので、今の時点ではっきりとは申し上げられませんが、今申し上げたようなことを踏まえてメンバーの方々とご相談しながら、逐次決めていきたいと思います。

問)

先程の銀行の動きの評価の関連なんですが、今日国会答弁の中で「金融はようやく変わりつつある」ということを仰ったと思いますが、やはりそういう認識で考えておられるわけですか。

答)

基本的には、今日皆さんもおそらく半年前には考えられなかったような変化が出てきていると言っておられましたし、私もそのように思っています。非常に様々な試みが出てきたということは歓迎すべきであろうかと思います。しかし同時に申し上げているようにそれぞれの行為がまだいろんなプランが発表されておりますが、そんなにはっきりと全体像が見えているわけではありませんので、それがストラテジックか、サウンドか、シンシアーかというような点については当然のことながら今後見極めていきたいと思っています。

問)

モニタリングのイメージをもう少し教えていただきたいのですが、例えばある程度の時期になったら議論の中で個別の銀行を個別に議論としてみていくということは当然想定されるのでしょうか。

答)

個別の話になりますと、これは多分に経営の話でありますから、金融庁自身も個別の銀行の経営にどうこうという立場には基本的にはないわけです。その意味ではあくまでも結果を出すと、金融システム全体が強化されていくと、勿論個々のプレイヤーは銀行でありますから、その範囲においてそれぞれの議論になることはあり得ると思いますけれども、結果として不良債権が半減していくようにならなければいけない、その為に必要な議論をすると、それがモニタリングの意味であるというふうに思っています。

(以上)

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