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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨

(平成15年4月1日(火) 9時10分~9時27分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。閣議では、平成15年度予算成立に当たりまして、財務大臣と私の方から発言をさせていただきました。

財務大臣からは、平成14年度補正予算とあわせて、年度を通じた切れ目のない対応を図っていくこととし、その一環として年度当初から円滑な事業実施が図られるよう、本日速やかに公共事業にかかる実施計画の承認手続を終えることといたします。また、公共事業等の施行に当たっては、経済情勢を注視しつつ、機動的な施行を図ることとしております、といった話がありました。

私からも同趣旨でありますけれども、経済状況は主に横ばいであるけれども、イラク情勢等から先行き不透明感が増している。こうしたことから、平成14年度補正予算とあわせて継続的に平成15年度予算の執行をすることが重要である。経済情勢を十分注視しながら、平成15年度の公共事業の施行に当たっては、経済活性化効果の高い事業を優先的に実施するなど、機動的に執行していくことが必要であるというような趣旨の発言をさせていただきました。

もう一つ、内閣府の特命担当大臣として、特区法が本日施行になりましたので、その担当で鴻池大臣が内閣府の特命担当大臣になるということで任命がございました。

私の方からは、閣議に関しては以上であります。

1点申し上げたいと思いますが、昨日、企業内容等の開示に関する改正内閣府令が公布されまして、本日から施行されております。「金融再生プログラム」の関係で申し上げますと、この改正によりまして有価証券報告書等を提出する会社の代表者が、その記載内容が適正であることを確認した旨を記載した書面を有価証券報告書等に添付して提出することができることとなります。

この改正は、基本的には平成16年3月期の有価証券報告書から適用されるものでありますけれども、我々の「作業工程表」において、主要銀行においては平成15年3月期決算から実施を要請するということにしておりますので、昨日この改正府令の公布を受けまして、監督局長から主要行に対しまして、平成15年3月期の有価証券報告書からこれを実施するように要請を行いました。

私の方からは以上であります。

2.質疑応答

問)

昨日、大島農水大臣が、いわゆる政治と金の問題を巡って辞任されました。その後任人事を巡る調整も相当難航しましたが、こういった一連の動きが首相の求心力低下を露呈したことになるのではないかという指摘が大分出ているようですが、閣僚の1人として今回の事態をどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。

答)

半年間ご一緒に仕事をさせていただいた大島大臣がお辞めになるということは、閣僚の一員としては大変残念なことであるというふうに思っております。しかし、政治家として自らの決断をされたということで敬意を表したいと思っております。

その後の経緯につきましては、官邸の方でいろいろご調整されたことですので、私も詳細を伺っておりませんが、急に辞意を表明されて、その日のうちに後任が決まったということでありますから、これは官房長官も記者会見で言っておられたと思いますが、速やかに決まったのではないだろうかというふうに思っております。

問)

党内には竹中大臣をはじめとして、今の主要閣僚に対する不満や批判がありますけれども、今回の事態がそういった批判を加速することになるのではないかという見方もあるようですが。

答)

我々は構造改革を目指してどういう政策が必要かということを議論しながら、その改革の方向に向かって一丸となってやっているつもりであります。この改革そのものは、日本経済の将来にとって絶対に必要なことでありますし、これをやはりやらないと日本経済の未来はなく、それに向けて全力を尽くしているところでありますので、この改革についてやはり幅広くご理解をいただきたいというふうに思っていますし、これは総理自身が言っておられることでありますけれども、この改革の姿勢を変えることなく、私は全力を挙げてこの改革の実現に向けて努力をしたいというふうに思っております。

問)

イラクの戦争の長期化予測から株価が下がっておりまして、昨日の東京市場で年度末の株価が8,000円割れをして、ダウも8,000ドル割れという歴史的な事態になっていますけれども、株価がさらに値下がりすれば、金融機関や企業に大きな打撃になると思いますが、それを受けてまずこの株安ということをどういうふうに受け止めていらっしゃるか。それから政策的な対応、こういう株安を受けて時価会計の凍結とか補正予算編成ということが与党からかなり出ているわけなんですけれども、政策的な対応ということで今の時点でどういうふうにお考えか、お伺いしたいと思います。

答)

日本の経済は厳しい状況にありながらも、平成14年度はそれなりの成長実績を残しそうな見込みになっています。アメリカ経済についても実体経済そのものが著しく悪くなっているわけではなく、そうした中で世界的な規模で株価が非常に不安定になっており、押し下げ圧力が非常に強くなっているというのが現状であろうかと思います。

その意味では、実物経済と資本市場の乖離というようなものが世界的に起こっているというのが現状であろうかと思います。その要因は、やはり足元の実体経済がそれほど悪くないにもかかわらず、将来に対する期待が非常に低いところにあると解釈すべきだと思います。なぜその期待がそのように低くなっているのだろうかということですが、何といっても最大の要因は戦争に対する不安、それと今ご指摘がありましたように、戦争が長期化するのではないかという懸念が、やはりここ1週間ぐらい急速に高まる中で、日本、アメリカ、ヨーロッパの市場が再び非常に敏感になっているということであろうかと思っています。

我々としては、そうした中で幾つかやるべきことがあるかと思うんですが、基本的には先程も言ったように将来に対する期待でありますから、これは政府も構造改革を進めて経済全体を良くしていく。株価は、基本的には企業自身が今後自分たちの収益力をいかに高めていくのかという計画を評価したものであり、それがマーケットで前向きに正しく評価されていくような状況を作っていくということが、我々にとって出来ることであろうかと思っています。これは、政府にとっても企業にとっても、今我々がなそうとしていることを、更に着実に進めて信頼を勝ち取っていくことであるというふうに思っています。

もう一つ、政策的な対応ということを考えるならば、やはり構造改革を着実に進めていって、実体経済が更に長期的に良くなっていくというような十分な期待を持っていただけるような状況を作っていくことが、政府としてなすべき最大の政策であるというふうに思っています。同時に、実物経済と資本市場の動向の乖離というのを申し上げましたけれども、資本市場の動向が実物経済にマイナスの影響を与えないように、しっかりと注視していかなければいけないと思っております。しかし、当面の対策としては、先程も言いましたように、何と言っても構造改革をしっかりと進めて、その姿を国民、マーケットに見てもらって、将来に対するしっかりとした期待を持っていただくということが第一です。短期的には予算が成立したばかりでありますから、それを着実に執行する中で、しっかりと経済の実態を支えていきたいというふうに思っています。

問)

優先株から普通株への転換のガイドラインなんですけれども、これは「金融再生プログラム」では3月末までに、ということだったのですが、今後の見通しについて議論の方向性もあわせてお伺いします。

答)

平成14年度内にということで「金融再生プログラム」に盛り込まれたほとんどのことが行われたんですけれども、若干積み残したものがご指摘のようにございます。これについては、今一生懸命詰めを行っているところでありますので、我々なりに努力をして出来るだけ早く公表にこぎつけたいというふうに思っております。

議論の方向についてですが、これは「金融再生プログラム」に書かれています。しっかりと透明なルールをつくっていくというのが我々の目指すところでありますので、今できるだけ早く発表出来るように一生懸命努力をしているところであります。

問)

先程のお話の関連なんですけれども8,000円割れを起こしたことについて、金融機関、生保を含めての影響というのはどういうふうに見ておられますか。

答)

株式の評価そのものは、最終利益に影響を与えるわけでありますから、我々も注意して見守っております。しかしながら、今回の値によって何らかの危機的な状況が出て来るといったものではない。これは皆さんにもご理解をいただけるというふうに思っております。いずれにしても、株価の動向というのはいろんな意味で重要な指標であると思っておりますので、我々としてもしっかりと状況を見ていきたいと考えているところであります。

問)

今日は4月1日で、1年前であれば今日、ペイオフが全面解禁になる予定だったんですけれども、イラク情勢や3月中の株価を考えると、あの延期があって、預金動向が比較的落ちついたということは、延期については一定の効果があったのかという一面で、延期したことで金融行政が宿題を背負った部分もあるかと思うんですが、その点についてご所見をいただけますでしょうか。

答)

いろいろなご評価があろうかと思いますけれども、我々としては約2年という時間を区切って、その間に不良債権問題を終結させたい。そのためにいろいろな視点から問題点を積み上げて、今回の「金融再生プログラム」を策定しております。その間、国民、預金者に不安を与えないように、中小企業の金融が滞らないようにということで、一種の安全弁としてペイオフの解禁を延期しました。もちろん、その時点で今回のイラクのような問題を想定していたわけではありませんけれども、結果的には非常に不確実性が高まる中で、ペイオフ解禁の延期をしたということが一つの歯止めにはなっているというふうに私自身も思っております。しかし、同時にこれは一つの経過点に過ぎないわけでありますから、我々としてはその間に不良債権問題を終結させるという意味では正にご指摘のように非常に大きな宿題を背負っております。これは金融当局も背負っているし、銀行自身が背負っているし、国民経済的な課題であるというふうに思っております。今のような状況下で不確実性は大変高いですけれども、「金融再生プログラム」は着実に実行に移されつつあると思っておりますし、今のような厳しい状況を乗り越えて、ぜひ当初の目的、政策目標を達成したいと考えています。

問)

先程、銀行や生保の自己資本の部分では危機的な状況にはないと仰いましたけれども、銀行側にとっては増資をしたにもかかわらず予想以上に株式市場が低迷したということで、今期に入っても更なる増資をする考えであるということを何行か言っており、市場から調達するという姿勢は崩さないということも言っているんですけれども、金融庁としてはそのスタンスを支持し続けるのかどうか、市場からの調達にもし限界が見えてきたならば、何らかのスタンスの変更というのはあるのかどうかということをお伺いしたいと思います。

答)

この先銀行が自己資本に対してどのようなことをお考えになっているのかということは、現時点では私自身は詳細に承知をしておりません。これは今後の市場の動向、収益性の改善、いろいろな要因によっていろいろな議論が出てくるものと思っておりますので、今の時点で我々が何か判断するべき問題ではないと思っております。ただ、いずれにしても資本を調達したということで、これは戦争等々で株価が下落したということを考えると、資本の調達をしていなければ、やはりこれはより厳しい状況であったということは確かでありますから、その意味では「金融再生プログラム」に基づいて各行の努力が戦争の前に始まっていたという点は、良い点であったというふうに思っております。

今後につきましては、今申し上げたように、非常に流動的な情勢の中で各行がガバナンスを強化して、収益力を高めるという努力を行っていく中で、それぞれ最適な経営判断がなされていく、そういう性格のものであるというふうに思っています。

(以上)

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