竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨

(平成15年7月1日(火) 9時20分~9時29分 於)院内)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。閣僚懇で私の方から先般、「基本方針2003」で決められました、いわゆる新しい予算編成プロセスをモデル事業として試行的に導入するということに関して発言をさせていただきました。このモデル事業は、明確な政策目標の設定や厳格な評価など、成果が厳しく問われる一方で、政策目標を効率的に達成するため、事業の性格に応じて予算執行の弾力化を行うものである。各府省は、モデル事業を検討し、内閣府と意見交換の上で、ふさわしいものについてモデル事業として概算要求を行うこととされている、これは骨太の方針で決定されているわけです。このため、今週中にも内閣府からモデル事業の趣旨について説明し、各府省と意見交換を行う機会を設けたいと思います。モデル事業は、宣言、実行、評価、すなわちPlan・Do・Seeの新たな予算編成プロセスを確立される第一歩となるものであります。関係省のご協力をいただきながら進めていきたいと思います。各府省の積極的な検討を期待しますと、そのような発言をさせていただきました。

それを受けて、塩川大臣からも積極的に取り組んで欲しい、8月の概算要求にそういうものを生かして欲しい、特に科学技術等々でこれまでの経験も踏まえて新たな芽出しをして欲しいというようなご発言がありました。

片山大臣からも、これは政策評価をどうするかという議論そのものであって、前向きにやって行って欲しいというお話がありました。

総理からも、これは長年色々言われてきた予算の問題点を解決へ前進させて、実質的に同じ支出で効果を上げて、結果的にコスト削減になる非常に重要な機会だからというご発言がありました。

更に、細田大臣、扇大臣からも、積極的に取り組むというようなお話がございました。

閣議、閣僚懇に関しては、私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

まず最近長期金利の上昇が止まらないんですけれども、その原因分析と政府としての対策を伺いたいとおもいます。

答)

前回の記者会見でも申し上げたと思いますが、例えば昨日の上昇、その1週間ぐらい前の上昇、それだけを取り上げてどうこうと言う段階ではもちろんないと思っていますが、世界的なトレンドとして債券から株というポートフォリオの非常に大きな流れがあるのかな、と思っております。かつ、日本の場合は、やはり潜在的に非常に大きな財政赤字を抱えているという問題もあろうかと思います。そういったことに対する一つのマーケットからのサインとして受け止めて、我々としては経済の活性化、それと財政の中・長期的な観点からの健全化、それに努めたいというふうに思います。

問)

今日、日銀短観が出たんですけれども、大企業製造業はじめ二期ぶりに改善するというような数字が出たんですけれども、それについて感想をお願いします。

答)

閣議の直前の発表だったので、詳細な検討はまだしておりません。ただ、大きな方向としては基本的には予想の範囲であったということと、それとご指摘のように製造業の大企業を中心に前向きな指標も読み取れ、これから詳細精査をしたいというふうに思います。経済全体は、全体としては持ち直しの動きの中にあって、短期的には踊り場的状況でありますけれども、これを年後半にかけてしっかりと持ち直しの動きに持っていけるようにと思います。

問)

長期金利の関連なんですけれども、金融機関は大量の国債を抱えているわけですけれども、これに関して監督上の何らかの対応は考えられますか。

答)

これは基本的にはポートフォリオですから、非常に経営判断の、正に戦略的な部分でありますから、個々の会社のポートフォリオに対して我々が正に箸の上げ下げまで言う立場にはないと思っております。状況を適切に判断して、銀行各行は適切に戦略的な判断をしていかれるものだと思います。

問)

りそなの公的資金の払込が昨日終わった訳ですけれども、改めてこれまでの再生に向けた歩みを速いとみているのか、遅いと見ているのか、それから、今後改めてなんですけど、どんな銀行になるのかということをお考えがあればお聞かせください。

答)

ご承知のように、この週末細谷会長とは大阪のシンポジウムでご一緒させていただきました。大阪の経済人との懇談もご一緒にさせていただきました。昨日は、また細谷会長と川田社長、野村頭取、3人でご挨拶においでくださいました。その時も一貫して申し上げているんですが、着任したばかりですから非常に思い切って存分に経営手腕を発揮していただきたいというのが我々の今の立場です。着任されたばかりですから、早い遅いという判断をするタイミングではまだないと思っておりますが、非常に前向きな意欲を新経営陣は感じさせてくれておりますから、その成果にぜひ期待をしたいと思います。

問)

予算改革を伺いたいんですけれども、塩川さんから科学技術の分野のお話があったようなんですけれども、大臣としてはこういった分野、ニーズとしてはどうですか。

答)

どういう分野でどういうニーズが出てくるだろうかというのをより明確にするために内閣府が呼びかけて、これは各省庁の官房長に来ていただいて、この趣旨を説明して、一体どういうニーズがあるのだろうかということを我々も把握したいと思います。その上で、具体的にPlan・Do・Seeの制度設計をどのようにしていったら良いかということは、これは各省庁と相談しながら経済財政諮問会議の場等で、これは実際どのように柔軟な執行を認めるかと、どのような形で具体的な評価をしていくかと。評価に関しては総務省、各省庁、それと財務省の予算執行の調査、これはいろいろあるわけです。ですから、それの総合的な制度設計はやはり今後必要になってくる、そのいわば入り口として今回の説明を行うというふうに理解しています。

問)

概算要求までに制度設計は終えると。

答)

例えばどういう形で評価するかとか、そういう制度設計は終わらないと思います。ただ、どういう視点をもって制度設計に取り組まなければいけないかというのは、ある程度概算要求までには我々として把握していなければいけないんだと思うんですね。つまり問題意識をしっかりと持っていなければいけないと思います。制度設計は各省庁と、総務省初め各省庁と相談をしながら、それ以降の諮問会議等々の場でやはり積極的に議論していかなければいけないと思います。

問)

金融関連ですけれども、不良債権処理の税制の関連なんですが、交付国債を活用する話が浮上していますが、国会答弁で大臣は現金で還付するか、あるいは交付国債を使うか、いずれにしても還付という面ではかわりないというようなことを仰っていたと思うんですけれども、交付国債のようなものを使ったら、例えば税調を通さないで済むですとか、手続面では簡単になるという点もあるかと思うんですけれども、そういった場合に金融庁として積極的に要請なりしていく考えがあるのか伺いたいと思います。

答)

ちょっと今のご意見、私の理解が不十分なのかもしれないんですが、しかしそれにしても還付なんだと思うんですね。私が勘違いしているんだったらまたご指摘をいただきたいと思いますが、これはこの間国会等で答弁したことと同じになってしまいますが、還付するに当たってどの資産、現金という資産なのか別の資産なのかと。今ご議論いただいているのはそういう議論ではないのかなと私は理解しています。別の議論があるんだったらご指摘をいただきたいのですが、そうするとやはり手続としては、還付をするという一つの意思決定がまずあるのではないでしょうか。もちろん、資産によって意思決定そのものが若干の影響を受けるということも否定はいたしませんが、しかしそれはやはり本質的なところでは還付だと、私の理解ではそういうことなんですけれども。

(以上)

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