竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨

(平成15年7月15日(火)8時48分~8時57分 於)院内)

1.発言要旨

おはようございます。閣議がございました。特に私の方からご報告することはございません。

どうぞ。

2.質疑応答

問)

今、野党が経済失政ということで、大臣の問責決議案を提出する構えを見せていますけれども、それについて、今、大臣はどう受け止めていらっしゃるか、お聞かせ下さい。

答)

私は、構造改革は絶対に必要なことであるというふうに思っておりますし、同時にこの構造改革が着実に進捗しつつあるというふうに思っております。そういった立場で、総理を助けて構造改革を進めるのが私の役割だと思っておりますので、ぜひしっかりと構造改革を進めたい、一途にそのように思っています。

問)

その過程には、例えば失業率が高止まりしているとか、そういう悪い面も出ていると思うんですけれども、それについてはどう受け止めていらっしゃいますか。

答)

集中調整期間、あと2年ぐらい、これは成長率もそんなに高くないだろうし、不良債権処理の過程で幾つかの問題が生じると。これはもう当初から、「骨太の方針」や「改革と展望」で示してきた通りです。その狭い道だけれども、その狭い道をどうしても選ばなければいけない。その狭い道を決して踏み外しているわけではない。日本経済は、そういう意味では非常に高い潜在力を持って、そこを着実に構造改革が進みつつあるというふうに思っています。

問)

東京海上の圧力疑惑についてですけれども、コンプライアンス対応室の方で報告書などで裁量権とされる行政権の行使についてのルール化、マニュアル化について、できる限り行いたいというお話をされていますけれども、具体的にその作業等はどのように行い、また、それを取りまとめるような形で公表されるのかということはお考えですか。

答)

これは本当に、コンプライアンスというものが一体どのような形で一つの行政組織の中に定着していけるかという、かなり先駆的な場に金融庁がなるんだと思います。各省庁に先行してそういうことを今、我々がやろうとしているということだと思っています。

一体どのくらいのカバレッジを持って、それでどのくらいのペースで進めていくかということは、まさに久保利弁護士や野村教授と相談しながら今やっていますので、ちょっとどのくらいのペースになるか、今の時点では私自身もまだ把握はしておりません。

ただ、やはりできることからどんどんやっていかなきゃいけませんので、できることについては速やかにそのマニュアルを策定していく。それを公表すべきかどうかということについても、これはちょっと専門家のご意見を少し聞いてみなければいけないのだと思っています。私は、基本的には公表できるものがあるというふうに思っておりますので、早く、透明にやるという基本原則を大事に、専門家の意見を聞きながら、非常に先進的な行政のコンプライアンス体制を作りたいと思っています。

問)

続きまして、公的資金のあり方に関するワーキングチームなのですけれども、作業部会の方でも検討状況が最終段階を迎えていて、新制度が必要だというような部分ではかなりオーソライズができつつあるようなんですけれども、改めて、その新制度を作るとした場合、どのような銀行に対してどのような目的で注入する制度が必要と、大臣は考えていらっしゃいますか。

あと、新制度を作るということになったとしても、今の政治日程でいいますと、9月期であるとか、来年3月期辺りに間に合わせるというのは、臨時国会の関係なんかでも難しいような感じがするんですけれども、ここら辺の日程的なものは、大臣はどのように考えていらっしゃいますか。

答)

まず3点ご質問があったと思いますが、その内容に関しては、少なくともまだ今の時点では、いろいろな幅広い意見があるというふうに聞いております。それをどのような形で収斂させていくのか。これは今、最終段階でありますので、座長を中心に、ぜひその意見の取りまとめに努力をしてほしいというふうに思っています。

どういうところを対象にしているかということに関して、もちろんこれは明示的な個別の対象をイメージして、こういう政策枠組みを作っているわけではありません。ただ、もう当初から申し上げているように、危機ではないんだけれども、健康体ではない状況。これをやはり解決したいんだと、この問題を解決して行きたいんだという強い意思のもとに、こういうことをそもそも制度の必要性の有無も含めて検討をしていただいているわけでありますから、そこは今申し上げたような一般的な状況ですね、危機ではないけれども、まだ健康体ではない。そこに向けた対応策が必要なんだと思います。

3番目の日程のことは、これはまだ今の時点では、なかなか明確なことは申し上げられないと思っています。我々としてはしっかりと議論をして、その合意が得られたものについては、できるだけ早くそれを制度化していくのが行政の務めだというふうに思っておりますけれども、これは各方面とまた相談をしていきたいと思います。

問)

今日、15日付で内閣府幹部の人事異動があったんですけれども、内閣府審議官について、小林勇造さんが退任されて、坂篤郎さんが就任されるんですけれども、小林さんがこれまでやられていた分野というのは、どなたが担当することになるんでしょうか。

答)

これは河出次官を中心に、内部で色々議論をしていただきました。経済財政とか、そういったことの中心については、これは次官直轄で行うと。次官直轄の分野というのは非常に広くなると思いますけれども、内閣府自体が非常に広いテリトリーを持っているものですから。経済財政に関しては次官直轄でやっていただく。

それで、内閣府自体、新しい仕事がご承知のように増えています。これは食品衛生しかり、産業再生しかり。その新しい分野と、それと安心・安全にかかる分野については、新しい坂府審にやっていただく。そのような役割分担になったというふうに聞いております。

問)

一部報道で、赤字の銀行に対して業務改善命令を出すという方向で検討に入ったという報道がありましたが、これについてはどうですか。

答)

報道は承知をしておりますけれども、どのような形で監督行政を進めていくかと、その監督方針について、今の時点で決めたわけでありません。今はまだ決算について精査をしている段階でありますので、我々としてはまだ方針は決めておりません。

問)

いつぐらいを目処に。

答)

これもできるだけ早くというふうに思っておりますけれども、今まだ国会の対応で私自身が追われているということもありまして、これはできるだけ急ぎたいとは思っております。

問)

考え方としては、これまでの方針は、赤字の場合でも不良債権処理を積極的にやった場合とかはある意味で猶予してきたとかあると思うのですが、この考え方を変える方向なんでしょうか。

答)

基本的に、我々はしっかりとしたガイドラインを持っていますから、そのガイドラインそのものを変えるわけではありません。ガイドラインに則って厳密に監督行政をやって行くと、そういうことだと思っています。

問)

日銀で昨日、今日で金融政策決定会合をやっているわけですが、最近の市場の環境やマクロの動きなどから見て、今後、夏から秋にかけて、金融政策についてどういったことを期待されますでしょうか。

答)

福井総裁が就任されてから、私の理解では2つの点で非常に深いといいますか、いわゆる踏み込んだ議論をしていただいていると思っています。1つは、説明責任をどのように果たすかについてで、その説明責任の中で、そのインフレ目標の参照値のような意見も、今、検討されているというふうに聞いています。

もう一つは、金融政策の枠組みそのものを考えるということで、その枠組みの考えの第1弾として、トランスミッション・メカニズムの強化。それで、アセットバックド・セキュリティの活用とか出てきているわけですね。その方向は、私は大変適切な方向だと思っています。総裁中心にこの2つの方向で議論を深めていただくというのが、秋にかけても大変重要なことなのではないでしょうか。

(以上)

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