竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨

(平成15年7月29日(火)10時46分~10時56分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。閣議では、金融庁の幹部人事が今日了承されております。

あと閣僚懇では、財務大臣の方から新1万円札が今日から印刷にかかるということで、見本を見せていただきました。大変新しい技術を織り込んだ印刷だということで、そのお話がございました。

あと、今日は閣議で労働関係の統計が報告されております。中身については、今更申し上げる必要はないと思いますが、閣僚懇で、坂口大臣の方から「幾つか注目する点があるけれども、自営業及びその家族、その就業者が41カ月ぶりにプラスになった。41カ月ぶりのプラスであるが、これに注目している」という話がございました。

閣議、閣僚懇に関しては以上でありますけれども、私の方から1点申し上げます。

金融持株会社にかかる検査マニュアル、これにつきましては今年の4月に原案をパブリックコメントに付したところでございます。そこで寄せられたコメントについて検討を行いまして内容が確定いたしましたので、今日の夕刻、公表させていただきたいと思います。詳細はその際、検査局にお尋ねをいただければと思っております。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

今仰った労働関係の統計の中で、失業率は0.1ポイント低下したんですけれども、女性が低下する一方で男性の方が上がっているんですが、これをどう受け止めていらっしゃるか、コメントいただきたく思います。

答)

月次の失業率の変動というのは季節調整の技術的な難しさもありますので、今月、特にその内訳、男女がどうこうということに関して、なかなか確定的な判断は難しいのではないかと思っております。いずれにしても、就業者数が増えたという点で良いサインが出ております。

しかし雇用情勢が引き続き厳しいということは変わっておりません。我々としては、雇用の創出に向けて引き続き改革を通して努力をしていかなければいけないと思っております。

問)

昨日、金融審議会で3つの報告書がまとまりまして、信託制度の改革、公的資金、あと繰延税金資産が非常に注目された自己資本の報告がまとまったんですけれども、それぞれ金融庁としてどう受け止めて、今後の行政に反映させていくか、簡単にコメントいただけますでしょうか。

答)

3つの報告、それぞれ当初から位置付けがかなり違っていたというふうに思っております。信託の問題については、これは我々としても出来るだけ早く実務のベースに乗せて、法制化に向けて努力したいと思っている分野でありますが、それについては、そうした観点からのご報告をいただいたと思っております。

公的資金につきましては、その必要性も含めて非常に幅広い意見がある中で、幅広い意見を出来るだけきちっと出していただきたいと思っておりました。これは非常に幅広いご意見をいただいたと思っていますので、その幅広い提言がなされているという事実を踏まえて、金融庁の中でプロジェクトチームを作って、今後どのように行政としてこれを受け止めていくかということは、総合的に検討をしたいと思います。

繰り延べ税金資産については、これは当初から中間報告ではなくて経過報告であるということをもう去年の段階から申し上げておりました。これは一朝一夕に答えが出る問題ではありませんので、これは引き続き議論をしていただかなければいけない問題であります。我々が当初位置付けていたような報告をいただいたと思っております。

問)

「金融再生プログラム」を発表されて、昨日の報告で1つの節目といいますか、また宿題の部分もかなりはっきりしてくると思うんですけれども、「再生プログラム」の進捗状況と今後の展開についてどういうふうにお考えでしょうか。

答)

「再生プログラム」というのは、非常に包括的なものだと思っております。その包括的な政策を、どの点が特に弱いということがあっては困るわけで、どれも全面的にしっかりとやっていくということが我々の務めだと思っております。工程表もそのために作りまして、そうした方向に着実に進んでいると思っています。

その結果を測る1つの指標というか、メルクマールが不良債権比率でありますが、これは何度も申し上げているように、不良債権比率は、この「金融再生プログラム」を作成したこの半年、8カ月で着実に減り始めました。その意味では、「金融再生プログラム」の進捗に関しては自信を持っております。

もちろん、残された課題、先程言いましたように、庁内のプロジェクトチームで新たな枠組みについてどのようにこれを受けてやっていくか。残されたと言いますか、引き続いて努力しなければいけない問題も非常に大きいと思っておりますので、この半年の推移を踏まえてしっかりとやっていきたいと思います。

問)

公的資金のプロジェクトチームの件ですけれども、いつ頃を目途に、例えば結論を出したいとか、そういう大臣の意欲をちょっと聞かせていただきたいんですけれども。

答)

意欲はあります。

これから様々な政治日程も含めて色々な動きが出てくると。予算の編成のプロセスにも入っていくと。そういう中で、どのぐらいのペースでどのような成果が出せるかということは、その過程で見極めていかなければいけないと思っています。

ただ、我々としては、とにかく庁内のプロジェクトチームは早く立ち上げるつもりです。それで着手して、色々な状況に対応出来るように万全の体制を採っていきたいと思っています。

問)

プロジェクトチームの立ち上げの目途というのは、早くと仰ってましたけれども、具体的に今週なのか来週なのか、その辺の目途をもう少し具体的にお願いします。

答)

夏休みの状況がありますけれども、夏休みが終わってからということではないと思っております。

問)

お盆の前ということですか。

答)

まあ、お盆が夏休みかどうかちょっとよく分かりませんが、まあそうですね、そんなに1カ月も引きずるような問題ではない。2、3日で出来るかどうかと聞かれますと、ちょっとこれは色々な日程もありますが、正に速やかに立ち上げるつもりです。

問)

繰延税金資産の報告書の方なんですけれども、最終的にはいつ頃を目途にされていますか。

答)

我々としては、これは夏休みを経てこの議論を再開していただく。議論の再開はそのぐらいにしていただくのかなと。夏を経て9月頃に再開していただくのかなと思っています。

その過程で、実は考慮しなければいけない幾つかの要因が出てくると思います。1つは税制がどうなるかという話でありますし、更には例のBIS規制がどうなっていくかということ、これは要するに自己資本規制がどうなっていくかという中の話ですから、そういうことを見極めながら少し議論をしていただくのかなと。今回は経過報告ですから、次の取りまとめというのを、時間を区切ることは難しいとは思いますが、今申し上げたような要因を踏まえながら、出来るだけ議論を収斂させていっていただきたいなと思っています。

問)

改めてですが、今日人事が了承されまして、高木長官の件は告発の件もあり、今後も火種として残る可能性がありますが、大臣は、金融行政の混乱への不安とか、そういうのはおありではないですか。

答)

先程申し上げましたように、「金融再生プログラム」の実現に向けて、一丸となってやっていくのが我々の務めだと思います。高木長官には、当然その先頭に立ってやっていただきたいと思っておりますし、一方で、この間に提起された、例えば出来るだけ色々なことをルール化していこう、マニュアル化していこうと、この努力は、これはこれで、またすぐ我々なりにしっかりとコンプライアンス対応室の専門家とも相談しながら始めたいと思います。

(以上)

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