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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨

(平成15年8月1日(金)9時45分~9時58分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。今日は、平成16年度予算概算要求基準につきまして、昨日これは諮問会議でも了承いたしましたが、今日閣議として了解いたしました。

これに関連しまして、私の方から閣議の席上で次のような発言をさせていただきました。本日閣議了解された平成16年度予算概算要求は、6月27日に閣議決定された「骨太第3弾」及び、先般、諮問会議で取りまとめられた「16年度予算の全体像」を踏まえたものです。

概算要求基準でも示されているように、平成16年度予算では、予算編成のイノベーションとして「政策群」や「モデル事業」の取組を進めることとしております。具体的には、「政策群」によって、事前の目標設定を明確に行い、その実現に向けた規制改革や制度改革等を推進するとともに、必要となる歳出の重点化を行うこと、「モデル事業」により、明確な目標設定及び評価と弾力的な予算執行によって、事業の効率化を進めることを推進してまいりたいと考えます。

これらの試みは、予算の無駄を省き、歳出の質の改善を更に進めるために重要な取組です。関係大臣の積極的なご協力をお願いいたします。

以上のような発言をさせていただきました。

閣議及び閣僚懇に関連しまして、特に報告すべきことはございません。

私の方から、1点ご報告をさせていただきますが、実は金融庁の中に金融研究研修センターという組織がございます。これは、金融に関する研究を行う、それと庁内職員に対する研修を行う、これを効果的に連携させて推進していくために、ちょうど2年前、平成13年4月に発足させた組織です。これは、庁内では先端的な金融理論──金融工学とかそういったもの、それと金融技術等に関する知識をそこで蓄積する。それを生かして、不断に職員の専門性などの向上を図っていくというための組織であります。これまで、このセンター長は内部の人材、具体的には総務企画局の総務担当審議官が兼務していたんですけれども、この度この研究研修センターは、このような状況下で更にその活動を活性化させたいという思いを持ちまして、外部から研究センター長を専門家の方にお願いするということといたしました。具体的には、慶応義塾大学経済学部の吉野直行教授にお願いしまして、このセンター長をお引き受けいただくこととなりました。本日の発令を予定しております。

言うまでもありませんが、吉野先生は、この金融、パブリック・ファイナンス、日本を代表する専門家でいらっしゃいます。我々としては、ぜひ吉野先生のいろいろなご指導をいただきながら、我々のそのセンターの機能を高めていきたいと思います。

具体的に3点申し上げたいと思いますが、研究とか調査の活動をより深いものに進化させたいというのが第1点です。第2としては、国内外との知的交流を、このセンターを通して図りたい、これが第2点です。第3としては、それをもって我々の広い意味での政策立案能力向上を図りたい。そのような形で、吉野先生にご活躍いただきたいと思っております。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

今仰った吉野先生ですけれども、これは大臣の方からお話を持っていかれた案件なのでしょうか。

答)

そうです、はい。

問)

その時に、具体的な政策研究分野については、何かお話しになったのでしょうか。

答)

具体的な活動について、今日の発令を予定しておりますので、これからご相談をしていかなければいけないと思っております。

ただ、先程言いましたように、金融技術は金融工学の分野を中心に物すごい速度で進歩しているということが一方であります。もう一つは、我々、よく役所の説明責任というのが言われますが、その説明責任というのは、政策の現場での説明の話もあれば、より基本的なファンダメンタルなところでの知的交流というのがあるのだと思います。そのファンダメンタルな部分をぜひ担っていただきたい。第1弾として何をやるかというのはこれから相談いたしますが、私としては、せっかく吉野先生に来ていただくことでもありますので、少し目に見える形でシンポジウムを開催したりとか、そういう活動、交流の場を是非作っていって頂きたいなと思っております。

問)

公的資金を注入した銀行に対する業務改善命令を出す、出さないという話なんですが、行政処分の前に相手の意見を聞く弁明の機会というのがあって、先日、銀行の方から色々な意見が出てきたようですけれども、まずこれに対するコメントと、命令と言うか、処分そのものは、どういう手続、どういう距離感で進めていくのかお聞かせください。

答)

我々としては、今、繰り返しになりますけれども、その検討の最終段階でございます。昨日も夕方に申し上げたことになるんですけれども、今回の件はそれぞれ色々な立場でいろいろな言い分はおありなわけですけれども、我々が意図しているのは、今回検討している業務改善命令と言うのは、当期の利益が計画に比べて大幅に未達の先に対して、収益の改善計画を提出して欲しい、そういうことを求めるものであります。こういうことを、公的資金、国民負担のことも考えながら、公的資金を注入している銀行に対してそういうことを求めるというのは、我々としては当然の責任であると考えております。距離感と仰いましたけれども、基本的な我々のスタンスとしては、今申し上げたようなことになります。

問)

今日から総理が夏休みに入られるようですけれども、大臣は今年の夏をどう過ごされるのでしょうか。

答)

大変いいご質問、ありがとうございます。

具体的にどこに行くとか、そういうことを考えているわけではありませんが、私が休まないと皆さんも休めないというその波及効果も考えて、しっかりと休みを取らせていただきたいと思います。その間に、今後色々な政策を総理はお考えだと思いますので、我々なりになかなか日頃できないような勉強をしっかりとして、インプットをしたいなと思っております。

問)

業務改善命令について、最終的な検討に入っているということなんですけれども、1つ確認というか、その際判断する材料として、市場の信認低下という要素も考慮に入れるのでしょうか。

答)

それも含めて、当然のことながら検討の対象になると思います。

ただ、我々としてはルール通りにやると。そのルールとしては、ガイドラインもあれば健全化のための法律という枠組みもある。いずれにしても、その枠組みに則ってやっていくということです。

問)

最終段階にあるということですけれども、タイミングとしてなぜ今なのかということと、そのメッセージですね、あとその主旨と言うのは昨日も今もお話しいただきました。今もお話いただきましたけれども、それをもし発動するのであれば、それを通じてどういったメッセージをお伝えしたいのかということを教えて下さい。

答)

なぜ今かということですけれども、決算が出て、その決算を我々なりに精査して、それでフォローアップしていくというのは毎年この時期であると思います。ですから、我々としては、ごく自然体でそのことを検討しているということになります。

メッセージですけれども、これは我々としては、資産査定をきっちりとして自己資本を充実して、ガバナンスを強化して収益力を上げると。それをすべて同時に達成しないと、不良債権問題の解決というのはできないわけです。今回は、そこでのガバナンスと収益力の向上という部分に相当するものでありますけれども、その部分に関して、やはり民間金融機関として是非努力して欲しい、それが我々が今検討していることのメッセージなのだと思います。

問)

タイミングの話ですが、外部環境の変化ですとか株式市場の改善とか、そういうこととは関係ない、あくまで決算との関係ということですか。

答)

その通りです。

問)

今の件について、今の検討対象になっている銀行は、やはりガバナンスがまだ十分しっかりしていないというご認識ですか。

答)

自己資本の問題に関しても、ガバナンスの問題に関しても、資産査定の問題に関しても、常に上を目指してやっていかなければいけない、それぞれをそれぞれの分野で向上させなければ、パワーアップしなければ、不良債権問題の解決はないと思っております。だからこそ、今申し上げた3つの視点に注目して「金融再生プログラム」を作って、それ実行に移していっているわけです。

問)

一部報道で、近づく改造の後も閣僚に残る自信があるという発言をされたという報道がされていますけれども、その事実関係をちょっと確認させて下さい。

答)

最近インタビューで、その人事のことについて問われる機会は非常に多いのですけれども、私は必ず判で押したように同じ答えをしております。人事の問題は人事権者が決めることであって、私はコメントする立場にありません。報道されている外国の新聞社に対しても、私は同じ答えをしております。にもかかわらず、そうではない報道がなされているということに対しては、これは本当に正しい報道を行っていただきたいものだと思っております。文書をもって、今日のうちにでも抗議しようと思っております。

問)

金融研究研修センターというのは、独立行政法人ですか。

答)

内部組織です。

問)

今日から、住宅ローンの金利が引き上げられると思うんですが、その件に関して2つ。まず景気に与える影響をどのようにお考えになるかということと、あと各銀行は住宅ローンに非常に力を入れていると思うんですが、今回の引き上げが銀行の収益面などに与える影響について、どのようにお考えになっているか。

答)

まだ各社の詳細な情報を聞いておりませんので、そのインパクトを今の段階で私の方から申し上げる素材を持っておりません。

ただ、一般論として申し上げますと、前者の質問に関しては、ここのところ住宅投資そのものが、割と従来、少し前に比べるとよい基調になっていると思っております。そういったトレンドの中で、これはもちろん上昇幅にもよりますけれども、それが非常に大きな直接的なインパクトを与えるということではないだろうと考えています。

逆に、2つ目の質問である収益のインパクトに関しても、これもどのぐらいの規模であるかということでありますし、あと銀行は、新規の融資だけではなくて、ストックの資産の運用で食っていっているわけでありますから、これが直ちに大きなインパクトをまた与えるということでもないのだと思います。

これは、いずれにしても、リスクとリターンとの関係、マーケットの状況を踏まえた経営判断の問題でありますから、これは各社でしっかりとやっていただきたい。我々としては、どのようなことになっているか、情報の収集も含めてしっかりと見ていきたいと思います。

(以上)

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