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竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨

(平成15年9月22日(月) 11時55分~12時08分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

それでは、臨時閣議が開かれました。

閣議において、各大臣の辞表の取りまとめが行われました。

最後に総理がご挨拶されまして、「今回の自民党総裁選で再任された。今、これを機に内閣改造を行いたいと思っている」と。「今、構造改革の芽が出始めた。これを大きな木に育てなければいけない。今日までこの改革の芽を出すに当たって、皆さんの協力は非常に大きいものがあった、感謝している。今後、構造改革路線は堅持してやっていく。そして経済をしっかりと活性化させていきたい。皆さんはその構造改革の仲間であり、いかなる立場にあろうとも、引き続き是非協力をしてほしい。」そのようなご挨拶が総理からございました。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

では金融庁の方から。とりあえず、いったんお疲れさまでした。

それで、大臣の今後の去就といいますか、どういう方面で活躍されるかについてが一番の焦点というふうに言われていますが、総理から何か言われておられるでしょうか。

それとは別に大臣自身の意欲としてはいかがでしょうか。

答)

これは取材される皆さんも同じ質問ばかりで大変なんだと思いますが、こちらもこれは人事の問題でありますから、総理からはもちろん、これは人事権者である総理が事前にそういうことをお話することはないわけであります。内閣改造は大変重要なイベントであります。人事権者が責任を持って、ここは重要なご決定をなされるのだというふうに思っています。

問)

とりあえずこの1年、金融担当大臣を兼務されてから1年を振り返って、「再生プログラム」路線を進めてこられましたが、その中でもとりわけ一番の成果と自負されておられることと、あと現時点でまだ今後の課題として少し気になっていること、金融担当大臣のお立場で1点ずつお願いします。

答)

「金融再生プログラム」という不良債権問題の終結に向けたきちっとした枠組みを作ったということが、非常に大きな前進であったと思います。その枠組みに則って実行しているからこそ、不良債権は明確に減少を始めて、不良債権問題の出口がようやく、まだ先ではありますけれども、見えているという状況、ここが金融庁として、金融庁職員が非常に頑張ってやってくれた点だと思っています。

もちろん経済の問題でありますから、課題は常にたくさんあると思っておりますけれども、そうした中で、金融機関のガバナンスを強化していくということが引き続き重要な課題として残っていると思っています。

問)

それでは、経済財政からも2点ほどお伺いしますけれども、まず構造改革を掲げておられる総理が大差で再任されたということについて、これは構造改革を進める意味で、竹中大臣としてどのように見ておられるのか、まずそのご感想をお願いします。

答)

総理は、一貫して構造改革の必要性、重要性を訴えてこられた。そのことに対して、やはり構造改革を進めなければいけないんだということに対して、基本的に多くの支持があるということだと思っております。こうした基盤に立って、総理が更なるリーダーシップを発揮されて、構造改革を進めていくということが日本にとって何よりも重要なことだと思います。

問)

この間、竹中大臣は構造改革の旗頭のような役割をされてきたと思うんですが、具体的に先程の金融と同じような質問になりますが、どのような成果をこれまでに生んでいるのか、ご自分で自負されている点を何点かお伺いしたいと思います。

答)

構造改革というのは非常に幅広いものでありますし、その定義上、言うまでもなくそれぞれ一つ一つとっても非常に時間のかかることだと思います。そういう観点から非常に我慢強く構造改革を進めるという姿勢が、常に政府にも求められているし、企業にも国民にも期待されているんだと思います。

構造改革に関して、その意味では「骨太の方針」、それと「改革と展望」という1つの大きな枠組みを示して、一つずつ重要な問題を俎上に乗せて前進をさせている。そうした枠組みそのものが進行しているということが重要なポイントであろうかと思います。

問)

大臣がこのまま経済財政政策担当大臣を代わられた場合に、そういった枠組み、進め方が後退するといったご懸念はございませんか。

答)

基本的には総理がリーダーシップをとって、これまでの枠組みを作ってこられて、それを推進してこられたわけです。総理ご自身が非常にその構造改革を重視して、非常に強い姿勢で臨まれているということ、これは大変重要な点であると思いますし、その総理のリーダーシップは引き続き非常に強力に発揮されるというふうに思っております。

問)

今まで大臣は兼務という2倍のお仕事をされてきたと思うんですけれども、正直いかがでしたか。

答)

当初、海外でのスピーチなんかで、冒頭のジョークで使ったんですけれども、「兼務をして仕事の量は2倍か3倍になった。責任は10倍になった。しかし、給料はそのままである」と、そういうイントロでよく話なんかをしたんでありますけれども、その意味では、大臣の仕事そのものはやはり激務でありますから、兼務というのはそれなりに大変時間の制約等を含めて負担は非常に大きいものがあると思います。しかし、同時にこれは金融庁と内閣府の皆さんがその分非常に頑張ってくれているし、総理を初め皆さんも、官房長官もサポートを十分してくださっております。そうしたおかげで何とか1年間やってこれていると思っています。

問)

もう一度続けたいというか、兼務は今後もおやりになりたいというお持ちはおありになりますか。

答)

これは人事の話ですので、先程と同じように人事権者がお決めになることだと思います。

問)

それにちょっと関連するんですけれども、金融担当大臣と経済財政政策を兼ねられたという点のメリットですね、そういうのがあったとすればどういうことなのか。

答)

今、日本でやらなければいけないことはたくさんありますけれども、それはバランスシート調整なわけですね。不良債権処理というのは、金融機関のバランスシート調整です。しかし、その金融機関がバランスシート調整をするということは、その向こう側で産業・企業のバランスシート調整がある。そういう意味では、金融と産業、経済の一体的な再生という点では、兼務をさせていただいた、そういった利点はあったのだろうというふうに思っています。

問)

この1年、金融担当相として、あまりないぐらい批判も多かった。成果を上げる一方で批判も多かったところもあると思います。この点、これで100%よかったのか、あるいはもっと違ったやり方もあったのか、振り返っていかがでございますか。

答)

違ったやり方があったとは思いません。私が進めている改革というのは、経済政策のことをきちっと深く考えておられる方から見ると、私は当たり前のことをやっていると思っております。

しかし、改革というのはある意味で現状否定の部分がありますから、それについて反対があるというのは、これはある意味で当然のことなんだと思います。しかし、反対する人がいれば、それを上回る賛成してくれる人がいると。であるから、小泉構造改革は進んでいると思っています。

問)

「金融再生プログラム」の発表前後で、銀行株が急落した経緯があったんですけれども、この1年間金融担当大臣として、マーケットとの対話はどれぐらい十分にできたかという自己評価は、対マーケットの自己評価はいかがでしょうか。

答)

マーケットとの対話というのはもう少し長いスパンでやはりやらなければいけないものだと思います。いろいろな情報にマーケットはマーケットで反応する。そのマーケットの動向を見ながら、我々も政策運営をきちっとしていく。こうした評価はもう少し長いスパンでなされればよいと思います。

問)

実体経済への影響的には。

答)

為替レートの日々の変動のことはなかなか私の立場からは申し上げられませんが、基本的には、これは前回の記者会見でも申し上げたと思いますけれども、為替レートの動向は正に中期的な動向が重要なのであって、日々の変動ではなくて、それが一定のタイムラグを経て、中期的に実体経済に影響してくるというものだと思います。しかし、為替レートそのものは言うまでもなく市場の実勢に応じて需給を反映して決まっているものでありますから、我々としてはその動向を注視しながらしっかりと経済運営をしていきたいと思います。

問)

大臣が金融相を担当される前は、例えば金融庁の検査の内容であるとか、いろいろな疑念を持たれていたところがあったと思うんですが、実際に1年大臣としておやりになって、金融庁の組織とかそういったものに対する見方というのは変わられたんでしょうか、どうでしょうか。

答)

これは私は金融担当大臣を兼務する前からも、検査などは非常にしっかりとやられていると思っておりましたし、実際にそのとおりだと思います。日本のこうした金融監督・検査の体制そのものは、歴史が非常に新しくて、制度を一生懸命見直しながら、今まだまだ進化をしている段階だと思います。

よく例として申し上げますけれども、不良債権の開示が法律で義務付けられたのはせいぜい3年ぐらい前の話ですから、非常に新しい。その中で、常にやはり制度を進化させていくということは、大変必要なことであるし、我々はこれからもそれを続けていかなければいけないと思います。

問)

2005年にペイオフを控えているわけですけれども、今株価もかなり戻ってきましたが、現状、金融危機の懸念というのはどの程度まで払拭されつつあるんでしょうか。

答)

そういうことはなかなか予測できるものではないと思いますが、基本的に就任当初から、日本の金融は危機的であるとは思っていないと。しかし、完全な健康体であるとも思っていないと。治すべきところは治さなければいけないと、そのように申し上げてきました。それが今治る方向で着実に動いている状況なんだと思っています。従って、この動きを加速して、更に具体的な形にしていくことが、金融行政の非常に重要な課題だと思います。

(以上)

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