英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨

(平成15年9月26日(金) 9時51分~10時04分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。私の方から特に閣議でご報告する点はございません。

閣僚懇では、今朝の北海道地域の地震の報告が防災担当大臣はじめ関係の各大臣からございました。総理からは、各省庁連絡を密にして万全の対策を取るようにというご指示がございました。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

最近、大臣は先送り型の再建をさせないようにしっかり見ていくということを頻繁に言っておられますが、これはガバナンスの問題とも絡むと思うのですけれども、そういう事例が今金融機関で多いと。それはガバナンスの体制がしっかりしていないという認識でいらっしゃるというふうに考えてよろしいでしょうか。

答)

必ずしもそういうことではなくて、これから決算、中間決算等々、色々出てくるわけですけれども、その中で、再生に向けて色々な努力がなされていくと思います。これは、再生に向けて努力が進んでいる点は非常に私も期待をしておりますし、評価をしています。であるからこそ、そうした中身は非常にしっかりしたものでなければならないという点を申し上げているわけです。これは、評価は大変難しい面があると思います。だからこそ、検査局の中に専門家を集めて検証チームも、再建計画の検証チームも作っているわけですので、ここはしっかりと銀行の方にも見ていただきたいし、我々もしっかりと対応していきたいと思います。

問)

新しい公的資金投入制度に当たって、大臣は技術的な要因としてガバナンスの強化を挙げていますけれども、その1つに経営責任の取り方、あり方というのがあると思いますが。

答)

これは大変難しいから、時間が少しかかるなと思っているわけで、今の時点でどういう方向がいいというふうに思っているわけではありません。しかし、問題を正面から見据えて、問題の所在と制約の要件、これは徹底的に庁内のプロジェクトチームで議論をさせるつもりです。

問)

地域金融機関の強化策の傾向、分析の発表というか、それは大体目途が立ちましたでしょうか。

答)

これはすごい数ですので、今、鋭意進んでいるはずです。概要についての報告は一度受けておりますが、詳細について、これは今担当部局で詰めているところだと思いますので、私も急がせたいと思います。

問)

概要を受けての評価みたいなものは。

答)

これは非常に多様だと思います。その本来の趣旨から言ってやはり多様なものであるべきだと思います。だから、全体としてというのは中々申し上げるのは難しいのですが、私としては多様な競争をして欲しいと思っていますので、どういう形でこれを国民の皆さんに見ていただくようにするのがよいのか、そういう点も含めて是非検討をしていただきたいと思います。

問)

円高が相変わらず続いております。改めてですけれども、日本経済に与える影響などについてどのようにご覧になっているか、お願いします。

答)

難しいですね。円高、たとえばドルが、円が1%高くなればそれが貿易にどのような影響を受けるかと、ある程度統計的には把握できます。それで貿易のウェイトがある程度判るわけですから、マクロのGDPに対する影響というのは、その限りにおいてもやはりある程度の把握はできます。それはもちろん皆さんもできるわけで、民間のシンクタンクも行っているわけです。

もう1つは、何度も言っているわけですけれども、中期的なトレンドが、状況が問題で、ここ1週間の為替レート云々で議論はできない。そういう観点と、あとタイムラグをどう考慮するかという問題が色々あります。結論からいうと、当面マクロ経済に与える影響が非常に大きいとは思っておりません。しかし、この変化が急である場合には、やはり特定の部門等に非常に対応が求められる場合があり得ますので、その意味において、急激な変化はやはり好ましくないと、その点をしっかりと見ていきたいと思います。

問)

あともう1つすみません。伊藤副大臣が経済財政政策の方も兼務なさるということなんですが、行政運営上のメリットというか、その辺を。

答)

私が兼務していると、それと全くオーバーラップする形で伊藤副大臣にその仕事をしていただけることになりました。私としては大変うれしく思っています。恐らく、金融庁、内閣府の皆さんもそのように思っておられると思います。大臣と副大臣というのは、非常に、私から見ると副大臣に補っていただいて、いろいろ総合的に政策を進めていかなければいけませんので、大臣と副大臣の総合力というのをぜひ発揮できるように、引き続き非常に強いタッグを組んでやっていきたいと思っています。

問)

地震ですが、ATMなどの故障とか、そういった被害は。

答)

今のところ、被害の報告は聞いておりません。もちろん財務局を中心に、これは9時から業務をしているわけですけれども、そこは非常にきめ細かく今様子を見ているところであります。今、調査をしているところであります。

問)

麻生総務大臣も郵政民営化について、再来年度の国会への法案提出について、難色というか、困難な作業ということを仰っていますけれども、そこについて、総務大臣と調整をされるとか、あるいは、その総務大臣の発言に対して、竹中大臣はどういうふうに思っていらっしゃるんでしょうか。

答)

直接、私は発言を伺っておりません。基本的には麻生大臣は改革推進論者であると以前から思っております。諮問会議は今日、新メンバーで開催されますので、その中で非常に建設的に議論を進めていきたいと思っております。

問)

民主党のマニフェストを精読されたご感想をお聞かせいただきたいと思います。

答)

安倍幹事長が「改革と展望」こそがマニフェストであるというふうに言っておられますが、私は大変適切な表現だと思います。つまり全体としての姿がどうなっていくかということがマニフェストで一番重要なわけであります。いろいろな政策を議論するというのは大変重要でありますけれども、結果として、その間のマクロ経済がどうなっていくのかと、財政赤字がどのように推移していって、プライマリーバランスがどのぐらいの速度で改善されていくのかと、この全体の設計図がないとマニフェストとは言えないと思いますが、そうした点に関して,十分な議論がなされていないと。これは政策論争を、本物の政策論争をするためには、我々が言う「改革と展望」の試算の部分に当たるものを示していただかないと、これは政策論争にならないと思います。

問)

非常に少しだけしか言及されていなかったんですけれども、一応金融の部分も言及されていて、その金融の部分は必要があれば公的資金を投入とか、大企業向け融資と中小企業向け融資は区別するとか、基本的に「再生プログラム」と一緒のような気がしたんですけれども、あの辺の部分は我が意を得たりみたいな感じはされませんでしたか。

答)

「再生プログラム」の根本的な考え方を非常に粗っぽく書くとああいうふうになるのかなと思います。

問)

郵貯と簡保の問題、非常に難しい問題で定型的に言えないと思いますけれども、今、大臣この時点で考えていること、方向性といったものはありますか。

答)

これから話し合いをするところでありますし、制度設計は非常に難しいと思います。ただ、郵政の問題がなぜ重要かということに関しては、記者会見で申し上げましたけれども、これは官が取り込んでいた部分、官業の民間開放なわけですね。この部分は正に郵貯と簡保に非常に当てはまる部分だと思っています。官業の民間開放という観点からどのような制度設計がよいかということを考えていくのが基本的な方向だと思います。

問)

先送り型の再建策の話ですけれども、大臣のご認識は今ある再建策、いろいろな企業が出していますが、その中にも多数か幾つかは先送り型であると、従って、それはいけないよというお話なのか、今あるのはもうみんな先送り型でないきっちりしたものであって、これから作っていくものについては先送りしちゃいけないよという認識なのか。評価をお願いします。

答)

まず個別の問題について、ちょっとお答えはできません。ただ、私が申し上げていますように、監督の制度として今あるもの、これから出てくるもの、これは専門的な立場からしっかりと再建計画を検証しなければいけないと思っております。そのための検証チームがありますから、そこは今申し上げたような基本的認識、原則論に則ってしっかりと見ていくと、そういうことを申し上げているわけです。

問)

先程、円高の中で、変化が急激な場合に特定の部門への影響がという、その特定の部門というのは例えばどのように認識していらっしゃるんでしょうか。

答)

これも一概には言えませんけれども、輸出に直結する部門というのは当然その中に入ってくるわけですが、その中にもいろいろあります。採算レートを非常に円の高いところに設定して競争力を持っている企業も多数ありますから、それほど直接的にこの部門でこういう影響ということも中々言えないけれども。非常に多様化していると思います。

問)

昨日、りそなホールディングスは、役員の若返り、平日の営業時間の延長や休日の営業などについての施策を発表いたしました。これについて、当局としてはどのように見ていらっしゃるのか。

答)

これも個別の経営判断の部分について、どうこう申し上げるつもりはありません。特に若返りとかというのは人事の問題でもありますから、それについて特別に申し上げることはありません。ただ、一般論としては、厳しい競争環境の中で、正に経営改革に向けて様々な努力、試みをされるということは必要なことであろうと思いますから、これはりそなに限らず各社大いに競っていただきたいと思います。

問)

個別案件ではありますが、特別支援行であり、監視チームを金融庁として派遣しているといった立場からはコメントできないでしょうか。

答)

これは以前から申し上げていますように、そのガバナンスとオートノミーの部分はきっちりと分けなければいけないと思います。ガバナンスを強化するための枠組みは、これは特別支援行であるし、我々はある意味で出資者でもあるわけですから、株主でもあるわけですから、しっかりと作っていただく。しかし、個々の経営判断は、これは経営者の非常に柔軟で自由な経営判断に任せないと、これは経営が硬直化する、その部分が正に自治、オートノミーの部分だと思うんですね。そのオートノミーの部分に関しては個別に、むしろ申し上げない方がよいわけで、我々が作った枠組みの中で大いに力を発揮していただきたいし、大いに競っていただきたいと思っております。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る