竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨

(平成15年10月3日(金) 8時52分~9時04分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。閣議、閣僚懇を通して、特に今日はご報告することはございません。

2.質疑応答

問)

昨日、官邸で総理とお会いして金融情勢についてお話したということだと思うんですが、その中にはりそな問題とか、今後の課題である地域金融機関の話とか、そういうものを含めてというような感じですか。

答)

昨日はご承知のように、定期的に行っている金融情勢の報告を行いました。今、決算の体制に入っておりますので、今後、決算が出てきた段階でいろいろご報告するということに、銀行の問題に関してはなると思います。

昨日は、むしろ報告の中心になりましたのは、最近の不良債権が明示的に減る方向が明らかになっている中で、金融の業界の中に新しい芽が出始めたと、そういうことを中心にご報告をいたしました。

これは、昨日の国会の答弁でも私申し上げましたけれども、これは三井住友の例ですけれども、1年ぐらいの間に4,500億円ぐらい無担保、第三者保証なしの無担保保証の融資が急拡大していると、そういう話でありますとか、これは今リレーションシップ・バンキングの報告、強化計画が寄せられておりますけれども、そうした中にも同様の報告がありまして、そういうことを中心に報告しました、それと株価ですね。総理はそういったことに大変興味を示されました。

問)

日本公認会計士協会の奥山会長が、ある通信社とのインタビューで、繰延税資金資産が突出している地銀はごく一部に限られていて、監査ですぐにアウトというような可能性は低いのではないかといったことを仰っていたんですが、大臣のこの辺の地域金融界の繰延税金資産に対するご認識というか、その辺をお願いします。

答)

奥山会長のインタビューは、私は直接存じ上げておりません。繰延税金資産に関しては、これまでも監査法人の方でしっかりとルールに則って監査をしてきていると思っておりますし、そうした中での会長のご認識を示されたと思っております。

私自身は、決算の数字等をまだ見ておりませんので、特に申し上げることはございません。

問)

先日、日銀短観が発表されまして、これは大企業のDIで、経済の景況感が2年9カ月振りにプラスになったということですけれども、改めて大臣の景況感について、従来は、踊り場から脱しつつある状況だということですが、もう踊り場から脱したということが言えるのかどうなのかということも含めて、現在の景況感をお願いします。

答)

基本的には、想定しているシナリオを裏付けるような結果になったと思っております。特に景況感というのは今回特に大事だと思っております。経済というのは数字が悪い時には、数字が悪い悪いなどと言われるわけです。数字が少し良くなると、数字は良くなったけれども実感が伴わないというように、必ず、お決まりで批判されるわけですが、景況感というのは正に実感でありますので、その実感についても変化が見えてきているということなんだと思っております。

しかし同時に、これは皆さんにも何度も質問をいただいておりますけれども、もちろん今後考えていかなければならないリスク要因もあるわけであります。こうした時期にこそ、本当にこのマクロ的に良くなっている効果を各地域に、各分野にしっかりと浸透させるようにしていく必要がある、その意味で大変重要な節目であるという気もいたしております。

今日、諮問会議で、こうした点を踏まえて地域と雇用について、民間議員から提案をしてもらおうと思っておりますので、この点はしっかりとやりたいと思います。

問)

それにも関連するのですけれども、大臣は官業から民業への開放ということを仰っていまして、今日一部報道にもあるんですけれども、そのための法律を整備なさるということが民間議員からの提案という形で出るという報道があるんですが。

大臣は、こういう法律的な措置を講じるということについての必要性、法律的にやるといっても、かなり広範囲と言いますか、いろいろな法律も関係してくるのではないかと思うんですけれども、具体的にはどんなイメージでお考えになっていらっしゃるのかということをお願いします。

答)

その点を是非しっかりと見極めるために会議をして、また事務的にも詰めさせなければいけない問題だと思っています。官が独占してきた部門の民間開放、これはご指摘の通り、私はそこがポイントだと思っています。それに当たって法律的な制約があるということも、どうもこれまた事実のようであると伺っています。その法律的な問題をクリアするために、ではどういうスキームが一番良いのかということに関しては、これは事務的にしっかりと詰めなければいけないと思っております。今日、民間議員から提案をしてもらって、是非とも、こうした法律的にどういう対応が必要かというような詰めを直接していく必要があるのではないかと思っています。

そうした観点から、いわゆる行政のアウトソーシングを行っている先行的な地域が幾つかあります。たまたま明日、名古屋方面に行く機会がありますので、愛知県の高浜市がこの点では有名でありますので、私も高浜市に明日行きまして、少し直接関係者からお話を伺って勉強したいというふうに思っているところです。

問)

今日の諮問会議で、郵政民営化の議論の1回目を始められるということで、大臣の方から各議員に対して、今後の議論に向けて方針というか、こういう線で議論して欲しいとか、こういうことを視野に入れて議論して欲しいとか、どういうことを仰られるというのがあれば、お願いします。

答)

今日はまずキックオフでありますので、懇談会の田中直毅座長に来ていただいて、その問題の提起をしていただきたいと思います。

私としては、この議論というのは非常に大きな制度論でありますので、やはり細部の議論から入っていくと議論が混乱すると思います。踏まえるべき大前提といいますか、大原則というか、何のためにやるのだとか、どういうことを踏まえなければいけないといった、大きなところを確認するという作業から入っていかなければいけない。そのスタートを今日是非切りたいと思っています。

問)

先程短観の中で、今後考えるリスク要因についてのお話がありましたが、これは具体的にどういったものを想定していらっしゃるんですか。

答)

これは、皆さんがいつも質問される一般的なことだとお考えいただいていいと思います。海外経済の動向がどうなるかということも一つだろうと思いますし、為替の動向がどうなるかということも、当然その中に入ってくるでしょうし、金利動向、これは株価との関連になりますが、金利動向がどうなるかと。これは当然、一つの変数が変われば、他の変数も変わってくるのは経済の中では当たり前ですが、そうした変化が非常に一部に偏っている、バイアスがかかっていたり、その一つの変化がすごく早すぎたりすると、そのバランスを壊す危険がありますから、そこは変化が余りに急激にならないように、しっかりと見ていきたいと思います。

問)

円高についてですけれども、短観では、大企業製造業の下期の事業計画の前提が1ドル117円台と設定されていまして、ここのところ110円台を挟んでこう着状態というか、そういう状況だけに、今のこの状況、また見解をお願いします。

答)

これはマクロ的に見て、これが半年、1年ぐらいの間で非常に大きな影響をもたらすとは思いません。ただ、局所的にはと言いますか、当該部門に関しては、輸出に関連する部門等々に関しては、その影響というのはあるわけです。ご指摘の通り、短観には最近の為替レートの状況は反映されていませんから、その辺は追加的な要因として見ていかなければいけないと思います。

問)

昨日の短観なんですけれども、大企業製造業以外の中小企業の製造業、非製造業とも若干改善はしていますけれども、まだまだ厳しい状態が続いていて、昨日の短観では、輸出に依存しているという構図がある程度浮き彫りになったと思います。これを構造的に内需の方に変えていくには、今後どういったことが必要だと思われますでしょうか。

答)

基本的には、内需主導の持続的な経済成長を目指すことについては、我々が予てから言っていることです。そのためのシナリオというのは、何かそれを実現する打ち出の小槌というのがあるわけではなくて、まずしっかりと企業部門が強くなって、企業部門がその競争力を高める中で前向きの設備投資を増やしていくことです。

この4-6月期のGDP統計を見る限り、そういう芽が出始めているということは言っても良いのではないかと思います。それを受けて、今度はその企業が賃金支払いですね、それが給与という形で反映されていって、それが消費という形になって結び付いていく。これ以外に、何か性急に消費をしっかりとさせていく方法というのは、私はないと思います。重要な点は、4-6月期のGDP統計を見れば、雇用所得がようやくプラスに転じてきています。その企業部門から家計部門への流れというのが芽を出しつつあるということだと思っておりますので、ここはやはり、だからこそ地道な構造改革、規制改革であるとか、金融部門の改革であるとか、そういうことを手を緩めずに、むしろ加速しながらしっかりと進めていくということが重要だと思います。

(以上)

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