竹中経済財政政策・金融担当大臣記者会見要旨

(平成15年10月10日(金) 9時31分~9時46分 於)金融庁会見室)

1. 発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。閣議、閣僚懇を通じまして、私の方から特にご報告することはございません。

以上です。

2. 質疑応答

問)

今日、衆議院が解散されるということで、来月総選挙ということが確定的になっているわけなんですけれども、その中で自民党の政権公約ですね、その中でも特に柱となる郵政の民営化なんですけれども、これは党の方では来年の秋までに民営化するかどうかの結論を得ると。一方で政府としては、小泉総理は来年、民営化するというのはもう決まっていることなんだと言っているわけなんですけれども。

有権者も、このままではちょっとどこに投票していいのか困ってしまうような状況だと思うんですけれども、こうした状況についてどういうご認識を持っているかという、その点からお願いします。

答)

まず、これは自民党の問題でありますので、自民党でどのような議論になっているのか、もちろん私十分承知をしておりませんし、コメントする立場にはないと思っております。

内閣の一員としては、小泉総理が郵政を民営化するという方針、それで諮問会議で具体的な制度設計の基本方針を議論するようにという命を受けている立場でありますので、私としては、その総理の方針に則って、しっかりとその中身を詰めていく責任を負っていると思っています。

問)

円相場についてですけれども、昨日の海外市場で108円まで急進しまして、一部には日本の景気回復への懸念材料になるのではないかということも出ているのですけれども、円相場についてどういうご認識でしょうか。

それから、来週は景気判断、政府の月例も出ることになっていますが、景気の現状、先行きについても、合わせてお願いします。

答)

何度か申し上げていますが、為替レートが実物経済に与える影響というのは相当のタイムラグがあると思っておりますので、特に短期の経済に対するインパクトに関して、余りに悲観的な見方をとるというのは適切ではないと思っております。

しかし一方で、この為替レートは、特に輸出に関連する企業の企業収益に影響を与えて、かつそれが心理的な影響ももたらすという面がありますので、その意味ではやはりしっかりと注視をしていかなければいけない。とりわけ水準もさることながら、その変化の速度には十分に配慮しなければいけないと思っておりまして、これは為替レート、為替相場そのものは財務省の方でしっかりと見ておられるわけですが、国内マクロ経済全体を見る我々の立場としては、その速度があまりに速くならないように注視をしていきたいと思っております。

問)

今は速いというご認識ですか。

答)

ここのところの動きに関しては、こうした状況が続けば、これは速度が少し速いのではないかという懸念も出てくると思います。

問)

そうした状況を踏まえた景気の先行きについてはいかがでしょうか。

答)

景気の先行きについては、短期的な相場の動きによって見方を変えたということはありません。基本的に、日本の経済は持ち直しの動きの中にある。企業の改善が更に進んで、それが家計部門にも良い方向で反映してくるということが期待される状況でありますので、そういう見方を一貫して我々はしております。

問)

りそなグループが、他行の水準を大きく上回る引き当てとか、繰延税金資産の減額で大幅な赤字を出す、それを今日発表すると伝えられています。今日発表するかどうかはともかくとして、そういう思い切った、あるいは超保守的な資産査定を進める経営陣の姿勢、その辺についてどう評価しておられるかということと、そうした姿勢というか、そうした財務戦略が他行にどういう影響を与えるとお考えになっておられるかと、これをお聞かせください。

答)

今も冒頭仰いましたけれども、報道は承知をしておりますが、詳細は何もまだ決定していない段階だと聞いております。もちろん私自身もそうしたことに関する報告は受けておりません。従って、個社のことでもありますのでコメントする立場にはないと思っております。

ただ、一般論として申し上げれば、今、日本に求められているのは、正にバランスシート調整であって、そのバランスシート調整は、これは各行ともしっかりと進めていただきたい。そのバランスシート調整の意味は、もちろん不良債権を処理して、しっかりと引当てて、早期にオフバランス化していくことということになりますが、その資産の査定に当たっても、長期的な観点から収益力を高めるためには、どのような方策が、どのようなバランスシート政策を取るのが一番良いのか、これは非常に高度の経営判断ではありますけれども、経済が今良い方向に向かっている時期にこそ、バランスシート調整はしっかりと進めて欲しいと、これは一貫して思っております。

問)

繰延税金資産というか、自己資本比率規制ワーキンググループの議論が再開されました。金融庁は去年から繰延税金資産に絡んで税制改正の3点セットを要望しています。今年も要望されています。この2つの話関連なんですけれども、要するに税制改正が認められなければ、繰延税金資産の規制ということは成り立たないとお考えになっているのか、それともそれは別の話だとお考えになっておられるのか。その辺いかがでしょうか。

答)

この問題は、1年前にも既にご質問をいただいて、随分ご議論もいただいていると思います。我々としては、この問題を根本的に決着させる、やはり1つの合理的で有効な方法として、税務会計と財務会計の食い違いによってこの繰延税金資産という調整項目が生じているわけですから、税務の方でそれを調整してもらって、これを解決させたい。繰延税金資産という資産が、見方によっては将来の回収がどうなるのかという資産がより着実な資産に置き換わることになるわけですから、これは一つの非常に重要な決着の方法であると思っております。であるからこそ、金融再生プログラムでもこのことを明記して、税制の改正を要求するという立場をとっています。

一方で、この繰延税金資産のあり方を考えるワーキンググループでは、それはさりながら、監督上の問題として、その税制が変わらなければ何も変わらないということではない。これは、税制は税制として、改革として我々は議論をしてまいりますけれども、その監督、自己資本の観点から繰延税金資産をどのように考えていったらいいかという議論は、これはやはり独立して別途やってもらわなければ困ると、そういう立場をとっております。

問)

今日でしょうか、総務省と郵政公社から、郵政の問題でスタッフが来るようですけれども、当面総選挙が終わるまでの間は、そのスタッフを含めて内閣府の中でどういう作業を進めて欲しいのか、それについて再度お願いします。

答)

ちょっとどういうことを仰っておられるのか、すみません、全部理解できないところがあるのですが、基本的には、総務省から内閣府の人的資源を強化するために、総務省を含む各省庁から、この郵政の問題に関してもいろいろお手伝いをいただくと、人材強化するということで、事務的にいろいろな検討をしてもらっております。

これは、先程も申し上げましたように、これは総理のご指示に従って、我々としてはその制度化のための基本的な案を作らなければいけないわけですので、これは内閣を挙げての仕事と思っております。従って、個々の人事についてちょっとコメントできませんが、人材を強化して、しっかりと政策立案をしていかなければいけないと思っています。

問)

選挙前ということで1点だけお伺いしたいのですが、このところ、各政党ともマニフェストと言われる細かな政権公約を掲げているわけなんですけれども、諸外国では過去あったと承知はしているのですが、日本でこういう動きが出ているということについて、大臣はどのように思われているんでしょうか。

答)

一般論ですけれども、選挙に当たって政策を競い合うということは、当然のことであって、それに当たって、政策をより国民に分かり易く踏み込んで示していこうというのは、傾向としては当然歓迎されるべきものだと思っております。

問題は、政策の提案された中身でありまして、それらの中身については、これは本当にプロフェッショナルな観点からしっかりとしたものになっているかどうかというのは、やはり厳しく見ていかなければいけないと思っております。

問)

大臣、確認ですけれども、今日の閣議で基本的に解散を決めていると思うんですけれども、それに関する発言とか、閣僚懇も含めてございましたでしょうか。

答)

その点に関して、私から特に申し上げることはありません。

問)

産業再生機構についてですけれども、一度、支援を決定したのがまた延期になったり、いろいろ出足で問題も抱えているようですけれども、金融庁としては、銀行に積極的に活用するというように一応ペーパーを出しているわけですが、その後の状況は、金融機関の姿勢といいますか、いかがでしょうか。

答)

本件については、監督局長からのレターを出して以降のフォローアップというのを特に行っているわけではありませんが、これは引き続きしっかりと各行には対応してもらいたいと思っております。これは産業再生機構設立の時からずっと議論されていることでありますけれども、我々としては、銀行に対してしっかりとした資産査定を促したいと。資産査定がしっかりと進んでいるという状況を受けて、産業再生機構が非常に活発な活動をしやすくできるようになる状況が作られるわけですから、その意味で連携プレーが必要であるし、我々としては銀行に対してしっかりと資産査定をしてもらう。かつ、不良債権を減少させるという観点から、この産業再生機構をしっかりと前向きに活用してもらう。このことは引き続き要請をしていかなければいけないと思っています。

問)

産業再生を使ってくれというように金融機関に促すのは承知しましたが、産業再生機構そのものに何か改善点とか、そういうのはいかがですか。

答)

今、本当に最初の一群の成功事例をつくるための努力をしておられるところでありますので、今の時点で私たちの立場から産業再生機構に何か注文があるとかという状況では全くありません。これは大変難しい仕事であると思いますけれども、その初期段階にあって、私は産業再生機構の皆さんは非常によく頑張っておられると、そのように認識をしております。非常に複雑なバランスシートの調整でありますから、色々な問題というのは当然出てくるわけですけれども、これはしっかりと私はクリアしていっていただける問題だと思っています。

問)

円相場についてですけれども、変化の速度が速いことが問題だというふうに仰いましたけれども、円相場が日本の経済を評価して上がっていくことについて、それについてポジティブにとらえることはできるのでしょうか。

答)

これは、テレビだったか、ラジオだったか、色々なところで申し上げていると思いますけれども、円が高くなるということの逆を考えて、円がどんどん売られて、それで円が下がっていると。そういう状況をもし仮に想定するならば、それは日本売りだということで、非常にまた厳しい目が向けられるのだと思います。今起こっていることはその逆でありますので、日本売りと逆のことが起こっているのだという、そういう側面は間違いなくあると思います。

しかし、為替レートというのは、その時々に応じて、その経済のファンダメンタルズを反映して、かつ安定的に推移していくということが望まれるわけですから、そうした観点から、為替レートについても注視をして見ていかなければいけないということだと思います。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る