竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨

(平成15年10月17日(金) 10時27分~10時40分 金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。私の関連で直接ご報告することはございません。閣僚懇では、井上大臣の方から三宅島のご視察の結果についての報告等々がございましたが、私の方から特に申し上げることはありません。

以上です。

2.質疑応答

問)

今日の諮問会議でお話しになると思うんですけれども、官業の民業への開放なんですけれども、大臣ご自身はどういうタイムスパンで実現への道筋というものを考えていらっしゃるかという、その時間的なスケジュールについて教えてください。

答)

今の時点で、正直言いましてタイムスパンを判断するのは難しい面があると思います。基本的には、官が独占していた分野の民間開放というのは改革の効果を地域雇用に浸透させるという意味で大変重要であると位置付けをしているわけですが、その障壁になるような法律的な問題というのが一体どの程度あるのか、制度的な問題というのはどの程度あるのか、それ以外にどういう障壁があるのかと、そこをまず調査しようというようなことを今日は問題提起することになると思いますが、その結果を見ないとなかなか、どのぐらいの期間でやっていけるかというのは、正確には分からないのかなと思います。ただ、調査そのものは急いで行って、必要な処置、予算上の問題でありますとか法律上の問題とか、これは可及的速やかに対応するつもりでおりますので、数ヶ月の単位で何らかのアクションが始まっているというような状況を是非実現したいと思っています。

問)

株価は堅調ですけれども、とりわけと申しますか、銀行株も海外投資家の買いが大分目立って、大口の買いが入っているようですけれども、この現象を大臣は金融改革の動きと併せてどういうふうに評価していらっしゃるかお聞かせください。

答)

金融の改革というのは良い方向には向かっていますけれども、もちろんまだ道半ばも半ばだというふうに思います。今後、更に市場での評価が得られるように銀行には一層の努力をしてもらいたいと思いますし、我々も必要な措置を果敢に講じていくというつもりではおります。その意味では、方向といいますか、サインという意味では良い方向が出ていると、それを市場が見ているというように私は感じておりますけれども、むしろ重要なのはこれからだと思っておりますので、この良いサインを正に具体的な形にしていけるような努力が必要だと思います。

問)

昨日、研究会が始まった3点セット、税制要求、財政負担を平準化しようという勉強ですけれども、そもそもこの9兆5,000億、総額でかかると言われる16年の、例の繰戻還付ですね。これと、いわゆるプライマリーバランスですね、財政負担になると思いますが、これとの兼ね合いというのはどういうふうに推移すると。

答)

これは基本的には、我々としては、金融庁としては当然のことながら、こういう形で金融問題の解決に資するような税の変更を行ってもらいたいと、これは一貫して我々の強い要求であります。それと、プライマリーバランスに影響を与えるかというと、実はこれは与えません。ほとんど与えないと考えていいと思います。それは、この間も少しご質問が出ましたけれども、ワンショットの支出というのは、これはプライマリーバランスにほとんど影響を与えないわけですね。継続的な支出が増えるということは、これはプライマリーバランスの改善に非常に大きな支障を来すわけですけれども、ワンショットで増えても、これは毎年あるわけじゃありませんから、1回やったら終わりですから、その意味では、これはプライマリーバランスそのものの改善という政策目標に関してはほとんど影響を与えない問題であるということになると思います。

問)

ただ、昨日の研究会というのはワンショットにしないで、何年か知らないけれども分散しようという話じゃないかなと思ったのですが、そういうのも余り関係ないですか。

答)

つまり、この問題は、そのワンショットなのが、小さいのが分散されるかどうかの話で、基本的にはワンショットですよね。これがベースになって、今後ずっと将来にわたって続いていくということではなくて、ワンショットの、1回、それこそ1年でやるのか、数年でやるのかというような問題はあるのかもしれませんが。従って、プライマリーバランスの改善という基本的な問題には、財政の構造的な支出、構造的な収入には影響を与えるものではないということです。

問)

昨日のお話ですと、非常に交渉が難航しているということで、財務省の人が非常に話に応じてくれないような雰囲気を感じましたけれども、今後、税制の重点要望等に向けて、大臣はどういうふうに攻め込んでいかれるかというか、理解を求めていかれるか。

答)

正に、我々としては要求官庁でありますけれども、要求官庁なりにこういうような知恵を出しているんだということをしっかりと示すためにも、この研究会、勉強会を活用したいというふうに思っているわけです。これまでの議論においても、繰延税金資産という1つの財務会計と税務会計の違いからこういうものが生じてきていていると。これを解消する理論的な方向というのは、私たちが主張している3点セットであると。恐らく、かなりの方はそれを認めると思うのです。ところが、いかにも金額が大き過ぎるじゃないかと。その金額が大き過ぎるということに関しての実現可能性という観点からの反対が多いのだと思います。であるならば、その金額、つまり財政上の負担を少しでも軽減できるような工夫はないかどうかという技術論を我々も考えましょう、ということがこの研究会の趣旨でありますから、ここは正にこの研究会でいろいろな論点を出していただいて、それをいろいろ要求官庁として当局にお願いするというのか攻めるというのかは分かりませんけれども、その素材を我々なりに提供していきたい、それが正に我々の基本的な交渉の姿勢です。

問)

未収還付制度とか交付国債とか、色々な市場関係者の人もこれまで私的な提案とかされて来られているわけですけれども、大臣はどんなやり方、方向性としては、今お考えをお持ちでしょうか。

答)

そういうことを考えるに当たっての技術的問題点が非常にたくさんあるということを踏まえて今回の研究会をお願いしているわけです。これは、どういうやり方がいいかということを我々なりに自信を持ってある程度結論付けるためには、やはり技術的な問題をクリアしなければいけない。そのための技術論を議論するための専門家に集まっていただいていますので、そこは是非しっかりとお願いしたいと思います。

問)

最近、郵貯が国債を直接に引き受けたらどうかというような報道、別に財務省がどうこうしている話でもないのですが、そういう発想が一部報道されて話題を呼びましたけれども、その報道があってからの記者会見が初めてなので分からないのですけれども、もう行き場がないし、郵貯はそもそも国債を持っているので、この際直接引き受けやったらどうかと。あるいは、今後も、郵貯を国債の管理政策上重要なものとして位置付ける、これは非常に民営化論議との兼ね合いで微妙なテーマだなと思うのですが、その辺、大臣、今現時点でどう整理していますか。

答)

先般、郵政の民営化論議をする際の5原則というのを私なりに示して、諮問会議で了承を得ていますけれども、その中での整合性の原則ということの、正に1つの重要課題がこれであるわけです。郵政は民営化する方向で議論していく、しかし、これは既に私たちの経済の中に深くコミットしているわけですから、そういう経済全体の活性化と整合的でなければいけないわけです。国債管理をしっかりやっていかなければいけない。その国債を管理するに当たって郵政の存在というのは無視できないわけですから。そうした問題を今提起されている。一部そういう議論が始まったということだと思います。これは、議論はこれからでありますから、その考え方そのものに関して私はコメントはいたしませんけれども、その整合性の原則、つまり5つの原則に則って、その枠組みの中で制度化に向けての色々な問題点が出始めているというふうに私は受け止めております。これは今までのような、そもそも民営化がいいか悪いかという論議ではなくて、具体的にこの巨大な仕組みを日本の市場経済の中にどのようにインテグレートしていくかという具体的な議論が始まっているということの証左だというふうに私は受け止めておりますので、整合性の原則の中で、こうした問題は当然のことながらしっかりと議論されていくことになると思います。

問)

話題が変わって恐縮なんですけれども、阪神の星野監督が、明日からの日本シリーズを最後に、健康上の理由で勇退されるということになりましたけれども、非常に残念な話だと思うのですけれども、一言コメントなりエールの言葉がありましたらお願いします。

答)

昨日の深夜そういうニュースをちょっと聞いたんですけれども、今朝まで自分は信じないぞというふうに思っていたんですが、どうも今朝の新聞報道でも色々と報道されているようであります。よくその真偽のほど、まだ良く私も分かりませんですけれども、本当であるとすれば、これはファンとしては大変残念なことであるということになると思います。しかし、もちろん色々なご事情、お考えがあることだと思いますので、どのような形であれ、星野イズムを見事に貫いていただきたいと思っています。

問)

ブッシュ大統領来日の件で、為替について、市場メカニズム重視ということと、かつ強いドルを求めていくという話ですけれども、色々な分析があるかと思いますけれども、大臣の見解をよろしくお願いします。

答)

基本的には首脳会談で為替レートの細かいことについて議論がなされるかどうかはよく分かりません。少なくともそんなに首脳会談にふさわしいテーマではない。より大きな枠組みについて首脳会談というのは議論をする場であると思います。その意味では、これは市場の実勢において為替レートは決まる、ファンダメンタルズを反映して決まる、それは言わずもがなのことであろうと思っています。為替レートについては色々な分析がありますけれども、我々としては相場について云々する立場にはありません。相場が変化した場合の効果等については、これは先の月例経済報告等々でも10%為替レートが変化するとその後1年間のGDPへの影響は0.2%程度であると。短期的には実物経済への影響は決して大きいわけではない。しかし、その変化のスピードについては、我々は引き続き関心を持っている、そのように申し上げたいと思います。

(以上)

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