竹中金融・経済財政担当大臣記者会見要旨

(平成15年10月21日(火)10時25分~10時37分 於)金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。大変短い閣議でありまして、特にご報告することはございません。閣僚懇も特にご意見はありませんでした。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

ちょっと細かい話になるかもしれませんが、この間、先日、ある新聞社のインタビューで、新しい公的資金投入の枠組みについて、バランスシート調整が必要な銀行を支援するシステムになるというふうに仰っていたと思いますけれども、これは繰延税金資産のTier I 比率が高いとか、不良債権比率が高いとか、そういうような数値基準を設けるということを視野に入れた発言なんでしょうか。

答)

具体的に、そういう何かスペシフィックなといいますか、具体的なことを念頭に置いて申し上げたことではありません。正確には記憶しておりませんが、基本的にはあの時はエコノミックキャピタルという考え方を、審議会のワーキンググループで提示していて、それに基づいてそれをどのように考えるかということを行政の立場から検討している、そういうお話を申し上げたんだと思います。

エコノミックキャピタルというのは、いわゆる4%とか8%とかのミニマム・リクワイアメントは満たしているものの、更に非常に有効な、経営をするために必要な資本ということでありますから、その中にはバランスシートの調整とか、そういう概念も入ってくると思います。しかし、それだけでもないと、もっと幅広い概念だというふうに私は理解しています。

ご質問に関してですが、特にそこまで具体的な話はしておりません。

問)

今日から3日間というか、連続じゃないでしょうけれども、大阪とか名古屋で中小企業金融について、どういうところに力点を置いてお話しようと思っておられますか。

答)

詳細をお知りになりたい方は、是非ご一緒に行ってくださればよろしいかと思いますが、今日は大阪で中小企業金融の話をさせていただきます。今金融の行政については、それが非常に新しい芽になって出ている部分と、これからリレーションシップバンキングのように、機能強化計画を出して、これから本格稼働させるという部分と、色々あると思っております。更には、例のマニュアルの話にしましても、我々としても実態が、現場がなかなか私たちが意図したようになっていないのではないかというようなご指摘を踏まえて、それを地域に浸透させるような努力を更にしていかなければいけないということで、ご承知のようにモニター制度の話とか、色々私たちも努力をしています。今そういう真っただ中にありますので、是非実際お話しして、しっかりとご理解いただきたいと思いますし、加えて、私たちが今考えている政策が本当に実のあるものになるために、どういうところを工夫したらよいか、忌憚のないご意見をお伺いしたいと思っております。

今日は、そういうタウンミーティングをやりますけれども、それ以外にも財務局の幹部の方と色々お話しする機会も設けておりまして、是非財政金融の最前線にいらっしゃる方と意見の交流を是非させていただきたいと思っております。

問)

昨日でしたか、官房長官の方から、地域再生本部の設置というような発表があったかと思うんですけれども、かねて大臣や諮問会議の方で提唱されていたテーマだと思うんですが、ややステージが上がるのかなと受け止めているんですけれども、地域再生本部の意義と、及びその担当大臣は金子さんがなられるようですけれども、大臣と内閣府の関り方についてお聞かせください。

答)

ご指摘ありましたように、地域再生のための本部ができて、担当大臣が置かれると。これは、もうかねてからずっと主張してきたことで、官房長官ともご相談をしてきたことで、諮問会議でも議論してきたことです。そうしたことが具体的な形になったと位置付けております。

この本部が出来て、私も多分副本部長というようなことになるのだと思いますけれども、そういう本部がせっかくできるわけでありますから、それを実際に実りのあるものにするためには、今までの経済財政諮問会議での蓄積というのを生かして、特にアウトソーシング、自治体の方からのアウトソーシングの、実際の事例を作っていく、その障壁になっている問題、制度、法律等々については、しっかりと議論をしていくということが当面私は必要なのだろうと思っております。これは、担当の金子大臣ともよくご相談をして、私は経済財政の立場でということになりますけれども、是非建設的なものにしていきたいと思っています。

地域再生本部と諮問会議が、建設的に議論をし、更に諮問会議で色々なことを議論して、そこでのエッセンスを地域再生本部に生かしていくと、そのようなプロセスも当然考えられると思いますので、引き続き私たちとしても努力をしたいと思います。

問)

それからもう一点、これはやや改めてということになるかもしれませんけれども、郵政民営化について連絡協議会というものができたかと思うんですが、これについて昨年大臣がつくられた金融のタスクフォースとイメージを重ねてみる向きもあるんですが、郵政民営化の連絡協議会の位置付け、これを改めてお願いしたいんですが。

答)

基本的には、金融のタスクフォースとは全く位置付けが違うと思っております。これは、要するに諮問会議の場で議論するのだと、諮問会議の場で議論するに当たっての必要な資料の作成でありますとか、それと内閣府と総務省の情報の交換、その中には例えば会計情報も入ってくるでありましょうから専門家も入れて、しっかりとした基礎を作っていくというのが役割でありますので、金融のタスクフォースとは全く位置付けが異なるものであると思っております。

この連絡協議会に多分、私はほとんど出られないというふうに思いますし、もちろん時間があれば出たいと思いますが、その意味でも位置付けは違っていると思っております。

問)

地域の話が今出たんですけれども、昨日、日銀の支店長会議で、各支店長から色々報告が出ました。東海辺りは結構強気の見方が出ましたけれども、一方でやっぱり東北、北海道辺りは、相当まだまだ厳しいということで、まだかなり地域間にばらつきが出ているような状況だと思うんですけれども、そうした現状についてどのように見ていらっしゃいますか。

答)

昨日の日本銀行の支店長会議の報告に関しては、私自身は地域にも間違いなくそうした芽が出始めたと、そういうご報告であったのだと思っております。地域の格差があるというのはご指摘の通りでありますし、この知識の格差をなくすように、正に地域再生の本部の役割というのもそういうところにあるのだと思います。

むしろ、今後我々が更に注意していかなければいけないのは、その地域間の格差もさることながら、地域の中での格差という問題もあるということだと思います。つまり、南関東全体に良いといっても南関東の中にも格差はあるわけでありますし、東海が良いといっても東海の中でも格差はあるわけでありますし、マクロ経済状況になって、その芽が地域にも広がり始めていると、これを今確認しつつある段階だと思っておりますので、更に地域内の格差とか、よりきめ細かい見方を我々としてもしていかなければいけないのだろうなと思っています。

問)

地域再生本部と産業再生機構というのは、金子大臣が色々と絡むし、再生という言葉も重なるんですけれども、今後有機的に関係していくんでしょうか。

答)

そうですね。当然のことながら、関係しないということではないのだと思います。そこは金子大臣の方で非常に色々お考えなのではないかなと思います。是非、その辺りは金子大臣にもご確認をいただきたいと思います。ただ当面は、産業再生機構が相手にしている、相手というのは基本的には銀行であり、その向こうにある企業であるということだと思いますけれども、地域再生本部の場合は、非常に大きなウエートとして、地方の自治体との連携というのが入ってくると思いますので、もちろんこれが全く関係ないということはあり得ないわけです。関連はしていますが、やはり少し違ったアングルからのお話なのかなと認識しています。

問)

産業再生機構なんですけれども、最近大臣は、問題先送りの企業再生はチェックするよと仰っているんですが、産業再生機構はなかなか案件が出てきませんけれども、そのうちまた出てくるとは思いますけれども、スピードが遅いなと。これは、銀行の方が引当不足気味で、出し惜しみしているからなのでしょうか。

答)

前回申し上げましたけれども、この短い期間に6件というのは、産業再生機構の立ち上がりとしては、私は本当によくやっておられるなと思います。こういうのは、それを産業再生機構の側でも、またそれを活用する銀行の側でも、一種のノウハウの蓄積のようなものがあるでしょうから、そこは今後加速していくだろうということを、私自身は期待をしています。金融庁としては、銀行の資産査定はやはりきっちりとやってもらわなければいけない、その資産査定をきっちりと行っているという基礎の上に立って、産業再生機構との新たな協力というのは出てくると思いますので、我々としては銀行の資産査定をきっちりとさせるということで、是非重要な貢献をしたいと思っております。必要なことが今後更にあれば、我々としてもやっていきたいと思います。

問)

郵政民営化連絡協議会のことで伺いたいんですが、ここでの議論というのは公開されるお考えはあるんでしょうか。

答)

これは、資料作成というのが主な目的でありますので、公表ということになじまないのだろうなと思います。そうした資料に基づいて、議論する場は諮問会議です。諮問会議の議論は、ご承知のように、すぐに公開されるわけでありますので、そうした議論を通して国民の皆さんにはその議論のプロセスをオープンにしていきたいと思っています。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る