竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成15年11月14日(金) 10時30分~10時42分 金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。私の方から閣議に関して、特にご報告することはございません。

閣僚懇では、亀井農水大臣の方からバイオマスについてのご発言がありましたが、その後、私の方から、今朝ほど発表されたGDPのQEについての簡単なご報告をしておきました。

閣僚懇については、以上であります。

1点発言させていただきたいと思います。

「金融再生プログラム」につきましては、これまで特別検査の再実施、再建計画検証チームの設置、主要行における自己査定と検査結果の格差の公表など、主要行の資産査定の厳格化に係る様々な措置を講じてきたところであります。

本年の8月下旬以降、この15年9月期を対象として特別検査のフォローアップを実施してまいりましたが、今般、その結果の取りまとめが終了しましたので、今夕刻、検査局長より詳細を公表、ご説明したいと思います。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

先程お触れになったQEですけれども、7-9月で0.6%と民間の予測に比べると若干高めかなという印象を持つんですが、大臣の評価からまず伺えますでしょうか。

答)

今回のGDPにつきましては、前期のGDP、成長率が非常に高かったので、その反動が出るのではないだろうか。特に、冷夏の影響での消費の落ち込みがあるんではないかだろうか、そういう懸念が一部にはございました。結果的には、年率換算で実質2.2%の成長ということで、民間の平均が大体1.2%の成長予測でありましたから、幸いにして、それをかなり上回る結果となりました。我々が描いているシナリオ、持ち直しに向けた動きというのが示された形になったと思っています。

内容についても、大体、外需が3分の1、内需が3分の2の貢献であって、その貢献の大部分が民間設備投資でありますので、これも従来から我々が申し上げてきたシナリオになっているのだと思います。

単純計算で残り2四半期が0%成長であったとして、どれだけ下駄をはいたかという議論になりますが、単純に年度の成長率2.2%という数字になる。内閣府が改定試算した本年度見通し2.1%、これは上方修正しましたが、その実現に向けたその線に沿って、経済が運営されていると思っております。

問)

その一方で、名目で見ますとわずかながらマイナスと。GDPデフレーターで見ても2.7%のマイナスになっているのですけれども、デフレ傾向というのはかなり根強いのかなという印象を持つのですが、この辺の認識についてはどうでしょうか。

答)

その点も、前回も申し上げましたように、このデフレはなかなか根強い、しつこいデフレであるという認識を改めて持っております。

名目成長率はマイナス0.0%でほぼ横ばいの状況だと思っておりますが、引続き、政府・日銀一体となったデフレ克服への努力は、必要であると、非常に重要であるというふうに思います。

問)

政策対応について、金融政策も含めてどういったことが必要なのかということについてはいかがでしょうか。

答)

基本的には、これから予算編成に当たっていきますので、「骨太の方針」に基づいてしっかりとした予算を作成すること、更には与党の政策公約、この中には経済活性化に向けた非常に強い決意が示されておりますので、それを政府・与党一体となって着実に実行していくこと、これは大変重要なことだと思います。

その意味では、構造改革を加速させる非常に強いモメンタムを得ているというふうに思っています。

問)

年金改革と「三位一体」改革について、政府・与党で協議機関を作るということが決まりましたけれども、その政府・与党で協議機関を作ることへの評価と、ただ一方では諮問会議の議論が若干空洞化する恐れもあるのではないかなというふうに思いますけれども、諮問会議に対する影響も含めて大臣のお考えをいただきたいと思うんですが。

答)

私は、政府・与党で、しかも聞くところによりますと、幹事長、政調会長を中心としたハイレベルでの政府・与党の会議を設置される方向だというふうにお伺いしておりますけれども、大変歓迎すべきことだと思います。

これは政府としての中での考え方は、これは諮問会議を中心として取りまとめるわけでありますけれども、政府・与党一体となって決定するに当たっては、正に一緒に議論する場があるというのは、これは大変重要なことだと思っています。党の側で早速そういった対応をとってくれたということを我々は評価しております。

問)

一部の海外の報道で、足利銀行に公的資金を注入するという報道がありましたが、その報道以降、記者会見が初めてなので、お願いいたします。

答)

報道は承知をしております。しかし、個別の銀行に関しては、今まだ検査を続けているところであって、これは私自身も最終的などういう中身になっているのかということは、何も私自身も聞いておりません。そういう段階で、憶測に基づくそういう記事が出るというのはいかがなものかと思います。この辺は、是非皆さんも慎重にしていただきたいなというふうに考えております。

いずれにしても、これは個別の銀行のことではありますけれども、我々としてはまだ検査も決算も何も決まっていない段階でありますので、そこはコメントするような立場にはございません。

問)

昨日も官房長官の会見で質問も出たのですが、総理に対して、何らかの説明とかされたのですか。

答)

私がまだ説明を受けておりませんので、総理にはとても何も説明するような素材はありません。

問)

もう1点、本件で足利銀行の株式がかなり上がりまして、破綻処理ではなくて別の、りそなのような、株を紙屑にしないような処理になるのではないかというような噂というか、話が流れているんですけれども、そういう情報が流れることについてはどういうふうにお考えでしょうか。

答)

これは株式市場の話でありますし、株価の話でありますので、しかも個別の話でありますので、コメントする立場にはありません。

ただ、いずれにしても、しっかりとした対応を市場関係者、報道の皆様にお願いをしたいと思います。

問)

GDPですけれども、住宅も今回下支えした1つの大きな要因になりました。年末にかけまして、税制改革の1つの焦点として、住宅ローン減税が浮上していますけれども、こうした効果を見ますと、やはり引続き延長した方がいいのではないかという議論を惹起すると思いますけれども、景気全般をご覧になっている立場から、この住宅ローン減税の議論、大臣はどうお考えですか。

答)

基本的に、第1四半期の需要項目の動きによって、そういう税制の議論が決まるというふうには思っておりません。事実は住宅投資がプラスのコントリビューションをしているというような事実でありますが、税制のあり方というのは、正に税とはどういうことをすべきなのか、住宅を持つ人と持たない人とのバランスをどのように考えるべきなのか、全体の財政収支とのバランスをどのように考えるべきか、そういう立場から判断されるべきものであると思います。

問)

個人消費は相変わらず横ばいで推移しているんですけれども、今後、本格回復につなげるためには、個人消費を上向かせる政策というのが必要になってくるかと思いますが、その辺りについて大臣どのようにお考えでしょうか。

答)

個人消費が伸びる状況を作っていかなければならないというのは、それはその通りだと思います。しかし、それでは個人消費が伸びる方法というのは何なのかと、政府が家計に対してお金を何か与えるのか、そんな政策はもちろんあり得ないのだと思います。結局、個人消費が安定して伸びていくようにするためには、1つには、今、企業部門が強くなって、その企業部門から家計部門にその流れが及ぶような、そういう流れをしっかりと作っていくということ。

それと、家計そのものに対しては、今回の年金改革、社会保障改革等々のような中で、将来に向けた持続可能性についての安心感を高めていくということだと思います。これはいずれも結局のところ、今の構造改革をしっかりと進めていくということになるのだと思います。

問)

総務省が簡易保険の定期付終身保険を認可する方針ということが伝えられていますけれども、これについては、民間が民業圧迫と反発していたり、郵政民営化の方針とどう絡むのかという観点からコメントいただけますか。

答)

この新商品の認可そのものは、皆さんご承知のように総務大臣の権限でありますので、そのことについてコメントは控えさせていただきたいと思います。

ただ、一般論として申し上げれば、政府の信用を背景として、民間の生保商品と競合するような新商品を出すことについては、これは厳しい状況が続く民間生保の経営への影響でありますとか、保険市場の健全な発展等の観点から懸念がありますから、ここは慎重に対応すべきものであると考えております。

また、郵政公社が官営の特典を維持したまま自由に業容の拡大ができる現状については、これは疑問もあると思います。こうした観点からも、公社の民営化の議論を早急に詰めていく必要があると。やはり我々としては民営化の論議をしっかりと進めていくことが極めて重要であると思っています。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る