竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成15年11月21日(金) 10時03分~10時17分 金融庁会見室)

1.発言要旨

それでは、閣議がございました。その前後に別の閣僚会議もありましたので、長くなりましたけれども。閣議に関しまして、私の方から改めてご紹介することはございません。

閣僚懇で、国庫補助負担金の改革について、総務大臣、財務大臣がそれぞれご発言になっています。総務大臣の方からは、「全国知事会、市長会、指定都市等々から、廃止すべき国庫補助負担金について提言が出されている」と、その提言のご紹介がありました。「それぞれ廃止をして、税源移譲により一般財源化すべきであるというふうな提言がなされている。諮問会議においても、総理からこうした地方の声に十分に応えるよう指示をいただいている。関係閣僚におかれては、16年度からその成果が実感できるよう、ご努力をお願いしたい」と、そういうご発言が総務大臣からありました。

財務大臣からも、「先日の諮問会議において、総理から16年度に1兆円を目指すというご発言があった」と。「この発言を実現するには大変な困難を乗り越えることが必要であり、政府一丸となってその実現に向けて取り組むことが重要。そのためには、何よりも所管の各大臣の思い切った決断が不可欠であるので、ご協力をお願いしたい」というお話がありました。

それを総括する形で、総理の方から、三位一体改革の推進についてということでご発言がありました。全文は以下のとおりであります。

「国と地方の問題については、6月に閣議決定した『基本方針2003』において、平成18年度までに概ね4兆円程度を目途に国庫補助負担金の改革を行うこと等、三位一体の改革の推進を決めたところである。

その後、知事会、市長会等から具体的な改革の提言が出されてきている。『官から民へ、国から地方へ』の考え方のもと、地方の権限と責任を大幅に拡大する方向で、国庫補助負担金の改革、地方交付税の改革、税源移譲を含む税源配分の見直しを、まさに三位一体で推進していく必要がある。

このため、第一に、16年度予算において、三位一体で改革を実現する。1兆円をめざして国庫補助負担金の廃止・縮減を行うほか、税源移譲についても16年度に確実に行う。交付税改革にも着手する。財務大臣、総務大臣を始め、国庫補助負担金所管大臣はこの方針に従って改革を取りまとめていただきたい。各関係大臣から、改革案について私が聞くことも考えている。」私とは総理のことです。

「第二に、政府税制調査会においては、国と地方の税源配分の観点から、16年度の税源移譲についても国庫補助負担金の改革と併せて検討していただきたい。

第三に、18年度までの改革工程を加速、強化すべく、経済財政諮問会議を中心に議論を進めて欲しい。」

以上が総理の発言ですけれども、それに追加をされまして、「各大臣は役所の言い分をそのまま間に受けないで、今までみんなできないということをやってきたんだから、大臣は主導権を発揮してしっかりとやるように」と、改めて各大臣に叱咤激励がありました。

私の方からは以上であります。

2.質疑応答

問)

先程の総理発言もございましたが、今日諮問会議が予定されていて、予算をテーマにされるということなのですけれども、税源移譲とか国庫補助負担の見直しについては、何らかの叩き台みたいなものをお示しになる考えというのはございますか。

答)

基本的には、総理がここまではっきりと言っておられますので、それに基づいて、各省庁、各大臣がイニシアティブを発揮されるというのが筋であろうかと思っております。この指示に基づいて、各省庁でまずしっかりと検討して、独自の案を出していただく。その上で、それをどのように具体的な形にしていくかということについては、また総理、官房長官とご相談をしながら取りまとめていくということになると思います。

問)

各省庁から出される案というのは、期限を切って、いつまでにというような格好で示すように伝えるのでしょうか。

答)

それは、今日の会議を含めて、各大臣とご相談をしていきたいと思います。

問)

昨日の月例で、大臣は、地政学的リスクというようなことを仰ったかと思うんですけれども、トルコのイギリス総領事館自爆テロがあったりして、その地政学的リスクというものの要因が少し高まってきているかなという気がするのですが、そのあたりの影響をどういうふうにお考えでしょうか。

答)

事件そのものに関しては、誠に悲惨な事件であり、やはり許せない事件であると思います。しかし、これ一件をもって、リスクが高まったどうこうという問題ではないと思います。より全体的な問題として、中期的な動向として判断をしていくべき問題だと思います。

問)

今日、金融審議会が午後開かれまして、市場監視機能の強化を中心に議論されると思うのですけれども、この市場監視機能、課徴金制度を導入するかどうかということ、それと、金融庁と証券取引等監視委員会の検査体制、こういった問題についての現時点での大臣の基本的なお考えをお聞かせ願えないでしょうか。

答)

まさに審議会で議論していただく問題ですので、その問題に対して、私がどうこう先に申し上げるべきではないと思います。専門家の方が集まっておられますので、しっかりと議論していただきたいと思います。

監視体制については、これはとにかく強化をしなければいけないと。様々な観点から強化しなければいけないというのは、これはもうかねてから申し上げてきているところでありますので、我々は予算要求に当たっても、定員の要求に当たっても、まさにそういった観点からいろいろな努力をしております。そういった点も含めて、しっかりと議論をしていただきたいと思っています。

問)

不良債権処理の3点セットの税制ですけれども、財務省とか、政府税調の方では、欠損金の繰越しについてはある程度延ばしてもいいのかなというスタンスを感じるんですけれども、繰戻還付など、3点セットとしての考え方というのはまだ歩み寄りが見られないように見受けられるのですけれども、大臣、この問題についての現時点でのご所見をお伺いしたいんですが。

答)

繰戻還付については、特に非常に当局としてはガードが固いという印象を持っております。しかし、我々としてはこの問題の本質、つまり財務会計と税務会計のギャップがあるのだと。その本質を考えると、3点セットを実現する以外に、税制面で考えるならば、この3点セットをやはり同時にやってもらわないとつじつまが合わないし、実際の効果もないというふうに思います。その意味で、我々の方針は変えておりません。

これは、党の方でも、この問題は引続き検討するということになっておりますので、与党の先生方とも相談をして、この問題の本質を出来るだけ幅広くご理解をいただいて、当初通り、我々としては3点セットで実現できるように、引続き努力をするつもりでおります。

問)

大臣は以前、バナナの叩き売りのようなことはしないのだというふうに仰っておりましたけれども、9兆5,000億円の繰戻還付の要求額、それの例えば減額とか、そういったことも現時点では全くお考えになっていないというふうに受け止めてよろしいですか。

答)

金額で決着がつく性格の問題ではないのだろうと思います。先程言いましたように、財務会計と税務会計の間に隙間があって、それがあるからこそ、繰延税金資産の問題があるわけですから。従って、本質的な議論のところをやはり踏まえないと、政策的な問題の解決にはならないというふうに思っております。

問)

先程の閣僚懇の話の紹介の中で、谷垣大臣は税源移譲については触れていないようなのですが、それでよろしいんでしょうか。

答)

詳細は谷垣大臣にお伺いする方がいいと思いますけれども、税源移譲そのもの、税源移譲云々という言葉がそのご発言にあったわけではありません。ただ、三位一体改革と言っておられますから、それはある意味でご念頭にはあるのかなというふうに思います。

問)

総理が言った3年間の三位一体のプロセスの工程の加速ですけれども、具体的には、もう3年間ではなくて、前2年なり何なりで達成した後、また積み上げを目指すということになってくるのでしょうか。

答)

これは、今後の議論によります。ただ、いずれにしても、先の「骨太方針」を決めた時と、やはり今とでは、この三位一体の改革に対する社会的な理解とか、議論の環境というのは大幅に変化をしていると思います。半年前は、本当に三位一体の改革なんか出来るのかと、そういうことが本当に出来るのかというのが一般的であったわけですけれども、今はもうあくまでも三位一体の改革をやるということを前提にして、それこそバナナの叩き売りではありませんが、いろいろな大きな金額が出されている。

しかし、重要なのは、我々としては、まさに三位一体の仕組みをしっかりと作ることであると。補助金を削減する。削減して、一般財源化しないと税源移譲には結び付かないわけで、税源移譲を行う限りは、交付税の改革もしなければいけないと。その中身をやはりしっかりと作っていくことなのだと思います。そうした理解が、やはり半年前とは比べものならないほど広がっており、その地方からの期待も高まっている中で、その地方の期待にも我々としてはしっかりと応える。そのためには、どのような加速をしていったらよいのか、改革の強化をしていったらよいのか。これはやはり非常にしっかりと議論する必要があると思っております。

私自身としては、総理から「今日この改革工程を加速、強化すべく、経済財政諮問会議を中心に議論を進めて欲しい」という指示が出ておりますので、諮問会議を担当する私としては、これを来年度の「骨太方針」の重要な中身として位置付けて、議論を深めていきたいというふうに思います。

問)

銀行の中間決算での繰延税金資産の参入根拠の開示の問題ですが、昨日、地方銀行の広島銀行が自主的に開示しました。金融庁は主要行に要請しているわけですけれども、地域金融機関の繰延税金資産の参入根拠の開示について、大臣はどうお考えになっていますか。

答)

以前、ほぼ同じ質問にここでお答えをさせていただいたと思いますが、ご指摘のように、我々は「金融再生プログラム」に則って、このガイドラインを作っていますので、求めているのは、要請しているのは主要行に対してです。主要行でないところが、それに対して開示をするということに関して、開示をするなと我々が言う根拠は何もありません。そこは各社のご判断でやられるということだと思います。

問)

三位一体の改革ですけれども、総理も今日スケジューリングについて言及されたようですけれども、工程表みたいなものを三位一体の改革でもお作りになるお考えはあるんですか。

答)

三位一体改革の工程表というのは、ちょっとどういうイメージになるのか分かりませんけれども、「改革工程を加速、強化しろ」というふうに総理は今日仰っています。改革というのは、中身は補助金の削減と税源移譲ですから、それについて今大枠が決まっていますけれども、それを強化ということでありますから、その中身についてより詳細に地方の声を満たすようなものにしていくと、中身はそういうことだというふうに思っています。

(以上)

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