竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成15年11月25日(火) 9時24分~9時43分 金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。閣議がございました。

閣議、閣僚懇を通して、特に私の方からご報告することはありません。

どうぞ。

2.質疑応答

問)

繰延税金の関係で、税控除の3点セットの要求を続けていらっしゃいますけれども、例えば、繰戻還付、16年の短縮の可能性とか、何らかの今後年末に向けて条件闘争のようなものをそろそろお考えになった方がいい時期かなという感じもするのですが、改めてお考えをお聞かせください。

答)

これは以前も申し上げたと思いますけれども、この繰延税金資産に係る税制の改革の問題というのは、やはり3点セット、3点が揃わないと意味がないわけです。部分的にこれを少し、とりあえずこれだけとか、そういう条件闘争的なものには基本的には馴染み難いものだと思っています。そういう意味ではやはり我々としては3点で是非やっていただきたいと、そのことに尽きます。そうしないと、税務会計と財務会計の溝は埋まらないと思っています。

問)

今後もオール・オア・ナッシングのような、0か1みたいな感じで交渉を続けていくというようなお考えでよろしいでしょうか。

答)

これは一部技術的な問題で誤解があるような気が時々私もするのでありますけれども、例えば今年の分、無税化すれば、それはそれでプラスではないかと、今まで有税だったものを無税にすればプラスではないかというご意見をよく聞くわけですけれども、実はそうではないわけです。それを無税化すると、将来の回収可能額が減りますから、一気に繰延税金資産の額そのものが減ってしまうということが実はあり得るわけです。

この問題というのは、極めて技術的に難しく、技術的に詰めていくと、3つの点が揃わないと、繰り返し言いますけれども、財務会計と税務会計の溝を埋めるという本来の目的をなかなか達することが出来ないのですね。そういう意味で、部分的にやるというのがなかなか技術的に馴染み難い、そういう本来の技術的な性格を持っていると思っています。我々としては、財務会計と税務会計の溝をきちんと埋めるためにも、3点をまとめてやはり実現してもらう必要があると考えています。

問)

週末の土曜日に内閣官房の方から、各省庁に対して補助金の削減について、色々な指示が出されました。これを受けて、諮問会議の方で各省庁からの回答結果を審議するような形で取り上げるご予定というのはあるのでしょうか。

答)

これは総理の指示が出されて、総理の指示は諮問会議で議論したことに基づいて、総理が非常に厳格に指示を出してくださったということで、我々は大変感謝をしております。それがどのように予算編成に反映されていくかということですから、これは一義的には当然のことながら財務省の方でしっかりと各省庁と相談をしながら、その予算案をまとめていただくということになるのだと思います。その過程で、議論の必要が生じたら、また諮問会議で当然のことながら議論するということになりますが、まずは今、各省庁で財務省もしっかりとコミットしながら、そうした案について、いかに総理の指示を実現するかについて努力をしてくださっていると思いますので、その集計を是非待ちたいと思います。

問)

諮問会議でも、多分12月の初旬に来年度予算編成の基本方針というのをまとめると思うのですけれども、その中に補助金改革の具体的な中身というのはないのでしょうか。

答)

基本的には正に基本方針ですから、各省庁がこの項目を幾らどうするかというのは、これは基本方針とは馴染まないものだと思っています。ただ、基本方針は何のために作るかというと、正しく良い予算を作るために、その基本方針を作るわけですから、その際に必要な議論があれば、当然のことながら、その中には盛り込むことになると思います。そうした意味でも、今各省庁で努力していますから、それが回答して出てくるのをしっかりと見ていきたいと思います。

問)

年金問題について伺いたいのですけれども、まとめの立場から、なかなか具体的な議論には立ち入って発言し難いということを仰っているんですが、まとめ方について伺いたいんですけれども、週末のテレビでも、論点を絞って議論していく必要があるということを言われてましたけれども、その絞っていく論点の中に、国庫負担の財源というのは入るのでしょうか。つまり、定率減税の見直しと消費税の見直しとか、それぞれ議論が出ていますけれども、どちらかに方向を絞っていくという作業は必要になってくるというふうにお考えでしょうか。

答)

まず、議論の絞り方の中で、当面何について結論を出すのか。当面出すこと、それと年度内に結論を出すこと、更に中期的な体系、制度の中で考えていくこと、この仕分けをすること自体が実は重要な議論の中身だと思っています。

今までの議論の中で、何と言っても給付と負担が大変重要であるということ等々、その絞リ込みも実は、私なりにはかなり進んでいるというふうに思います。その中で、2分の1にそもそもどのような形でするのかということについての議論は、諮問会議では実は余り十分に行われておりません。どのぐらいのタイムスパンでやるかも含めて、是非次回の諮問会議では、今まで十分議論されていないことを中心に議論を深めたいと思っています。

例えば、議論が必ずしも十分深まっていませんねというのは、給付と負担をうまく調整するためには、それの調整項目として、例えば調整速度をどうするのかと、高額所得者の給付抑制をどうするのかと、これは大変重要だという議論は出ているのですけれども、それではどうするのかという議論はまだ十分に踏み込めていない。2分の1の話もそうですし、更には未納・未加入の人に対する何らかのペナルティーが必要ではないかという議論は出ているのですが、それではどうするのかという議論は出ていない。まだそういう議論が進んでいないことについて、次回ではどのようにそれを扱うのかということも含めて、しっかり議論したいと思います。

問)

しっかりと仰っているのは、集中審議、全部で4回予定されていますけれども、その枠内で結論を出したいということですか。

答)

次回、年金のことを議論できるのは今週の金曜日かなというふうに思っております。

問)

先週の金融審議会で、第一部会で証券取引法の65条の見直しが議論されたと思うんですが、その中で証券仲介業とか、あるいは紹介については、今後預金取扱金融機関でも行う方向で見直しという話が出ましたが、もっと抜本的に65条を見直して、例えば証券会社と銀行が合併もできるようにするとか、どこまで65条の問題を抜本的に見直しになるつもりがあるか、お伺いしたいのですが。

答)

ちょっと金融審議会での詳細の議論を聞いておりませんので、それは確認してからまた必要があればコメントをさせていただきたいと思います。いずれにしても、基本的には金融のあり方そのものを幅広く金融審議会では議論をしていただいているというふうに思っていますので、その証取法の65条の問題についても、審議会での議論を見ながら、我々としては行政のあり方を当然考えていくということになります。

ご指摘の、当日どのような議論が行われたかということは、ちょっと今の時点で承知しておりませんので、これは必要がありましたら、また改めてコメントをさせていただきます。

問)

年金のことなのですけれども、年金、色々な様々な案が出ていますけれども、どれか1つに絞り込まれたところで、老後の不安というのが、そういうのが払拭されるようにどうも見ていて思えないんですが、やはり財源とか消費税の問題というのを避けたままの段階では、安心感というか、十分議論が尽くされたようなところには収まらないような気がするんですが、その辺大臣いかがでしょうか。

答)

基本的には、長期的な安心度というのは、私はやはり2つの点だと思います。1つは、給付と負担の関係。給付と負担に国庫補助の問題というのは、当然ある程度絡まってきますけれども、基本的にはやはり大きな問題は給付、保険料率とその給付の程度をどのようにするかということで、大枠がやはり何と言って決まりますから、今回はその問題について、試算も踏まえてきちんと議論していると、この点は私は大変重要な問題だと思います。

もう1つは、未加入・未納の方がいらっしゃるということですから、これについては、先程言いましたように、何らかの対応が必要であるという強い意見が民間議員からは出されている。しかし、その中身をどうするかということに対しては、一気に更に非常に強力なペナルティー、例えば運転免許を出さないとか、そこまでいけるのだろうかというようなことになると、これは多くの方はまだ疑問を投げかけておられる。その意味では、私は給付と負担という観点から、今回は長期的な持続可能性について、非常に議論が深まりつつあると思っています。

残された問題はやはり幾つかありますから、それについては、先程言いましたように、今年中に出来ること、今年度中にやること、それとより長期の税体系の全体的なあり方も含めて議論すべきこと、そういうことはしっかりと分けて全体的な制度体系についての議論というのは、これはこれで諮問会議としても、次年度以降、引き続いて議論しなければいけないことを明確にしてやって行きたいと思っています。

問)

将来に向けて、消費税を財源とするかどうかを含めて議論していくということですか。

答)

そこでいきなり税目が入ってくるかどうかはよく分かりません。しかし、いずれにしても、これはむしろ年金の問題というよりは、財政全体の問題として、財政のバランスをどのように考えていくかということは、これは「改革と展望」の中で、その時のまさに税の国民負担のあり方と歳出の削減をどのように組み合わせていくかということは、これは引き続き「改革と展望」の中ではしっかりと議論していかなければいけない問題だと思います。

問)

先程伺った国庫負担の財源問題については、今の分類で言うと、今年中、今年度中、より長期の税体系も含めて検討していく問題という中では、恐らく一番最後の長期にわたって検討していくということだと思うんですけれども、そうしますと、今年中、あるいは今年度中に財源のあり方については結論を出さなくても、そこは仕方がないというお考えなのかどうかですね。

答)

これは従って、まず何をどの時点で決めるかということ自体が非常に重要な政策的決定であると申し上げましたけれども、次回の議論の時に、まさに今年中、今年度中、来年度以降についての仕分けについて、是非皆さんに議論していただきたいと思います。

問)

今のと同じような話で恐縮なのですけれども、確認の意味もあるんですけれども、先程給付と負担の関係が重要であって、国庫補助もその枠内に入るというようなご発言がありましたけれども、これまでの議論を見ていますと、政治及び厚生労働省の立場からは、そういった国庫補助の話がまずありきだというような議論の方が割と聞こえがちなのに対して、財務省の方からは、給付と負担の問題であるというふうな、議論の手順論が大きく二分されてきている状況がまだ続いているように思うんですが、大臣の整理としては、それは給付と負担という大きな枠の議論が先にあるべきだというふうにお考えなのでしょうか。

答)

私は給付と負担が重要であるということに関しては、幅広いコンセンサスがあるというふうに認識しています。むしろ若干の違いがあるとすれば、負担の抑制が当面重要と考えているのか、給付の確保が重要と考えているのかと。それについての立場、ニュアンスの差というのは、これはあると思っています。諮問会議では、そういう観点から今議論をしているわけです。2分の1云々については、これは法律で決められている等々でありますので、それはそういった事実がありますので、その解釈について、そんなに大きな差は私はないと思っています。

問)

議論の前提なのですけれども、今、足元はまだデフレが続いているわけですが、デフレは政府の想定通りに解消されることを前提にこの年金の議論をするのか、あるいは政府のシナリオがおかしくなった場合は、それに合わせてスライドしていくのか、その辺の基本はどうなんでしょう、土台は。

答)

政府が見通しているのはせいぜい5年の話ですから、年金の話というのはオーバーに言えば100年の話ですから、そこは単純に比べるべきものではないと思います。

ただし、足元の話、政府の見通しから大きく乖離したものを前提として年金を議論するということは、これはまたこれであり得ないことだと思います。

問)

100年のスパンで見ますと、大きく見るとインフレなのでしょうか、デフレなのですか、それはどうでしょうか。

答)

そこは100年間デフレが続くというふうに想定するのは、やはり若干無理があるのかなと思います。

問)

本日、主要行の9月中間決算が一斉に発表されるんですが、本来、その数字を見た上でご感想をお伺いしたいところですが、既に業績修正で、りそなと三井トラストを除いて大幅な業績回復の見込みが出されておりまして、そこで主要行の経営の現状についての認識と、3月、期末に向けた課題についてお考えをお伺いしたいと思います。

答)

冒頭に仰ってくださったように、まだ数字が出ていませんので、正式のコメントはやはりその後にさせていただきたいと思います。

ただ、手短に印象として2点だけ申し上げますと、不良債権の処理というのは、各行頑張って進んできているという認識を持っています。これから上り坂が色々きつくなると思いますが、これは是非とも強力にやはり進めていただきたいと思います。

第2点として、業務純益については、少なくとも全体とすれば引続き前回と同じようなまずまずの水準ということだと思いますが、これについては、やはり更に業務純益が引き上がるような、収益力の強化というのは、これはやはり引き続き業界全体の重要な課題なんだろうと思っています。一層ご努力をいただきたいなと思います。

問)

「三位一体」の初年度の1兆円ですけれども、補助金を交付金化することで、国に金をばら撒く権限が残るものは、「三位一体」の1兆円の中にはカウントされないのでしょうか。そこはどうなんでしょうか。

答)

これは民間議員のペーパーにも書いていますように、そこは極力やはり削減すると。交付金化というのは、ご承知のようにこれは税源移譲に結びつかないと。税源を移譲してやはり真の地方自治だと思いますので、そこは極力やはり交付金化を避けて縮減に持っていってもらいたいというのがこの本来の議論されている趣旨だと思います。

問)

改めての質問ですが、公的資金新法の通常国会への提出へのご意欲と見通しをちょっとお聞かせください。

答)

これは総選挙が終わって、国会の体制が整いつつある中で、与党とも今相談をし始めた段階でありますので、我々としては金融審のワーキンググループの報告を受けて、PTで行政としての可能性の対応をまだ依然として進行形で検討しています。その中において、与党とご相談しながらいくということですので、今の時点で、その明確な見通しを申し上げる段階にはないと思っています。

いずれにしても、与党の皆さんとよくご相談をしながら、審議会の答申も踏まえて、しっかりと対応していきたいと思います。

問)

確認なんですが、郵政民営化で簡保の新商品については、一応総理の方からこだわらないというふうな言い方だと思いますけれども、そこはもう余り議論されないという認識でよろしいのでしょうか。

答)

これは、私締めくくりで申し上げたと思いますけれども、移行期の問題は重要でありますので、移行期の問題は議論をいたします。しっかりと議論をしたいと思います。

総理のご趣旨は、「重要なのは民営化をすることである」と。「自分としては、それまでの細かいことについて、自分としては口を挟むつもりはない」と。「諮問会議でしっかり移行期の問題を議論しろ」と、そういう趣旨であったと思っています。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る