竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成15年12月9日(火) 11時22分~11時31分 金融庁会見室)

1.発言要旨

お待たせして申し訳ありませんでした。

今朝、閣議がございました。閣議の件で、私の方から特に申し上げることはございません。

閣僚懇では、亡くなられた2人の外交官のご遺体の写真が雑誌に掲載されたと。それに対して、外務省として抗議を正式にするという話が外務大臣から述べられました。閣僚懇で多くの方々から、こうした報道に関して、雑誌の掲載等に関しては、まさにご家族の思いがあるわけですから、十分な配慮が必要であるという強い抗議の声が出されました。私も同感であります。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

今日の午後にも、政府はイラク派遣のための基本計画を閣議決定します。世論調査などを見ますと、現時点での派遣には慎重というか、反対の意見が強いようですけれども、今回の決定自体が国民に理解が得られるかどうか、その辺について大臣はどうお考えですか。

答)

世論調査も幾つかのものがありますが、派遣をして貢献するということに対しては、むしろ理解が得られているのではないかと私は思っております。後は時期の問題であろうかと思います。これについては、情報に基づいて適時適切に判断するということですので、これはやはり国際社会における日本の立場を考えても、やはり、政府としてはなさなければいけない決断なのだろうと思っております。

問)

今朝、7-9月のGDPの2次速報値が発表されました。1次速報に比べると、0.6から0.3へとかなり大幅に下方修正されているという結果になっていますが、大臣自身の現在の景気に対する認識をまず伺いたいと思います。

答)

これは統計のぶれの話でありますので、この今日の数字そのものによって景気の判断を変えるというようなことでは全くないと思っております。

ご承知のように、名目成長率はほとんど変わらない。むしろ名目成長率はやや上にいっていると。それに対してデフレーター、特に設備投資のデフレーターの低下幅が小さくなったと。名目からデフレーターの上昇率を引いたものが実質になりますので、当然のことながら実質値が変わってくると、そういう状況であろうかと思います。

従って、実質成長率は1次に比べれば少し下がったと。しかし、その分デフレについては、前回に比べてむしろマイルドになったと、そういう状況であります。総合的に判断をしていく必要があると思っておりますが、現時点でもちろん景気に対する認識を変えるということはありません。

問)

その一方で、今回の下方修正に伴って、今年度の実質GDPの成長率ですが、内閣府の方で出された2.1%の達成には、残り2四半期で0.6%程度成長を続けなければいけないという計算になるわけですが、実際にこの足元の景気を考える時、ハードルは結構高いかなという印象を持つのですが、2%台の成長というのは可能かどうか、その点はどうでしょうか。

答)

当初の政府経済見通しでは0.6%という見通しであったわけです。その後、統計等々踏まえて、内閣府の独自の試算ということで出しておりますけれど、最終的に今日の2次QEを踏まえて、今年度の実績見込みをどうするのか、これは来年度の政府経済見通しの議論も目の前に迫っておりますので、その中で我々の判断を示していきたいと思います。

問)

公的資金新法が自民党の幹部会で大筋了承されたということですが、内容を見ると、「金融再生プログラム」で盛り込まれているような大手行を特に対象にしているわけではなくて、どちらかというと地域の金融機関に絞ったようなイメージがあるんですが、それについてお考えをいただけますでしょうか。

答)

まず、今与党と協議をしているところでありまして、どこで了承されたとか、そういう段階ではまだないと思っております。引続き、与党の皆さんと色々な可能性について勉強しながら協議をしているという状況、現状はそういうところであります。

その中身についても、これも幅広くまだご検討を頂いていると思っています。今の現状から考えて、更なるリスクに対応するために資本を増強するというエコノミックキャピタルの考え方でありますから、その意味では当面、地域、特に再編等々が視野にある地域の金融機関が想定される対象になるというのは、割と自然なことではないかと思います。

同時に、制度そのものは使い勝手が良いものにしておく必要があると思っておりますので、そうした点も踏まえて、非常にまだ広範囲の視野を持って議論を与党の皆さんとさせていただいているというところです。

問)

もう1点、足利銀行の今後についてなんですが、県民銀行構想なるようなものが栃木県の方で発表されたりしていますけれども、あのような計画等も今後のあり方について取り入れていくようなお考えはあるんでしょうか。

答)

そこは出口というか、受け皿の問題であります。我々としては、金融危機対応会議を開いたのが10日前の話であります。混乱なく、ガバナンスの空白なく、いかにこの銀行、3号措置の趣旨を徹底させるのかというところで、我々はまだ汗をかいている。これから新たな経営陣に着任をしていただいて、それで再生をして頂かなければいけない。その意味ではその受け皿、出口の話というのは、かなり先の話でありますので、今の時点で何かそんな具体的なイメージを持って議論するという段階では全くないと思っております。

我々としては、とにかくこの3号措置の趣旨を徹底していただいて、円滑に地域の金融を進めていくこと、何よりも新しい経営者に早く赴任していただけるような状況を作ること、これが我々の今の最大の課題だと思っています。

問)

新しい経営陣の選任ということですが、その時期の見通しというのはまだ……。いかがですか、2週間ぐらいと仰っていましたけれども。

答)

これも何度も申し上げていますけれども、やはり急がれますから、1カ月かけるというようなことはしたくないと。しかし、数日間でできる話でもない。過去の事例等々から見ても、やはり2週間ぐらいを目処に何とかしたいという思いでおります。

しかし、2週間ということでありますと、あと1週間ぐらいでありますので、今そういった作業はできるだけ遅滞なく進むように進めたいと思っております。

問)

GDPなんですけれども、まず4-6月期の成長率が9月の改定で3.9%と、年率になった時にはG7で一番高いということで、景気の持ち直しの背景の材料になったのですが、そこがまず今回下がったということと、あと景気持ち直しの原動力の1つである設備投資が7-9月期に弱くなっているということについて、どう評価されているか教えてください。

答)

まず、持ち直しの判断をしたのは、G7で一番高いからということだけに基づいたわけではもちろんございません。その時点でご指摘のように、今度の改定で、GDPについて、一番高いという状況ではなくなりましたが、しかし、それでもその前の2つの四半期については、日本の成長率が実は一番高かったという数字が今回の改定でも出ております。そういった経済、景気の判断は総合的に行っているというのが第1のポイントです。

それと、設備投資の動向をどう見るかということですが、これはその先行指標である機械受注の動向等々、これが近く発表されますので、そういうものを踏まえて総合的に判断をしていかなければならないと思っています。

問)

為替ですけれども、円高が若干進行しているようですが、景気に与える影響について、ご所見伺えますでしょうか。

答)

何度も申し上げていますように、為替の市場の中で決まってくる動向でありますので、その水準そのものについてコメントする立場にありませんし、まして一応これは財務省の所掌でありますけれども、これが変動して、短期的に日本の経済に影響を与えるということはないと、これは何度も申し上げております。かなりのタイムラグがあると。従って、日々の変動ではなくて、中期的なトレンドとして我々は為替を見ているというのが第1点。

しかし、急激な変動、非常に不安定な動きというのは、これは企業心理に対して影響は与えます。そうした観点から、財務省の方において、必要に応じた措置がとられていくと思っています。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る