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竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(足利銀行新経営陣について)

(平成15年12月16日(火) 17時33分~17時54分)

【冒頭大臣より】

それでは、足利銀行の新経営陣についてでありますが、預金保険法第114条の規定により、当庁の指名に基づき、預金保険機構が選任するということになっています。当庁としては、総理ともご相談しながら、鋭意、人選作業を進めてきましたが、本日、新頭取を指名・選任させていただきました。お手元に、新頭取の経歴を配付させていただいています。

新頭取につきましては、特別危機管理銀行として行うべき業務の重要性に鑑みまして、幅広い方々とご相談をしながら、地域金融、企業再生等に精通した方として、横浜銀行の非常勤取締役である池田 憲人(いけだ のりと)氏を選任させていただきました。

私自身、ご本人に面談しまして、頭取への要請をしました。ご承認が得られたところであります。池田氏につきましては、直接お目にかかって、人格・識見ともに卓越した方というふうに拝察させていただいたところでありまして、最適の方を選任できたというふうに考えています。

新経営陣につきましては、池田氏に加えて、外部から、例えば地元の経済にお詳しい方、法律の専門家等の観点から選任することを考えておりますが、今後、新頭取のお考えも伺いながら、引き続き人選を進めてまいりたいと思います。

外部からの役員招聘のほかに、若干名の役員について内部登用を考えており、この内部登用の人選は、然るべき時点で新頭取がされることになります。現在の役員の方々については、基本的にご退任頂くことになりますけれども、当面、現頭取と前頭取を除く現役員の方には暫定的に役員を務めていただくこととしています。

今後、新経営陣の下で、健全化に向けて経営改革を進めまして、企業価値の維持・向上を図り、受皿への円滑な移行を目指すことになります。受皿への移行までの期間においても、もちろん栃木県を中心とした地域の金融の円滑化、中小企業等の再生に積極的に取り組んでいただきたいというふうに考えております。

これは11月29日の記者会見でも申し上げたのですけれども、今後、新経営陣の下で、「経営に関する計画」を作成していただくことになります。その際には、例えば、経営の方針としまして、経営の合理化等、健全化に向けて経営改革を進めるとともに、地域金融の円滑化、中小企業等の再生に積極的に取り組むこと。更には、ガバナンスの強化、透明性の確保を図る観点から、来年6月の定時株主総会時に「委員会等設置会社」に移行すること。そして、業務運営の適切性・透明性の確保の観点から、融資、資産処分等の業務の適切性を監査するために、法律・会計の専門家から成ります「業務監査委員会」を設置すること、等を盛り込んでいただきたいと考えております。

また、経営改革を進めるに当たっては、抜本的な経営合理化策が必要でありまして、今般の特別危機管理開始決定という事態に立ち至ったことも踏まえますと、先般のりそな銀行並みあるいはそれ以上の合理化が求められると思います。このため、「経営に関する計画」には、現行の経営健全化計画を大幅に上回る人員及び人件費の削減、営業経費の徹底的な削減、組織のスリム化等を盛り込んでいただきたいと考えています。

特に、従業員の年収の水準については、りそなの場合、賞与不支給を含め3割程度の削減を行っておりますが、当行についても、こうした努力が必要であるというふうに思っています。

更に、経営責任の追及については、経営直轄の独立した調査組織として、弁護士等を委員とします「内部調査委員会」を設置していただきたいと考えております。

冒頭にも申し上げましたけれども、本日選任された新頭取におかれては、適切な業務運営を確保しながら、健全化に向けて経営改革を進めて、企業価値の維持・向上に努めるとともに、地域金融の円滑化、中小企業等の再生に積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っています。

当庁としましても、新頭取をしっかりとサポートしていきたいと考えている次第であります。

私の方からは以上であります。

【質疑応答】

問)

先程大臣は、直接池田さんとお目にかかって人物を確認されたというお話でしたが、これはいつそういったセッションをお持ちになったのでしょうか。

答)

これは人事の選考のプロセスの話でありますので、詳細なコメントは控えさせていただきます。

問)

本日と考えてよろしいですか。

答)

これはプロセスの話でありますので、ご遠慮させていただきます。

問)

新しい経営者の方にですね、大臣として最も期待するところ、一つ特に強調するとすればどこでしょうか。

答)

池田さんは、まさにこれまでの仕事を通してですね、地域金融のプロであり、企業再生のプロであるということを幅広く示してこられた方だと思います。特に、今の2点ですね、地域金融、そして企業再生、この点で思う存分力を発揮していただきたいというふうに思っています。

問)

先の1号措置だったりそな銀行の場合はですね、事業会社からのトップを選びました。今回は、民間ですが金融機関からであると、この違いはですね、やはりこの間の何らかの考え方、コンセプトがあったのか。何故こう違ったのかという点とですね、前回はセットで経営陣を選ばれましたけれども、今回はトップの池田さんだけをまず先行してお選びになったと、このやり方の違いはどういうところからきたのか、これを教えてください。

答)

これは人事の問題でありますから、まさにどうしてこういうふうな方を選ばれたかと、前回はどうであったか、これはもう適材適所ということに尽きると思います。もちろんりそなと足利とでは状況も違っておりますし、どういう方が相応しいかということは、その時々ないしその場その場で非常に総合的に判断していく問題であるというふうに私は思っております。先程申し上げましたように、今回足利銀行のケースに関しては、最適な方を得たというふうに私自身は思っています。

それでどうして今回は頭取だけ先行して発表したのかということでありますが、2週間前から申し上げてきました通り、私としては地域金融の分かる方、それと法律の分かる方、地元の経済に詳しい方、そういう方々の組み合わせが大事だろうというふうに当然のことながら考えております。そうした方々はしかし、今回、非常に人選が難しいというふうにも以前から申し上げてきました。調整に今しばらく時間が掛かるというふうに思うのでありますけれども、そうした中で経営のガバナンスの空白を生じさせないためにも、やはりトップの方には一刻も早く就任をしていただきたい。そういうことから今日の時点で、この池田氏、新頭取の指名、選任を先行してやらせていただいたということです。

問)

就任は今日でよろしいわけですか。

答)

そうです。

問)

池田さんについて、大臣は、面識とは言わずとも、ご存知だったか、ご存知でなかったのであればどなたからか紹介を受けたという、そういう理解で良いか、これについてお聞かせください。

答)

基本的には名刺を交換したというようなことは、かなり以前にあったわけでございますけれども、今回非常に幅広く色々な方々の話を伺う中で、複数の方々から池田氏が最適任ではないかというご推薦をいただきました。その上で私自身お目にかかってお話をさせていただいて、最終的には官邸とも相談をさせていただいて決定に至ったわけです。

問)

それともう1点、残りの方の人選については、一応目標、目途は、例えば年内とかですね、どうお考えでしょうか。

答)

あまり具体的な日数などを今回申し上げるのは難しいと思いますが、これはもう、できるだけ早くというふうには思っております。この点は今日、池田氏が着任されますので、池田新頭取ともご相談をしながら、私としても可及的速やかに決定に至れるように努力をしたいと思います。

問)

池田さんとお会いした時にですね、具体的に大臣はどのようなお言葉で要請なさったのか。またそれに対して池田さんの方からはどのような言葉で受けるという・・・。

答)

これも人事のプロセスの話でありますので、詳細なお話は遠慮すべきであろうかと思います。基本的には今回の足利銀行再生の意義、同時にこの再生というのが非常に大きな可能性を持っているということ、しかし同時に非常に難しい面も持っているということ、その点についてやはり非常に高い能力を持っていらっしゃる方にお引き受けをいただきたいと思っているのだと、そのようなお話をさせていただきました。

問)

池田さんの方は、それでもう快諾なさったのですか。

答)

まず何を持って快諾と言われるのかはともかくとしまして、当然のことながらお考えをいただいた上でご承諾をいただいたということです。

問)

快諾される前に足利銀行の資産内容であるとか、過去の経緯であるとか、そういったものに対して池田さんの方から質問、ないしはそれに対して答のようなものを大臣からされたりということはあったのでしょうか。

答)

まず快諾というと、これはご本人に是非聞いていただきたいと思います。ご本人も当然のことながら非常に大きなお仕事ですから、非常に大きな決断をされたと私は思っております。当然のことながらそこに至るまで、いろいろなご説明はさせていただきましたし、そもそも金融にお詳しい方でありますから、いろいろなことを既にご存知であったという面も大きいと思います。

問)

就任にあたって、池田さんの方から条件というか、あるいは他の役員はある程度自分の意向を聞いてほしいとか、そのような何か向こうから条件的なことはありましたか。

答)

特に具体的にこれとこれはというような細かなお話は、特段大きなものはなかったと認識をしております。私達としては池田さんを全面的にバックアップすると、そのことはしっかりと申し上げました。

問)

全面的なバックアップというのは、例えばどういうバックアップがあるのですか。

答)

これから色々な問題が出てくると思われますが、池田さんが経営者として経営手腕を発揮しやすいような環境をできるだけ作って行くということが一番大きなポイントであろうかと思います。これは実際に、まさに今日着任ですから、今日本当にお一人で着任をしておられて、その上でいろいろな改革を進めていかれると思いますので、その過程で必要に応じて必要なご相談には乗らせていただきたいと思います。

問)

新経営陣の、池田さんのお仕事なのですけれども、先程資産価値の維持向上というのがまず第一と仰ったのですが、受け皿探しには新経営陣というのはどこまで関わるのかという点に関してはいかがなのでしょうか。

答)

今朝も類似の話があったと思いますが、その最終的な出口がどうなるかということを今から想定するのは非常に困難であろうかと思います。現経営陣の当面の最大の仕事は、やはりこの経営を健全化することであり、企業価値を高めることであり、それによって受け皿が見つかるような環境を作って行くということであろうかと思っています。そこから先の出口に至る話は、今後事態の推移を見ながら我々も努力をしたいと思います。

問)

ちょっと言葉が裏返しだとは思うのですけれども、大臣は池田さんのお話で地域金融と企業再生に通じた人であるというお話をされました。池田さんはその業界ではもちろん、要するに地銀で、横浜銀行で、融資とか企画とかされた方ですが、融資管理、つまり不良債権処理で横浜銀行で非常に中枢を担われたというようなことを伝え聞きます。大臣もそのような点について、非常に今回の足利銀行も不良債権が多いですから、相応しいとお考えになられたのではないですか。

答)

これはまあ、池田さんの人物、人柄も含めて総合的にこの方にお願いしたいというふうに思ったわけでありますけれども、当然その経歴の中で、横浜銀行そのものの経営を良くしたということがありますし、その過程ではまさにこれはリレーションシップバンキングとしては当然でありますけれども、融資先を良くするということも当然のことながら、重要なことだというふうに思っております。これは不良債権処理をするということは、実は企業を再生させるということと表裏一体の関係にあるわけですから、この点はやはり大変重要な期待される能力と言いますか、ポイントであろうと、これは当然そのように思っております。

問)

先日、栃木県の福田知事の方から、足利銀行の再生に当ってはスピーディーにやる必要があると、それで企業再生も早く集中的にやる必要があると、それに当たっては再生可能な企業に関わる債権ということで、特別な自己査定の区分けを作って欲しいとかですね、あるいは産業再生機構の全面支援を受けたいといった要望が来ていると思うのですけれども、これは汲み上げることのできる要望でしょうか。

答)

まさに、それを判断して企業の価値の向上に向けていくのが経営陣の経営判断だというふうに思っています。そういったいろいろな声があることも既に池田さんはご存知だと思います。そうした声を反映しながら、経営者としてのご判断をなされていくというふうに思います。

問)

役員の構成メンバーなのですけれども、現時点では何人ぐらいを想定されているのでしょうか。

答)

まだ、人数を確定しているわけではありません。いろいろな可能性を今まだ考えております。池田さんともご相談をしながら、可及的速やかに枠組みを決めていきたいと思います。

問)

先程、若干の内部登用もあって然るべきと言っておられましたが、これは池田さんの方からお話になったことなのですか、それとも大臣の方でお考えになったことなのでしょうか。

答)

これは、実際りそなの時もそのようになっております。外部の人だけで取締役会を、これは内部のこと、融資先のこと、地域のことに詳しい職員がボードの中に入っていないと現実には機能しないのではないのでしょうか。りそなの時もそうでした。今回も、これは誰が言い出したというわけではなく、我々もそう思っておりますし、池田さんもそのようにご認識だと思います。

問)

委員会等設置会社の手続きとかですね、先程、給与のことにも触れられましたけれども、報酬についても池田さんは了解済みということでよろしいのでしょうか。

答)

この点については、私たちの方からお願いをしたということです。この方向でやっていただけるというふうに思っております。

問)

経営に関する計画ですけれども、これはいつまでに提出を求めることになりますか。

答)

これも経営のご判断ということになると思います。池田さんの方で経営をしっかりと把握した上で、出来るだけ早くやっていただきたい。しかし、きっちりと中身を把握しないとなかなか責任あるものを作れないと思いますので、それもご相談しながら、私たちとしては、その上でできるだけ早くやっていただきたいというふうに思います。

問)

それは何年計画が想定されているでしょうか。

答)

それも、りそなの場合もそうですけれども、どこまで見通せるかということに依存する内容だと思います。我々としては、比較的しっかりと見通して中期のものを出していただきたいと思っておりますけれども、当然のことながら、実態の把握如何によっては、そこは若干柔軟に考えなければいけない余地もあろうかと思います。

問)

年収なのですが、りそなは3割削減であったと、一方でりそな並み、あるいはそれ以上の合理化ということですが、3割以上ということなのでしょうか。

答)

これは、従業員等もいらっしゃることでありますから、これは経営の中でしっかりと判断をしていただきたいと思います。しかし、これは3号措置が適用されている会社で、前回のりそなのことも参考にしていただきながら、これは外に対しても十分説明できるように、しっかりとした対応をとっていただかなければいけないというふうに思います。

問)

この件はこれで結構なのですが、1点だけお願いします。本日、埼玉県の知事がこちらに来られました。大臣は直接会われていないわけですが、高木長官と会われて、今朝の会見でもありましたけれども、政府の持っている埼玉りそなの株をちょっと分けてほしいと、こういう要望があったみたいですが・・・

答)

上田知事がそういった構想を発表されたということは承知しております。金融庁に起こしいただいたようでありますけれども、私ちょっと時間の関係で直接お目にかかれなくて申し訳なく思っております。これは今朝、申し上げたこととほとんどだぶるかもしれませんけれども、今りそなは新しい経営陣の下で早期再生を目指して改革をしていると、17年3月期までは集中再生期間ということでそれぞれ傘下の銀行が自立できるようにですね、それを優先課題として経営改革に取組んでいくと、そういうスタンスに今あるのだと思います。

りそなホールディングス自体ですね、コメントを発表しているというふうに承知しております。「グループ経営の強化に邁進すべく17年3月までは再生に向けた体質強化に優先的に取組むこととしており、現状、埼玉りそな銀行についても外部資本を入れることは考えていない」、「集中再生期間が終了した後に、更なるグループ企業の価値の最大化に向けて出資者を拡大した方がプラスと判断した場合には、これはいろいろなお話を踏まえた上で検討してまいりたい」と。これはりそなのコメントであるというふうに承知をしております。

どこからどのような資本を入れるかというのは非常に重要な経営判断の問題でありますので、私としてはそういうスタンスでりそなの判断を優先させていきたいと思っております。

(以上)

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