竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成15年12月19日(金) 11時09分~11時24分 金融庁会見室)

1.発言要旨

お待たせいたしました。

今朝、経済対策閣僚会議、それと通常の閣議、そして地域再生本部、一連の閣僚会議がございました。

経済対策閣僚会議では、「平成16年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」についてのご決定をいただいております。それを受けて、閣議で同見通しの閣議了解を得ました。

閣議において、私が発言させていただいておりますけれども、「平成16年度の経済見通し等の概要でありますが、平成15年度における我が国の国内総生産の実質成長率は2.0%程度、名目成長率は0.1%程度になると見込まれます。平成16年度の経済財政運営については、「改革なくして成長なし」、「民間にできることは民間に」、「地方にできることは地方に」という理念のもとで、デフレ克服を目指しながら構造改革の取り組みを加速・拡大することによって、民間需要主導の持続的な経済成長の実現等を目指す。

平成16年度の経済見通しについては、引続き民需中心の緩やかな回復過程をたどるとともに、デフレ圧力は徐々に低下していくものと見込まれ、国内総生産の実質成長率は1.8%程度、名目成長率は0.5%程度になると見通している。以上のような基本的態度と見通しのもとで、平成16年度の経済財政運営に努めていく所存である。」以上のような発言をさせていただきました。

今日は、閣議では破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告、いわゆる金融再生法第5条に基づく破綻金融機関の処理のための報告を閣議決定いただいております。国会に提出する予定でございます。

あと、閣議においては、公認会計士法施行令の一部を改正する政令もご決定をいただいております。

地域再生本部では、地区再生の基本指針を取りまとめました。私の方からは、「改革の芽を地域に浸透させるという意味で、今日の基本指針の決定は大変重要な一歩であるということ。今後は、地域再生のために3つのこと、外部委託の推進、基幹産業の強化、新産業の育成、これをまさに新しい意味での三位一体としてやっていかなければいけない。主役は地域であるので、地域の参加意識を持っていただくことが重要である。その意味で、地域に対するPRをしっかりとやっていきたい。また場合によっては、地域再生をテーマとしてタウンミーティングシリーズ等々も考えてはいかがか」と、そのような発言をさせていただきました。

私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

問)

経済見通しについて、今年1月に決めた「改革と展望」と比べると、実質で見ればかなり高めになってはいるんですけれども、一方でGDPデフレーターがかなり下振れしている印象を受けます。デフレの克服に向けて、その道筋をどういうふうに描かれているのでしょうか。

答)

正に1月に決定する「改革と展望」の中で非常にしっかりと明確に道筋を示していくことになると思っております。基本的には、今ご指摘のように、実質では少し高いのですけれども、デフレそのものは予想より少し厳しいという、ご指摘の通りの現状であると思っております。デフレを克服するためには、何度も申し上げていますように、まず実質成長率を高い2%程度でしっかりと維持していく。その一方で、マネーサプライが増えるような状況を作っていかなければいけない。この点で、政府・日銀が更に努力する必要がある。そうした認識を持っておりますので、「改革と展望」の中でその道筋をしっかりと示していきたいと思います。

問)

自民党が、06年度に名目成長率2%を達成するという公約を掲げたのですけれども、現時点での達成可能度というのはどういうように思っていらっしゃいますか。

答)

達成可能なように、今努力しているところであります。例えば、来年度の経済見通し、名目で0.5%と掲げておりますけれども、当初のシナリオと全く違っているということでは決してないと思っておりますので、2006年度に名目2%成長を目指して、改革を加速して努力をしていきたいと思います。

問)

与党が先にまとめた税制改正大綱について伺いたいのですけれども、その中に、平成17年度、18年度について、定率減税の廃止・縮減をするということが明記されました。実際に廃止されれば、3兆円を超える大増税になりますが、一方で総理は、「任期中の3年間は消費税を上げない」と、しばらくは増税できない環境だということを仰っているんだと思うんですけれども、そうすると、その定率減税を廃止する環境にもないのではないかと思いますが、そこは大臣どのようにお考えですか。

答)

基本的に重要なのは、広義の、広い意味での政府の財政赤字を減らしていかなければいけないということです。そうしないと、プライマリーバランスの回復は実現できません。プライマリーバランスの回復をどのくらいやっていく必要があるかというと、昨年末で、プライマリーバランスの赤字、GDP比は5.2%ですから、それを10年で解消していくということになりますと、毎年毎年0.5%ぐらい、それは歳出を抑制するのか、税収を何とかするのか、その2つを組み合わせる以外ないわけですから。0.5%を解消していかないと、プライマリーバランスの赤字は達成できません。これをやるなということであれば、それは一つの考え方だと思いますが、そうすると財政は破産しますよということになります。

そうすると、それはどこかで帳尻を合わせていかざるを得ない問題になるわけですね。今例えば、ちょっと私は正確に数字を覚えておりませんが、今3兆円という数字を仰ったので申し上げると、3兆円というのはGDP比の0.6%ですね。それは複数年度ですから、そういうものをどこかで、例えばそういったオーダーの数字はどこかで吸収していかないと、プライマリーバランスの回復はできないわけですから。その中で議論していくべき問題であろうかと思います。

総理が仰っている消費税云々の話は、税体系そのものを変えるという非常に大幅なものでありますから、そういう問題については、経済の構造改革の成果がもっとはっきり出てからと、そういうお考えで仰っているんだと思います。

問)

あと、年金制度改革についても、政府与党で保険料の上限を18.35%にするということが決まりましたけれども、経済界からは、雇用に対する影響があるのではないかとか、経済活性化を妨げるのではないかと、かなり厳しい批判が出ているようですけれども、大臣はこの結果をどう受け止めていらっしゃるのか。経済活性化の観点から仕方がないのでしょうか。

答)

日本の経済というのは、ないものねだりができない状況にあります。例えば、経済界は当初一部の方は、今の税率、今の保険料率でやれと仰いますけれども、そうすると年金制度はつぶれてしまうんです。では年金制度をつぶしていいんですかという議論になると、そこはやはりそうは皆さん仰らないんだと思うんですね。恐らくぎりぎりの、年金制度が何とか成り立つぎりぎりのところが、色々なシミュレーションによりますと多分16%ぐらい。16%ぐらいの保険料率だったら、年金制度が何とか成り立つのだけれども、その場合には、要するに代替率は40%をやや上回るぐらいになりますよと、それでいいかという問題だと思います。

恐らく多くの合意は、その18%、保険料率は、従って負担はしんどいけれども、18%程度、それで代替率を50%程度。まさに総理が仰ったところであって、それが私は非常に広いレンジでの合意ラインだと思います。今回の合意は18.35ですから、その0.35がけしからんという議論なのかと。これは20年で0.35ですから、そういう議論なのかということになると、私はそういう議論では決してないのだと思います。従って、広いレンジでの18%、50%というのは、当初私たちが想定された範囲で、ある意味で合意がされているわけでありますので。

しかし、そうした中でも更に負担を低くしていくための努力は必要だと思います。これは調整のやり方を少し変えるとか、色々な工夫の余地は私はまだあるんだと思っておりますから、できるだけその中でも少しでも低くするような努力はしたいと思います。

問)

前回の会見でもお伺いしたのですけれども、税制大綱で不良債権処理の3点セットですけれども、やはり外れてしまいましたけれども、検討事項にもまたなったということで、現時点での今後の対応についてのご所見をお伺いします。

答)

現状、財政の事情を考えた場合に、その3点セットの即時実現が大変難しい状況にあると、そういうことが改めて示されているのだと思います。同時に、今回の議論の中で、やはりこの問題は大変重要であるというご認識もいただいた。税務会計と財務会計の溝を埋めることは重要であるというご認識もいただいた。であるからこそ、これを引続き検討していただけるということになったのだと認識をしております。なかなか出口を、皆が満足できるような出口を一気に見つけるのは大変難しい問題でありますけれども、さはさりながら重要な問題であるということはご認識を頂いておりますので、我々としては引続き3点セットの実現に向けて努力をしていきたいと思います。

問)

それは、再来年度の税制改正でも、また3点セットで要望を続けるという意味に受け止めてよろしいのでしょうか。

答)

要望するかどうかというのは、一種のその時点での意思決定でありますから、1年先のことを今から申し上げるのでは適切ではないと思います。しかし、この重要性は引続き我々として非常に強く認識をしているということです。

問)

その関連ですが、例の自己資本比率の繰延税金資産の参入制限の議論です。これは、それは今回の税制大綱の中でも、そういったものも踏まえて税も考えていると言っていますし、それは別々で来年の春にも、その答申を受けて、税制は今回こういう状態ですけれども、判断はしていくということでよろしいんですか。

答)

まず、税制大綱の中で今仰ったような言い方をしていたかというのは、ちょっとどのくだりを言っておられるのか……

問)

検討事項の中でというくだり……

答)

これは金融行政としても当然考えていくと、そういうようなことを書いているわけです。それはつまり、今回の件に関して申し上げるならば、ワーキンググループでの議論も引続き、今までと同じスタンスで行っていくということです。

問)

もう1点、資産公開の関連ですが端的にお伺いします。奥様のETFの購入について前回の発表時よりも400万円買い足しておられるということなんですけれども、ご購入された時期と口数、そして現在の価格について、もし判ればお願いします。

答)

よく判りません。時期等々、正確に記憶しておりませんが、前回の資産公開と今回の資産公開、確か2カ月ぐらいしか離れていませんから、そのどこかなんだと思います。価格についても、よく判りません。私はちょっと承知をしておりません。

問)

御夫人が御夫人の判断でお買いになっているわけですね。

答)

私の妻は結構自立しておりますので。

問)

これは蛇足ですけれども、以前、ETF、「これ上がるよ」というふうにも大臣は仰っていましたけれども、大臣のそういったお考えというのは基本的に共有されていらっしゃるんでしょうか、奥様と。

答)

よく知りません。

問)

足利銀行の残りの役員の選任の見通しを改めてお聞かせください。

答)

池田新頭取にはご着任を頂いたばかりでございます。池田さんに、我々としてはその経営をお任せして、全面的にバックアップしたいということでありますので、まず池田さんにしっかりと基盤を作っていただくことだと思っております。池田さんともご相談をしながら、我々としては可及的速やかに、組み合わせが重要だということを当初から申し上げておりますけれども、その組み合わせがある程度達成できるように、これはもうできるだけ急いで、池田さんとも相談しながらやりたいと思っております。

問)

年内でしょうか。

答)

できるだけ早くやります。

問)

先程のご発言の関連ですが、地域再生本部関連のタウンミーティングですね、これ、その第一弾を例えば宇都宮市でやるとか、そういうのはいかがでしょうか。

答)

これはタウンミーティング室が決めることで、担当大臣は官房長官でございます。タウンミーティング室の方で官房長官とご相談をしながら色々お決めになるんだと思います。

(以上)

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