竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(16年度予算財務省原案、15年度補正予算について)

(平成15年12月20日(土) 9時33分~9時48分)

【冒頭大臣より】

先程、予算のいわゆる概算閣議を終えたところでございます。財務省の案についてのお示しを頂きまして、更に公債発行額等々について閣議決定をいたしました。あと補正予算につきましては、その概算についての閣議の決定をいたしました。推移等々既にご承知の通りであろうかと思います。閣僚懇では、「今回の予算で様々な形でメリハリが効いた形になった。特に例えば防衛の予算等々、例のミサイル防衛の項目を含めながら、且つ伸び率がこれまでの最低になっている。」「地方交付税につきましても、1万人の警察官増員を含める中で、大幅な交付税の削減が実現している。メリハリを効かせることができた。」そのような発言が各大臣からございました。私の方からは、マクロ的に見て今回の案、まだこれは原案でありますけれども、公債発行額ほぼ横ばいになっていると、一方で国債金利等々の国債費、国債の利払い等々が上昇するなかで、公債発行額が横ばいであるということは、まさにプライマリーバランスが改善しているということを示していると、その意味で改革の芽が財政面でも現れたということを示す形になっているのではないだろうかという趣旨の発言をさせていただきました。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

今、大臣のご発言にもありましたけれども、公債発行額、今横ばいとはいえ過去最高水準であることは間違いないわけであって、一方で小泉政権が掲げている2010年度のプライマリーバランスの黒字化という目標からすると、内閣が発足してから3度目の予算編成であるわけなのですけれども、その辺の道筋と言いますか、今回の予算を踏まえてどうなのかというのを・・・。

答)

まさにその趣旨で先程申し上げたわけでありますけれども、重要なのはプライマリーバランスであると考えております。もちろん国債費等々重要なわけで、金利の動向等々に非常に注意をしなければいけないわけでありますけれども、中期的な財政の健全化という観点からは重要なのはプライマリーバランスであります。今回重要なことは、プライマリーバランスが改善し始めたということを示す結果になっているということです。マクロ的に見てどれくらいプライマリーバランスが改善していくのかということは、これは改革と展望の中できっちりとした数字をお示ししなければいけないと思っております。今、議論できるのは一般会計でありますから、我々が議論しているのは国全体の、政府全体の、国地方合わせたプライマリーバランスがどうなっていくかということが、改革と展望、小泉内閣の財政運営の重要なポイントでありますから、それについては、改革と展望の中で数字的なものを含めて示していけると思います。ただ、今日の時点で重要なことは一般会計についてもプライマリーバランスが改善し始めたということを示す形になっていると、このような点だと思います。

問)

改善し始めたことは認めるにしても、改善のスピードですよね。これから2010年台初頭というとそんなに間がないわけなのですけれども、一気にこれから改善していくものなのかどうか、その辺のところはいかがでしょうか。

答)

まさにそのことを改革と展望の中で計数的にお示しするということを予定しています。

問)

予算で内閣府関連ではモデル事業というのと政策群というのを、大臣がかねてから提唱されていたことが今回も盛り込まれたわけなのですが、まずモデル事業については、いくつか原案の中でも入っていますけれども、予算規模としてはそれほど大きくない、恐らく全部足しても1,000億円を切る程度かと思われるのですが、これを今後どういうふうに育てていくかということについてはどういうふうにお考えなのですか。

答)

これは少し時間をかけて議論をしなければいけない問題も入っていますが、重要な点は、成果目標を掲げてしかも複数年も含めて大胆に実行していくというその形がモデル事業の中でとられた、この点はやはり非常に大きいと思います。1,000億円、ちょっと金額は正確に記憶しておりませんが、金額は確かに小さいですが、ゼロと1,000億円は根本的に違う。重要な点はここでまず小さく生んで、きっちりとした形を作ることだと思っています。そのためには、政策評価を行うということが次の仕事として残されておりますので、我々としては成果目標、大胆な実行に見合った政策評価の仕組みをきちっと作ってワークさせることだと思っております。そして成功例を作ることがこれを今後規模的に拡大していく、やはり重要なステップであるというふうに思っています。

問)

評価の難しさという点からするともう一つの方の政策群、これは規制緩和等を予算の質の方と絡めてということなんですけれども、この辺の評価というのもモデル事業以上に難しいと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

答)

モデル事業の方はニュー・パブリック・マネージメントということで、まがりなりにも諸外国で事例があります。そういう意味ではもちろん大変は大変なのですけれども、一つの道筋がある問題だと思っています。それに比較しまして、政策群の方は道筋そのものがそんなにまだはっきりしていないと、試行錯誤の中でやっていかなければいけない、まあ我々内閣府の中でもずっと言っていたのですが、走りながら考えていくということが必要な部分が非常に多い、そこは、その意味ではご指摘の通りだと思います。どういうやり方が一番良いのか、ひょっとしたらいくつかある政策群の中でもケース・バイ・ケースで違っているのかもしれません。しかしそこは実務的にどういうやり方が良いかということを知恵を出して行きたいと思っております。

問)

予算に関しまして、預金保険機構に対する政府保証枠についてですが、公的資金の新しい制度に伴う金融機能強化勘定ということで2兆円が要求どおり認められました。これについてどう受け止めていらっしゃるかお伺いしたいと思います。

答)

これは言うまでもありませんけれども、公的資金の枠組みを、新たな体制も作っていくということで、金融再生プログラム以来ずっと我々は議論して来たことです。金融審でも議論していただいて、金融庁の中のPTでも議論して、さらに与党とも詰めて、一歩一歩の積み重ねをしてきたつもりであります。それがこういう保証枠という形で、一つの形になっていると。我々としてはこれを踏まえて、しっかりとした制度設計をすることが重要だと思っておりますので、ここを踏まえて、よりしっかりとした準備をしていきたいと思っております。

問)

2兆円という規模なのですが、財務省との相当な折衝の中で2兆円という要求が通ったわけですけれども、主要行を対象とするということですと2兆円では少ないという見方もあるのですが、将来的にはこの2兆円というのは拡大の方向にあるのでしょうか。

答)

我々が当面念頭に置いているのは、地域の再生に資するような地域金融機関の再編、地域金融機関の強化、リレーションシップバンキングの後押しであろうと思っております。そうした中で、積算根拠を持ちながら今回の要求を出させていただいたわけでありますので、更に先の話はどうなるかということについて今から予見することはできませんけれども、我々なりにしっかりと論を立てて積み上げた数字だというふうに思っています。

問)

金融庁の要求の中で、公認会計士監査委員会に関する増員要求が認められていないというふうに財務省の方で言っているのですが・・・。

答)

その具体的な数字は今確認をいたしますが、これは総務大臣にもお願いをしていることでありますので、是非しっかりと実現をしたいと思っております。

問)

復活折衝で要求していくということですよね。

答)

今どういう状況になっているかというのは確認をいたします。総務大臣には既にお願いを致しましたので、しっかりと実現に向けてやっていきたいと思っております。

問)

今回の予算について、改革の芽が財政面でも現れてきたと仰ったのはその通りだと思うのですけれども、一方で、景気に対しては今回の予算というのはどういう位置付けと言いますか、影響があるのかないのか、この辺の見方というのはいかがでしょうか。

答)

財政の赤字が減らないと財政が不健全だというご批判が出てくると、財政を少し健全化させると景気に対して大丈夫かというご心配が出てくる。私が前から申し上げているように、日本の財政運営は非常に狭い道を歩まざるを得ないという環境に置かれていると思います。結論から言いますと、今回はその狭い道を歩んでいると思います。今回の、財政への影響も踏まえた上での政府経済見通しが、昨日も我々としては1.8%、名目0.5%ということで示しているつもりであります。若干の国民、家計に対する負担の増加もあります。一方で、昨年の先行減税が今年もかなりの規模で引き続いているというプラスの面もあります。そういう点を差し引き、総合して財政を少しずつ健全化させていきながら、民需を引っ張り出して経済成長を持続させていくと、そのようなシナリオを描いているわけで、その狭い道に乗った予算であるというふうに思っております。

問)

関連で、今仰った民間需要を引き出すというところなのですけれども、恐らく政策群ですとかその辺の取り組みのことを指しているのだと思うのですが、他に予算の、例えば歳出ですとか、内容そのものの見直しとか、そういうところで今回は民間需要を引き出すという面がどこかに現れているというようにお感じなられますか。

答)

今回、大臣イニシアティブも持たせていただいて、その中で財政を効率化するという非常に強い制約の中での予算を組んだわけです。先程閣僚懇での意見を少しご紹介させていただきましたけれども、実はよくメリハリという言葉があります。例えば防衛予算をどうだと、農業予算をどうだと、その大きな項目の中でのメリハリがありますけれども、それぞれの中でのメリハリというのが実はある意味ではそれ以上に重要なのかもしれません。今回、先程紹介しましたように地域の財政、地方の財政も非常に切り詰めてもらっている。しかし、その中で必要な支出、警察官1万人は増員をしている。さらには防衛についても必要なバリスティック・ミサイル・ディフェンスの話はその中に織り込んで、全体を引き下げていく。一つ一つ意味のある財政支出をするということが、即これがやはり経済を活性化する、社会を活性化するということに繋がっていくと思いますので、非常に強い制約の中で各省頑張って、非常にメリハリはつけてもらっているのではないかと。もちろんこれはどこまで行っても終わらない努力だと私は思いますけれども、その中で今年度はそれなりの努力が実っている面があるのではないかというふうに思っております。

それから、先程の定員の話は、復活折衝の中で是非しっかりと実現をしていきたいというふうに思っております。

(以上)

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