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竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成15年12月24日(水)10時57分~11時17分 金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議がございました。

本日の閣議で、平成16年度一般会計歳入歳出の概算についての決定を行っております。

予算についての決定に当たって、私の方からも発言をさせていただきました。

以下、読み上げます。

「平成16年度予算は、平成16年度予算編成の基本方針に基づき編成されたものである。ここには、関係閣僚のイニシアティブによる制度政策改革についての集中審議等、諮問会議による改革への取り組みの成果が盛り込まれております。我が国経済の再生のためには、これまでの改革の成果を更に浸透させつつ、規制、金融、税制及び歳出の各分野にわたる構造改革を、スピード感をもって一体的、かつ整合的に推進することが重要である。この予算は、15年度に引続き、改革断行予算と位置付けられるものであり、構造改革を一層推進し、活力ある経済社会と持続的な財政構造の構築を図ります。

また、モデル事業、政策群の活用など、予算手法の改革の取り組みを進めます。

16年度予算は、一般会計のプライマリーバランスの赤字縮小が見込まれ、2010年代初頭における国と地方を通じたプライマリーバランスの黒字化に向けての重要な一歩であると考えています。

詳細につきましては、今後の「改革と展望」のプロセスにおいて明らかにしたいと思います。」

以上のような発言をさせていただきました。

閣僚懇では、一部の閣僚から定員がなかなかきついということで、更に一層のご配慮をお願いしたいというお話が総務大臣に対してありましたが、総務大臣からは、定員がきついのはどこも同じであって、特にITの活用等で生産性を上げることによって、そういった問題をクリアしていって欲しいというお話がありました。

これに関連して、総理からも、「分業体制の見直し等、工夫の余地があるはずだ。定員はきついけれども、しっかりと生産を上げてやっていくように」というお話がありました。

あと1点、産業金融に関する関係閣僚会議がございましたので、そのご報告もさせていただきます。

基本的には官房長官の下で関係閣僚、これは経済産業大臣、財務大臣、法務大臣、私、それと日銀総裁、今日は副総裁の出席でありますが、関係者が集まって、産業金融機能を強化するための会議をこれまでも開いてきた、その強化策が取りまとめられたということであります。

経済の活性化については、産業の活性化と産業・金融の機能強化、この両面の対応が必要であるというのが基本的な立場です。今後、政府の各施策を有機的に連携させながら、日本銀行等々、一体となって取り組むと。詳細は資料等々、またご入手いただいていると思いますけれども、その中での金融庁の取り組みについて申し上げますと、特に3点ございます。

信託制度の整備を通じた金融の活性化、投資ファンドの投資先の多様化に合わせた投資家保護の充実、そうした問題がこれは金融手法の多様化の観点ですね。

第2番目は、担保、保証に過度に依存しない資金調達に向けた中小地域金融機関の取り組みの促進。これとの関連では、リレーションシップバンキングの一層の促進に加えて、検査マニュアル別冊中小企業編の見直しに向けた我々の作業が含まれるということであります。

第3番目が、中小地域金融機関による中小企業に対する経営支援機能の強化の促進、これは企業そのものの財務経営基盤の強化に向けてということになります。そうしたことの取り組み、我々は既にやっておりますけれども、一層それを進めていきたいということを私の方からご発言をさせていただきました。

この中身の詳細については、後程事務方から説明をさせていただきたいと思っています。

以上です。

2.質疑応答

問)

今の産業金融閣僚会議、後程事務方の方から説明があるということですけれども、今、3点伺ったところだと、これまでに固まったお話をまとめたというような印象なのですが、来年以降、新たにこういうものを出していくというような新しい方針みたいなものはその場でも出たのですか。

答)

まさに今まで新しいことを、我々何をやるかということをずっと議論をしてきたわけです。それはそれで色々な手続がありますけれども、それを進めながら、今回、産業金融という観点から新たに取りまとめたという趣旨です。

従って、信託業法の改正の話、これも新たなことでもちろんあるわけですし、必要に応じて、投資者の信任確保の重要性等々については、今金融審議会の意見集約をしておりますけれども、それを踏まえて、証券取引法において所要の措置を講じていくということも新たな対応であろうというふうに思っております。

マニュアルについては、今パブリックコメントに付したところでありますので、それを受けて更にしっかりと対応していくと、そういうことになります。

問)

今日、金融審の第一部会の答申をお受けになると思いますが、その中で、証券仲介業の解禁について、証券業界の方では未だ異論が残っているような印象を受けるんですけれども、その点についてお話をお願いします。

答)

これから答申を頂きますので。基本的には、出来るだけそのチャネルを多様化し、投資家のアクセスを容易にして、まさに窓口をより広くしてオープンな環境を作っていくということに関して、これは多くの方々の方向に対する同意はあるんだと思っております。

答申を頂いた上で、行政としてどのように対応するかと。これは、その答申を踏まえてしっかりと対応していくことになると思います。

問)

一部報道で銀行での生保の窓口販売について、全面解禁すると。来年初めに金融審の関係部会を開くという報道もありますが、大臣の全面解禁に対するご意見と現状を教えていただきたいのですけれども。

答)

先程のお話と少しトーンはダブるかもしれませんけれども、銀行窓販の拡大については、規制改革推進3カ年計画、これは15年3月に閣議決定されたものにおいて、引続き検討を行い、15年度中に結論を得て所要の措置を講ずると、そういうふうになっています。もちろん、我々はこれを念頭に置いて検討を進めているわけであります。

これまで事務レベルで関係業界、関係団体から様々なご意見をいただいているというふうには承知をしております。今後、議論の整理をつけていくということが必要な段階にあると思っております。最終的には金融審議会、これは年明けから審議再開予定の金融審議会第二部会、保険の基本問題に関するワーキンググループにおいてもご検討をいただきたいというように思っています。

その意味では、いずれにしても、現時点で具体的な方向性を固めているわけではありません。年度末に向けて幅広い視点から検討いただきたい。年度中でありますので、その期限をしっかりと認識しながらやっていきたいと思っております。

基本的に方向としては、これも先程と同じように、よりオープンな形で、より自由な競争環境の中で消費者の利便を高めていくというのが基本的な方向でありますので、その基本的な方向を踏まえて、審議会でのご検討も踏まえて、我々なりの結論を出していくつもりです。

問)

閣議の大臣の発言について2点伺いたいのですが、1つは、これまで諮問会議で予算案に色々と関わってきたという話の中で、幾つか改革の成果が入っているという趣旨の発言がありましたけれども、政府案がまとまったことを受けて、これまでの諮問会議の議論が十分反映できたかどうか、その評価を伺いたいのが1点。

あと、プライマリーバランスの黒字化について、今回の予算案というのは2010年代初頭への黒字化に向けた第一歩であるという発言がありましたけれども、そうしますと、今検討されている「改革と展望」の中にも、その目標というのは明示されるということで理解してよろしいでしょうか。その2点をお伺いいたします。

答)

予算案がまとまったということに関して、諮問会議での議論を踏まえてどのように評価するかという第1の点に関しては、これは、マクロ的な枠組みの話と、それとその中の配分の話、それぞれについて評価が必要だと思います。

まず、枠組みの話について申し上げますと、我々は枠組みについては、二重三重に色々な手続を経て、場合によっては閣議決定も踏まえて議論をしてきているわけです。枠組みの最大のものは、昨年の「改革と展望」以来ずっと議論していますように、政府の支出、政府の規模を大きくしないということなんです。政府の規模を大きくしないと、つまり、非常にラフに言うと、これはGDPに対する比率ではありますけれども、予算の規模はほぼ横ばいでやるんだということになっているわけですね。それは今回も守られているということです。

もちろん、その「骨太の方針」等々を踏まえて、今回は「予算の全体像」というのを諮問会議で決めていると。その枠にも沿っているということでありますので、歳出の枠組みについては、今までのこの2年間掲げてきた方針にまさに沿ったものになっていると、ここはやはり申し上げて良いのだと思います。

枠組みの2番目としては、その中で経済を活性化して、少しでも税収を上げながらプライマリーバランスを回復させるのだということ、これが枠組みとして2番目の評価点ですけれども、重要な点は、前回も申し上げましたが、プライマリーバランスは改善に向かい始めたということです。これは、非常に歳出の膨張圧力がある中で、プライマリーバランスを改善させる。今回、国債発行額が少しだけども増えたということに世間の注目が集まっておるようでありますが、財政の健全性を図る第1の尺度はプライマリーバランスです。そのプライマリーバランスが改善に向かい始めた。これは、より重要なのは国と地方を合わせたプライマリーバランスでありますから、これについての計測、推計は「改革と展望」の中で我々としてはしっかりと示していきます。

従って、マクロの枠組みについて、歳出の絶対額、水準、それとプライマリーバランスの改善という観点から、我々が目指していた形が現れつつあるというように思います。

より大きな2番目の問題の配分の問題でありますけれども、これはなかなか難しい問題がある。今回、重点項目というのをもちろん前回と同じように絡めてやっているわけでありますけれども、その中で配分が十分であったかどうかということに関しては、これはこれだけ大きな規模の予算でありますから、詳細については、まだまだ改善していかなければいけないところは、当然のことながらあるのだというふうに思っております。

しかし、そうした中で防衛費等々に関しても、マイナス1%と最低の伸びであると。しかし、その中に更には例のミサイル防衛の計画も入っていると。そういうものも含めながら、今までより減らしているというような努力の跡は、これは各省庁、財務省の努力によって見られているのだと思います。

しかし、これはメリハリですから、更にやるべきことがあるはずだという姿勢で我々はやっていかなければいけないと思います。

「改革と展望」に関しましては、従って、プライマリーバランスがどのような経路で今後、縮小に向かって、2010年代初頭の黒字化を目指すかというようことをしっかりと示していくものになると思います。

問)

今回の政府予算案で、例の「三位一体」について決定したわけですけれども、1兆300億円ぐらいの削減になっていると思います。1つ確認しておきたいんですが、4兆円の削減目標というのを政府は掲げていらっしゃいますけれども、この中に、今年度分、つまり03年度分ですが、5,600億円というのは入るのでしょうか。

答)

ご趣旨は5,600億円ですか、1兆円ですか。

問)

来年度分が1兆円ですね。財務省の主張というのは、今年度分、03年度分の芽出しの5,600億円も含めるという考え方のようなんですけれども、そこは大臣の認識はいかがでしょうか。

答)

今年度分が入るかどうかというご趣旨ですか。

これは、目標を立てていますから、それを目標にそれを目指してやっていくということですから、厳密な議論を財務省との間ではやっておりませんが、そういった点も踏まえて、総理はやはり中期的な姿を示していかなければいけないということをこの間の諮問会議でも言っておられますので、その中で意見のすり合わせは是非したいと思います。

問)

そこのすり合わせはまだされていないということですか。

答)

基本的にはまだしておりません。

問)

プライマリーバランスに対しては、改善していると言っても、19兆円の赤字なんですけれども、改善したのは5,000億円から6,000億円。19兆円をこれから10年後にゼロにしないといけないというのは、余りにもちょっとペースが遅いんではないかという気がするんですけれども、本当に出来るのかという点なのですけれども、その見通しは。

答)

どれだけプライマリーバランスが回復しているかということの計算は、少々技術的であります。今は、一般会計の予算案が出ているわけでありますけれども、これに地方の問題が加わって、若干の遣り繰りの問題もやると。更には、昨年度の補正予算のなだれ込み分もありますから、それをどうカウントするかということもあります。その正確な試算を「改革と展望」において示すということを申し上げているわけです。

一般会計の数字だと、例えば6,000億円になりますねというようなご指摘、ちょっと数字は今記憶しておりませんが、それを上回る多分、地方分のプライマリーバランスの改善があるでしょう。それに先程申し上げましたように、これは年度の予算案でありますから、実際の歳出歳入がどうなっているかというのは、補正予算の繰り延べ分等々で違ってきますから、私は今仰ったような小さな額ではないと思っております。

いずれにしても、それは「改革と展望」においてしっかりと示したいと思います。

問)

地方を加えれば1兆2,000億円以上の回復と、そういう……。

答)

地財計画ベースで、これは単純に足しますと8,000億円ぐらいになると思いますね。国の一般会計で6,000億円。でも、それだけではないということですね。先程言いましたように、若干の技術的な問題が入ってきますので、そういうことを踏まえて、比較的に目に見えたプライマリーバランスの改善が進んでいるという姿は、「改革と展望」で示せるのではないかと思っています。

問)

その点に関連してですが、前回の閣議の時かその後の懇談かちょっと忘れましたが、谷垣大臣は会見で、竹中大臣がかなり前向きに来年度予算を捉えたことに対して、国債の金利の問題などもあるので、もう少しネガティブなトーンのことをご発言なさったというようなことを、ちょっと抽象的に仰ったものですから、詳細が分からないんですが、そもそもその時の指摘がどういうものだったのか等を含めて、大臣のお考えも含めて、教えていただきたいんですが。

答)

財政の話をする時は、必ず我々は2つのことを意識しながら話すわけですね。財政赤字がひどいのではないかと。それに対しては、財政赤字はしっかりと改善の方向に向かって歩んでおりますと、やはりそういうことは言わなければいけないと思います。

一方で、財政に関しては、もっと景気を浮揚すべきではないかという議論があると。それに対しては、やはり財政赤字が大変厳しいから、そんな財政に安易に依存してはいけないのだということを言う。まさに私がよく申し上げている、従ってその2つのことを考えた狭い道を行かなければならないということを、我々は常に意識するわけでありますけれども、恐らく仰ったのは、私は財政はプライマリーバランスで見る限り改善する余地があるということはある。しかし、一方で財政赤字はまだまだ大変であるから、安易に財政に頼って、何かあると財政資金に頼るということでは困ると。その思い、これは私自身両方の思いを持っておりますけれども、そういうやり取りが少しあったと、そのようにご理解いただければよいのだと思います。

問)

今の超低金利が続いている中での予算編成になったわけですが、その辺の金利の上昇が財政を圧迫する懸念ということではなかったのでしょうか。

答)

そんな明示的なお話ではなかったと思います。

問)

財政がこういう状況ですと、規制改革の重要性がより増すと思うんですけれども、大臣、週末のテレビでは規制改革の重要性についてお話していたと思うんですが、ただ、この間まとまった最終答申を見ましても、なかなか省庁の抵抗もあって進展が見られてないという状況です。これから恐らく後継組織の議論というのが出てくると思うんですけれども、大臣、現時点ではどういうふうにその辺をお考えなんでしょうか。

答)

基本的に私は担当大臣ではありません。経済活性化全体の観点から、担当大臣の方でその規制改革について、色々な制約の中でしっかりと対応していただいているというふうに思っております。

そうしたことも踏まえて、明日の諮問会議では、これは金子大臣にもおいでいただいて、また更に前向きな議論を深めたいと思っています。

(以上)

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