竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成16年6月11日(金) 9時23分~9時36分 院内)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。

閣議では、今日、FRC報告、国会に提出する報告についての決定をいただいております。

閣僚懇では、私から、補助金改革の具体案の地方に対する取りまとめ要請について御紹介をいたしました。

去る6月4日に閣議決定された「基本方針2004」においては、補助金改革、3兆円規模を目指した税源移譲、交付税改革を三位一体で推進することとし、平成18年度までの改革の全体像を本年秋に明らかにし、年内に決定する旨が示されています。これを受け、6月9日に、内閣府等から地方6団体に対して、概ね3兆円規模を目指した税源移譲の前提となる国庫補助負担金改革について、「基本方針2003」及び「基本方針2004」に示された政府の方針を踏まえ、地方として統一した具体案を8月20日までに取りまとめいただくよう要請いたしましたので御報告いたします。政府としては、地方からの提案を踏まえ、経済財政諮問会議においても議論を行い、三位一体改革の全体像に向けて検討を進めていくことになります。三位一体改革の円滑な推進を図るためには、閣僚各位の御協力が不可欠でありますので、特段の御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

以上のような発言をさせていただきました。

私の方から2点申し上げます。足利銀行の件ですが、平成16年3月期決算の確定並びに経営に関する計画の策定に向けまして、鋭意、作業を進めてきているところでございますけれども、本日、決算及び当該計画について取締役会で決定の上、夕刻、発表される予定となっております。夕刻、事務方より記者の皆様にもレクチャーさせていただくことになると思います。足利銀行におきましては、本日決定される経営に関する計画の着実な履行を通じまして、引続き経営改革を進めるとともに、地域金融の円滑化、中小企業等の再生に積極的に取り組むこと等によりまして、企業価値の向上にぜひ努めていただきたいと思っています。

もう一点申し上げます。本日の閣議で、6月12日から13日にかけて、私の韓国出張が承認されました。6月13日にソウルで開催されます東アジア経済サミットに参加いたします。これは、世界経済フォーラムが主催するものでありまして、アジア地域等の政・財・学界のリーダーが年に1度集まる会議でございます。アジア版ダボス会議と言われるものでございます。過去に、私も数度参加したことがあります。この会議への参加を通じまして、東アジア各国各界のリーダーと、経済の現状と課題について議論を深めてまいりたいと思っております。

私からは以上です。

2.質疑応答

問)

厚生労働省の統計で、出生率が1.29まで下がってきたということが明らかになったのですが、早くも政府が進めようとしている年金改革法案の信頼性が揺らいでいる状況だと思うのですが、この数字をどういうふうに受け止めていらっしゃるかということをまずお伺いいたします。

答)

まず、少子化そのものは、日本にとって非常に深刻な問題であるということでありますから、少子化対策として、やはり従来以上に気を引き締めて対応していく必要があるというふうに思います。

その上で、年金との関連でありますが、数字そのものについては、専門家の間でも色々な評価があると承知しています。ミレニアム等々で、出生率が一時高まったことの反動ではないか、一時的なものであるという解釈もあれば、傾向的に低くなる可能性もあるという、ここは専門家の議論も分かれている段階でありますから、そこはしっかりともう少し中期的な観点から見極めていただくというのが筋だと思います。

もう一つ、年金の、財政との関連で言いますと、出生率が大変重要でありますが、実はインフレ率も極めて重要な問題であって、それについては企業物価が上昇しているというような数字も出ております。そうした観点から、年金の財政という観点からは、総合的に我々も注意深く見ていきたいと思います。

問)

それから、景気ですけれども、昨日出ました機械受注統計、製造業の設備投資が記録的な非常に高い数字になると。それから、日銀の物価統計でも、6年7カ月ぶりに1%の伸びを示すということで、非常に強い数字が出ているわけなのですが、景気判断は上方修正するタイミングにあるのかどうかも含めて、現在の景気の現状をお聞かせください。

答)

統計が出揃うのを待って、きちっと判断をしたいと思いますが、基本的には「景気は着実な回復を続けている」という我々の現状での判断に沿って、経済は動いていると考えております。御指摘のように、機械受注は統計が振れますけれども、少し弱いのではないかという懸念の後に、製造業30%増という、統計を取り始めて以来、今までで一番高い数字が出ている。その意味では、基調は引続き着実な回復であると思っております。物価についても、今御紹介がありましたけれども、これも様々な要因、国際的な要因も絡まっていると考えられますが、もう少ししっかりと見極めたいと思っています。

問)

東アジアの経済サミットなのですけれども、これは大臣としては、日本経済あるいは金融の状態についてどういうアピールをなさりたいとお考えになっているでしょうか。

答)

日本の経済の状況を、まず正確に是非お伝えしたいと思います。構造改革は、金融を中心にやはりしっかりと進んでいる。しかし、我々の前には更にやらなければいけないことがあると、そういう状況をしっかりと説明したいというのが第1です。

もう一つは、各国のリーダーたちに是非訴えたいのは、やはり私たちは今、非常に大きなチャンスを迎えているということであると思っています。アメリカの経済も、中国の経済も、日本の経済も良い。ヨーロッパもようやく良くなりつつある。そういう中で、その意味では構造改革、各国様々な構造問題を抱えていますけれども、それを押し進める大変重要な大きなチャンスであると、そういうことを是非呼びかけて、同時に日本の構造改革の実績についても是非紹介をしたいと思います。

問)

三井住友フィナンシャルグループが、消費者金融のプロミスと資本提携で最終調整ということが明らかになりましたが、先だっては、東京三菱もアコムと同様の提携をしていまして、このように銀行と消費者金融の融合がここに来て加速しているという状況について、大臣の御所見を伺いたいのですが。

答)

まず、三井住友とプロミスの件については、色々なことを検討されているというコメントは御当人たちも発表しておられますが、まだ正式決定ではないというように承知しております。その上で、一般的に大きな銀行と消費者金融が色々な形で関係を深めるというのは、これは今の資金需要の存在等々、今後の資金需要等々を考えますと、ある意味で当然の一つの経営戦略であろうというように思います。同時に、今後、郵政の問題等々、郵貯の資金がどのように活用されていくのかという非常に大きな資金の流れの問題もありますから、その意味でやはり金融界においても、そういう大きな時代の流れを背景として、是非色々なことに対して思い切り戦略的に取り組んでいただきたいと思います。

問)

道州制特区のことですけれども、高橋知事は先に国の北海道内に40ぐらいある出先をまず統合して、それから北海道庁と統合するという2段階統合論というものを提唱しているのですけれども、6月3日の記者会見で、「諮問会議でこの2段階統合論を了承いただいたと考えている」、そのように知事は発言されているのですが、これはそういうような認識でよろしいでしょうか。

答)

知事の記者会見の正確な御発言は、承知しておりません。その上で、諮問会議でどういう議論がなされたということに関しては、そういう2段階論が良いとか、それを承認するとかという事実はありません。プロセスそのものを議論しても、私はあまり意味がないと思いますので、具体的にどうするのか、どうしたいのかという議論を是非していただいて、それを示していただいた上で、国としてはしっかりやるべきことはやっていく、そういう具体的な議論の段階であると思っております。

問)

大臣御自身は、経産局とか開発局とか、こういったできるところから先行して統合すべきだというお考えでしょうか。

答)

基本的には、色々なやり方があると思います。しかし、そういうそもそも論、制度論をやると、これは5年、10年かかる議論になるわけですので、北海道で先行的にやってみるというのが、まさに道州制特区の意味です。そういう非常に恵まれた立場を、今、北海道は与えられていると思っています。そこに対して、まず当事者としてどういう必要性があると認識をしているのか、そういうことを示していただけるのを期待しております。

問)

今週、日銀の総裁が、例のインフレ参照値について、前よりやや踏み込んで評価される発言をされていますけれども、先程物価についてはもうしばらく注視されるという御発言でしたが、もう少し物価動向をどうご覧になっているかということと、日銀のスタンスをどう評価されているのかお聞かせください。

答)

物価については、実物要因とマネタリーな要因、双方が基本的には良い方向に動いていると思っています。実物要因、経済成長率が高まって、需給ギャップ率が多分1%強ぐらいの水準にまで低下してきている。マネーサプライについても、伸び率が一時低かったのですけれども、少しそれが底を打ってきているのかなというような動向が、最近の数字、2%の伸び率等々には見られると思っております。従って、そういう方向に動いていますので、これは若干やはり時間もかかることであろうかと思いますから、大きく見ていきたいと思います。

日本銀行の対応については、今回の「骨太の方針」は、その意味では非常に建設的な議論が日本銀行とできた、福井総裁とできたと思っております。我々の政府の目標と整合的な形で運営をしていただくということ、それとデフレ克服の道筋まで含めて説明責任をしっかりと果たしていくというようなこと。その説明責任の果たし方そのものの中身について、これはやはり政府は口を出すべきではないと思います。その説明責任の1つの形として、インフレ参照値が日本銀行で議論をされていると思います。ここは、専門家の立場で、ぜひまさに政府から独立して、しっかりと御議論いただきたいと思います。

(以上)

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