竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成16年6月15日(火) 9時46分~9時58分 金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。閣議におきましては、先般の「東アジア経済サミット」への出張の報告を私の方からさせていただきました。

私は、6月12日から13日にかけてソウルを訪問し、アジア各国の政官財学界のリーダーを集めた「東アジア経済サミット」に出席し、開会セッションにおいて基調スピーチを行ったほか、李憲宰(イ・ホンジェ)副首相兼財政経済部長官と特別会談を行いました。これらの会合において、私は、「日本経済は、構造改革を進めて、景気回復を実現した。現在、世界経済は回復過程にあり、アジア経済も好調である。この機会に、アジア各国が構造改革を進めることで、構造改革と成長の好循環を作り出す大きなチャンスである。」、そのような発言を行いました。これに対して、小泉改革と日本経済の今後の展開に高い関心が示されました。

以上のような、私の出張に関する報告を、閣議でさせていただいております。

閣僚懇では、総理からサミットについての報告がございました。これについては既に昨日の政府与党連絡会議等々での報告も含めて、御承知のとおりだと思います。

閣議、閣僚懇に関しては以上でございます。

私の方から、1点申し上げます。

公益通報者保護法案につきましては、昨日、参議院本会議で可決されまして、今月18日に発布される運びとなりました。この法案は大変重要な法案でありますので、大きな役割を果たすということを期待しております。附帯決議の趣旨も重く受けとめて、円滑な施行に向けて制度の周知徹底など、万全を尽くしてまいりたいと思います。

同様に、公的資金に関する2法案について、昨日、参議院本会議で成立をしていただきました。大変重要な法案でありますので、しっかりと準備を進めたいと思います。

私の方からは以上です。

2.質疑応答

問)

長期金利ですが、昨日、1.855までいきまして、今日は少し下がっているようですが、大臣はこれまでの会見で、ポジティブな側面もあるというようなお話があったと思うのですが、この1.85まで行った水準とピッチについて、現時点でどのように見ておられるのかお聞かせください。

答)

水準等々について、マーケットの相場の話ですから、コメントする立場にはないと思っております。

基本的な見方は、既に何度も御説明していますとおり、この問題はやはり、大変注意して見ていかなければならないという側面があります。しかし、ネガティブ、ポジティブ、両方の面がありますから、ポジティブな面もあるということも確認しなければいけないということだと思います。

御指摘のもう一つ、ピッチについては、これは私たちにとって一番注意して見ていかなければいけない点だと思っております。しっかりとマーケット等の動向を見ながら、また、必要に応じてマーケットとの対話をしっかりやりたいと思っています。

問)

そのマーケットとの対話という意味は、今日、日銀の政策決定会合の2日目が行われるわけですけれども、日銀の金融政策運営についてどのような期待を現時点で持っておられるのかということと、政府サイドの方から何らかの御意見など述べられる予定があるのかどうかお聞かせください。

答)

政府・日銀の協力、デフレ克服に向けた日銀への期待、そういう点に関しましては、先日の「基本方針2004」で、従来とは少し違った形でしっかりと記述をさせていただいたと思っております。本日の政策決定会合は、その後の政策決定会合ということになりますので、まさに一体感を持って、しっかりやっていただけるということを期待しております。

政府サイドの意見について、私は今日、ちょっと時間の都合で出られません。副大臣に出ていただきたいと思っておりますけれども、「基本方針2004」を踏まえて、政府もしっかりやっていく、日銀もしっかりやっていただきたい、そのような趣旨の発言になるのではないかと思います。

問)

関連してもう1点、国債管理政策といった意味では、これは財務省の所管になるかもしれませんけれども、どのような改善点があるのか、どのような期待を持っておられるのか。来年度の予算編成をこれから本格化していく中で、どのような見方をしておられるのかお聞かせください。

答)

これだけ大きな国債残高を抱えていますから、国債管理というのは本当に重要な仕事だと思います。御指摘のとおり、これは財務省の方でしっかりとやっておられることですので、直接コメントする立場にはありませんが、経済財政諮問会議においても、国債管理政策の重要性というのは何度も指摘をされ、また、議論をされております。財務省にしっかり対応していただく、必要に応じて、また諮問会議でも議論をしていきたいと思います。

問)

昨日の夜もお伺いしたことに関連するのですけれども、公的資金新法の成立を受けまして、これが如何に活用されるかということに注目が集まっていると思います。今回、その申請していくという形をとって、主に地域金融機関だと思うのですけれども、経営者の判断、どういったところをこれから期待なさっているのか、この辺をお聞かせください。

答)

ずっと私も申し上げていますけれども、日本の金融は危機ではないけれども健康体ではないと。そのグレーゾーンであるところにあるという状況が続いてきた、それが全体としては、かなり健康体に近づいてはいると思います。

私はこういう機会に、経営者に大いに野心的になっていただきたいと思います。こういう枠組みをしっかりと活用して、一気にそのグレーゾーンから健全なところに飛び出すという、非常に大きなチャンスだと思います。それは経営体――銀行にとっても良いことだし、何よりも地域経済に資するし、そして日本経済に資する、そういう大きな視点から、この機会を大いに活用するという、そういう野心的な経営をしていただきたいと思っております。

問)

先程の金利の話ですが、大臣は潜在成長率が2.0%程度といつも仰っていると思うのですけれども、そういった状況で今のレベルが、長期金利のレベルが実体経済に与える影響、今後、こういった長期金利のレベルが続くと、どういった影響が出るというふうにご覧になられているのでしょうか。

答)

まず、潜在成長力と金利を結びつけて議論するのは難しいと言いますか、大変複雑だと思いますけれども、要は、金利の上昇が実体経済にどのような影響を与えるかということですけれども、実体経済にまず影響を与えるのは、名目金利ではなくて実質金利であります。従って、名目金利の上昇とデフレの解消というのが、総体的にどのようなペースで進んでいっているのかというのが、実体経済に与える影響としては重要だということになります。その辺については、必ずしもまだ、現時点では判断をしかねますけれども、その意味も含めて、我々としてはしっかりと見ていきたいと思います。

同時に、名目金利は名目金利として、名目値は名目値として、それ自体意味を持つこともありますから、そういうことについてもしっかり目配りをしたいと思います。

問)

今のデフレの関連ですけれども、企業物価も大分上がってきて、金利も上昇している。デフレの状況に今変化があるかどうか、そこら辺の認識をお伺いしたいのですけれども。

答)

変化があるかということに関しては、企業物価が1%を超えるというような現象も出てきました。その意味では、数字そのものは確かに動いております。

一方で、原油価格等々、更には資材価格等々、部分的には更に注意して見ていかなければいけない、押上げの要因もあると思います。

しかし、同時に、我々のトータルな判断としては、緩やかなデフレは続いているということだと思っています。判断そのものは、やはり総合的なものでなければいけないと思っていますけれども、これから、「予算の全体像」の議論に入っていきます。概算要求を控えて、「予算の全体像」の議論をしなければいけないと思います。その時に、その「予算の全体像」を、今の経済ないしは来年にかけての経済をどのように見るかという、そのマクロ的な視点からしっかりとチェックをしなければいけない。その意味で、重要なポイントだと思っています。アメリカでも、年初と年央にしっかりと経済を点検するという仕組みを持っていますけれども、今御指摘の点も含めて、我々としては総力を挙げて、その経済の点検を行いたいと思います。

問)

また長期金利の話ですけれども、大臣はポジティブな金利の上昇だと仰られるのですが、ここで改めて、このポジティブな金利の上昇だという根拠をもう一度お聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

答)

金利、特に国債金利は色々な要因で変動しますけれども、大きくは2つの要因があると考えます。1つは、期待成長率が高まるときに金利は上昇します。もう一つは、国債に対する信認が低下した時に金利は上昇します。今の状況において、国債に対する信認が低下しているというようには、必ずしも思いません。プライマリーバランスを約10年で回復させる、そのために、プライマリー赤字の減少に向けた動きがきちっと始まっておりますので、その信認が低下しているということではない。その意味で、ポジティブな側面が相当あるというふうに思っています。

しかし、その金利の変化が早い場合には、それはそれで経済に対してはマイナスの影響がありますから、そこはそういうことにならないように、我々としてはしっかりと注意を持って見ていかなければいけないと思っています。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る