竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成16年7月16日(金) 10時49分~10時57分 金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。

閣議におきましては、私から、平成16年度年次経済財政報告、いわゆる「経済財政白書」についての報告をしております。本報告は、我が国の経済と財政の現状と課題を総合的に分析し、政府が進める構造改革とそのための政策運営に分析的な基礎づけを与えることを目的としています。日本経済は、民間需要が主導し、堅調に回復をしています。金融、規制、税制、歳出を中心とする構造改革の芽があらわれ、長期にわたって経済を停滞させてきた問題に対して、徐々に成果を上げています。特に、企業の体質が改善し、それが家計に広がりつつあります。

しかし、回復には地域ごとにばらつきが見られ、中小企業の状況は厳しいことから、地域経済の再生やグローバル化への柔軟な対応に本格的に取り組み、持続的な安定成長につなげていくことが重要な課題です。そのためには構造改革の取り組みをさらに強化し、芽が出た改革を大きな木に育てていくことが求められています。

このような問題意識に基づいて、副題は、過去3回の報告に続き「改革なくして成長なし IV 」といたしました。本報告の分析を通じて、日本経済と財政に対する理解を深め、来年度予算編成と今後の政策運営に貢献することを期待しています。本報告の取りまとめに当たりまして、関係閣僚から多大な御協力をいただきました。深く感謝申し上げます。

以上のような報告を、私から閣議でしております。

閣僚懇では、先の新潟、福島の災害について、担当大臣、関連大臣からの御報告がありました。総理からは、各大臣、各省庁とよく連携して、現状対応をしっかりすること。更に、将来必要な措置まで含めてしっかりと対応するようにという御指示がございました。

私からは以上です。

2.質疑応答

問)

今お話のあった白書ですけれども、04年版で特にここがポイントだというふうに大臣が強調されたいところは、どのようなポイントなのでしょうか。

答)

基本的には、3つのことをそこに書いているわけで、3つの点それぞれに重要だと思っております。

第1は、経済の現状がこれまでの改革の成果を踏まえて現実に回復しつつある、そういう経済の姿を実証的に分析したという点をよく見ていただきたいと思います。経済が悪い時には悪いなりの理由が、良い時には良いなりの理由があるわけで、そうした点について、構造改革の進捗と経済の成長についての実証分析をしっかりと行っているつもりです。

第2は、地域の問題。地域の格差が拡大しているというのが、今回の新たな問題、いわゆる新しい構造問題だと認識しておりますので、その実態の分析とそれへの対応に向けた議論を建設的に行っているということであります。

第3番目は、グローバル化の問題。グローバル化の影響、そしてグローバル化の効果を更に享受できるようにするためにも構造改革が必要なのだというような点を書かせていただいているつもりです。

問)

昨年版と比べますと、昨年版では整理すべき企業がこれだけあるというふうに具体的な数を示されて、かなり切り込んだというような印象もあるのですが、今回、何かそういった鋭さが見られないといいますか、そういう印象もあるのですが、いかがでしょうか。

答)

経済の分析というのは、そういうふうな思惑で何かなされるというものではありません。前回も、切り込むべき企業はこれだけあるというようなことで数字を出したわけではありません。財務諸表等々で基準を設けて、その基準を上回っているところ、下回っているところにどれだけの企業があるかということを客観的に示しているわけで、その客観的に分析をするという姿勢は、今回も変わっておりません。この白書というのは、構造改革の議論をするに当たっての分析的な基礎を与えるということを目的としておりますので、政治的な判断で何かを書いているということではありません。

問)

本日、UFJと三菱東京が提携統合で基本合意するということで、世界一の総資産規模となるわけですけれども、必ずしもメリットだけではないという指摘もありますが、改めて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

答)

まだ話が進捗中というよりは、始まったばかりであると認識しておりますので、どのような内容になるのか、そのことについてまずしっかりと議論していただくということだと思います。繰り返し申し上げますけれども、この統合は民間の経営判断によるものであって、その経営判断そのものについて、私たちが何かを申し上げる立場にはありません。

いずれにしても、経営を良くするということは、それは結果的に金融システムを良くして日本経済を良くするということにつながりますので、責任ある立場の方々がしっかりと御対応いただきたいと思っています。

問)

両者の統合に関連して、UFJグループが住友信託への売却を白紙撤回したということで、法的措置を検討しているというふうに言っていますけれども、これについて大臣の見解をお聞かせください。

答)

住友信託が、そういったUFJホールディングスから「当社と信託財産管理事業等に関する協働事業化を白紙撤回したい旨の申入れを受けたけれども、当社からはかかる申入れに同意することができない旨を回答している。法的措置を含め、適切な対応を検討中である。」と、そのような発表をされたということは承知しております。まさしく民間企業同士の話し合いの問題でありますので、民事に対して我々が何かを申し上げるという立場にはないと思っております。繰り返し言いますが、それぞれ責任を負った立場の方々でいらっしゃいますから、しっかりと責任のある話し合いをしていただきたいと思っております。

問)

今日、閣議の後に、谷垣さんとちょっとお話しされていたようなのですけれども、それはやはり来年度予算関係の話ということなのでしょうか。

答)

予算関係の話を諮問会議で来週から始めますので、それに向けて若干の意見交換をしておりました。その後、河村大臣とも、集中審議を8月のどこかで行うことになりますので、その教育関連のテーマ等々について、若干のお話し合いをしておりました。

(以上)

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