竹中内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策)記者会見要旨

(平成16年8月3日(火) 10時02分~10時12分 金融庁会見室)

1.発言要旨

おはようございます。

閣議がございました。

閣議、閣僚懇を通して、私の所管の関係で、特に御報告申し上げることは今日はございません。

2.質疑応答

問)

昨日の郵政の集中審議が行われたと思いますが、6日に向けて、昨日である程度異論がなかった部分、大筋一致した部分、あるいは異論が残った部分について、次回は例えば叩き台のようなものをお示しされるのか、その辺の議論の進め方についてお考えをお聞かせください。

答)

現時点でどのように議論を進めたらよいかということは、まだ決めておりません。ただ、いずれにしましても、昨日、方向性として確認された部分、沢山ありましたけれども、更に議論を詰めなければいけない重要な点も幾つかあったと思っております。例えばユニバーサルサービスのあり方をどのようにするかという点とか、持株会社方式の是非、それと地域分割の是非、それと時期的な問題ですね、スケジュール的な問題、そうした問題については、更に議論をしなければいけませんので、いずれにしても、もう少しフリーディスカッションをしたいなというふうに思っております。

問)

次回は、昨日お呼びした生田総裁であるとか、あるいは田中直毅さんであるとか、またお呼びになるお考えでしょうか。

答)

基本的には、論点は出し尽くして頂いたと思っておりますので、今の時点では通常のメンバーで問題を掘り下げて一致する点を更に探していくと、そういうプロセスが望ましいのではないかと思っております。

問)

今まで民営化の意義であるとか、あるいは機能論とかで議論されてきたと思うのですが、その中で整理された官から民への資金の流れという面で言うと、昨日の新旧勘定の一括管理、その中身にもよると思うのですが、それに関連して、いわゆる官から民への資金の流れ、その巨大な金融機関の存続をどう見るのかというような点で異論も残るかと思うのですが、その辺は大臣個人としてはどう整理されているのでしょうか。

答)

一括管理の話と官から民への資金の流れというのは、全く別の次元の問題だと思います。一括管理はALMをどうするかという経営上の問題ですから、資金の流れをどうするかというのは、それとは別の次元で議論されていると思っております。

問)

郵政民営化と金融システムの整合性という観点からお伺いしたいのですが、民営化後に郵貯、簡保に、銀行法と保険業法をそれぞれ適用すると。そうすると、経営の自由度が高まっていくということになると思うのですが、その時に民業圧迫というか、規模がそのまま温存されるのではないかという懸念が残るわけですけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。

答)

2つの点で、これから検討していかなければいけないのだと思います。

まず民営化の意義は、まさに自立できるように責任をもって経営を行わなければいけない、そういう非常に重い責任が課されるということですから、どういう規模が適正なのかというようなことも判断しながら、しっかりとやっていかなければいけない。過大な規模で、もしも運営をしてしまったら、その責任は負わなければいけなくなるわけですから、その意味では経営の自立的な競争メカニズムを通して、規模の適正化が働くようなメカニズムが作用していく、この点が実は民営化の大変重要なポイントであると思います。これが第1点。

しかし、これは中期的な話であって、昨日の議論でも出ていましたけれども、短期的には民営化されたとしても、仮に、例えばですけれども、100%政府出資の状況であるならば、実質的にデファクトとして、その政府の保障があるというような、そういう事態が生じるわけですから、そこについては現実的に、そのような問題をどのようにコントロールしていくかということは、別途考えていかなければいけない。それがまさしく経営の自由度とイコールフッティングのバランスを、コインの両面のようにしっかりとっていくという、これまで繰り返し議論されてきた議論の中身になっていくと思います。

問)

三井住友とUFJと東三の関係で、まだぐちゃぐちゃしているのですけれども、当面長引くという予想もあって、大臣として金融システムに与える影響とか、どういうふうに見ているかというのをお聞きしたいのですけれども。

答)

繰り返し申し上げてきましたけれども、これは個別の企業同士の経営判断の問題ですから、しっかりと判断をして頂きたいと、我々としてはそれに尽きます。現時点で、その交渉が少し長引くことによって、金融システムに大きな影響が生ずる懸念があるかということに関しては、それはそのようには考えておりません。ただ、お互いに大きな責任を負っているということではありますから、その責任を自覚をしながら、早急にしっかりと交渉を進めて頂きたいと思っております。

問)

ダイエーについて2点伺いたいのですけれども。

再建計画がどうも出ているのですけれども、3回目で、いつまで続けるのかというのがある、問題の先送りなんじゃないかというところがあろうかと思うのですけれども、その辺について大臣の御見解を伺いたいのが一つ。

それからもう一点、問題先送りに関して、これをどうも指南しているのが、指南というか指導しているのが、どうも政府系金融機関だという情報が金融界で流れているようですけれども、具体的に言うと日本政策投資銀行ですけれども、こういった事実を大臣として把握なさっているかどうか、この2点伺いたいのですが。

答)

まず、個別の会社の再建計画の話でありますから、その個別の会社の再建計画について、コメントをするということは差し控えなければいけないと思っております。ただ、一般論で申し上げれば、これは以前からずっと私自身申し上げてきたように、やはり先送り型のものでは、これは何ら解決にはならないと、問題をむしろ大きくしていくと、透明性が高い再建計画、そして何よりも市場から評価される再建計画をしっかりと示していくことが必要だと思います。その意味では、一度作った再建計画が、また見直されなければいけないというような事態は、これは何としても避けるように、当事者でしっかりと努力をして頂きたいと思っております。そうした観点から、我々も検査局の中に、この再建計画の検証チームを作ったわけですから、この再建計画検証チームを通して、我々としてはしっかりと、これは検証をしていくつもりでおります。

第2の問題でありますけれども、これも個別の話でありますので、個別のコメントは差し控えたいと思いますが、一般論として言えば、これは今正に最後の一山を越えるために、それぞれの立場の人が一生懸命汗を流しているところだと思います。そうした中で、改革を主導しなければいけない政府の銀行が、仮にもそういう、いわゆる先送りになるようなことをやるということは、これはあってはならないことだし、私はあり得ないことであると思っております。マーケットからしっかりとした信認が得られるように、関係者の皆さんには是非、最大の努力をして頂きたいと思っております。

問)

原油価格ですけれども、かねがねトレンドを見ていくのが一つ重要だと思ったのですけれども、なかなか産油国の供給不安もありますし、もちろん社会的な好景気というのも一番だと思うのですけれども、ここに来て、テロ不安ということで、なかなかこの状況は変わらないんじゃないかという見方もあります。それを踏まえまして、大臣はどのように考えているか。あと日本経済の影響について。

答)

再び最高値をつけて44ドルに近い値がついたというふうに承知をしております。ただ、これも中期的な視点で見なければいけないということに加えて、もう一つはやはり実質価格で見なければいけないということだと思います。物価が上昇している中で、原油の価格だけが据え置きになれば、実質価格は下がるわけですから、そういう観点で実質価格で見た場合には、必ずしも非常に、今の時点でトレンドが大きく変化しているということではないと思っております。ただし、これは世界経済、日本経済に与えるインパクトは甚大でありますから、引き続き我々としては注視をしていくつもりでおります。

日本経済のインパクトについては、これは幾つかの試算が出ております。10ドル上がって日本経済の影響は0.4%ぐらいのGDP押し下げ効果があるということであります。そうした効果を打ち消していけるように、内需中心の成長軌道を更に確実なものにしていく、我々としては、やはりあくまでもそのことが求められている、改革を加速していくということが求められているのだと思っております。

(以上)

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