伊藤金融担当大臣
アドバイザリー・チーム第一回会合後記者会見の概要

(平成16年10月26日(火) 19時36分~19時54分)

【大臣より発言】

先程「金融重点強化プログラム(仮称)」を策定するに当たってのアドバイザリー・チームの皆様方との会合を終了させていただきました。私の方から概略を簡単にお話をさせていただきたいと思いますが、今日は初顔合わせでありましたので、新しいプログラムを作るに当たっての基本的な視点、或いは今後どういう課題について議論をしていったら良いのか、そうしたことを踏まえて委員の先生方から自由活発な御議論をいただいたところでございます。基本的な視点につきましては「戦略性」、そして「利用者重視」、更に「競争力強化と公正な競争環境の整備」、そして「市場規律の活用と信頼される金融行政の確立」、「地域経済への貢献」、「国際性」、こうしたキーワードを中心とした議論が行われたところでございます。今後の課題につきましては「基本方針2004」の中にも5つの柱が提示されておりましたので、その5つの柱を中心に意見交換がなされたというところでございます。

以上です。

【質疑応答】

問)

「金融再生プログラム」は策定するまでに一ヶ月足らずでしたけれども、今回は半年ぐらいになるわけですが、時間の余裕もある中で、来年の春の段階でのプログラムの発射台というのはどういう所に重点が置かれているのでしょうか。例えば不良債権であるとか、経済の状況であるとか、そういった所をどういうふうにお考えですか。

答)

まず「金融再生プログラム」の問題につきましては、この2年間を対象にしていたわけでありまして、日本経済を長年苦しめてきた不良債権問題を終結するということを大きな目標にして、プログラムの策定させていただいたわけであります。そしてこのプログラムに基づいて各種の諸施策を展開させていただき、プログラム上は不良債権比率を概ね半減するという半減目標を設定させていただいたわけでありますが、この目標に向かって順調に進捗をしていると考えておりますけれども、今まだ不良債権問題が完全に正常化した状況ではありませんので、この取組みについての改革の手を緩めずに、金融再生の総仕上げを続けていかなければいけない。そうした問題意識の上に17年度から始まる2年間について、新しいプログラムを策定していこうと、その目指すところは国際的にも最高水準の金融機能を利用者のニーズに応じて提供できるような金融システムの構築を目指すということであります。そうした問題意識の中でこのプログラムの策定に当たっていきたいと思っております。今日、委員の先生方からはその先をまた見越して、やはり理想とする日本の金融システム、或いは金融機能の強化のあり方をどう考えるべきか、その中でこれからの新しい17年度からの2年間ということについての議論というものをしっかりしていかなければいけない、そうした御議論も出ておりましたし、御指摘もございました。

問)

まだ半年あるわけですけれども、年末までに決めて、春からの計画を決めるわけですが、その間に今のプログラムというのは順調に推移して目標を達成できるだろうと、そういう考えで良いのでしょうか。

答)

私共はその目標の達成に向けての努力を、手を緩めることなくしっかりと進めていかなければいけないという認識であります。従って「金融再生プログラム」の諸施策を全力で展開していくということであります。

問)

委員の方から前回のプログラムについての評価であるとか、現状の認識について何かお話はありましたか。

答)

「金融再生プログラム」そのものの評価ということについての御意見は今日は出ておりませんでした。ただ今後のことを考えた場合に不良債権問題は解決したけれども、日本の金融システムが今後どうなるのかということが分からない様では、そこは問題があると、不良債権問題解決の先に何が見えるのか、そのことをしっかり議論していくことは大切な事ではないかと、そうした御指摘はございました。

問)

今後、この新しいプログラムでは、数値目標とかは盛り込んでいくことになるのでしょうか。

答)

そうしたことについては、今日は議論は出ておりません。今日は先程お話をさせていただいたように、今後新しいプログラムを策定していくに当たっての基本的な視点の問題、そして今後の課題について自由に御議論をいただいたということであります。

問)

この会合は、どういった頻度で、最後まで何回くらい開きたいのか、その辺のお考えをお願いします。

答)

これは委員の先生方のスケジュールにもよるものですから、できる限り委員の先生方に御協力をいただいて、アドバイザリー・チームを開催させていただきたいと思っております。

問)

プログラムが無事に策定されて発表されたら、チームは解散するということなのでしょうか、或いはその後も何らかの役割を果たすのでしょうか。

答)

まだチームの今後のあり方について方向性が決まっているわけではありません。今はこの新しいプログラムを作るに当たって、委員の先生方にそれぞれの専門的な知見から様々な御意見や御提案を賜りたいと思っております。

問)

議論が始まったばかりというのは理解できるのですが、「金融再生プログラム」が不良債権の半減とか、DCFとか、繰延税金資産とか、かなり具体的で可視的、目に見えやすいテーマが並んでいたのに比べて、重点強化プログラムの方は目標が非常に抽象的に感じられて、行政に具体的にどういうふうに反映されていくのかが分からないのですけれども、大臣個人としては、先程数値目標という話もありましたが、具体的にはどういった施策をイメージしていらっしゃるのか。

答)

今後の行政における方向性でありますとか、具体的な行政上の施策をどうするのかということかについては、今は全くの白紙であります。今は委員の先生方からそれぞれの問題意識に基づく御議論を今日いただいたところでありますけれども、そこから問題意識を合わせて、そして新しいプログラムの場合には17年度からという2年間という期間が設定されているわけでありますので、その2年間の中で金融改革の方向性を明らかにした上で、金融行政としてどうしたことに取り組んでいくのかということについて取りまとめて、そのことを反映させた政策プログラムをまとめていきたいと思っております。まだ、具体的にどうするかということについては、全く白紙の状況です。

問)

白紙と仰いますけれども、8月くらいから検討され始めたと思うのですけれども、現在までの進捗状況のようなものを、今日は事務方から説明はあったのでしょうか。

答)

私達の問題意識がどこにあるのかというお話はさせていただきました。その上で、私達としての基本的な視点についての考え方、或いは今後の課題設定について、「基本方針2004」の中でも5つの柱が提示されているところでありますけれども、この5つの柱というものがどういうことを意味した課題であるかということについてはお話をさせていただいたところです。

問)

それが冒頭仰った列挙されたポイントだということなのですね、国際性とか地域への貢献とか。

検討され始めて最終的な12月末の決着に至るまで、山に例えますと、今大体何合目ぐらいまで作業としては来ているのでしょうか。

答)

なかなか難しい御質問だと思いますけれども、そういう意味では、事務方の作業は8月からスタートし、そして私が新しく大臣を拝命させていただいて、その作業についての取組みを本格的にさせていただいたところであり、そして今日、初めてアドバイザリー・チームを編成して会合させていただいて、委員の先生からも色々な御指摘や、或いは御意見をいただいて、更に事務方としても今までの色々議論してきたことを整理して、そして今後の議論というものが、非常に2ヶ月という限られた時間でありますし、「金融再生プログラム」の時のように不良債権問題を正常化させるという、非常にある意味ではテーマが絞られておりましたけれども、今回の場合には、国際的に見て最高水準の機能というものを強化していくという非常に広いテーマでもあります。銀行部門だけではなくて、保険や証券部門にもまたがった金融全体の機能強化に関わる課題でもありますので、そうした意味では非常に作業そのものもかなり膨大になるのではないかと思っておりますから、効率良く議論させていただいて、そしてしっかりとしたものを取りまとめていきたいと思っております。

問)

今日メンバーの方からは、現状の金融行政、今後の課題について、もう少しどういった議論があったのか御紹介願えればと思います。

答)

今日の中で、例えば国際性という視点の中での議論として、日本の金融界はITについての取組みが、やはり国際的に見ると遅れているのではないかと、国際的な視点の中で新しい技術革新に対応した取組みというものが非常に重要だと、それを強化していくにはと、そういう御意見がございました。

また利用者の立場に立ったということであるならば、競争の促進と、やはり新陳代謝というものが重要ではないかと、こうした御指摘がございました。

更に利用者重視という観点から言うと、特定分野に特化した金融機関でありますとか、或いは他業態からの参入がもっと積極的に行われても良いのではないかという御議論もあったところであります。

また金融機関を健全な競争環境に置いて、利用者がメリットを実感できるような金融行政が求められているのではないかと、こうした私共金融行政に対する御指摘もございました。

更に地域経済の活性化や、或いは中小企業の再生に貢献できるような金融機能を強化していくということについては、特に事業再生の観点から、現在はむしろ事業再生を積極的に行っていくことが合理的であるという時代に入ってきたと、事業再生を促すためには、早く対応した方が合理的になる枠組みを金融行政として用意をして、そして行っていく必要があるのではないかと、こうした御指摘もあったところであります。

またガバナンスの改善に向けた対応策、これも非常に重要なことであるというような御指摘もございました。

問)

次回は、何か色々なテーマを抱えていますけれども、特に絞り込まれたような議論がされるのか、今日みたいにフリーディスカッションに近いものになるのか。

答)

次回につきましては、今日いただいた御議論を私共としても精査をして、何か特定のテーマについて御議論をさせていただきたいと考えております。そうした場合に、恐らく「基本方針2004」の中で5つの柱が提示をされておりますので、そうした柱を参考にさせていただきながら、具体的なテーマ設定をして、チームの各先生方から御意見を賜り、議論をさせていただきたいと考えております。まだ具体的にどうするかということについては、これから検討をさせていただきたいと思います。

問)

すごく素朴な質問ですみません。「利用者がメリットを感じる」というのは、誰が決めると言うか、金融庁の人も行政の人だし、今回のメンバーの方も別に利用者と言うよりは専門的な知識を持った人達ではあるのでしょうけれども、これ例えば消費者とか利用者がメリットを感じるというのは、何を以てメリットを感じるのかが分からないのですね。今議論をしている人達は皆利用者と言うよりは、上に立っている人達で、勝手に利用者に、「あなたメリットを感じるでしょ」と押し付けられても困るようなところがあると思うのですが、その辺はどういうふうに今後議論の中で反映させていくということになるのですか。

答)

今回の議論の中でも利用者と言うのは一体誰なのか、そのこともしっかり議論していかなければいけないという御指摘もございましたし、また本当に利用者から見て利用者重視の金融行政、或いは金融機能強化というものがどういうことなのかと、そうしたこともしっかり踏まえて議論が必要だという御指摘もあったところでございます。今後、そうした今の御指摘も踏まえて、私共として議論をどういうふうに展開させていただくのかということは検討させていただいて、工夫しながらプログラムの策定の作業を進めさせていただきたいと思っております。

問)

先程ITについての取組みが国際的に遅れているという御意見があったということなのですけれども、これは金融機関側の努力が足りないということなのか、それとも今の日本の構造上、そこを阻害するものがあるのか、何をイメージしてこのITということを意味していらっしゃるのか、そこを伺いたいのですけれども。

答)

この点については、韓国の事例との比較の中で少しお話がございました。1つには、やはり日本の構造的な問題があるという御指摘もございましたし、またITに対する取組みの意識についての問題の指摘もございました。

問)

韓国はどのような観点で進んでいるのですか。

答)

今日の御意見の御紹介ですと、非常にコストパフォーマンスも高くて、そしてシステムについても質の高いもので導入がされているというような御紹介がありました。

(以上)

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