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伊藤金融担当大臣記者会見の概要

(平成16年12月24日(金)16時04分~16時45分 場所:金融庁会見室)

【「金融改革プログラム ~金融サービス立国への挑戦~」の公表】

【大臣より発言】

新しいプログラムの取りまとめをさせていただきましたので、そのことを御報告させていただきたいと思います。金融再生から新たなステージに立って利用者重視の金融改革を進めていくために、「金融改革プログラム~金融サービス立国への挑戦~」として、その構想及び行政の新指針を取りまとめさせていただきました。

本プログラムの策定に当たりまして、その基本的な考え方でありますが、第一に、我が国の金融システムを巡る局面というものが金融再生プログラムの実施により不良債権問題への緊急対応から未来志向への局面に転換しつつあると、そうした中において金融システムの安定から活力を重視した金融行政へ転換をしていくべきもの。

第二に、金融のIT化が進むとともに、経済社会全体においてもインターネット取引の比重が高まり、また今後の少子高齢化、或いは経済のグローバル化の更なる進展に的確に対応し、我が国経済の持続的成長に資するためにも構造改革の一環として金融改革の具体的プログラムを実施していく必要があること。

第三に、将来の望ましい金融システムのあり方として、利便性、価格優位性、多様性、国際性、信頼性に優れ、利用者が手軽に分かりやすく、自分の望む金融商品・サービスを安心して受けられるような、利用者の満足度が国際的にも最高水準の金融システムというものを構築していくこと。

第四に、そのためにもITの戦略的活用により、販売チャネルの多様化やアクセスポイントの拡大に伴う利便性の向上、事務コストの低減等を通じた金融機関の収益性の向上等が進展をし、そして行政においても電子政府を推進し、利便性の向上と効率化において先進的な役割を果たしていくこと。

第五に、利用者の満足度が高く、国際的にも高い評価が得られるような金融システムを官の主導ではなく、民の力によって実現するよう目指すこと。

最後に、こうした改革を通じて国民の資産運用手段が多様化・効率化し、貯蓄から投資への流れが加速されることが期待され、マネーフローの構造改革が進展し、経済活性化に資するものとなると考えられること。

以上のような基本認識の下、本プログラムの中では五つの視点から今後進めるべき改革の内容を整理させていただきました。第一に、民の活力を引き出し、利用者利便性を向上させるための制度設計と利用者保護ルールの整備徹底。

第二に、ITの戦略的活用等による金融機関の競争力の強化及び金融市場インフラの整備という視点。

第三に、国際的に開かれた金融システムの構築と金融行政の国際化。

第四に、活力ある地域社会の実現に寄与する金融システムの構築。

第五に、市場規律を補完する信頼される金融行政の確立といった視点であります。この詳細の内容については、後ほど事務方から詳しく御説明をさせていただきたいと考えております。

また、こうした施策を推進していくに当たっては、今後における金融行政当局の基本的な姿勢というものを明確にしておかなければならないわけでありますが、その基本的な姿勢といたしましては、第一に、金融行政は市場規律を補完する審判の役割に徹すること。すなわち役所は民間の自由な経済活動をできる限り阻害しないことを基本としつつ、利用者が困った時にはしっかり対応すること。

第二に、そのため現行規制を総点検し、不要な規制を撤廃するとともに、金融行政の行動規範を確立すること。

第三に、その一方で利用者が不測の損害を被る事がないように、必要な利用者保護ルールの整備と徹底を図ること。こうしたことが求められていると考えているところでございます。

そして本構想を実現するために、ロードマップとしての工程表を今年度中に取りまとめて公表させていただきたいと考えているところでございます。また、こうした改革を実現していくために、具体的な施策については与党と緊密な連絡を取りながら、共に金融改革を推進していきたいと思っております。

以上であります。

【質疑応答】

問)

経済財政諮問会議の中で指摘されていました、例えば地域金融機関に限らず、数値目標的なものは今回全く盛り込まれなかったということでしょうか。

答)

数値目標については、一律的な定量的な数値目標の設定はいたしておりません。まず経済財政諮問会議においては、地域の金融機関について不良債権比率のような一律的な目標を課してはどうかと、その導入の可否について検討をしていただければということでありましたけれども、私共は一律的な目標を課すのではなくて、今まで推進してきたリレーションシップの機能強化に関するアクションプログラムを承継して、新たなプログラムというものを策定していきたいと考えております。この新たなプログラムの策定に当たっては、中小企業に対する金融の円滑化、或いは事業の再生、そして経営力の強化、利便性の向上、こうした観点を踏まえて、地域それぞれに特性や特徴がありますので、そうした特性・特徴を十分に踏まえた個性ある機能強化計画というものをアクションプログラムに沿って策定をしていただきたい。そのことを要請させていただきたいと考えているところでございます。

問)

その中でも特に個々の数値目標を、それぞれに向けた数値目標を設定するというものもないのですか。

答)

一律に目標を課していくということではなくて、それぞれの選択と集中の中で個性的な魅力ある計画というものを策定していただきたいと考えておりますので、そうしたものを実現していくための分かりやすくそして具体的な中身を計画の中で表していただきたいと考えております。

私共としましては、そうした自主的な経営改革の取組み、更にそうしたことを情報開示することによって、市場規律の中で経営改善を進めていただきたいと考えているところであります。

問)

経済財政諮問会議の議論の中で、とにかく具体性に乏しいという御指摘もありましたけれども、その点は今回どのような・・・。具体的にこれだけ政策を出されたとか、御説明をお願いできますか。

答)

今回のプログラムの場合には、前回の金融再生プログラムのように不良債権問題を解決するというかなり絞られたテーマに即したプログラムではなくて、銀行・証券・生損保、幅広い日本の金融システム全体の改革を推進していくためのプログラムであります。その中で私共が目指す理想的な姿として、利用者の側に立って金融サービスの向上、そして競争力の強化といった質の向上を目指した改革というものを推進していきたい。そしてそれが国際的にも最高水準の質というものを実現していきたいと考えているところであります。それを具体的に表していくためにも、利便性、価格優位性、多様性、国際性、信頼性に優れた金融システムというものを構築していくために、その具体的な施策をこの中で表させていただいたところです。

問)

基礎的なことですけれども、例えば、法制の整備に向けた検討ですとか、色々な文言が並んでいますがこの2年間で法制化すると、そういうお尻を決めた目標となるのでしょうか。

答)

その点について、いわゆるロードマップの部分については工程表の中で明らかにしていきたいと考えております。いつまでにどのような形でそれを実現していくのか。具体的にどのような形で行政の実務の中に落とし込んでいくのか、そのことを工程表の中で公表をさせていただきたいと思っています。

問)

先程の地域金融機関の件ですが、自主的な目標を定めてもらって、これを達成できなかった場合にペナルティ等々を考えておられるのでしょうか。

答)

ペナルティというようなことは考えておりません。私共の基本は自主的に自らが選択と集中の中で個性豊かな魅力ある金融機関となっていただくための計画というものを新しいアクションプログラムに基づいて策定していただき、その進捗状況についてもできる限り分かりやすく具体的に表していただくことによって、経営改革というものを推進していただきたいと考えているところです。

問)

表題ですが、これまで「金融重点強化プログラム」としてきたものを「金融改革プログラム」と変えましたけれども、その心はどういうところにあるのでしょうか。

答)

冒頭にお話をさせていただいたように、これから私共の行政の取組みとして新たなステージに立ちつつあると、その中で利用者重視の金融改革というものを推進して、そして国際的に見ても高い評価が得られるような金融システムというものを構築していきたい。そうした視点から「金融改革プログラム~金融サービス立国への挑戦~」という形にさせていただいたということです。

問)

細かいところなのですけれども、その具体的な利用者ニーズの中で、「銀行等の参入形態の多様化」とあるのですけれども、これは、新たな体制の銀行を認めていくというか、この1行に込められた狙いを教えてください。

答)

やはりサービスの質を向上させていくと、サービスにおける競争力というものを強化していくためにも、健全な競争環境というものを作り上げていかなければなりません。今の規制・監督の体系の中で、新規参入を阻害している面があるとするならば、それについての改革を行っていかなければいけないわけで、そうした意味からも今ある規制全体を総点検し、必要な改革というものを行っていきたいということであります。具体的にはこの点についても、工程表を策定していく段階の中で検討を進めていき、そして私達の考え方というものを明らかにしていきたいと思っております。

問)

イメージとして、これまでの銀行と全く違ったタイプの銀行の可能性、金融機関の可能性ということでも捉えていくというのでしょうか。

答)

一つは技術革新の流れの中で、新しく電子債権の取引でありますとか、電子銀行の取引等々が進展をしていくわけであって、それを踏まえてe-バンキングの法制というものを私共として検討をしていきたい、そのことをその中でも明らかにさせていただいているところであります。こうしたe-バンキングの担い手として、また新たな方々に参入をしていただくということも非常に重要なことでありますから、そうした視点の中でこれからの金融改革というものを考えていきたいと思っています。

問)

民間による質の高い金融システムの構築というのが大目標だと思うのですけれども、一方で郵政の民営化の行方がどうなるかわからず、民間の金融機関の方々からは、事実上の民営化にはならないと不満が出ています。そこを大臣としては、どう総括、認識されているのでしょうか。

答)

このプログラムの策定に当たっては、郵政の民営化とは別に、私共が新しいステージに立って、どういう行政としての新指針を策定しなければいけないのか、民の活力というものを引き出して、そして利用者の目から見ても、国際的にも最高水準の金融商品・サービスというものが質的にも提供されている、そういう状況を作り出していくためには、どういう環境整備をしていかなければいけないのか、そうした観点からこのプログラムというものを策定させていただいたところであります。そしてお尋ねの郵政の民営化については、まさに今、政府と与党の中で様々な議論が行われているわけでありますし、また小泉総理も構造改革の本丸として郵政民営化というものを位置付けて、改革に取組んでいるわけでもありますので、私共とすれば閣議決定された基本方針に基づいて、そして民間の金融機関の方々とのイコールフッティングの確保、或いは金融資本市場に対する影響、こうした金融行政の観点から、基本方針に基づいた対応をしっかりやっていかなければいけないと考えています。

問)

金融商品のサービスの提供・販売体制の充実に踏み切ったのですけれども、これについては非常に結構なことだと思うのですが、足元を見ますと、大手生命保険会社は保険商品の銀行窓販に強く反対して当初の予定が危ぶまれています。こういったプログラムを推進していくに当たって、業界や与党の理解を得ながらやっていくということが必要なわけでして、この難しさをどう認識なさっているのでしょうか。上手く出来ますでしょうか。

答)

今御質問がありましたように、業界の方々や或いは与党の方々に御理解をいただきながら、利用者にとって利便性が向上していくために、販売チャネルを多様化していく、或いはワンストップサービスを充実していくということが、非常に重要なことだと考えております。そうした観点の中で私共としても、信託のサービスを提供していくチャネルの多様化でありますとか、或いは証券仲介業制度というものを導入してチャネルを充実していくということに踏み出しているわけでありまして、そうしたものを着実に実施しながら、そのチャネルというものをしっかり根付かせていく、そういう取組みも地道にやっていきたい、そのことをこの中で表させていただいているところです。

問)

ただ保険商品の銀行窓販の今の状況だと、このプログラムの重要なファクターが抜け落ちたままになっていますので、足元の窓販問題をどう打開していこうとお考えなのか、その意気込み等或いは戦略を教えてください。

答)

保険商品の銀行窓販問題についても、今、関係者の方々と実務面を含めて協議をさせていただいているところでありますので、この協議を進めながら、規制改革推進計画の中にもその方向性が示されているわけでありますし、また金融審議会の報告の中でも、その方向性というものが明確化されているわけでありますので、それを踏まえて、私共として実施していくための環境というものを整えていきたいと思っております。

問)

国際化の対応の方なのですけれども、「ヘッジファンドについて更に検討する」と書いてあるのですけれども、ヘッジファンドに対するどういう問題意識を持たれているのですか。あと、海外でもヘッジファンドを規制しようとしてもなかなか動きがないと思うのですけれども、こういうことを検討するには国際的な連携がなければなかなか難しいと思うのですけれども、大臣はどう御覧になりますか。

答)

今、国際的な場で様々な議論がなされておりますから、そうした議論を踏まえた対応をしていかなければいけないと思っております。一方で、日本が国際的に開かれた金融システム、或いは市場というものを作っていかなければなりませんし、また魅力ある市場でもなければいけないと思っております。そうした観点からもこの金融システムの改革というものを推進していきたいと思っているところであります。具体的なことにつきましては、重ねてで恐縮でありますけども、今後、工程表の中で明らかにさせていただきたいと思います。

問)

一応取り上げる以上は、何らかの問題意識は持たれていると思うのですけれども。

答)

今お話をさせていただいた二つの点から、考えていきたいということであります。

問)

数値目標と工程表に関することになるのかもしれませんけれども、これは具体的な目標を今回盛り込んでいませんので、これはなかなか2年経った時のどれくらい実現したのだろうという政策の評価と言いますか、そういうのがしにくいのだと思うのですけれども、例えばぱっと見たところでも「私募市場の活性化」とか、或いは「はじめに」のところで言えば、間接金融から直接金融とあっても、じゃあどれくらい間接金融から直接金融になったのだというところでも、これだけだとわかりにくいのですが、こういうことというのは工程表が出てくると更に具体的に2年経った時点で、どういう金融経済の形になっているのかというのはわかるようになるということなのでしょうか。

答)

この点については、確かにプログラムを策定するにあたって大変議論のあったところであります。今回のプログラム自身が、非常に幅広いテーマを扱っておりますので、一律の目標で進捗状況を表していくということは、これは非常に困難であるということでありました。そうした観点の中から、こうしたプログラムの進捗状況を考えていくに当たって、私共としては、国民の方々の資産運用の多様化というものが進んでいるのかどうか、或いは金融システムに対する満足度というものが向上しているのかどうか、そうしたものをモニターしていきたいと考えております。具体的なモニターのあり方についても、これも工程表を策定していく段階の中で工夫をし、明らかにさせていただきたいと思っております。

問)

モニターが上手くいかないとか、そういう場合は、どんどん変えていくのでしょうか。

答)

いわゆるモニターをするということは、今お話をさせていただいた金融改革が順調に進捗していない場合には、やはり私共が進めている規制や監督体系に問題があるのかどうか、或いは今回の金融改革の場合には、質的な改革というものを推進していくことを目指しているわけでありますので、そうした質的な改革を推進していくに当たって、今ある行政の進め方に問題があるとするならば、やっぱりそこを検証していかなければいけない。或いは貯蓄から投資への流れというものを結果的に推進していくことによってマネーフローの構造改革というものが起き、経済の活性化というものが更に実現していくわけでありますけれども、その前の段階で、国民の方々の好き嫌いというものが大きな障害になっているのかどうか、これは満足度のような調査をして検証していきたい、その中でやはりプログラムの推進が十分でなければ、そこに対する手当てをして、そしてプログラムの目指す方向に向けて着実に改革を行っていきたい、行政の運営をしていきたい、と考えています。

問)

「金融サービス立国」というのは、何なのですか。

答)

これは、利用者重視の視点から金融改革を行っていきたい。量的にみますと、個人あたりの金融資産というのは、世界的にも最高水準のものにあると思います。しかし質的な面から見ると、経済大国にふさわしい金融商品や金融サービスが提供されているかというと、ここに大きな課題があります。従って私共として、経済大国にふさわしい金融システムというものを構築していくために、先程お話をさせていただいた利便性でありますとか、価格優位性でありますとか、多様性でありますとか、国際性、信頼性に優れた金融システムというものを作りあげていきたい、そのことを「金融サービス立国への挑戦」という言葉にあえて表現させていただいて、このプログラムを取りまとめさせていただいたということであります。利用者重視の視点というものを、この中に明確にしたということです。

問)

「金融サービス立国」というと理解が難しい気がするのですけれども、一言で言い換えると、どのようになりますか。

答)

経済大国にふさわしい質の高い金融システムを構築していくということです。これは「金融立国」ですと非常に産業政策的な感じがいたしますけれども、「金融サービス立国」としたのは、先程もお話をさせていただいたように、利用者の視点からサービスの充実や競争力というものを強化していくことによって、国際的にも最高水準の金融システムを作り上げていきたいと考えて、こうした表現にさせていただいたところです。

問)

今時点で日本でばかり生活していると、我々の受けている金融サービスというのはどこまで良くて、逆にどこまで諸外国と比べると劣っているのかというのが中々実感できないところがあるのですけれども、今回のお話の中で言うと世界最高水準の金融サービスということで、世界各国の高いレベルに日本の金融サービスを持っていきたいということだと思うのですけれども、例えば大臣から見て今の金融サービスは国際的に見た場合どういった点が、具体的に例えば何らかの手数料とか、具体的にどういったことを改善していく必要があるとお考えなのでしょうか。

答)

こうした視点で金融改革を打ち出させていただくことによって、様々な方々が今御質問をされた点について、国際比較も含めて調査をされ、そして日本の今の金融サービスの実情について明らかにされるということも進んでいくのではないかと思っております。大変個人的な感想でありますけれども、海外で生活した経験もありますので、そうした海外で提供される金融サービスと比較して本当に価格優位性というものがあるのか、多様性や良質な金融サービスというものが提供されているのか、そのことについてはやはり幾つかの課題があるのではないか、もっと自由に金融資産というものを選択できるような環境を作り上げていくことがこれからの金融改革にとって非常に重要なことでありますし、その結果として「貯蓄から投資」の流れというものが進んでいき、マネーフローの構造改革が進み、そのことによってリスクマネーの厚みがなされて経済の活性化というものが更に実現していくということが非常に重要なことではないかと思っております。私共として重ねてになりますけれども利用者の視点からよりよい金融サービスを実現していくための改革を行っていきたいと思っているところです。

問)

法律の整備の面なのですけれども、現行の法律の中でも投資家保護のルールとか、或いは国際化に対応した規制緩和の問題とか色々対応が進んでいると思うのですけれども、ここで示している投資サービス法とか、コングロマリット化に対応した法整備というのは、現行の法整備の部分との整合性というのはどうなるのでしょうか。要はこの辺を全面的に改廃するような形で新しい法律ができるというようなイメージなのか、或いは今の流れに付加するような形で部分的な手直しがプログラムに沿って図られるということなのか、その辺りの対応を今の時点でどういう考えなのか教えてください。

答)

今の枠組みの中で改善をしていかなければいけない点については改善していきたいと、従って私共としても行政の規制のあり方について総点検をし、不必要な規制の撤廃というものをこの中で明らかにさせていただいているところです。

投資サービス法については、まさに今金融審議会の中で議論がされて、そして業態別、横断的な新しい金融商品やサービスに対応した枠組みというものを作っていこうということで今精力的な議論がなされているわけであります。こうした金融審議会の議論を踏まえながら、私共としてこれからの時代に合った新しい枠組みというものを制定していきたい。そのこともこの中で明確にさせていただいたところです。

問)

コングロマリット化への対応というものも新法をイメージしていると捉えていいですか。

答)

コングロマリット化への対応というのは、これは今国際的な議論の場でも監督上の問題として様々な議論がなされているわけであります。そうした中でリスク遮断の問題でありますとか、或いは健全性の確保の問題でありますとか、それにどう対応していくかということを私共として適切に対応していかなければいけないわけでありまして、それに資するような枠組みというものを整備していくということです。

問)

前回の経済財政諮問会議で総理から「世界最高の金融システムというのはどういうものなのか」というような話がありましたけれども、今回のプログラムの中では世界最高の金融システムというのはないのでしょうか、あるとすればどこにあるのでしょうか。

答)

国際的に最高水準というものを具体的に表す形として利便性、価格優位性、多様性、国際性、信頼性に優れた金融システムというものを構築していきたい。こうした観点から国際的にも高水準のものを作り上げていきたいということであります。分かりやすい言葉で言うと、利用者が手軽に分かりやすく自分の望む金融商品・サービスというものを安心して受けられるような満足度の非常に高い金融システムというものを作り上げていきたい。それを私共として国際的に最高水準の具体的な中身として考えさせていただいたところです。

問)

結局これらの施策が全部行われて、「貯蓄から投資へ」という流れを作っていこうとされる中、数値目標とまでは言わなくても大臣としてこれぐらいまでは「貯蓄から投資へ」の流れを達成したいとか、そういう概括的な思いみたいな数字も特にないのでしょうか。

答)

これは国民の方々の選択によって「貯蓄から投資へ」というものが結果として起きていくわけでありますから、行政がこの水準にすべきということを言うのは、このプログラムが貫いているのは民の活力によって利用者の方々が国際的にも最高水準の満足度が得られるような金融システムを作り上げていくという理念を持っておりますので、それとの整合性からするとやはり一致できるものではないのだと思っております。ただ私共はこうした改革を進めることによって国民の方々が多様な資産というものを選択し、その結果としてマネーフローの構造改革というものが推進され、リスクマネーの厚みが起き、経済の活性化というものがより進んでいくと、そうした改革というものを推進していきたいと考えています。

問)

金融経済教育の拡充というものがありまして、米国等では初等教育の段階から金融教育を強くやっています。これは文部科学省と調整する必要はないのでしょうか。

答)

これも工程表の中で金融教育についてどのような形で充実させていくかということを検討していきたいと思っておりますけれども、今までこのプログラムの策定でこの項目を入れるに当たって「やはり文部科学省との調整が大切だ」と、そうした御意見もいただいておりますので、そうしたことも含めて幅広い人生のステージの中で金融教育が行われていくということが非常に重要でありますから、今お話があったところのステージだけではなくて、人生の幅広いステージの中での金融教育の充実のために私共として何ができるのか検討を更に進めていきたいと思っております。

問)

イメージとしては義務教育の辺りの場面等、大臣の頭の中では描かれているのか、そんな感じで受け止めていいのでしょうか。

答)

これはどのような形でできるかというのは、これはまさに文部科学省との調整だと思いますので、繰り返しになりますけれども色々なステージの中で金融に対する知識というものを向上させていくということがとても大切なことでありますので、そうした観点から検討を進めていきたいと思っています。

問)

必要に応じて文部科学省と御相談みたいなふうに受け止めていてもよいのでしょうか。

答)

はい。

問)

地域金融機関が自主的に考えているという数値目標について大臣御自身はどのようなものをイメージされているのですか。

答)

これはまさに今後の新しく継承されるアクションプログラムの中で明らかにしていきたいと思っておりますけれども、これを踏まえて各金融機関の方々に策定を要請させていただきたい。これからの地域密着型金融機能の強化については、先程お話させていただいたように、一つは事業再生、中小企業金融の円滑化に資するということが非常に重要なことであります。第二に経営力の強化というものを図っていかなければならない。第三に利用者の利便性を向上していくと、こうしたことを踏まえて各金融機関の特性に合った計画というものを策定していただきたいと考えております。その中で経済財政諮問会議でも議論になったのはどのような形で経営力というものを強化していくのかという点であります。経営力の強化については、やはりリスクの管理能力というものを上げていくことが重要でありますし、またガバナンスを徹底していくということも大切なことであります。そして地域の金融機関に対する要望として私が多くの方々からお伺いしているのは「事業評価に対する評価能力というものを向上させていくことが地域経済の貢献、或いは中小企業の再生にとって非常に重要なのだ」こういう御指摘もいただいているところでございますので、この点も大切なことではないかと思います。そしてもう一つ大切なことは収益の体制というものをしっかり作り上げていく、そういう体制というものを明確にしていく、地域密着型のこれからのビジネスモデルというものを確立していくということが非常に大切なことだろうと思っております。今色々なことを申し上げさせていただきましたけれども、そうした観点も含めてこれからアクションプログラムを丁寧に作り上げていきたいと思っておりますので、それに基づいて個性的で魅力的な地域金融機関としての経営改革というものをこれからの重点強化期間、二年間の中で更に進めていただくことができればと思っております。

問)

金融機関の収益性と健全性を示す財務指標の、或いは格付けを一段と向上することを目指すと書いてありますけれども、これはどういうことを想定しているのですか。例えば欧米並み、或いはそれはちょっと高すぎるとかやっぱりもっとその間とか、例えば収益性とか格付けとか具体的に何か示されるのですか。

答)

これはある意味ではこうしたものを改革してより向上させていくというのは、経営にとって当たり前のことでもありますので、そうしたものを明確に表していただいて、そして経営力の強化を進めていただきたいということであります。更にそこに関連してバーゼル II の対応というものも非常に重要なことでありますから、そうした観点からも経営の改革というものを進めていただきたいと考えているところです。

問)

この数年間、大手銀行は大抵利ざやが横ばいで、本当に微調整で、不良債権の問題でそちらの方に取り組んでいたと思うのですけれども、それでもやっぱりこの数年先の見通しでもやっぱり中々改善が見られないようですけれども、色々金融関係者と話していると「やはり日本の金融システムと欧米の金融システムは違うからそこまで収益性とか目指す必要はない」という人もいますけれども、大臣はどう御覧になりますか。

答)

これからの課題として健全な収益力というものを強化していくというのは重要な課題だろうと思っております。今まではやはり不良債権問題を正常化させていくと、そのことに企業経営の大きな課題があったわけでありまして、それが正常化を実現することによって経営の自由度というものが広がり、より以上に利用者に向かって利用者から評価される金融商品を開発しサービスを提供していく。まさに経営力が問われるステージに入りつつあるのだろうと思っております。こういう時代はより以上に経営者の資質というものが評価される時代になってくると思いますし、また健全な収益構造をしっかり作り上げていくということが非常に大切でありますから、そのことに向かって経営資源というものを総動員して経営改革を行っていっていただきたいと思っています。

問)

中小企業金融のところで、8ページのところなのですけれども、地域・中小企業金融における公的金融の役割を検討とあるのですけれども、これに込められた大臣のお考えというのはどういうことなのでしょうか。

答)

これも二つの観点がありまして、今後民間の金融機関の機能が強化されていく中で、公的金融のあり方というものを考えていかなければいけませんし、一方で中小企業の再生や、或いは地域経済の活性化のために公的金融と更に連携してそうしたことに対応していくということも非常に重要なことでありますから、二つの観点から公的金融のあり方について検討していきたいと思っています。

問)

当然ここで言う公的金融と言うのは政府系金融機関を指しているということですか。

答)

そういうことですね。

問)

特に郵政は、郵貯とか入らないのですか。

答)

先程お話をさせていただいたように郵政はまさに政府与党の中で今議論がなされているところでありまして、その中で私共として金融行政の観点からこの郵政改革というものが成功していくためにも、民間金融機関との競争条件のイコールフッティングというものをしっかり確保していく、或いは金融資本市場における影響というものをしっかり見極めながら対応していかなければいけないと考えているところでございます。そうした観点から郵政の改革というものに私共としても適切に対応していきたいと思っております。

問)

今回のプログラムの中にはこれはオーバーバンキングへの対処と言うか対応とか、そういうものというのはどこかに反映されているのでしょうか。

答)

オーバーバンキングについてこれは様々な議論があるということは承知いたしておりますけれども、地域において特性というものは違いますし、一概にオーバーバンキングと論じることはできない面があろうかと思います。一番大切なことは利用者にとってやはり健全な競争というものが行われ、その中で金融サービスというものが充実していくということが非常に重要でありますので、そうした意味から私共として競争環境の整備というものをしっかりやっていきたいと思っています。

(以上)

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