柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年1月26日(金)11時23分~11時45分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日の閣議ですけれども、最初、CPI(消費者物価指数)の発表がありました。詳しいことは所管の官庁がカバーするでしょうけれども、平成12年、年を通じて対前年比マイナス0.7%ということでございました。それから海外視察の結果報告がありました。引き続いて海外出張の大臣の臨時代理が指定されましたが、私は関係がございません。

閣僚懇に移りまして、機密費に絡んでのことが若干話題になりまして、総理の方から各省ともにお金の出入りについては十分に、それぞれにもう一度チェック体制をチェックして欲しいと、こういう話がありました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

今の閣僚懇の機密費に絡んで話題になったということですけれども、大臣は何かご発言とかはされたのでしょうか。

答)

致しません。

問)

大臣は今回の機密費の問題についてはどのようにご覧になっていらっしゃいますか。

答)

何と申しますか、どんな方でも一人に長期間委ねてしまったという辺りに問題があったのだろうなという感じが私の感想です。

問)

昨日、東京相和銀行の譲渡先がローン・スターに決定したんですけれども、今回の決定に当たって大臣がご苦労された点など、どういった点があったのか。それから、再生法に基づく破綻処理、7行ですけれども、これで一区切りつく形になったんですけれども、この辺りも含めて、どういうふうに考えていらっしゃるのか、お聞かせください。

答)

それぞれのケースについてベストを尽くしたというか、枠組みの中でベストを尽くして、その処理に当たってきて、それが一応現在まで破綻をしたものについてはそれぞれ処理先が決定したということでございます。そういう意味では一区切りがついたということかと思うのですが、何と言うか、それはそれぞれのケースによって、やはりいろんなご苦労があった、私が全てやったわけじゃないのですが、ご苦労があったのだろうとこのように思っております。

今回のことについては、何と申しますか、正直言って、破綻して処理の終わった銀行が、また破綻処理の銀行の受け皿になるということについて、結果としてはそれが最終的に、いろんな総合判断の結果、俎上に最終的には乗ってこなかった、俎上と言うか、最終の受け皿にはならなかったということでございますが、これをどう考えるのかということについては、なお本当のところは研究しないといけないというふうな感じで、それらのことがやはりなかなか難しい問題を投げかけたかなと、こういうふうに思っています。

問)

今の点について、例えば顧問会議でいろいろ議論になったのかとか、あるいは大臣ご自身は一度破綻した銀行が受け皿になるということについて何かお考えをお持ちでしたら、お聞かせください。

答)

正直言って、若干の顧問会議での話もありました。非常に割り切ってしまいますと、資産の持ち方の問題、破綻銀行も今やちゃんとバランスシートが出来上がっているわけですが、それの資産の持ち方の問題で、それが投資という形を採るというようなものも一つの資産の持ち方の問題であるんではないかというようなこともあるし、また仮に連結をしてしまうというような場合についてもそれはそれで両方が極めて法律に基づいて、適切な処理が行われた上で構成されているバランスシートであれば、それが統合されても、そこに何ら特別な問題はないんじゃないかという、そういう極めて、何と言うか、どちらかと言うと理屈、理論的な問題として、考えるべきではないかというような考え方もありますし、また他面そうは言ってもやはり国民感情というようなことで、何と言うか、そう簡単な問題ではないじゃないかというような、つまり破綻銀行の資産の運用というふうになかなか割り切れない面があるのではないか等々、そのまた間にいろいろなバリエーションの意見が、正直言ってあり得ると、また現実にあったわけでございますが、そういうことが有体に言って、論議の、敢えて私の立場で精査させて頂きますと、筋であったと、こういうことでございます。これを最終的にどういうところに、もしそれが最終的にそういう受け皿というものになる場合にどういう整理ができるか、そのことはいずれちゃんと考えておかなければいけないことだろうねというふうに、私は最終的にそういう発言をしております。

問)

それから、先日の国会での大臣のご答弁を聞いて、お尋ねしたいのですけれども、銀行の不良債権がなかなか減らないという質問に対する答弁の中で、それはやはり銀行サイドからある程度貸出先の選別をしなければいけないのではないかと、そういうことを当局サイドからも働きかけるような趣旨のご答弁と受け取ったのですけれども、その辺りのお考えについて、改めてちょっとご説明頂けますでしょうか。

答)

これは前から申し上げている通り、不良債権の残高がかなりの水準であるということですけれども、例えばアメリカに比べると、アメリカも最近またその比率が上がってきたでしょうけれども、与信全体に対する不良債権の比率というのは、日本が大体6%近所かなあと思いますけれども、アメリカも、もしリスク管理債権というもので採りますとですね、もっと高いところからずっと落としていったわけですね。それは金融環境、金融の情勢が良くなってきて、そういうことなったわけですが、私はやはり、何と言うか、金融機関の収益力というものを強くしないとなかなか日本の金融機関がうまく立ち直っていけないのではないかということを強調し、強く求めたいという観点でいろいろものを考えているわけですが、そうなるとやはり不良債権の処理を進めた方が銀行の収益力というのはやはり高まってくる。

これは先日の国会でも、新生銀行の収益力が高いじゃないかと、質問者は指摘をしながらの質問でしたが、その通りなんですね。そういうことで考えるわけですが、これがやはり今度は貸出先の産業の問題として、何と言うか、そうなかなか金融サイドの話だけで割り切っていけないみたいなところがあるようにも見受けるので、それについては所管の官庁のいろんな考え方とか、情報とかというものも入れながら、我が方の不良債権の減額の努力というものを、もうちょっとアクセレレイトしたいと、こういう考え方でございます。

それでは一体それはどういうプロセスでやるのかと言えば、そんなことは強制する権限は毛頭ないわけですけれども、フォローアップか何かの時に、いろいろな話し合いをするわけですけれども、そういうような時にもうちょっとその辺はアクセレレイトしたらどうなんですかというようなことを働きかけていくと、それは個別のケース、個々のケースでフォローアップ作業との関係で考えるわけですけれども、例えばフォローアップというか、計画の中にも償却を進めるというくだりを入れておいたと私記憶しているのですけれども、そういうこととの関連でもう少しこちらの働きかけというか、そういうものをやりたいと思っています。そして、それをやるに当たってはやはり単に金融面の話だけではなくて、当該の産業の所管の役所の情報なども参考にしながらやっていきたいというのが趣旨でありまして、1本1本、ちょっと一部の報道にありましたように審査をしてというようなところまではなかなか具体な問題としては難しいかなと思っておりますが、それはケース・バイ・ケースというふうにご理解頂ければいいのではないかと、このように思います。この点は私から事務当局に頼みたいと思っております。

問)

他の省庁との連携なのですけれども、具体的に何か事務レベルで進められているのでしょうか。

答)

若干の意見交換、どういうことでやっていくかというようなことについて、あるということで報告を受けています。

問)

それは省庁としてはどちらの省庁ですか。

答)

今のところは国土交通省と経済産業省です。

問)

「そごう」の再建関係で、預金保険機構が債権放棄の上で、再建計画に同意するかどうかという点で、預金保険機構は一度見直して欲しいという要請をしてた段階なのですけれども、ただ再建計画の遅れがこれ以上長引いてもどうかということで、一部報道で、預金保険機構と金融庁としては、同意する方向になったとされているのですけれども、その点についてご報告を受けたのか、あるいは大臣としてのお考えは如何でしょうか。

答)

これはスケジュール的に1月末にですか、債権者集会が開かれるということが決まっていまして、それまでには何らかの態度決定というものが求められているという認識です。しかし、なかなかいろいろな最終的な態度決定をするには、いろんな問題もまだ残っているというふうに聞いてまして、まだ預保の方で、どういうことをお願いするかという最終の結論には正直申し上げて達していません。

問)

今の産業再生のところなのですけれども、銀行がそういう形で不良債権を直接処理している形になると、ある意味、損金算入になって、収益計画が一時的には下に振れるということになると思いますが、その時に健全化計画との整合性というのはどういうふうに見られますか。

答)

その点は非常に悩ましいところで、若干そのことにも国会答弁でも触れておいたわけですね。正直言って株価が非常に順調であれば、そこから財源が生み出されるということで、このオペレーションもかなりやり易いわけですけれども、株価の水準が希望通りというか、期待のレベルにいっていないとですね、なかなか今言った様な健全化計画の当期利益等々に下振れの結果を出してしまうというようなこともあって悩ましいわけですけれども、ここはどっちが…ニワトリと卵の関係で、株価も、そういう構造改革が進まないものですから、株価が低いということもあるわけですね。

ですから株価が低いから構造改革が進まない、構造改革が進まなければ株価が上がらないじゃ、これはどうしようもないというようなことにもなりかねないので、私はやや若干の体力というか財源については無理をしても、ここは不良債権の処理を進めていくべきではないかという、そういう気持ちを持っています。ただ、現実問題、本当に財源が無ければ、それもなかなか難しいということもあって、まあちょっと悩ましいなと。

問)

それから株価対策の関係なのですが、証券税制の見直し、譲渡損失の先送りですとか、かなり民間の方からも要望は強いようなのですけれども、党税調の早期開催でこの点を検討するということについて、党の方に要請なり、あるいは党税調幹部の方とのお話し合いなりは大臣の方ではされたのでしょうか。

答)

まだ現在のところはしていません。それは常識的に私も振る舞わなければいけないと思うのですね。やはり3月末までは、租税特別措置法日切法案を一生懸命通そうとしている時に違う案を作ってくれというのは、それはちょっと常識的でないし、そういう反応が現に出てますよね、当然の反応だと思うのです。ですからそこは、ちゃんとタイミングを見計らってですね、しかし、我々としては、こういう気持ちを持っていますということは表明させていただきましたけれども、現実にそれを動かしていもらいたいというような申し入れをするのは、やはりタイミングを見計らわないと「お前さんは、よく分かっているのはずなのに、何を言い出したんだ」というような話になってしまうので、そこはそういうふうにしたいと思っております。

問)

顧問会議の性格について確認したいのですけれども、大臣は基本的には再生委員会でやっていたことをやっていくというふうに仰っていたのですが、保険会社の件で、例えば今後の話で、政府保証枠増が目の前にあって、国民負担というものは重要な案件かなと思うのですが、破綻に限らず、破綻した会社の受け皿等の選定を含めて、これを顧問会議の議題に挙げていくものなのでしょうか。

答)

私は、議題というほどには考えていません。やはりこれはどこまでもですね、金融再生法、金融早期健全化2法の運用の範囲が、ああいう会議形式での顧問会議のご意見を頂くべきことだというふうに思っております。ただ、フリートーキングというフリーな自由討議の時間も、今現在は、もう何と言うか、基本のところについても時間が足りないくらいな状況になっていまして、実際自由討議の時間がないのですけれども、自由討議の中で顧問の方からそういう発言があるということまで、「これは権限外でございますから」ということで差し止めるというようなことは考えておりません。いろいろなご論議が自由に行われるということは、我々むしろ歓迎でございます。

(以上)

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