柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年1月30日(火)11時33分~11時52分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日の閣議は非常に長い時間がかかりまして、あるいはお待たせしたかもしれません。閣議の内容ですけれども、手早く申しますと、完全失業率は12月4.8%という話がありました。但し、就業者数は13万人増加ということです。完全失業率4.8%は横這いです。それから消費の昨年、平成12年を通じては、これは勤労者所帯の消費支出ですけれども、0.5%増ということでした。先程の就業者数、失業率関連の指標では有効求人倍率は0.65倍で0.01ポイント増加と、こういうことでした。

次に北方領土の日についての話がございました。インドの地震について緊急の援助を行う話がありました。それから農水省から有明海の海苔の不作の現地視察の報告がありました。その他諸々の大臣から、複数の大臣から海外出張の報告がありました。官房長官からと言っていいのかどうか、提出予定法案の報告がありました。法律案は全部で95件、条約9件ということでした。その内、予算関連は37件、予算関連は2月20日(火)が締め切り、それから予算非関連は3月21日(水)の締め切りという話がありました。その他検討中の法案が9件、条約が5件という報告がありました。来週からは院内で閣議が行われ、9時開会を原則とすると、こういう話がありました。

次いで総理の施政方針演説をはじめ4演説の話が議題になりまして、特に総理の演説は実際に読みまして検討致しました。1万2700字だそうでございます。非常に良くできた演説のようで、大した異議というか、そういったことはありませんでした。

閣僚懇に移りまして、アジア・太平洋地域の国際的組織犯罪対策の会議が行われるという話がありました。それから公益法人改革を行うということで今年度中に所管のものについて、一定の調査をして報告を求めたいという話がありまして、総数では2万7000法人だということで、今年度中と言われても大変だなあというような話がございました。個別に相談することになろうかと思います。以上でございます。

【質疑応答】

問)

先日、亀井政調会長がペイオフの解禁について再延期も有り得るということを示唆した発言があったのですが、改めてお伺いしますけれども、金融庁の行政次第だというふうに書かれているようなのですが、大臣として、再延長についてどのようにお考えでしょうか。

答)

これは誤解のないように致したいと思いますが、私どもの頭の中には全くそのような再延期というような考えはございません。若干のことを申し上げますと、これは要するに預金者というか、日本の場合にはそれに加えて更にいろんな債務全部に拡げているわけですけれども、それを税金でもって補填するということは、私は全く例外的なことで、余程のことのない限り、有り得ないことだというふうに思います。

先般は金融システムの危機ということの中でそういうことが行われたということで、それはそれで適切であったと思いますけれども、そういうことがぶり返すとは到底思えないわけで、従ってそんな必要は全く考えられないというのが私の答弁であります。

問)

3省庁の連絡会議についてお伺いしたいのですが、実際事務的な協議が始まったということですが、実際にこれだけ行政権限を行使して、産業界に対して、図っていけるかということがポイントになるかと思うのですが、実際に再建計画が走り出している企業の再建計画について問題ありとした時に、直接的・間接的に何かフォローアップをして、それを是正していくというようなことを考えていらっしゃるのか、それからこれらの問題企業の件というのは、3月期末までを目処として考えていらっしゃるのか、その辺をお聞きしたいのですが。

答)

今、3省庁と、こういうふうに言われましたけれども、これはたまたま名前を挙げれば3省庁ということになるということで、私どもとしてはそういう方向のことをやろうということでは、何省庁か、まあ複数省庁という言い方でいいとかと思うのですけれども、実際はバイラテラルですね。金融庁と何々省、金融庁と何々というようなことになろうかと思います。そういうことなのですが、どういうふうにやるか、その中身は何かということは、これは我が方としては、若干申したかもしれませんが、健全化計画の実施状況のフォローアップいうことがありますし、その中には償却ということの項目もありますので、そういうような観点でいろいろと金融機関に働きかけていくということが可能というか、そういう立場にあると、こういうことであります。

他方、これは例えば経済産業省の方も、企業産業再生というか、そういう方針を打ち出しているということ、それからまた国土交通省の方も建設業についてのいろいろな構造改革的なことを既に言っているというようなこと、それを私の考えはもっとすり合わせていくということで、双方のそれぞれの立場から出しているそうした方針はより具体的に実っていく、実現していくとこういうことが考えられるということであります。従って、これは何時何時の決算というような、もちろん今度我々の方のフォローアップというのは四半期別でいつの決算になるのか、今度は9月末決算のフォローアップですか、中間決算のフォローアップなるのかちょっとそこのところは…。3月末ですから、そうなると若干6月とか、そういうことになろうかと思うのですが、そういう時に向けてということですから、この年度末というようなことでは当然なくなるだろうというふうに思います。いずれにせよ個別企業の問題、我々の問題としては貸出先の収益力というものを上げて、それが同時に貸付の機関である金融機関の収益力の増強というものに結びついていくということが期待されますし、そういうことを通じて、日本経済の成長力というようなところに全体が及んでいくということを視野に入れるというか、念頭において、こうしたことを進めたいと、こういうことを考えているわけでございます。

ちょっと今秘書官から差し入れがありましたが、定性的なフォローアップは2月、3月頃ということです。

問)

今の話なのですが、経済産業省と国土交通省だけなら分かるのですが、金融庁が入れば、何か金融機関を通じて促すというようなことになろうかなと、金融機関のためにというような捉え方をされるのかなと思うのですが、その辺りはどうお考えなのでしょうか。

答)

これは予ていろいろな方が言っていることだと思いますけれども、金融再生というか、言葉がちょっと必ずしもぴったりと来ないのですが、金融再生と語呂合わせのように言うと産業再生は車の両輪と、このように言われているわけでして、決してそれが金融機関の側だけのためというようなことではないということでして、金融機関のためでもあるし、産業のサイドのためでもあるし、それはひいては日本経済全体のためになると、こういう考え方であります。

問)

行政あるいは金融機関を通じてですね産業界の再生を図ろうと今されていると思いますが、前回、柳澤さんが大臣だった時、二度程チャンスはあったと思うのですね、例えば、公的資金を注入する際に減資をして、あるいは議決権ありで入れて、その替わり指導権をとってリストラあるいは直接償却を進めさせる。もう一つは国有化銀行、一時国有化しておった銀行の資産査定を厳しくしてRCCの持っていくところの基準をもっと強めると、そうした機会があったと思うのですが、今回それとは全く手法が違うのか、前回そういうことをやらずに、今回やられることの意味というのでしょうか、それを教えて頂けますか。

答)

経緯的な話になるわけですけれども、仰ることの意味は理解出来るわけです。資本注入の時は率直に言って如何に資本の充実を図るかということ、特に先行した佐々波委員会の事績というものを念頭に置くと、いかに資本注入をして、本当に日本の金融システム全体として安定したというふうに内外のマーケットから見て頂くかということが最大の私の関心事でありました。従って、なぜ四方八方に目を配らなかったかと言われると、それはなかなか説明し難いことかもしれませんけれども、とにかく生半可な額ではなくてしっかりした額の資本注入をするということが、最大の眼目であったということを、ここで申し上げて、皆様のご理解というかごすんたく忖度を頂きたいと、こういうように思います。

それから、一時国有化した銀行の資産判定の際はどうだったのだと、こういうことでございますが、これについては、何が眼目だったかというと若干のことは、私試みましたけれども、とてもそうしたことを待ってやるということになると、いわゆるあの当時言われたフランチャイズバリューの劣化というものが急速に進んでいる事態に直面していましたので、とてもそれを整合的にタイミイングを合わせるということは不可能ということで、ちょっとトライをし始めましたけれども、諦めたということでございます。

今回なぜかということですけれども、今回私が就任してですね、一番思ったのは不良債権残高というものが目立って減少していないということでして2つあるのです。健全性の観点からすればですね、私は十分な引き当てその他の手当てが講じられているから、健全性の観点で何か問題があるというふうには思いませんが、もう一つの観点である収益力ということを考えた時に、これは、やはりそのまま放置をしておくということは、不適切ではないか、不適当ではないかと、こういうように考えまして、然らばどうするんだということですけれども、やはり貸出先のサイドとの共働関係でもって悪いところを切り捨てていくと、それに対して金融機関の側も出来る限りの、出来る範囲での最大限の協力をして、なんとか貸出先の再生を図っていくということが日本の金融機関、あるいは金融システム全体としてもそうなのですが、力のあるものにする、金融機関としては、収益力を強化することができる。このように考えて、これに着手をせざるを得ないのではないかと、こう考えているところです。

ただ、この問題は今、事務当局間では話をしていることは、もう皆さん先程来ご指摘の通りと言っていいかと思いますが、ただし閣僚レベルではまだ十分なすり合わせができておりませんので、これは次の閣議ぐらいまでに私としてもきちっとした了解を取りたいなと、このように思っている次第です。

問)

雇用の問題とかも絡んでくるのですが、そういう意味で3省庁以外に雇用だと厚生労働省があると思うのですが、そこら辺については、どのようにお考えでしょうか。結局、そこの部分が、いつも先送りの原因になっていると思うのですが。

答)

これは、私は雇用が大事だと、雇用を一番経済運営の中心命題として置いて、経済運営をなさるべきだということは、先般私がここに就任する前に「経済新生シナリオ研究会」でアメリカ等に行った時にも非常に強く印象付けられた点でございます。けれども、このスキームの中で雇用の問題をどうするかということまで手を広げるというのは、果たしてどうかと、雇用の問題のセーフティーネットというのは、別途いろいろな措置が考えられ講じられつつあるということで、そういうことでセーフティーネットの問題ではないかと、このように考えております。

(以上)

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