柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年2月16日(金)8時58分~9時13分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日は私の関係では閣議の前に月例経済報告等に関する関係閣僚会議がございました。報告は若干様式が変わりまして、何と言うか、岩田政策統括官のラインで発表の仕方等について若干工夫がなされたと言うか、40何年同じ方式でやってきたということですので、特に将来の見通しに参考になるようなデータを広く拾って、国民に参考に供すると、こういうような考え方で、そういう方向の発表振りにするんだというようなお話がありました。大変結構ではないかと私自身思いました。

これについての話ですが、野田保守党幹事長の方から今言ったような先行きについての判断を、判断というか材料を示すというのは非常に良いと、政策的にすべからくそういう先行きを見通して打って行くことになるからだというような話と、それに関係して不良債権の問題がデフレになると増々不良債権の存在そのものが重荷になるということと同時に、不良債権の発生が段々増大するということにならざるを得ないというような話がありました。

それから、亀井自民党政調会長から、一つは岩田政策統括官がコメントした中に物価動向というのが入ってなかったがどういうことかというような話がありまして、それについてはすぐに補足の説明が行われたというようなことがございました。それから、表現が「改善の速度がより緩やかになる」というようなことですけれども、なかなかそういうことで良いのだろうかというような話がありました。

それから金融行政につきまして、今、信用組合の検査が行われているけれども、これは地場の中小零細企業に与える影響の大きな金融機関なので、その監督についてはそういうことを考慮してやってもらいたいというような話がございました。

それぞれのところで岩田政策統括官が事務的には応答しましたが、私も若干発言をしておきまして、一つは野田保守党幹事長が指摘されたポイントと必ずしも完全に対応した話ではないのですが、先般から行っている金融庁、経済産業省、それから国土交通省との間の連絡会の話をしておきました。それからもう一つは亀井自民党政調会長の話については、そのことは胸に置いてよく実情に応じた対応をするということを申し上げておきました。ただ、我が国金融システムの信頼性を損なってはならない原則のところは、やはり貫徹しなければならないと、そういう話をしておきました。以上です。

【質疑応答】

問)

金融行政のトップは内閣総理大臣なのですが、その内閣総理大臣に対して、与党内からも退陣論が出ている状態にあります。ここまで混迷しております政治状況について大臣としてどのようにお感じになってらっしゃいますでしょうか。

答)

何と申しますか、基本的に総理も我々チームのキャプテンとして非常に一生懸命やっておられるということは日頃から感じているのですけれども、その過程で身辺というか、あるいは一挙手一投足について国民の批判というか、そういうものを招くようなことになっているのは非常に残念だというふうに思っています。

問)

構造改革、3省庁連絡会の話ですが、その連絡会と直接関係があるのかどうか分かりませんが、国土交通省の方が自己資本比率規制を特定建設業者に対して実施しようかと考えていると、これについての評価、お考えになっている点はございますでしょうか。

答)

そういう話は聞いておりますが、何と申しますか、我々の方で、つまり金融機関の側で貸出先としての評価をする時に、このメルクマールというのがどのように機能すると評価すべきなのだろうかということについては、なお検討を要するかなというふうに思っております。

問)

先程の亀井自民党政調会長の話ですが、政調会長が先日のテレビ番組の中で、金融の検査について、「今、寝ておれ」と「検査は一生懸命やる時期ではない」というような趣旨のご発言もあったりして、すると先程の今日のお話と考え併せますと、何かやはり検査を一生懸命する時期ではないというふうな考えがあるのかなと思うのですが、そういう意見は政調会長だけではないと思うのですけれども、大臣としてはどういうふうに対処されるおつもりですか。

答)

これは、何と言うか、元々ペイオフで、本当は金融機関であれ、その他の一般の企業であれ、これで倒産の場合には解決するというのが資本主義経済の基本なわけですよね。もちろん、金融の場合には一定限度の保険というものは別途下りるわけですけれども、それを今緊急の時だということで、もしそういうふうになった場合でも債務者を全面的に保護してそれを実現するために、損失については税でもって穴埋めをするという仕組みを臨時的に措置しているわけでございます。

そういうことでそれを信用組合の場合を念頭において、検査が済んで、それぞれが検査結果に応じて自主的な対応をとった後に、ペイオフの解禁を行うべきだというスケジュール感から、そういう措置がとられておるわけでありまして、「寝ておれ」というふうになってしまうと、これは皆ペイオフをして、預金者に迷惑をかけるということで良いということなのか、あるいは何年か知らないですが、税金での穴埋めをずっと続けていくということなのかというどっちかにならざるを得ないわけですね。おそらく両方ともあまり、何と言うか、国民の支持は得られる話では私はないと、こういうように思いまして、そういうスケジュールの下で行っている検査であるということについて、十分認識を、ご理解をお願いしたいというふうに考えています。

問)

信組については今月末にも早期是正と言いますか、かなり一括して、かなりの数を処分されるのではないかと、時間的な余裕もないので、1カ月前と言いますか、そういう話も流れているようなんですが、そこはどういう感じでしょうか。

答)

正直言って、これはまだ全然検査の結果も聞いていないわけでして、検査の結果を見て、如何なる監督の見地からの措置が必要かと、あるいは適切かということを考えて対処していくということだと思います。

問)

月例経済報告の会議では、速水日銀総裁に対して金融緩和のような要請はありましたでしょうか。

答)

そういう日本銀行総裁を名指ししての話はなかったのですけれども、しかし、先程言った方の発言のインプリケーションというのか、それはやはりデフレが金融機関の不良債権を重くする、それから更に発生させるということになって、それがまた日本の経済の足を引っ張るということになっているというような指摘をしつつ、そういうことを総合的に考えた金融政策というものをやってもらいたいというような、表現は正確ではないですが、趣旨の発言があったということです。

問)

韓国系の信用組合の再編に関連して、韓国政府がその支援をどうするかという問題がございますけれども、韓国政府の方から先日、在日韓国人信用組合協会宛に支援の意思を伝える文書が来て、それを金融庁の方にも協会の方を通して連絡が来たという、そういう報道が今朝なされているんですけれども、その点についてはご報告はございましたでしょうか。

答)

そうですね、そういう正式な話ということではなくて、そういう動きがあるというようなことについての報告だったかと思いますが、ちょっと記憶がかくかくしかじかの文書が韓国政府や、あるいは在日の団体を通じて意思表明があったことが打ち出されましたというような形ではなかったと思いますけれども、ちょっと記憶が定かでありませんが。

(以上)

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