柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年2月20日(火)9時20分~9時38分)

【閣議案件等】

閣議がありました。大臣の発言ですけれども、エル・サルバドルとモンゴルに対する緊急援助の報告がありました。財務大臣の報告ですが、G7の報告がありました。閣僚懇に移りまして、橋本沖縄・北方担当大臣から、北方領土等視察の報告がありました。以上です。

【質疑応答】

問)

昨日の森長官の会見で、銀行の赤字決算などについて言及する発言もあったのですけれども、それを受けてなのですが、銀行の方ではこの地合いで不良債権を大幅に償却して、赤字決算にしていくことに対して二の足を踏む嫌いもあると思いますけれども、大臣の方は、この時期に今期決算で、直接償却に積極的に望んでいく必要性について、つまり引当を積むだけでは、やはり金融機関の健全性には限界があるということについてどのようにお考えかお聞かせください。

答)

基本的に今までの間接処理から直接処理に重点を移してもらいたいということは、私がこのところ言っていることなのですが、ただその時期は、この3月決算で大いにやってもらいたいと、そういうことを必ずしも言っているわけではなくて、3月末までに我々の方のある種のスキームと言っていいと思うのですが、そういう直接処理を促すような環境条件は一体どういうものかということをよく検討した上で、どういうことを我が方として、行政の側として何かやるべきことがあるのか、あるとすればどういうものがあるのかといったようなことをよく検討して、一つの出来ればスキームみたいなものを一種の勧奨、誘導のためのスキームを作って、そして新年度に最初は9月の中間決算になりますが、来年の3月末を目指してそういうことをやってもらいたいということが、どちらかというとタイミング的には主眼ですね。

地合い云々の点は確かに頭の痛い問題なのですけれども、その位のタイムスパン、もちろんその一年度間というわけでないのですが、タイムスパンをとってやれば、むしろそうした動きが、逆に日本経済の活力を生み、それだけが原資というわけではないのですけれども、株価にも良い影響を与えてですね、売却したら損になるというような状況が逆に改善されていくのではないかと、こういうことも、これはウィッシュフルシンキング(希望的観測)と言われればそうなのですけれども、そういうことも若干頭によぎらせつつ考えているのが現状です。

問)

今の関連なのですけれども、何度か金融機関が直接償却というか、貸している企業の整理にチャレンジしようとした時に、必ず自分がトリガーになれないということがあると思うのですね。ひとえに日本の場合、関係金融機関が多いと言うことで利害が錯綜してしまうこともあると思うのですが、こういったところは、なかなか金融機関の自助努力では難しい面もあるかなと思うのですが、その点行政側の方でいろいろな意味でアプローチしていく必要性については、大臣如何お考えでしょうか。

答)

これは個別の問題については、あくまでも当事者の経営判断ということだろうと思うのですね。従って、個別に行政が銀行に代わってトリガーを引くなんていうことは、これはあり得ないし、あってはむしろならないというふうに思っているわけです。全体的としてですね、そういうことを主眼に重視していかないとですね、日本経済が本当の意味の活力をまた持つという状況にならないんじゃないかということを主眼に我々それを推進してですね、さっき言ったような出来れば誘導、勧奨のスキーム等も考えてますので、そういうものが相まって決断を促していくと、こういうことだろうと思いますね。

問)

それから、もう一つですね自民党の方で、いわゆる景気対策ということを考えている動きがあると思いますけれども、予算が成立した後にですね、なかなか予算審議途中では出来なかった税制面の対応も考えていこうというお話があるのですけれども、株式市場もなかなか反応が鈍いこともありまして、証券税制も問題になると思いますが、改めて大臣の、今何が必要かということをお聞かせ願いますでしょうか。

答)

これはですね、平成13年度の税制改正の時にも、私就任するや否や、そのことを強く事務当局に督励をしてですね、ある程度文章の上での前進というか、そういう感じは勝ち取ることが出来たのですが、あれも2年後みたいな話に今なっているわけですよね。しかしこれはですね、税制当局というのは、そういうものかというふうに、私も昔向こうにいたことがあるので、思うのですけれどもそうじゃないのですね、資本市場というものをもっと強くしないといけないということは国全体の政策だと思うのですね。一人金融庁の要望事項などというものを超えてですね、そういうふうに思うので、その辺りは、しっかりした位置付けで議論をするということが大事だというふうに思っているのですね。

私、また事務当局に検討を指示しているのですけれども、西ドイツがかなり資本市場、殊に個人投資家を株式市場に呼び込む、あるいは保有シェアを高めるということに顕著な実績をこのところ上げているわけですね。この辺りの制度的な背景というものをよく調査してですね、それに倣うようにしたいというふうにも思っております。ですから、その検討をそういう国策の上のプライオリティーが高いということの中で、タイミングも然るべく図っていくということが大事だというふうに思っているので、そういう動きで私自身もいろいろ働きかけていきたいと思っております。

問)

先程、直接償却を促す、勧奨、誘導のスキームを作りたいということですが、これから調査が進むのでしょうけれども、先程もトリガーを引けないとか事情はいろいろあるのでしょうけれども、どの辺が直接償却を進まない原因になっていると、現時点でどういうふうに考えておられるのでしょうか。

答)

それを今よく調査しているということですね。何が障害なのか、あるいはその前に現在だって、それなりの直接償却しているわけですよね。そういう時にある不良債権をどういうものが直接償却し、どういうものが引当で済ますかということの決断、決定の要因になっているものは一体何なのかということですね。そういうことをそういうベーシックなところからよく話を聞いてですね、そういう障害になっているもので我々が取り除けるものがあれば、それは取り除かなければいけないし、プライオリティーで我々側から言ってですね、こういうことも考えてもらいたいと言うことがあれば、それは是非プライオリティーとして、もっと高いところに位置付けてもらうような、そういう我々が何かお手伝いすることがあるのかどうか。今そういう抽象論で申し上げる以外にないと思います。

問)

例えば、公的資金の再注入とかということもスキームの考慮の中に入るのでしょうか。

答)

ちょっと公的資金までですね、資本を毀損するというところまで行くとは、我々、私は考えていないのですけれどもね。そこまではちょっと考えていないですね。

というのは、そもそも剰余金が資本を構成して、それがかなりウェートが高い時代はですね、処理をすることで剰余金を食っちゃって、それで自己資本比率が低下したという時代が昔あった。それがために、我々は、むしろ公的資金の注入ということが必要になったというふうな、認識を持っているわけですけれども、そこまで今剰余金が、昔程潤沢にないのですよね、非常に残念なんだけれどもね。

多分そういうのが、もちろん沢山あるところもあるし、それは銀行によっての話なのだけれども、概して判断すると、そういうふうな状況とはちょっと違うので、では一般的に資本をどんどん突っ込んでいくような、そういう損失を立てて良いかという、そこまではちょっと考えていないのですけれども。

従って、資本注入が必要になるということは、この我々の施策で、あるいは方向付けで、そういう事態になるとは考えていません。

問)

今、漠然とお考えになっている勧奨のスキームというのはですね、あくまでイメージで結構なのですけれども、どういうものを念頭に置かれていらっしゃるのですか。

答)

今、抽象的なイメージとしては十分言ったのではないでしょうか。それ以上言ったら、何か例を挙げたりしなければならなくなるから。

問)

それは、3省庁連絡会のご議論の中に絡めて議論ご検討されるのですか。

答)

もちろん無関係ではないですね。検討は我が方でしますよ。検討は別に3省庁でするわけではないので、金融プロパーの問題です。そういうことを実行する場合には、要するに私が念頭にあるのは、やはりこれはどこかで言ったかもしれませんが、どれがviableな部分で、どの分野がもうviableでない部分かという切り分けが必要なのですね、切り分けが。これは法的処理であれ、任意の処理であれ、皆そうやってやるわけですよね。これは、任意の処理の方が多く関連することになるのだろうと思うのだけれども。その時の切り分けについては、特に任意処理の場合には、当該事業の、当該産業の所掌官庁の意見というものが、やはり大事だろうと。こう思っていますから、その限りでは、2つの省の協力も頂きたいと思っております。

問)

直接償却を求めるのは大手行から地域系と言いますか、そこを須らく求めるということでよろしいでしょうか。

答)

そうですね。そういうことだと言っていいわけですが、ただ何と言うかそういうことを私が言えばですね、地方の中小企業の人も皆切り捨てられるかというような反応というか心配がすぐに起きますので、そこは十分注意してやりますということは、即時的に添えて置かなければいけないと思います。

問)

昨年のですね、幾つか流通・建設関係のそういった試みの中では、大手銀行と一緒に巻き込まれる形で、地方銀行の経営対応というのが問われたわけですけれども、4月以降にこういったことを整理していこうとすると、どうしても地銀の対応というのは4月以降であると。そうすると早期健全化法というのは、このまま3月一杯で終えてしまって、この部分は別に支障というのはないのでしょうか。

答)

仮定の議論だから、心配をし出せばきりの無いことですけれども、そういうことには至らないだろうという見通しを今持っています。

(以上)

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