柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年3月2日(金)8時55分~9時07分)

【閣議案件等】

閣議がございました。1月の失業率が4.9%ということでした。これはちょっと確認の発言もあったのですが、12月が4.8%だったのかという話もあったのですが、何か1月の計算の仕方でやると同じで4.9%だそうです。そういう意味で横這い。東京都の2月のCPI(消費者物価指数)は対前年同月比▲0.5%、18カ月連続、前年同期比割れということです。有効求人倍率は0.65%で、先月よりも▲0.01%です。ただ、就業者数は止まってます。どういう現象か分かりませんが、そういう状況です。

閣僚懇にいきまして、三宅島の避難が6カ月経ったということで、それに関連して防災担当相から話がありました。オリンピックの大阪招致について、評価委員の訪問があって、その報告と同時にこれから頑張ろう、頑張りたいというお話がありました。それからまた最後に、本日は予算審議の終盤ですけれども、最後まで閣内一致、協力して頑張りましょうという話でした。以上です。

【質疑応答】

問)

昨日、村上正邦前参議院議員が逮捕という事態になりましたが、予算の方が衆議院通過の見通しも立ってきたと思いますが、この逮捕と予算というところで、内閣としてどのような受け止め方をされてますでしょうか。

答)

先程の閣僚懇での発言を若干ご紹介したのですけれども、そこでも大変、遺憾のことが起こったわけだけれども、予算審議も国民生活にとって非常に大事なので、最後の瞬間まで、一致協力して頑張ろうということが、ある種の意味で申し合わされたと、こういうことでした。

問)

株価の方なのですが、東証の平均株価がバブル後最安値を更新しているのですが、銀行などの3月末決算への影響も懸念されるところなのですが、これについて、どのようにお考えでしょうか。

答)

昨日ああいうことで203円でしたか、日経平均が落ちたということでありました。そういうことで、これをどういうふうに考えるかでしょうですけれども、これはまあ一つには、やはりアメリカの経済、特にハイテク関係の減速というものが株価に反映して、それがこちらにも反映しているという面がありましょうし、また、最近の経済動向として、企業の業績見通し等が下方に修正されることが多いというようなことだろうというふうに思います。現象的な理由と背景というのはそんなふうに聞いています。ただ、私としてはそれと同時に、やはり中長期的に見ますと、あるいは構造的に見ますと、この資本市場というものをもっと活性化するようなインフラに注力してもらいたいということであるとか、経済全体についての構造改革が必要なんだということを訴えているというふうに読むべきではないかと、こういうふうに考えています。

ただ、その上で敢えて言うと、一つはこれは日経平均の銘柄の入れ替えで、ハイテク株のウェイトを高めたことが、たまたまですが、非常に影響が強く出ていて、今や旧日経平均との乖離が4,000円近くにまで、3,800円と言っていますけれども、開いているということがあるようですね。ですからTOPIXは最安値に対して、まだ25%ほど上回っているということがあるわけで、何と言うか、できればそのことも報道に当たって言及して頂くと、あまり個人投資家、投資をする人は当然その程度の知識は知っているでしょうけれども、もうちょっと慌てるということがなくて済むのではないかと思うのです。

報道機関によってはきちっとその辺を常に留意点として、併せて報道してくれているところもありますが、そうでないところもあるようで、できればそのことについても触れて頂けたら、こちらとしては何と言うか、正しいご認識を国民が持って頂けるのではないかと、こう思ってます。

もう一つ加えて申し上げたいことは、一部報道機関も今日も報道しておりますが、やはりリンク債ですね。指数連関株と言うのですか、リンク債について、やはりそれが非常に短時間に値下げを加速しているような現象も見られるようですね。これについては監視委員会は引き続き、しっかり見守ってくれているわけですが、もし、そこに不公正な取引があるようでしたら、やはり厳正に対処したいと、こういうふうに思っています。

問)

今のリンク債というのは、いわゆる他社株転換の付いた…。

答)

他社株と、もう一つは株価指数ですね。

問)

行使価格が近づいてきたら、売り込むという…。

答)

まあ、大体そんなところです。

問)

それに厳正に対処というのは何か。

答)

これは先般もそういう例もありましたが、あれは他社株連関だったと思いますが、処分させて頂きました。

問)

指数についてもそういう厳しく対処するのですか。

答)

当然、不公正な取引でしたら、そういうことです。

それから、その話はその話で、もう一つのご質問の決算への影響ですけれども、これはかねて申し上げているように、自己資本比率に対しては、何と言うか、シリアスな影響ということはないんですけれども、やはり損益で不良債権というものが、それぞれどの程度予想されるか分からないのですけれども、9月の中間期も当初の予想に比べると、やはり少し膨らんで処理をしたということで、もちろんそれから、その時に発表した見込みも当初の見込みよりは膨らんでいるわけですけれども、それとの絡みで、もし業務純益だけで対処できないというような時には、これがあるとすれば、これまでのように株価の売却益でということを、当然考えるわけですが、それが意の如くならないというような意味では、当然厳しさというものはそこに発生していくだろうと、こういうふうに想定しています。

問)

物価のデフレ傾向についてお伺いしたいのですが、債務者サイドの方は借金が減らなくて、どんどん売り上げは減っていっているわけですが、債務者サイドの方、借り手の方の影響について、そこら辺は大臣どのように考えていますか。

答)

これは前にもちょっと言ったかもしれませんけれども、物価が下がってメリットを受けるのは消費者ということですね。企業経営だとか、あるいは税収だとかというのは全部名目値なんですね。従って、デフレというのはそういう面に対しては厳しく影響するということですね。

これは個人的な考えですけれども、公式なコメントいうことには必ずしもならないのですが、私の友人なんかはですね、こういう時にはマクロ経済を見る場合も、実質成長率とか、そういうようなことは却ってミスリーディングではないかと、物価が落ち着いてきたら、これは名目値で全て論じた方がいいと、こういうことですね。

そういうことを考えると、GDPが1.2%が実質見込みですねというようなことを言っていても、多分名目はプラス・マイナス0(ゼロ)でしょう、その前の年の実績なんかはマイナスですからね。つまり、名目値ではマイナス成長が続いているということですね。私はどちらかというと、私の友人のそういう説に非常に注意すべきものがあると考えています。もちろん政府とか、そういう公式機関は、皆実質で論ずることが多いので、私も実質で論じますけれども、しかし心の中ではいつも名目値を考えています。そのぐらい私が担当している例えば金融機関とかにとっては、名目値で常に注意していかなければいけないのではないかと思っています。

(以上)

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