柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年3月21日(水)9時20分~9時45分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日は繰り下がりの閣議がございました。閣議では、アフガニスタンの難民への援助の話、それから法律案が現在までに89件、今日が期限なのですが、提出すべく閣議決定されているけれども、あと6本、95本が当初の予定です。条約1本がまだ未提出になっているので、頑張ってくださいと、こういう話。それから事後的ですが、総理の臨時代理は福田官房長官、麻生経済財政担当大臣の臨時代理は高村法務大臣がお務めになっておりますという話の報告がありました。

閣僚懇では、ミールの落下について発言が前回に続いてございました。まあ、難しい話なので、それぞれの部署の発表に譲りたいと思います。以上です。

【質疑応答】

問)

日米首脳会談で、不良債権処理の早期実現ということで、半年後に結論を出すという形の回答になったんですけれども、それについてのご見解をお伺いしたいのですが。

答)

私が承知している限りは、半年後というのは財政再建の話にかかっていまして、不良債権について、別に半年後とか、そういう言及がなされたとは理解をしておりません。ちょっとそのことをご注意させて頂きながら、不良債権問題というものについて関心が高まっているということは、それはそれなりにもっともなことではないかということでございます。首脳会談のテーマというか、大きなテーマになるということについては、若干、私、戸惑いもありますが、そういうふうに関心が高まって頂いているのは、ある意味で私にとってはありがたいと、こういうように思っております。

従って、それを受けて、更にいろいろですね、これは政府が、ただ私がこの金融庁だけの努力でやるというのに止まらず、もともと私、これを各省への協力はお願いしておりましたけれども、そのお願いがしやすくなるというか、それから各省側も、これは協力しないといけないぞというようなことになるのではないかと思っておりまして、その意味でありがたいと、こう言ったのですが、もちろんそれは我々の責任が軽くなるということでは、もとよりないので、一生懸命やらなければいけないと、こういうことを改めて決意をしている次第です。

問)

そうしますと、大臣の見解として、9月の中間決算を目途に不良債権の処理を進めようというようなお考えというのはないのでしょうか。目標としてなんですけれども。

答)

そうですね、これもまだ、まだと言うか、もう半月しかないわけですけれども、事務当局が今いろいろ問題点、そのスキームというようなものをこなしてくれておりますから、その中でそれを私のところまで上げてもらった後で、その中身として、どういうふうに考えていくかということだと思います。思いますが、何と言うか、9月末の中間決算との関係では、これはおそらくいろんなことを考えなくてはいけないだろうと、こう思いますね。銀行プロパーの話としては、全体のテンポをどうするかということで、9月末にそれがどういう姿になっていると考えるべきか、その問題は、むしろ全体のテンポの関係だと思いますね。そこのところはそう思います。

しかし、この努力の影響は日本経済に実体的にどういう影響を与えるかということと、さしづめ私にとって、やや近視眼的、短視眼的に見ると、9月末に、株価にどういう影響があるかということをやはり考えると、9月末に向けて、かなりこう努力をするとですね、やはりそれだけ株式市場でも評価が上がるのかどうか、別に株価を見て、政策をやろうとは思いませんが、やはりそこの辺りも考えの中に、当然入ってくるわけであります。ですから、プロパーの問題としては、全体のテンポをどうするかということの一つの区切りとして、9月末どうなっているかと考えるかという問題に過ぎないとも言えるし、また、しかし株式市場だとか、実体経済の構造改革がどう進むのかという世の中の大きな関心を見ると、関心のことを考えると、やはり9月末も一つの節目かなあと、今のお話を聞きながらそういうふうに思いましたけれどもね。

問)

日銀の量的緩和の件なんですけれども、今日からゼロ金利という形をとる形になったのですけれども、その点についてのご見解もお伺いしたいのですが。

答)

これはリザーブ・ターゲティングというふうに仰っておられるようですね。ターゲットは金利ではなくて、リザーブ、日銀の当座預金、準備預金だということです。それが金利にも影響をし、これはまあ、しかし、インストゥルメントと言うか、商品の信用度によるのでしょうけれども、商品の信用度が高いものについてはゼロになるだろうというようなことのようですね。私は日本銀行として、いろいろなことに配慮した周到な施策だというふうに、施策に違いないとこう思っておりまして、日本銀行のマクロ金融政策というものとして適切なものであろうと、こういうように一般的に考えて評価をしております。

その中で、私どもの金融機関の持つ不良債権の処理に対して、環境作りをしてくれているという面もあるんだよということが言及もされたわけですので、私としては先程の日米首脳会談と同じく、非常にいろんなところで配慮してくださっているのはありがたいということと同時に、自分たちの責任も重いということで、しっかりやらなければいけないと、こういうように考えているわけであります。

問)

FRBが公定歩合の引き下げをしたのですけれども、このことに関する影響というのはどういうふうに考えていますか。

答)

あの、このことというのは。

問)

FRBがアメリカで金利政策を少し緩和の方向にしたことで、これが日本に与える影響という意味ですが。

答)

これは当然、アメリカ経済に良い影響があるということで、アメリカの経済の減速というのが、日本にとって非常に大きな影響を与えていたわけでございますから、それが緩和されるということでは歓迎をすべきだと、こう思います。かてて加えて、その金融措置がアメリカの株式市場へプラスの影響があるということになりますと、日本の株価というのはアメリカの株価にかなり影響されている面が、最近は特にありますから、その意味でも歓迎すべきプラスの影響が期待されると、こういうことではないでしょうか。

問)

大臣は、諮問会議のところで株価は予想していたよりも厳しい水準だというふうに仰いましたが、その銀行の株価については、銀行の持ち合い株を想定されているのでしょうけれども、いくらというふうにお考えになられているのですか。

答)

別にいくらと考えていたわけではないのですけれども、その前までの答弁でですね、15,747円、9月末の数字よりも2割下がってもということを一応例として引いておりましたね。その例は、単純に計算すると約12,600円なるわけですね。だからその例として引いていた12,600円を割っているということを指摘したということに過ぎません。

問)

不良債権の問題ですけれども、日米首脳会談の大きなテーマになることを若干戸惑いがあると先程仰いましたが、やはりこういう問題は採り上げられないというふうに思っていらっしゃったのでしょうか。

答)

いえいえ、そうではないのです。そうではないのですが、私が時期を逆上ると2月の始めくらいでしょうか、もちろんその時には私の頭の中には、一人金融機関の収益力の向上という直接的な目的以外に、日本経済全体に対してそういうことが必要なのではないかというような気持ちというか、そういう考え方もありましたが、当面ですね私の責任分担の範囲では金融機関の収益力の増強ということでありました。従って、そういう面では私は金融機関の収益力の増強の問題として、しかし日本経済全体への好影響ということも念頭に置きつつ、この問題に取り組もうとしておったわけですね。ところが、その後の展開、特に首脳会談の展開は金融機関の収益力の問題に止まらないというか、そこを飛んでですね日本経済全体への良い影響という、私が副次的に念頭に置きながらというものが、ぐっと問題の正面に座ったということで、ある意味で戸惑いという表現がいいかどうかちょっとあれなのですが、そういうことを今その表現でもって言ったということでございます。

これについて心の準備はあったかということでございますけれども、まあ何と言うか新チームの顔ぶれは、私知らないのですね、知らない。ただグリーンスパンさんが後ろだか前だかにいらっしゃるということからすれば、グリーンスパンさんとはそういう話をしょっちゅうというか、私出かけた時もしているし、その他いろいろなチャンネルでグリーンスパンさんの考え方は、もたらされているわけでございますから、それはあり得ると、こういうふうに元々思っていましたね。

問)

日銀が、思い切った量的緩和に踏み切って、更に日米がトップ同士で不良債権の問題を採り上げると、市場とかの期待としてかなり思い切った公的資金をもう一度入れてでもやってしまえというようなそういう過度な期待というものが生まれてくるかも知れませんが、その点についてやはり大臣としては、再度注入せずにというふうな考え方は変わらず着実にやっていくという考えは変わらないのでしょうか。思い切った処理をという声が高まってくると思うのですけれども。

答)

そうですね、私が申し上げているのは、いつか国会でもお答えしましたけれども、まず必要があるかということももちろんあるわけですね。つまり自己資本の比率が非常に低くなるかということもあるのですが、もう一つはこれは何というか、ある種、私は矛盾しているなと思うのですけれども、公的資本を入れろという人達も入れろと言いいながら日本のコア資本というか自己資本というかTier1の中に、政府の公的資金が入っていて日本の資本は脆弱だとしていて、あなた何を言いたいのでございますかと私は聞きたいくらいの話ですね、それは。

入れろと言ってみたら、入っているものの今の状況でもそれは脆弱の象徴だとこういうわけですから、一体どういうことをあなたはすればいいのですかというふうに思っているわけですね。つまり、何と申しますか自己資本というものが本当に信認を得られないほど低ければ、これは緊急の異例の措置として、何でもかんでも入れないといけないと思うのですね、公的資金であれ何であろうと。しかし、それはできる限りやはり少なくして自分の足で立っていくということを考えるべきだと私は思うのですよね。例えば、ものすごく不良債権の処理をやった時に株価はどうなるのでしょうか。もしその当該の銀行株が、最近ちょっと一、二にそういう兆候が現れたごとく上がったら、そのレベルによるのですけれども、自分で調達できるわけでしょう。それこそが何と申しますか、まさに市場からのどこの方から見ても一番強い自己資本ということになるでしょう。

ですからその辺りのことを総合勘案して何やってでも国家管理してしまうのだというようなことに一直線に行くべきなのかどうか、私はどうもちょっとまだとてもそこについて何かここで物を言わなければならない、今までと違ったものを言わなければならないという気持ちはありません。

問)

銀行の赤字決算についてなのですけれども、先日のUFJの赤字決算は、剰余金の余剰幅があったから大幅に出来たという事情があるかと思うのですが、逆に言うとですね剰余金があまり積み上がっていないと思い切った不良債権に踏み込めないと、そういった観点から優先株式の配当義務から見てそれが思い切った不良債権処理に重荷になっているというふうなお考えはないでしょうか。

答)

まあ、どう考えるかでしょうね。経営判断がどう考えるかでありましょう。それ以上にコメントするということになるのは、やや個別の銀行の問題に入り過ぎるような気がしますので、ちょっとそこで止めておこうかなと思います。

問)

速水総裁の方から、要注意債権についての引当といいますか、相当議論があるようなのですが、どういうふうに受け取っておられるのでしょう。

答)

まず原則的に言いますと、私は速水さんにもちょっとその点は申し上げたのですけれども、いずれ議事録等も明らかになればですね、そのことも明らかになるわけで、この前の諮問会議で特別議員として参加した時に、そのことを私申し上げておきました。

つまり引当金というのは、やはりまず監査法人の監査、それから金融検査マニュアル、金融検査マニュアルというのは検査官のマニュアルなのですが、それが間接的に影響を与えてそういうことで引当が行われているわけでですね、そんな何と言うか裁量的にこれが行われるということではないんでですね、そこは他の方だったらいざ知らず日銀総裁がそういうことを仰るということになると、そんなに裁量的にどうにでもなる話なのかという話になりかねないのでね、ちょっとご注意いただくと有難いのですがというようなことをちょっと言っておいたような記憶があります。

そういう原則的なこと以外のことを何か考えるべきなのかどうかということは、今次のスキームの中で考えるのかどうかということだろうと思っておりますね。まあ、原則は原則ですね。あまりインプリケーション、今の言葉ですごい、ヤッというふうに立ち上がらないでいただきたいと思います。一般論を申し上げています。

問)

先程大臣が日米首脳会談で不良債権の問題が大きなテーマだったということで、他の省庁の協力が、そういう意味で得られるというお話をされたと思うのですが、これは今の段階で各省庁の協力があまり芳しくないねというそういう思いがあるのですか。

答)

そうじゃないのです。そうじゃなくて、おそらく今、経済産業大臣がご発言になっていると思うのですが、例えば産業再生法、これをもっと間口を広くしようというようなことが多分出ていると思います、今この時点で。そういうことを私の口から言うわけにはいかないので、先程のような表現をしたと、こういうことです。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る